安全データシート

タルク

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: タルク
  • CB番号: CB5853119
  • CAS: 14807-96-6
  • EINECS番号: 238-877-9
  • 同義語: 滑石,タルク

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 紙製品・ゴム製品・セラミックス・医薬・化粧品・石けん・つや消し配合原料、品添加物 (化学工業日報社)
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
GHS改訂4版を使用
H27.10.31、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改定版 (ver1.1): JIS Z7252:2014準拠) を使用
健康に対する有害性
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)   区分1 (呼吸器)
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)   区分1 (呼吸器)
分類実施日(環境有害性)
政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改定版 (ver1.1): JIS Z7252:2014準拠) を使用
環境に対する有害性
水生環境有害性 (長期間)   分類実施中
水生環境有害性 (急性)   分類実施中

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

GHS分類基準に該当しない。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 化学特性(示性式、構造式 等): H2Mg3O12Si4
  • 分子量: 379.29 g/mol
  • CAS番号: 14807-96-6
  • EC番号: 238-877-9
  • 化審法官報公示番号: -
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

吸入した場合
吸入後は新鮮な空気を吸うこと。
皮膚に付着した場合
皮膚に接触した場合: すべての汚染された衣類を直ちに脱ぐこと。 皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
眼に入った場合
眼に触れた後は多量の水ですすぐこと。 コンタクトレンズをはずす。
飲み込んだ場合
飲み込んだ後は水を飲ませる(多くても2杯)。気分が悪い場合は医師の診察を受ける。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

使ってはならない消火剤
本物質/混合物に対する消火剤の制限なし
適切な消火剤
現場の状況と周辺環境に応じて適切な消火手段を用いる。

5.2 特有の危険有害性

周辺の火災で有害な蒸気を放出することがある。
不可燃性である。
ケイ素酸化物
酸化マグネシウム

5.3 消防士へのアドバイス

火災時には、自給式呼吸器を着用する。

5.4 詳細情報

ガス/蒸気/ミストを水スプレージェットで抑える(除去する)。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

救急隊員以外への助言: ほこりを吸い込まないこと。 危険なエリアから避難し、緊急時手順に従い、専門家に相談のこと個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

事前に措置を講じる必要は特にない。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

物質の制限があれば順守のこと (セクション 7、10参照) 乾燥剤で処置すること。正しく廃棄すること。関係エリアを清掃のこと。ほこりを生じないようにすること。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管クラス
保管クラス (ドイツ) (TRGS 510): 11: 可燃性固体
保管条件
密閉のこと。 乾燥。

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
OEL-M: 0.5 mg/m3 - 日本産業衛生学会 許容濃度等の勧告
TWA: 2 mg/m3 - 米国。 ACGIH限界閾値(TLV)

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
汚した衣類は替えること。本物質を扱った後は手を洗うこと。
保護具
眼/顔面の保護
NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、認められた眼の
保護具を使用する。 保護眼鏡
呼吸用保護具
ほこりが生じた際に必要。
次の規格に準拠しているフィルター式呼吸器保護具を推奨します。DIN EN 143、DIN 14387お
よび使用済み呼吸器保護システムに関連する他の付属規格。
環境暴露の制御
事前に措置を講じる必要は特にない。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
固体 (20℃, 1気圧) (GHS判定)
暗緑色又は緑灰色~黒あるいは白、白銀、灰色、茶色様 (IARC 93 (2010))
臭い
無臭 (HSDB (2015))
臭いのしきい(閾)値
データなし
pH
データなし

融点・凝固点

900~1,000℃ (ICSC (2012))

沸点、初留点及び沸騰範囲

データなし

引火点

不燃性 (ICSC (2012))

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

データなし

燃焼性(固体、気体)

不燃性固体 (HSDB (2015))

燃焼又は爆発範囲

データなし

蒸気圧

0 mmHg (20℃) (HSFS (2009))

蒸気密度

データなし

比重(相対密度)

データなし

溶解度

水: 不溶 (ICSC (2012)) 冷たい酸および塩基: 不溶 (ACGIH (7rh, 2010))

n-オクタノール/水分配係数

データなし

自然発火温度

データなし

分解温度

800℃以上 (GESTIS (2015))

粘度(粘性率)

データなし

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

データなし

10.2 化学的安定性

標準的な大気条件(室温)で化学的に安定。

10.3 危険有害反応可能性

強酸化剤
次と激しく反応

10.4 避けるべき条件

情報なし

10.5 混触危険物質

データなし

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
GHS分類: 区分外 ラットのLD50値として、> 5,000 mg/kg (DFGOT vol. 22 (2006)) に基づき、区分外とした。
経皮
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、ボランティア5名に本物質を3日間閉塞適用した結果、刺激性はみられなかった (DFGOT vol. 22 (2006)) との情報があるが、それ以上の記載はなく詳細不明である。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

呼吸器感作性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、本物質が広範囲の化粧品で使用され、ボランティア実験が実施されているが、本物質がアレルギーを示すとの報告がこれまでにないとの記載 (DFGOT vol. 22 (2006)) や、ゴム手袋に起因するラテックスアレルギーは、タルクではなく粉末状の澱粉に起因することが確認されているとの記載 (DFGOT vol. 22 (2006)) がある。

生殖細胞変異原性

GHS分類: 分類できない In vivoでは、ラット骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陰性、優性致死試験で陰性と報告されている (IARC (1987)、ACGIH (7th, 2010)、DFGOT vol.22 (2006))。In vitroでは、細菌を用いた復帰突然変異試験、ヒト培養細胞を用いた染色体異常試験、ラット培養細胞を用いた姉妹染色分体交換試験及び不定期DNA合成試験のいずれも陰性である (IARC 42 (1987)、ACGIH (7th, 2010)、DFGOT vol. 22 (2006))。

発がん性

GHS分類: 分類できない 初期の疫学研究ではアスベスト繊維を含有しないタルク (石英を含有) を職業的に吸入ばく露したヒトのコホート研究、5件中4件で中皮腫は認められず、タルクへの累積ばく露量が高レベルのコホート研究2件における高ばく露群の肺腫瘍発生率は全5件のデータを統合した肺腫瘍発生率より低値であった (IARC 93 (2010))。一方、1件のコホート研究報告で、亜集団に肺腫瘍発生率の増加がみられたが、この集団はラドンと石英に共ばく露され、コホート全体では肺腫瘍の発生率増加はみられていない (IARC 93 (2010))。また、コホート内症例対照研究においても、タルク粉じんへの累積吸入ばく露量の増加に伴う肺がんリスクの増加傾向は示されなかった (IARC 93 (2010))。実験動物でも、ラット、又はマウスに粒子径の小さい (粒子径10μm以下) 高純度 (繊維成分及びアスベスト様無機物を含まない) のタルクを2年間以上吸入ばく露 (8又は16 mg/m3) した発がん性試験において、いずれの種でも肺腫瘍の発生率増加はなく、特にラットでは肺に非腫瘍性変化が顕著に認められる濃度 (16 mg/m3) においても、肺腫瘍の発生率の増加はみられていない (IARC 93 (2010)、ACGIH (7th, 2010)、NTP TR421 (1993))。 一方、欧米ではタルクをベースとしたボディーパウダーがナプキンや避妊用具を介して女性の会陰部、生殖器官へ適用されてきた。IARCは全体で1件の前向きコホート研究、及び19件の症例対照研究を総括し、化粧用タルクの使用と卵巣がんのリスクの増加に関して、相対リスクの増加が多くの報告で示され、局所適用したタルクが卵巣へ逆行的に移行するという証拠は健常な女性では低いが、外科手術等によりクリアランス機能が低下した女性では逆行性移行の証拠が一定程度あるとして、タルク含有ボディーパウダーの会陰部使用による卵巣がんのリスク増加には限定的な証拠があると結論した (IARC 93 (2010))。 以上より、IARCはアスベスト、及びアスベスト様繊維を含有しないタルクについて、吸入経路ではグループ3に、タルクをベースとしたボディーパウダーの会陰部適用ではグループ2Bに分類した (IARC 93 (2010))。ACGIHはIARCによる発がん性評価結果を踏まえつつも、発がん性分類は職業ばく露のみに限定してA4に分類した (ACGIH (7th, 2010))。本評価ではIARCの「タルクベースの製品の会陰部適用でのグループ2B」は極めて限定された本物質の特異な用途及び適用経路における発がん性分類結果と判断し、本項の分類のための総合評価の観点からはこれを除外することとした。その上で、IARCの吸入経路での分類結果、並びにACGIHの分類結果が妥当と判断し、本項はアスベスト (又はアスベスト様繊維、無機物) を含有しないタルクに対して、「分類できない」とした。

生殖毒性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、タルク (成分情報非公開) をラット、又はマウスに1,600 mg/kg/dayで妊娠6~15日に、ウサギに900 mg/kg/dayで妊娠6~18日に経口投与した試験で、催奇形性は陰性であったとの記述がある (DFGOT vol. 22 (2006)、ACGIH (7th, 2010))。

特定標的臓器毒性(単回ばく露)

GHS分類: 区分1 (呼吸器) 本物質の急性影響を示す情報は少ない。ヒトでは、乳幼児のタルク吸入事故 (濃度等詳細情報不明) で、咳、くしゃみ、呼吸困難、息切れ、嘔吐、異物反応 (詳細不明)、肺の過負荷、呼吸障害、肺炎の報告がある (DFGOT vol. 22 (2006))。 実験動物では、ハムスターへの本物質 (比較的高純度のタルクを産出するVermontの作業場から採取したグラナイト (12% 石英) 及びタルクダスト (石英及びアスベスト不含) を使用) を用いる0.15、3.75 mg/100g 体重の気管内注入で、注入1日後、酵素濃度 (詳細不明) の増加、肺水腫、マクロファージ食作用の抑制、ばく露2週間後、グラナイトばく露群では急速に回復したが、タルクダストばく露群では酵素濃度 (詳細不明) 増加及びマクロファージ食作用抑制が継続したと報告がある (ACGIH (7th, 2010))。 以上のとおり、実験動物及びヒトのデータは限定的であるが、呼吸器への影響が懸念されることから、区分1 (呼吸器) とした。

特定標的臓器毒性(反復ばく露)

GHS分類: 区分1 (呼吸器) 吸入経路では、ヒトにおいて、職業ばく露により、肺機能障害、X線検査において肺の陰影の有症率増加の報告がある (ACGIH (7th, 2010))。 したがって、区分1 (呼吸器)とした。 なお、実験動物については、ラットを用いた113~122週間吸入毒性試験において、0.006あるいは0.018 mg/Lで肺の変化 (肉芽腫性炎症、間質性線維化、肺胞上皮の過形成、嚢胞、肺胞の扁平上皮化生)、マウスを用いた24ヶ月間吸入毒性試験おいて、0.006 mg/L以上で肺の変化 (慢性炎症、マクロファージの集簇) がみられている (ACGIH (7th, 2010))。これらの所見は、区分2を超える用量でみられている。

吸引性呼吸器有害性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

データなし

12.2 残留性・分解性

生分解性の判定方法は無機物質には適用されない。

12.3 生体蓄積性

データなし

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

12.6 内分泌かく乱性

データなし

12.7 他の有害影響

データなし

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
内容物及び容器は、関連法規及び各自治体の条例等の規制に従い、産業廃棄物として適切に処理すること。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): -    IMDG (海上規制): -    IATA-DGR (航空規制): -

14.2 国連輸送名

IATA-DGR (航空規制): Not dangerous goods
IMDG (海上規制): Not dangerous goods
ADR/RID (陸上規制): 非危険物

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): -    IMDG (海上規制): -    IATA-DGR (航空規制): -

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): - IMDG (海上規制): - IATA-DGR (航空規制): -

14.5 環境危険有害性

非該当
ADR/RID: 非該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当

14.6 特別の安全対策

14.7 混触危険物質

国際輸送に関する国連勧告の定義上は、危険物に該当しない。
詳細情報

15. 適用法令

労働安全衛生法

作業環境評価基準

外国為替及び外国貿易管理法

輸出貿易管理令別表第1の16の項

16. その他の情報

略語と頭字語

TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物
IATA:国際航空運送協会
EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
免責事項:

本MSDS中の情報は指定された製品にのみ適用され、特に規定がない限り、本製品とその他の物質の混合物には適用されません。本MSDSは、製品使用者の適切な専門的なトレーニングを受けた者にのみ製品安全情報を提供します。本MSDSの使用者は、本SDSの適用性について独自に判断しなければならない。本MSDSの著者は、本MSDSの使用によるいかなる傷害にも責任を負わない。

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