急性毒性
経口
GHS分類: 区分4
本物質とその異性体混合物のラットに対するLD50値として、250~500 mg/kg、590~1,300 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)) との2件の報告がある。1件が区分3又は区分4に該当し、もう1件が区分4に該当するので、最も多くのデータが該当する区分4とした。
経皮
GHS分類: 区分2
ウサギのLD50値として、170 mg/kg、250 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)) との2件の報告がある。区分2と区分3とに該当するが、LD50値の最小値が該当する区分2とした。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外
GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。ラットに本物質の飽和蒸気 (室温) を7~8時間吸入 (飽和蒸気濃度を9.8×10-4 ppmとしての4時間換算値:1.3~1.4×10-3 ppm) させた結果 、死亡例がなく、100℃で発生させた本物質の飽和蒸気 (650 ppm) を4時間吸入させた結果、死亡例がみられたとの報告 (ACGIH (7th, 2001)) があるが、区分を特定できない。なお、試験は飽和蒸気で行われたとの記載に基づき、蒸気とみなした。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 区分1
ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、本物質 (170~250 mg/kg) を局所適用した結果、中等度の浮腫、中等度から重度の壊死がみられ、10%水溶液の適用においても中等度の化学火傷が見られたとの報告がある (ACGIH (7th, 2001))。また、本物質75%を含む異性体混合物 (25% 1-ヒドロキシ-2-プロピルアクリル酸) をウサギの皮膚に開放適用した結果、中等度の刺激性がみられたとの報告がある(DFGOT vol. 16 (2001))。また本物質66%を含む異性体混合物 (33% 1-ヒドロキシ-2-プロピルアクリル酸、1%遊離アクリル酸又は1-ヒドロキシ-3-プロピルアクリル酸) を15分又は4時間閉塞適用した結果 (動物種不明)、重度の深部壊死がみられたとの報告がある (DFGOT vol. 16 (2001))。以上の報告から区分1とした。なお、本物質はEU CLP分類において「Skin. Corr. 1B H314」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 区分1
本物質 (0.1 mL) をウサギの眼に適用した結果、重度の眼刺激及び角膜傷害がみられたとの報告や (ACGIH (7th, 2001))、ラットに本物質の蒸気をばく露した結果、著しい眼刺激性がみられたとの報告がある (HSDB (Access on August 2015))。また、本物質は皮膚腐食性/刺激性の分類で区分1とされている。以上より、区分1とした。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 区分1
モルモットを用いた感作性試験において、感作性がみられたとの報告や (ACGIH (7th, 2001))、モルモットを用いた別の感作性試験の報告では、弱い感作性しかみられなかったとの報告がある (ACGIH (7th, 2001))。また、異性体混合物のアクリル酸ヒドロキシプロピルを用いたヒトのパッチテストの報告において、感作性の報告が複数ある (DFGOT vol. 16 (2001))。ACGIH (7th, 2001) は本物質を感作性物質としている。以上、本物質を用いた感作性試験において陽性の報告があり、さらに異性体混合物を用いたヒトのパッチテストの報告で複数の陽性反応があることから区分1とした。なお、本物質は、EU CLP分類において「Skin sens. 1 H317」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは細菌の復帰突然変異試験で陰性、陽性の結果が報告されている(DFGOT vol. 16 (2001)、PATTY (6th, 2012))。
発がん性
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
生殖毒性
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。