クロム酸鉛 化学特性,用途語,生産方法
種類
クロム酸鉛は、非常に有害であるため市場での流通は限られています。現在は主に研究開発用の薬品としての製品を見つけることができます。人体にも環境にも有害な物質であり、各種法令による規制を受けていることから、注意して取り扱うことが必要な物質です。
試薬製品 常温で輸送・保管が可能な薬品です。
解説
クロム酸鉛,単斜晶系のものは黄色の結晶.密度約6.1 g cm-3.高温では正方晶系のものになる.融点844 ℃.融点以上では分解して O2 を発生する.水にほとんど不溶.また,紺青との混合物も緑色の顔料で,クロムグリーンといわれる.アルカリ性水溶液で硝酸鉛(Ⅱ)とクロム酸ナトリウムとを混合煮沸すると,赤橙色のPbCrO4・PbOが沈殿する.これはクロムレッドとよばれ,顔料として用いられる.
森北出版「化学辞典(第2版)
用途
プラスチックの着色剤、塗料の着色剤
応用
クロム酸鉛,黄色の顔料(クロムイエロー,黄鉛(おうえん))として広く用いられる.
特性
クロム酸鉛の結晶は、黄色の単斜晶系または淡黄色の斜方晶系の結晶です。天然では、紅鉛鉱 (クロコアイト) として産出されています。顔料に用いられるのは単斜晶系のものとされています。
不燃性の安定な物質ですが、 温度が上昇すると可燃性物質や有機化合物と反応し、火災の危険性があります。また、加熱によって分解し、鉛及びクロム酸化物などの有毒なヒュームを生じます。温度上昇のない場所での保管が必要です。
製造
クロム酸鉛,ベニエン(紅鉛)鉱(crocoite)として天然に産出する.クロム酸塩,または二クロム酸塩水溶液に鉛(Ⅱ)塩(酢酸塩,硝酸塩など)の水溶液を加えると得られる.沈殿直後には斜方晶系であるが,徐々に安定な単斜晶系にかわる.
合成

図2. クロム酸鉛の合成
クロム酸鉛は、産業的には、クロム酸カリウム、またはの水溶液に酢酸鉛 (II) を加えることで合成されています。
化学的特性
Lead chromate is an orange or orange-yellow
crystalline solid or powder.
使用
Lead chromate (PbCrO4) is found in nature as yellow crystals in the mineral crocoite. It
can be produced by reacting lead chloride and sodium dichromate. It is a popular and safe
yellow pigment.
定義
ChEBI: A chromium coordination entity comprising chromate and lead(2+) ions in a 1:1 ratio
健康ハザード
Lead chromate is a suspected
human lung carcinogen and can cause chronic
lead poisoning.
化学反応

図3. クロム酸鉛の化学反応
クロム酸鉛は塩基性溶液には時間がかかるものの溶解し、クロム酸イオンおよびテトラヒドロキソ鉛 (II) イオンを生じます。また、クロム酸鉛をクロム酸カリウムとともに長時間煮沸すると、塩基性クロム酸鉛 (PbCrO4・PbO) が得られることが知られています。これは、赤色顔料のクロムレッドとして利用されている物質です。
などの強酸化剤や、、ジニトロナフタレン、 ヘキサシアノ鉄酸鉄とも反応するとされます。保管の際はこれらの物質との混触を避けることが重要です。
法規制情報
クロム酸鉛は、人体や環境にとって有害であることから、各種法令によって取り扱いが厳しく制限されています。前述の通り、毒物及び劇物取締法では劇物に指定されている物質です。
その他の法規による指定には主に下記のようなものがあります。法規を遵守して使用することが大切です。
- 労働安全衛生法: 名称等を通知すべき危険物及び有害物、特定化学物質第2類物質、管理第2類物質、特定化学物質特別管理物質、鉛化合物など
- 労働基準法: 疾病化学物質、がん原性化学物質
- 化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法): 第1種指定化学物質特定第1種指定化学物質、第1種指定化学物質
- 水質汚濁防止法: 有害物質
- 大気汚染防止法: 有害物質
- 土壌汚染防止法: 特定有害物質
- 船舶安全法: 毒物類・毒物
- 航空法: 毒物類・毒物
使用用途
主には、顔料や塗料の原料として使用されています。顔料として用いられる場合には、クロム酸鉛の名前から「黄鉛」「クロムイエロー」と呼ばれています。黄鉛は一般の黄色塗料のほか防錆塗料にも使われる塗料です。
六価クロム及び鉛を含んでいるため、有毒で日光及びによって黒変するのが顔料としての欠点です。耐アルカリ性や耐熱性も中程度であるため黄色有機顔料に代替されることが多いです。
ただし、黄色顔料のなかではジンククロメート (亜鉛黄、ジンクイエロー) と並んで生産量が多い顔料でもあります。日本産業規格 (JIS) では黄鉛はジンククロメートとともに統一規格の対象として規定されます (12品目の顔料の1つ) 。また、クロム酸鉛をとともに長時間煮沸することで、「クロムレッド」と呼ばれる赤色顔料を合成することも可能です。
職業ばく露
Lead chromate is used to make paint
pigments for wood and metal
輸送方法
UN3085 Oxidizing solid, corrosive, n.o.s,
Hazard Class: 5.1; Labels: 5.1-Oxidizer, 8-Corrosive material, Technical Name Required.
不和合性
Incompatible with oxidizers (chlorates,
nitrates, peroxides, permanganates, perchlorates, chlorine,
bromine, fluorine, etc.); contact may cause fires or explosions. Keep away from alkaline materials, strong bases,
strong acids, oxoacids, epoxides, and active metals; hydrazine, sodium, and potassium; organics at elevated temperature. Reacts with aluminum dinitronaphthalene, iron(III)
hexacyanoferrate (IV)
クロム酸鉛 上流と下流の製品情報
原材料
準備製品