テトラクロロエチレン 化学特性,用途語,生産方法
外観
無色澄明の液体
溶解性
水に不溶, アルコール, 炭化水素, エーテルに易溶。
解説
テトラクロロエチレンは有機塩素系溶剤の一種。俗称として「パークレン」とも呼ばれる。無色透明の液体でエーテル様の臭いを有し、揮発性、不燃性、水に難溶。
工業的には、ペンタクロロエタンを高温で脱塩化水素するか、1,2-ジクロロエタン(塩化エチレン)を高温でオキシ塩素化し副生するトリクロロエチレンと分けるか、C1~C3炭化水素を高温で塩素化し副生する四塩化炭素(テトラクロロメタン)と分けるかして製造する。
ドライクリーニング溶剤、金属脱脂剤、一般溶媒、エタン系フロン合成原料として用いられているが、有害物質に指定され、厳しい法的規制が実施されているため、徐々に使われなくなっている。不燃性である。皮膚に対しても脱脂作用があり皮膚炎を招く。蒸気は有害である。
用途
溶剤(医薬品、香料等)、有機合成原料。
用途
溶剤、フロンガス製造原料、ドライクリーニング溶剤。
用途
上水等の試験における溶媒抽出GC分析の標準液。
用途
ドライクリーニング用、金属の脱脂洗浄および乾燥剤、一般溶剤、抽出剤、駆虫剤、トリクロロ酢酸の製造原料。
特性
テトラクロルエチレンの融点は-22℃、沸点は121℃、比重は1.62g/mLです。やなど多くの有機溶媒に混和しますが、水にはほとんど不溶です。テトラクロルエチレンの粘性は、水の0.89cP (25℃) に対して0.84cP (25℃) と少なく、この水より重く、水より浸透しやすい性質が、深く広く土壌地下水汚染を引き起こす原因となっています。
不燃性ですが、高温面や炎に触れると分解し、有毒で腐食性のガス (塩化水素、、) を生成します。水分と接触すると徐々に分解し、トリクロロ酢酸やを生じます。
製法
1. テトラクロルエチレンの製造法
テトラクロルエチレンは、エチレンから 1,2-を経て生産されています。1,2-ジクロロエタンを塩素の存在下で 400℃に加熱すると、塩化水素とテトラクロルエチレンが生成します。副生成物のトリクロルエチレンは、有用な化合物のため、蒸留により分離精製、回収されることが多いです。
テトラクロルエチレンは、他の化学合成過程からの廃棄物質である、部分的にクロロ化された軽炭化水素からも製造することが可能です。これらのクロロ炭化水素を過剰量の塩素と加熱すると、テトラクロルエチレン、四塩化炭素、塩化水素の混合物が得られます。
人体への影響
テトラクロルエチレンは空気中に蒸発しやすく、1ppm以下の低濃度でも感じられるほど鋭く甘い悪臭を持ちます。他のハロゲン系の炭化水素と同様に、中枢神経を麻痺させる作用があるため、取り扱いには注意が必要です。蒸気を吸い込んだ場合、めまい、頭痛、眠気などを起こし、症状が重い時には、言語障害、歩行困難、意識不明などに陥り死亡する場合もあります。
毒性
テトラクロロエチレンの毒性はLD50(ラット経口)8.85g/kgで、肝腎障害や中枢神経抑制作用があり、又、肝癌の発生も認められています。多量に摂取した場合には、腹痛、めまい、し眠、頭痛、吐き気、脱力感、意識喪失の急性症状がみられます。
発がん性については、動物実験では証明されているが、人に対する発がん性は疫学的には十分に立証されているとは言えず、未だ検討を要し、今後とも疫学研究に注目する必要があるとされている。また、遺伝子障害性が無いと考えられているので、発がん性には閾値があるとして取り扱うことが妥当と考えられている。
テトラクロロエチレンは、目や皮膚、気管を刺激するほか、肝臓や腎臓の機能障害などがあり、中央環境審議会の答申により、「有害大気汚染物質」に該当する可能性のある248物質の一つに選定されています。
そして、248物質の中でも健康リスクがある程度高いと考えられる23の「優先取組物質」の一つに指定されています。
さらに、大気汚染防止法施行令 付則第3項では、健康被害を防止するためその排出又は飛散を早急に抑制しなければならない「指定物質」の一つに指定されています。
テトラクロロエチレンには、大気の環境基準(0.2mg/m3 以下)が設定されています。
水質については、健康項目の一つとして水質の環境基準(0.01mg/l 以下)が設定されています。
説明
Perchloroethylene (Tetrachloroethylene) is a colourless liquid with a slightly ethereal odour. It is marginally soluble in water and soluble in most organic solvents.Perchloroethylene has a limited number of uses and applications. It is used as intermediate, as dry cleaning agent in the industrial and professional sector, as surface cleaning agent in industrial settings, as heat transfer medium in industrial settings, and in film cleaning and copying by professionals. It is also used as a chemical intermediate in the production of fluorinated compounds and in industrial surface cleaning metal degreasing. Occupational exposure to perchloroethylene is possible in the manufacturing facilities or the industrial facilities where it is used as an intermediate.
化学的特性
Tetrachloroethylene is a clear, colorless, nonflammable liquid with a characteristic odor. The odor is noticeable @ 47 ppm, though after a short period it may become inconspicuous, thereby becoming an unreliable warning signal. The Odor Threshold is variously given as 5 ppm to 6.17 (3M).
使用
Tetrachloroethylene is used as a solvent, indrycleaning, and in metal degreasing.Tetrachloroethylene is a common industrial solvent that is often found as a contaminant in groundwater. Tetrachloroethylene is also a suspected carcinogen to humans and is difficult to degrade biologically as it has no natural source. This compound is a contaminant of emerging concern (CECs).
調製方法
Tetrachloroethylene (PCE) was first prepared in 1821 and commercial production in the United States began in 1925. Several commercial grades are available that differ in the amount and type of added stabilizers (e.g., amines, phenols, and epoxides).
The industrial processes for production of tetrachloroethylene include threetechnical routes:
(1) chlorination of trichloroethylene and followed by dehydrochlorination.
(2) oxychlorination of ethylene.
(3) chlorination andpyrolysis of light hydrocarbon.
In China, the chlorination of trichloroethylene and dehydrochlorination process is mainly used for production of tetrachloroethylene, while the other two processes are widely used in other countries.
法規情報
テトラクロルエチレンは、毒物および劇物取締法や消防法において非該当です。労働安全衛生法で「第二類物質特別有機溶剤等」、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律 (化審法) で「第二種特定化学物質」に指定されています。
取扱いおよび保管上の注意
取扱い及び保管上の注意は、下記の通りです。
- 容器を密閉し、涼しく乾燥し換気の良い場所に保管する。
- 屋外や換気の良い区域のみで使用する。
- ミストや蒸気、スプレーを吸入しない。
- 使用時は保護手袋、保護眼鏡を着用する。
- 使用後は適切に手袋を脱ぎ、本製品の皮膚への付着を避ける。
- 取扱い後はよく手を洗浄する。
- 皮膚に付着した場合は、石鹸と多量の水で洗い流す。
- 眼に入った場合は、水で数分間注意深く洗う。刺激が続く場合は医師に相談する。
参考文献
使用用途
テトラクロルエチレンの主な用途は、溶媒としての使用です。ほとんどの有機化合物を溶かすことができ、油を落とすような作用があるため、ドライクリーニングや自動車の部品など金属製工業製品の洗浄に使用されることが多いです。映画フィルムの洗浄などにも使われます。他に、HCFC-134aなどの冷媒を製造する際の中間体としても使用されています。
テトラクロルエチレンは、さまざまな場所で使用されていますが、土壌汚染の危険性があります。地下水を汚染する場合もあるため、工場などでは、廃液などの取り扱いにも注意が必要です。
発がん性
Tetrachloroethylene is reasonably anticipated to be a human carcinogen based on sufficient evidence of carcinogenicity from studies in experimental animals.
テトラクロロエチレン 上流と下流の製品情報
原材料
準備製品
1,1,1,2,2,3,3-ヘプタクロロプロパン
ヘキサクロロエタン
4-アミノフェニルアルソン酸
トリクロロエチレン
四塩化炭素
トリクロロアセチル クロリド
フルオロアセトアミド
シクラミン酸ナトリウム
Cleaning agent
アンブロキソール塩酸塩
トリクロロ酢酸
塩化カルボニル
1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン
2,3,4,7,8,9-ヘキサクロロジベンゾ-p-ジオキシン
1,2,3,7,8,9-ヘキサクロロジベンゾ-p-ジオキシン