急性毒性
経口
GHS分類: 区分外 ラットのLD50値として、14,000~14,500 mg/kg (純度57%、100%換算値: 24,561~25,439 mg/kg)、> 5,000 mg/kg (純度43%、100%換算値: > 11,628 mg/kg) (BUA 147 (1994)) との報告に基づき、区分外とした。
経皮
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG 404準拠) で、本物質の約21%溶液で刺激性はなしとの記載や、別のウサギを用いた24時間閉塞適用試験 (FDAガイドライン準拠、パッチテスト) で、本物質の約43%溶液及び約22.5%溶液のいずれも軽度の刺激性を示したとの記載 (いずれもBUA 147 (1994)) があるが、希釈した本物質による試験結果のため分類には使用せず、分類できないとした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、ウサギを用いた2件の眼刺激性試験 (FDAガイドライン準拠) で、本物質の約43%溶液及び約22.5%溶液を適用した結果、それぞれ軽度 (slightly) の刺激性及び刺激性なしとの記載 (BUA 147 (1994)) があるが、希釈試料での試験のため分類には使用せず、分類できないとした。
呼吸器感作性
GHS分類: 区分1 本物質を含む染料の粉じんばく露を受けた400人のコホートで、15%の労働者が業務で呼吸器における不調を訴え、検査を受けた19人中6人がプリックテスト (皮膚反応によるアレルゲン診断方法) で陽性、13人中5人がRAST (血中特異的IgE定量によるアレルゲン診断方法) で陽性との事例のほか、本物質の呼吸器感作性を示す複数の事例の記載 (BUA 147 (1994)) がある。よって、区分1とした。
皮膚感作性
GHS分類: 区分1 染色工場で接触性皮膚炎を発症し、皮膚試験において本物質を含有する染料に対して陽性を示した事例のほか、本物質の皮膚感作性を示す複数の事例の記載 (BUA 147 (1994)) がある。よって、区分1とした。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 分類できない In vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験、チャイニーズハムスターの骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陰性 (BUA 147 (1994))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性である (BUA 147 (1994))。以上より、ガイダンスに従い分類できないとした。
発がん性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、ラットに皮下又は経口投与した試験では肝臓及び乳腺の腫瘍がみられたが、マウスの試験では腫瘍発生率の増加はなかったとの報告があるが、いずれの試験も現行の発がん性試験の基準に照らせば、適切性及び信頼性を欠く報告であると記述されている (BUA 147 (1994))。
生殖毒性
GHS分類: 分類できない ラットを用いた強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、雌雄親動物に一般毒性影響 (消化管・膀胱における病理組織変化) がみられる1,000 mg/kg/dayまで生殖発生影響は認められなかった (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on August 2017))。しかし、スクリーニング試験のため、この結果のみで区分外とできず、他に利用可能なデータがないことから、分類できないとした。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
GHS分類: 分類できない ヒトについては、本物質単独ではなく混合物の染料の職業ばく露によるアレルギー影響として、湿疹、皮膚炎、鼻炎、喘息発作や咳のような呼吸器症状の愁訴の報告がある (BUA 147 (1994))。 実験動物については、ラットを用いた強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験において、区分2のガイダンス値の範囲内である200 mg/kg/day (90日換算: 93 mg/kg/day (雄)) 以上で腎臓の相対重量増加、腎臓の尿細管の好酸性小体増加 (α2uグロブリン腎症)、区分2のガイダンス値の範囲を超える1,000 mg/kg/day (90日換算: 467 mg/kg/day (雄)、411~522 mg/kg/day (雌)) で刺激性によると考えられる消化管、膀胱への影響がみられており、腺胃粘膜の過形成及び境界縁の扁平上皮細胞過形成、大腸粘膜び漫性過形成、膀胱の移行上皮細胞過形成等がみられている (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on August 2017))。 以上、ヒトについて本項目の分類根拠となる情報は得られていない。実験動物においては、区分2のガイダンス値の範囲内の用量では雄ラット特有の腎臓所見がみられたのみであることから、分類できないとした。
吸引性呼吸器有害性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。