安全データシート

臭化アンモニウム

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: 臭化アンモニウム
  • CB番号: CB1126958
  • CAS: 12124-97-9
  • EINECS番号: 235-183-8
  • 同義語: 臭化アンモニウム

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 無機質難燃剤,写真用臭化銀原料,分析試薬 (NITE-CHRIPより引用)
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
R5.3.31、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver2.1))を使用
物理化学的危険性
-
健康に対する有害性
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性   区分2B
生殖毒性   区分1B、授乳に対するまたは授乳を介した影響に関する追加区分
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)   区分2(神経系)、区分3(麻酔作用)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)   区分1(中枢神経系)
分類実施日(環境有害性)
-
環境に対する有害性
-

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS07
注意喚起語
警告
危険有害性情報
H319 強い眼刺激。
注意書き
安全対策
P264 取扱い後は皮膚をよく洗うこと。
P280 保護眼鏡/保護面を着用すること。
応急措置
P305 + P351 + P338 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337 + P313 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 化学特性(示性式、構造式 等): H4BrN
  • 分子量: 97.94 g/mol
  • CAS番号: 12124-97-9
  • EC番号: 235-183-8
  • 化審法官報公示番号: 1-106
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸入後は新鮮な空気を吸うこと。
皮膚に付着した場合
皮膚に接触した場合: すべての汚染された衣類を直ちに脱ぐこと。 皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
眼に入った場合
眼に触れた後は多量の水ですすぐこと。 眼科医の診察を受けること。 コンタクトレンズをはずす。
飲み込んだ場合
飲み込んだ後はただちに水を飲ませること(多くても2杯) 医師に相談する。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

使ってはならない消火剤
本物質/混合物に対する消火剤の制限なし
適切な消火剤
現場の状況と周辺環境に応じて適切な消火手段を用いる。

5.2 特有の危険有害性

窒素酸化物(NOx)
臭化水素ガス
不可燃性である。
周辺の火災で有害な蒸気を放出することがある。

5.3 消防士へのアドバイス

火災時には、自給式呼吸器を着用する。

5.4 詳細情報

ガス/蒸気/ミストを水スプレージェットで抑える(除去する)。 消火水が、地上水または地下水のシステムを汚染しないようにする。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

救急隊員以外への助言: ほこりを吸い込まないこと。 触れないようにすること。 十分な換気を確保する。 危険なエリアから避難し、緊急時手順に従い、専門家に相談のこと個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

物質が排水施設に流れ込まないようにする。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

排水溝に蓋をすること。こぼれたら集めて結合させ、ポンプですくい取る。 物質の制限があれば順守のこと (セクション 7、10参照) 乾燥剤で処置すること。正しく廃棄すること。関係エリアを清掃のこと。ほこりを生じないようにすること。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管クラス
保管クラス (ドイツ) (TRGS 510): 11: 可燃性固体
保管条件
密閉のこと。 乾燥。空気に反応する。 吸湿性の.

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
許容濃度が設定されている物質を含有していない。

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
汚した衣類は替えること。本物質を扱った後は手を洗うこと。
保護具
眼/顔面の保護
NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、認められた眼の
保護具を使用する。 保護眼鏡
皮膚及び身体の保護具
手袋を着用して取扱う。 使用前に、必ず手袋を検査する。 (手袋外面に触れずに)適切に手袋
を脱ぎ、本製品の皮膚への付着を避ける。 適用法令およびGLPに従い、使用後に汚染手袋を廃
棄する。 手を洗い、乾燥させる。
選ばれた防護手袋は、EU指令2016/425の仕様と、それから派生する規格EN374を満たすもので
なければならない。
フルコンタクト
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Dermatril® (KCL 740 / Aldrich Z677272, Size M)
飛沫への接触
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Dermatril® (KCL 740 / Aldrich Z677272, Size M)
データソース:KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, 電話 +49 (0)6659 87300, e-mail sales@kcl.de,
試験方法: EN374
EN374とは違った条件の下で、溶液の中、または他の物質と混ぜて使われる場合は、EC認可手
袋の供給業者に問い合わせる。 この勧告は単なる助言であり、予想される用途の特定状況に精
通した産業衛生専門家並びに安全管理者により評価されなければならない。 任意の使用方法に
ついて許可を受けていると理解すべきではない。
身体の保護
保護衣
呼吸用保護具
ほこりが生じた際に必要。
次の規格に準拠しているフィルター式呼吸器保護具を推奨します。DIN EN 143、DIN 14387お
よび使用済み呼吸器保護システムに関連する他の付属規格。
環境暴露の制御
物質が排水施設に流れ込まないようにする。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

物理状態
固体(GHS判定)
無色又は白、空気中で黄ばむ
臭い
無臭、刺激的な塩味

融点/凝固点

452 ℃(圧力下で昇華する)(Lange(2017)) 542 ℃(密閉管の中において)(452℃で昇華する)(Ullmann(2011)) 高温で溶けることなく昇華する(Merck(2013))

沸点、初留点及び沸騰範囲

235 ℃(真空下において。昇華点396℃)(HSDB in PubChem(2022)) 541.7℃で昇華(Weiss(1995))

可燃性

不燃性(GESTIS(2023))

爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界

データなし

引火点

データなし

自然発火点

可燃性ではない(HSDB in PubChem(2022))

分解温度

397 ℃(Lange(2017)) 542 ℃(SAX(2000))

pH

5.0-6.5(25℃、濃度50g/L)(GESTIS(2022)) リトマス紙で弱酸性(HSDB in PubChem(2022))

動粘性率

データなし

溶解度

水: 76 g/100mL(20℃)(Lange(2017)) 水: 74.2 g/100g(25℃)(Ullmann(2011)) 水: 78.3 g/100g(25℃)(HSDB in PubChem(2022))

n-オクタノール/水分配係数

データなし

蒸気圧

270.6 mmHg(20℃)(Perry(2019)) 1 mmHg(198.3℃)(HSDB in PubChem(2022), SAX(2000))

密度及び/又は相対密度

2.429 g/cm³(Lange(2017)) 2.43 g/cm³(25℃)(Merck(2013)) 2.429 g/cm³(25℃)(Merck(2013))

相対ガス密度

データなし

粒子特性

データなし

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

データなし

10.2 化学的安定性

標準的な大気条件(室温)で化学的に安定。

10.3 危険有害反応可能性

次との反応で爆発のおそれ
ハロゲン-ハロゲン化合物
カリウム
次と激しく反応
強酸
強アルカリ

10.4 避けるべき条件

湿気を避ける。
情報なし

10.5 混触危険物質

データなし

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない(国連分類基準の区分5)。
【根拠データ】 (1)ラットのLD50:2,714 mg/kg(雄:2,868 mg/kg、雌:2,566 mg/kg)(OECD TG 401、GLP)(CLH Report (2019)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))
経皮
【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(OECD TG 402、GLP)(CLH Report (2019)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 (1)より、区分を特定できず、分類できない。
【参考データ等】 (1)ラットのLC50(4時間):> 0.1 mg/L(OECD TG 403、GLP)(CLH Report (2019)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、半閉塞、4時間適用、3日観察)において、皮膚刺激性反応はみられなかったとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2020)、CLH Reporrt (2019))。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

【分類根拠】 (1)より、区分2Bとした。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405相当、GLP、8日観察)において、みられた影響はすべて8日以内に完全に回復した(角膜混濁スコア:0/0/0/0/0/0、虹彩炎スコア:0/0/0.3/0.3/0/0.3、結膜発赤スコア:2/2/0.6/2/2/1.3、結膜浮腫スコア:0/0.3/0/0.6/0.6/0)との報告がある(ECHA RAC Opinion (2020)、CLH Reporrt (2019))。

呼吸器感作性

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)モルモット(n=20)を用いたMaximisation試験(OECD TG 406、皮内投与:5%溶液)において、惹起24、48時間後の陽性率はともに0%(0/19例)であったとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2020)、CLH Report (2019))。

生殖細胞変異原性

【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1)in vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験(OECD TG474、GLP:2日間強制経口投与)では、最大1,600 mg/kgの用量まで小核誘発性は認められず、陰性と判断された(EU CLP CLH (2020)、REACH登録情報 (Accessed 2023))。 (2)in vitroでは、細菌を用いた復帰突然変異試験(OECD TG471、GLP)、及びマウスリンパ腫細胞L5178Yを用いた遺伝子変異試験(OECD TG476、GLP)で、代謝活性化の有無に関わらず陰性の報告がある(EU CLP CLH (2020)、REACH登録情報 (Accessed 2023))。
【参考データ等】 (3)臭化ナトリウムについて、in vitroでは、細菌を用いた復帰突然変異試験(OECD TG471、GLP)及びほ乳類の培養細胞を用いた染色体異常試験で、陰性(S9+/-)の報告がある(EU CLP CLH (2020)、REACH登録情報 (Accessed 2023))。

発がん性

【分類根拠】 データ不足ため分類できない。

生殖毒性

【分類根拠】 ヒトの生殖発生影響に関しては、臭化物の限られた情報からは確定的な分類はできない。実験動物では、(1)、(2)より、母動物に一般毒性影響がみられない用量で胎児に骨格異常、精巣の位置異常、腎臓等内臓の異常の発生頻度増加がみられること、(3)より、例数が少ないため結果の精度は劣るものの、母動物毒性が最小限又は母動物が耐えられる用量範囲で受胎率の低下がみられたことから、区分1Bとした。さらに、本物質自体のデータはないが、臭化物をラットの哺育期に飲水投与した試験結果(4)、(5)及びヒトの知見(6)より、授乳を介した影響が示唆され、本物質にも適用可能と考えた。よって、追加区分として授乳影響を採用した。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG414、GLP、100~1000 mg/kg/day)において、母動物毒性がみられない低用量(100 mg/kg/day)から、胎児に骨格異常(捻転肋骨、肋骨の不完全骨化)及び精巣の位置異常の用量依存的な発生頻度増加がみられ、母動物毒性(切迫と殺1/24例、全身・神経毒性症状(歩行異常、不活発、円背姿勢、立毛等)、体重増加抑制)がみられる高用量(1,000 mg/kg/day)では、加えて矮小児、骨格奇形(湾曲肩甲骨)、内臓奇形(腎臓の矮小/欠損/位置異常/嚢胞、甲状腺の縮小/欠損、卵巣の形態異常を伴う子宮角の狭窄等)の発生頻度増加がみられたとの報告がある(EU CLP CLH (2020)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))。 (2)ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験の用量設定予備試験(OECD TG414、GLP、50~800 mg/kg/day)において、母動物に切迫と殺(1/22例)及び全身・神経毒性症状がみられた用量(600 mg/kg/day)よりも1つ下の用量(300 mg/kg/day)から、胎児に骨格異常(捻転肋骨、湾曲肋骨、肋骨の不完全骨化)が用量依存的にみられたとの報告がある(EU CLP CLH (2020)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))。 (3)ラットを用いた混餌投与による生殖毒性試験の用量設定試験(GLP、600~6,400 ppm)において、雄親動物には体重及び摂餌量の低下がみられたが、雌親動物には哺育期間中の摂餌量減少だけがみられた中用量(3,200 ppm)で、受胎率の低下(妊娠成立雌:90%)及び妊娠期間の延長、及び出生児の死亡率増加(哺育期間中に死亡した9腹中4腹で全児死亡)がみられたとの報告がある。雌親動物に全身毒性(神経毒性症状及び体重増加抑制(妊娠期間中))がみられた高用量(6,400 ppm)では、受胎率の著しい低下(妊娠成立雌:10%)がみられ、受胎した1例の同腹児も哺育4日までに全児死亡したとの報告がある(EU CLP CLH (2020)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))。 (4)臭化物ナトリウム及び臭化カリウム塩について、ラットを用いた飲水経口投与による哺育及び乳汁分泌への影響検討試験(300、900 mg Br/kg/day相当)において、母動物毒性(死亡1/5例、体重増加抑制等)がみられた高用量群(900 mg Br/kg/day相当)で、乳汁産生量の減少及び乳汁組成の変化(母乳中の塩素含量の54%が臭素に置換)がみられ、出生児には生存率低下(-44%)及び体重低下(-35%)がみられたとの報告がある(EU CLP CLH (2020)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))。 (5)臭化物(化合物名不明)について、ラットを用いた飲水経口投与による哺育及び乳汁分泌への影響検討試験(1、5 g Br/L)において、母体体重に影響のない高用量群(5 g Br/L)で、哺育10日及び同15日に乳汁産生量の減少(最大-70%)がみられ、児の体重も減少(-29%)したとの報告がある(EU CLP CLH (2020)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))。 (6)テンプル大学病院の分娩病棟の患者10人の母親が臭化ナトリウム5.4 g/dayを(分娩後6日目以降)3~5日間摂取後に、授乳影響として患者の乳児に過敏性、微睡、眠気、泣き声を発しない、顔の発疹等の症状がみられたとの報告がある(EU CLP CLH (2020)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))。
【参考データ等】 (7)ヒトでは、全妊娠期間を通して臭化物にばく露された乳児で発達期の成長遅延(身長、体重、頭囲)を示唆する症例報告がある。しかしながら、全体的に臭化物がヒト胎児の発生・発達に有害影響を示し、発生毒性があるとする十分に強固な研究報告はない(EU CLP CLH (2020))。 (8)臭化物(臭化ナトリウム/臭化カリウム/臭化アンモニウム(本物質))を主成分とする鎮静剤を妊娠中に摂取し、後に重度の臭素中毒症を生じた母親から生まれた乳児に、経胎盤移行性の臭素中毒として中枢神経系抑制(顕著な低活動性、泣き声や哺乳が少ない等)がみられたとの複数の症例報告がある(EU CLP CLH (2020)、REACH登録情報 (Accessed 2023))。(7)と併せて、本物質の胎生期ばく露によるヒト出生児への影響は神経毒性症状など一般毒性影響が主体であるが、(6)より、授乳期に本物質にばく露された場合には母乳を介して神経系症状が発現すると考えられる。 (9)EUではRepr. 1B、Lact.に分類提案されている(EU CLP CLH (2020))。

特定標的臓器毒性 (単回ばく露)

【分類根拠】 (1)より、区分2の用量範囲で神経系影響(強直性痙攣)がみられることから区分2(神経系)、嗜眠がみられることから区分3(麻酔作用)と考えられる。よって、区分2(神経系)、区分3(麻酔作用)とした。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた単回経口投与試験(OECD TG 401)において、2,000 mg/kg(区分2の範囲)で、嗜眠(雄:5/5例)、自発運動減少(雌雄:各5/5例)、腹臥位/円背姿勢(雄:5/5例)、運動失調(雌雄:各5/5例)、呼吸困難、意識喪失、強直性痙攣がみられたとの報告がある(CLP Report (2020)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))。
【参考データ等】 (2)臭化ナトリウム(CASRN:7647-15-6)を被験物質とした、ラットを用いた単回経口投与試験において、3,200 mg/kg(区分に該当しない範囲)で投与後に立毛、円背姿勢、異常歩行、嗜眠、呼吸数減少、眼瞼下垂、四肢の蒼白、衰弱等の症状がみられたとの報告がある(CLP Report (2020)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))。

特定標的臓器毒性 (反復ばく露)

【分類根拠】 (1)より、ヒトにおいて中枢神経系影響がみられることから、区分1(中枢神経系)とした。
【根拠データ】 (1)臭化物(臭化ナトリウム/臭化カリウム/臭化アンモニウム(本物質))を主成分とする鎮静剤を妊娠中に摂取し、後に重度の臭素中毒症を生じた母親から生まれた乳児に、経胎盤移行性の臭素中毒として中枢神経系抑制(顕著な低活動性、泣き声や哺乳が少ない等)がみられたとの複数の症例報告がある(CLH Report (2020)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))。
【参考データ等】 (2)ラットを用いた混餌投与による90日間反復経口投与試験(OECD TG 408、GLP)において、225 mg/kg/day(区分に該当しない範囲)以上の雄及び750 mg/kg/day(区分に該当しない範囲)の雌に体重増加抑制、服従行動、歩行異常(千鳥足歩行、よろめき歩行)、雄には精巣重量減少、精巣上体重量減少がみられたとの報告がある(CLP Report (2020)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))。 (3)ラットを用いた混餌投与による4週間反復経口投与試験において、500 mg/kg/day(90日換算:156 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)以上で神経毒性症状(歩行異常(千鳥足))がみられたとの報告がある(CLH Report (2020)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))。 (4)臭化ナトリウムを被験物質とした、イヌを用いたカプセル投与による6週間反復経口投与試験において、200 mg/kg/day(90日換算:93.3 mg/kg/day、区分2の範囲)以上で神経毒性症状(運動失調、昏睡、振え)がみられたとの報告がある(CLH Report (2020)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))。

誤えん有害性*

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

魚毒性
止水式試験 LC50 - Lepomis macrochirus (ブルーギル) - > 1,000 mg/l - 96
h
(US-EPA)
ミジンコ等の水生無脊
止水式試験 EC50 - Daphnia magna (オオミジンコ) - >= 1,000 mg/l - 48 h
椎動物に対する毒性
(US-EPA)
備考: (類似製品と同様)
値は以下の物質と同様に得られる。 Sodium bromide
藻類に対する毒性
止水式試験 ErC50 - Skeletonema costatum (スケレトネマ・コスタトゥム) - >
400 mg/l - 72 h
(OECD 試験ガイドライン 201)
備考: (類似製品と同様)
値は以下の物質と同様に得られる。 Sodium bromide
微生物毒性
止水式試験 EC50 - 活性汚泥 - 1,739.4 mg/l - 3 h
(OECD 試験ガイドライン 209)

12.2 残留性・分解性

生分解性の判定方法は無機物質には適用されない。

12.3 生体蓄積性

データなし

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
内容物及び容器は、関連法規及び各自治体の条例等の規制に従い、産業廃棄物として適切に処理すること。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): -    IMDG (海上規制): -    IATA-DGR (航空規制): -

14.2 国連輸送名

ADR/RID (陸上規制): 非危険物
IMDG (海上規制): Not dangerous goods
IATA-DGR (航空規制): Not dangerous goods

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): -    IMDG (海上規制): -    IATA-DGR (航空規制): -

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): - IMDG (海上規制): - IATA-DGR (航空規制): -

14.5 環境危険有害性

ADR/RID: 非該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当
非該当

14.6 特別の安全対策

14.7 混触危険物質

詳細情報
国際輸送に関する国連勧告の定義上は、危険物に該当しない。

15. 適用法令

労働安全衛生法

該当しない

化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)

該当しない

毒物及び劇物取締法

該当しない

水質汚濁防止法

有害物質(法第2条、施行令第2条)

16. その他の情報

略語と頭字語

ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
EC50: 有効濃度 50%
IATA:国際航空運送協会
IMDG: 国際海上危険物
LC50: 致死濃度 50%
LD50: 致死量 50%
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
STEL: 短期暴露限度
TWA: 時間加重平均

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
免責事項:

本MSDS中の情報は指定された製品にのみ適用され、特に規定がない限り、本製品とその他の物質の混合物には適用されません。本MSDSは、製品使用者の適切な専門的なトレーニングを受けた者にのみ製品安全情報を提供します。本MSDSの使用者は、本SDSの適用性について独自に判断しなければならない。本MSDSの著者は、本MSDSの使用によるいかなる傷害にも責任を負わない。

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