安全データシート

酢酸2-エトキシエチル

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: 酢酸2-エトキシエチル
  • CB番号: CB7377556
  • CAS: 111-15-9
  • EINECS番号: 203-839-2
  • 同義語: エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート,セロソルブアセテート

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 触媒、自動車の塗料、ペイントや印刷インキの溶媒など
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日
H25.8.22、政府向けGHS分類ガイダンス(H25.7版)を使用
GHS改訂4版を使用
物理化学的危険性
引火性液体   区分3
健康に対する有害性
急性毒性(吸入:蒸気)   区分4
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性   区分2B
生殖毒性   区分1B
特定標的臓器毒性(単回ばく露)   区分1 (血液系)、 区分3 (麻酔作用)
特定標的臓器毒性(反復ばく露)   区分1 (血液系、精巣)
分類実施日
平成24年政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)を使用
GHS改訂4版を使用
環境に対する有害性
水生環境有害性 (急性)   区分3

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS02GHS07GHS08
注意喚起語
危険
危険有害性情報
H226 引火性液体及び蒸気。
H302 + H312 + H332 飲み込んだ場合や皮膚に接触した場合や吸入した場合は有害。
H360 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ。
H402 水生生物に有害。
注意書き
安全対策
P202 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P210 熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。
P233 容器を密閉しておくこと。
P240 容器を接地しアースをとること。
P241 防爆型の【電気機器/換気装置/照明機器/機器】を使用すること。
P242 火花を発生させない工具を使用すること。
P243 静電気放電に対する措置を講ずること。
P261 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264 取扱い後は皮膚をよく洗うこと。
P270 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
P273 環境への放出を避けること。
P280 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
応急措置
P301 + P312 + P330 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。口をすすぐこと。
P303 + P361 + P353 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を水【又はシャワー】で洗うこと。
P304 + P340 + P312 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し,呼吸しやすい姿勢で休息させること。 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P308 + P313 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
保管
P403 + P235 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P405 施錠して保管すること。
廃棄
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。
専門的な使用者に限定。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C6H12O3
  • 分子量: 132.16 g/mol
  • CAS番号: 111-15-9
  • EC番号: 203-839-2
  • 化審法官報公示番号: 2-740
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
呼吸停止時はただちに人工呼吸を実施し、必要に応じて酸素も吸入する。
皮膚に付着した場合
皮膚に接触した場合: すべての汚染された衣類を直ちに脱ぐこと。 皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 医師に相談する。
眼に入った場合
眼に触れた後は多量の水ですすぐこと。 眼科医の診察を受けること。 コンタクトレンズをはずす。
飲み込んだ場合
飲み込んだ後はただちに水を飲ませること(多くても2杯) 医師に相談する。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

使ってはならない消火剤
本物質/混合物に対する消火剤の制限なし
適切な消火剤
泡 二酸化炭素(CO2) 粉末

5.2 特有の危険有害性

炭素酸化物
可燃性。
蒸気は空気より重く、床に沿って広がることがある。
粉じん爆発のおそれ。
高温で空気と反応して爆発性混合物を生じる。
火災時に有害な燃焼ガスや蒸気を生じるおそれあり。

5.3 消防士へのアドバイス

自給式呼吸器がある場合のみ危険区域に留まってもよい。安全なゾーンまで離れるか適切な保護衣を着用して、皮膚に触れないようにすること。

5.4 詳細情報

容器を危険ゾーンから移動させて水で冷やすこと。 消火水が、地上水または地下水のシステムを汚染しないようにする。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

救急隊員以外への助言: 蒸気、エアゾールを吸入してはならない。 触れないようにすること。 十分な換気を確保する。 熱や発火源から遠ざける。 危険なエリアから避難し、緊急時手順に従い、専門家に相談のこと個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

物質が排水施設に流れ込まないようにする。 爆発のおそれ。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

排水溝に蓋をすること。こぼれたら集めて結合させ、ポンプですくい取る。 物質の制限があれば順守のこと (セクション 7、10参照) 液体吸収剤(例. Chemizorb® )で処置すること。 正しく廃棄すること。関係エリアを清掃のこと。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

安全取扱注意事項
換気フードの下で作業すること。吸い込まないこと。 蒸気やエアロゾルが生じないようにすること。
火災及び爆発の予防
炎、熱および発火源から遠ざける。静電気放電に対する予防措置を講ずること。
衛生対策
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔を洗うこと。注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管クラス
保管クラス (ドイツ) (TRGS 510): 3: 可燃性液体
保管条件
容器を密閉し、乾燥した換気の良い場所に保管する。 熱や発火源から遠ざける。 鍵をかけておくか、資格のあるまたは認可された人のみが出入りできる場所に入れておく。保管安定性推奨された保管温度2 - 8 °C湿気に反応する。 不活性ガス下に貯蔵する。

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
ACL: 5 ppm - 作業環境評価基準、健康障害防止指
TWA: 5 ppm - 米国。 ACGIH限界閾値(TLV)

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔
を洗うこと。
保護具
眼/顔面の保護
NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、認められた眼の
保護具を使用する。 保護眼鏡
皮膚及び身体の保護具
手袋を着用して取扱う。 使用前に、必ず手袋を検査する。 (手袋外面に触れずに)適切に手袋
を脱ぎ、本製品の皮膚への付着を避ける。 適用法令およびGLPに従い、使用後に汚染手袋を廃
棄する。 手を洗い、乾燥させる。
選ばれた防護手袋は、EU指令2016/425の仕様と、それから派生する規格EN374を満たすもので
なければならない。
フルコンタクト
材質: ブチルゴム
最小厚: 0.3 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Butoject® (KCL 897 / Aldrich Z677647, Size M)
飛沫への接触
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.4 mm
破過時間: 60 min
試験物質:Camatril? (KCL 730 / Aldrich Z677442, Size M)
データソース:KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, 電話 +49 (0)6659 87300, e-mail sales@kcl.de,
試験方法: EN374
EN374とは違った条件の下で、溶液の中、または他の物質と混ぜて使われる場合は、EC認可手
袋の供給業者に問い合わせる。 この勧告は単なる助言であり、予想される用途の特定状況に精
通した産業衛生専門家並びに安全管理者により評価されなければならない。 任意の使用方法に
ついて許可を受けていると理解すべきではない。
身体の保護
難燃静電気保護服。
呼吸用保護具
気化ガス/エアロゾル発生時に必要 次の規格に準拠しているフィルター式呼吸器保護具を推奨し
ます。DIN EN 143、DIN 14387および使用済み呼吸器保護システムに関連する他の付属規格。
環境暴露の制御
物質が排水施設に流れ込まないようにする。 爆発のおそれ。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
液体(Merck (14th, 2006))
無色(Merck (14th, 2006))
臭い
緩和なエステル臭(Sax (11th, 2004))
臭いのしきい(閾)値
0.056 ppm(Renzo (3rd, 1986))
pH
中性(Ullmanns(E) (6th, 2003))

融点・凝固点

-61.7℃:HSDB(2014)

沸点、初留点及び沸騰範囲

156.4℃:HSDB(2014)

引火点

52℃(密閉式):HSDB(2014)

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

0.20 (n-酢酸ブチル = 1)(HSDB (2011))

燃焼性(固体、気体)

情報なし

燃焼又は爆発範囲

1.3~14 vol%(空気中)(ICSC(J) (2003))

蒸気圧

2.34mmHg(25℃) [換算値 311Pa(25℃)]:HSDB(2005)

蒸気密度

4.72 (Air = 1) (HSDB (2011))

比重(相対密度)

0.975(20℃/20℃)(Merck (14th, 2006))

溶解度

水:229g/L(20℃):HSDB(2005) エチルアルコール、エチルエーテルに易溶。芳香族炭化水素に混和。(HSDB (2011))

n-オクタノール/水分配係数

log Kow = 0.24(HSDB (2011))

自然発火温度

379℃:HSDB(2014)

分解温度

情報なし

粘度(粘性率)

1.32mPa・s(20℃)(粘性率):HSDB(2005)

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

蒸気/空気混合物は、強く温めると爆発性となる。

10.2 化学的安定性

標準的な大気条件(室温)で化学的に安定。

10.3 危険有害反応可能性

次により発熱反応を生じる
酸化剤
塩基類
次との反応で燃焼ガスや蒸気の発火または生成のおそれ
アルミニウム
次を放出
水素

10.4 避けるべき条件

加熱

10.5 混触危険物質

アルミニウム, 強酸化剤

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
ラットのLD50値として、2,700 mg/kg、2,900 mg/kg (環境省リスク評価第11巻 (2013))、3,900±100 mg/kg (雄)、2,900±100 mg/kg (雌) (DFGOT vol. 6 (1994)、PATTY (6th, 2012))、5,100 mg/kg (EHC 115 (1990)、PATTY (6th, 2012))、2,900-7,500 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2008)、ECETOC TR95 (2005)) の6件の報告がある。ガイダンスの改訂により、最も多くのデータが該当する区分外 (国連分類基準の区分5) とした。
経皮
ウサギのLD50値として、10,227 mg/kg (環境省リスク評価第11巻 (2013))、10,300 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012))、10,333 mg/kg (EHC 115 (1990))、10,500 mg/kg (DFGOT vol. 6 (1994)、PATTY (6th, 2012))、10,300-10,500 mg/kg (ECETOC TR95 (2005)、NITE初期リスク評価書 (2008)) との報告に基づき、区分外とした。
吸入:ガス
GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
ラットのLC50値 (2時間) として、>1,500 ppm (4時間換算値:> 1,061 ppm) (環境省リスク評価第11巻 (2013))、ラットのLC50値 (8時間) として、2,239 ppm (4時間換算値: 3,166 ppm) (環境省リスク評価第11巻 (2013)、1,499-2,239 ppm (4時間換算値:2,119-3,166 ppm) との報告に基づき、区分4とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (3,079 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
吸入:粉じん及びミスト
データ不足のため分類できない。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

ウサギを用いたドレイズ試験において、本物質の24時間適用によりわずかな刺激性がみられたとの報告がある (ECETOC TR95 (2005)、NITE初期リスク評価書 (2008))。また、皮膚一次刺激性試験 (EEC試験法) において4時間の閉塞適用により刺激性はみられなかったとの報告や (ECETOC TR95 (2005)、NITE初期リスク評価書 (2008))、軽度の刺激性を示したとの報告が複数ある (NITE初期リスク評価書 (2008)、PATTY (6th, 2012))。以上より、区分外(国連分類基準の区分3) とした。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

ウサギ4匹を用いた1次刺激性試験 (OECD TG 405、GLP) において、試験物質原液0.1 mLの適用により、スコア2の角膜混濁が1匹、スコア1又は2の結膜発赤が4匹、スコア1又は2の結膜浮腫が3匹に認められたが、いずれも適用後7日目にはほぼ消失し、最大平均スコアMMAS (AOIに相当) は15.0であったとの報告 (ECETOC TR 48 (1988)) から、区分2Bとした。なお、他にウサギを用いた皮膚刺激性試験は複数報告があり、刺激性なしや軽度の刺激性の結果が報告されている (NITE初期リスク評価書 (2008)、ECETOC TR95 (2005)、PATTY (6th, 2012))。

呼吸器感作性

データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

データ不足のため分類できない。なお、モルモットを用いたMagnusson-Kligman試験において、本物質10%の感作誘発に対し感作性はみられなかったとの報告がある (ECETOC TR95 (2005)) が、試験条件等について詳細不明であるため分類に用いるには不十分なデータと判断した。情報の追加に伴い区分を変更した。

生殖細胞変異原性

ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験で陰性 (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第11巻 (2013)) である。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験でいずれも陰性、陽性の結果が得られている (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第11巻 (2013)、NTP DB (Access on July 2014))。

発がん性

データ不足のため分類できない。

生殖毒性

ラットを用いた吸入経路での催奇形性試験において母動物毒性がみられない用量 (2,140 mg/m3) において内臓奇形 (心臓奇形)、骨格奇形がみられている (ECETOC TR95 (2005)、DFGOT vol. 6 (1994))。また、ウサギを用いた吸入経路での催奇形性試験において母動物毒性がみられる用量 (550 mg/m3) において外表、骨格、内臓奇形の増加、総吸収胚増加がみられている (ECETOC TR95 (2005)、DFGOT vol. 11 (1998))。 そのほか、ラットを用いた経皮経路での催奇形性試験において母動物毒性 (体重減少) がみられる極めて高用量 (5,923 mg/kg bw/day) において胎児体重減少、生存出生児数/腹の減少、出世前死亡率増加、内臓奇形 (心臓奇形)、骨格奇形がみられている (ECETOC TR95 (2005)、DFGOT vol. 11 (1998))。 以上のように、吸入経路のラットを用いた催奇形性試験において、母動物毒性がみられない用量で内臓奇形、骨格奇形がみられたとの報告がある。したがって、区分1Bとした。

特定標的臓器毒性(単回ばく露)

ラットに本物質 2,000 ppmを4時間吸入ばく露した結果、血尿がみられた (NITE初期リスク評価書 (2008))。ラットの2,900 mg/kgの経口投与で、血尿、血液で拡張した腎臓の肥大 (PATTY (6th, 2012)) が報告されている。また、胃腸管の刺激、軽度の肝臓傷害の報告がある (PATTY (6th, 2012))。その他、吸入ばく露で、眩暈、嗜眠、頭痛、意識喪失、経口摂取では、これらの症状に加え、嘔吐 (環境省リスク評価第11巻 (2013)) の記載がある。 また、対象は不記載であるが、本物質は血液に影響を与え、血球障害、貧血、高濃度の場合は腎臓障害、また、中枢神経系に影響を与え、高濃度では意識喪失 (環境省リスク評価第11巻 (2013))、中枢神経系、血液系、肺、腎臓への傷害性を有する (HSDB (Access on June 2014)) との記載がある。 以上の情報のすべてにおいて明確な区分を付け得る情報があるわけではないが、吸入ばく露の血尿のデータが区分1、経口投与のデータが区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。ラットの経口投与の肝臓、腎臓の知見はガイダンス値を超えており、肺の知見は区分が不明であった。また、吸入ばく露での眩暈等の症状は区分が不明であり、症状の種類から麻酔作用が妥当と判断した。 以上より、区分1 (血液系)、区分3 (麻酔作用) とした。

特定標的臓器毒性(反復ばく露)

本物質は体内の様々な組織において、エステラーゼを介して迅速に加水分解され、エチレングリコールモノエチルエーテル (EGEE; CAS No.: 110-80-5) を生成する (CICAD 67 (2010)、NITE初期リスク評価 (2008))。EGEEはアルコール脱水素酵素により、エトキシアセトアルデヒドを経て、エトキシ酢酸 (EAA) へと酸化され、EAA又はそのグリシン抱合体として尿中へ排泄される (CICAD 67 (2010)、NITE初期リスク評価書 (2008))。このEAAがEGEE及びEGEEの酢酸エステルである本物質に共通した活性代謝物であり、本物質も吸収後は加水分解され活性代謝物のEAAに代謝されることから、EGEEと同様の毒性を発現すると考えられており、CICAD 67 (2010) では両物質は同列に扱われ、一括して評価されている。事実、本物質、EGEEともにヒト及び実験動物において、血液系、生殖器への影響がみられたとの知見があり (NITE初期リスク評価書 (2008)、CICAD 67 (2010))、ヒトではEAAへの代謝生成能がラットより高く、クリアランスもラットより遅延する傾向があることから、ヒトではEAAの生体内滞留時間が実験動物より長く、したがって、より低用量から毒性影響が発現する可能性が指摘されている (NITE初期リスク評価書 (2008)、CICAD 67 (2010))。 以上、本物質の分類はEGEEと同一とし、区分1 (血液系、精巣) とした。なお、旧分類では利用されなかった情報源を用いたため、分類結果が異なった。

吸引性呼吸器有害性

データ不足のため分類できない。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

魚毒性
LC50 - Pimephales promelas (ファットヘッドミノウ) - 40.7 - 43.6 mg/l - 96
h
ミジンコ等の水生無脊 椎動物に対する毒性
EC50 - Daphnia magna (オオミジンコ) - 193.6 mg/l - 48 h
藻類に対する毒性
EC50 - Desmodesmus subspicatus (緑藻) - > 1,000 mg/l - 72 h
微生物毒性
EC10 - Pseudomonas putida (シュードモナス‐プチダ) - 435 mg/l - 16 h
(DIN(ドイツ工業規格) 38412)

12.2 残留性・分解性

生分解性
結果: 97 % - 易分解性。
(OECD 試験ガイドライン 301E)
生化学的酸素要求量
< 440 mg/g
(BOD)
備考: (IUCLID)

12.3 生体蓄積性

データなし

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
内容物及び容器は、関連法規及び各自治体の条例等の規制に従い、産業廃棄物として適切に処理すること。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): 1172    IMDG (海上規制): 1172    IATA-DGR (航空規制): 1172

14.2 国連輸送名

ADR/RID (陸上規制): ETHYLENE GLYCOL MONOETHYL ETHER ACETATE
IMDG (海上規制): ETHYLENE GLYCOL MONOETHYL ETHER ACETATE
IATA-DGR (航空規制): Ethylene glycol monoethyl ether acetate

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): 3    IMDG (海上規制): 3    IATA-DGR (航空規制): 3

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): III IMDG (海上規制): III IATA-DGR (航空規制): III

14.5 環境危険有害性

ADR/RID: 非該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当
非該当

14.6 特別の安全対策

なし

14.7 混触危険物質

アルミニウム, 強酸化剤

15. 適用法令

労働安全衛生法

作業環境評価基準 第2種有機溶剤等 危険物・引火性の物 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)

消防法

第4類引火性液体、第二石油類非水溶性液体

船舶安全法

引火性液体類

航空法

引火性液体

海洋汚染防止法

有害液体物質(Y類物質)

16. その他の情報

略語と頭字語

LC50: 致死濃度 50%
LD50: 致死量 50%
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
STEL: 短期暴露限度
TWA: 時間加重平均
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
EC50: 有効濃度 50%
IATA:国際航空運送協会
IMDG: 国際海上危険物

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
免責事項:

本MSDS中の情報は指定された製品にのみ適用され、特に規定がない限り、本製品とその他の物質の混合物には適用されません。本MSDSは、製品使用者の適切な専門的なトレーニングを受けた者にのみ製品安全情報を提供します。本MSDSの使用者は、本SDSの適用性について独自に判断しなければならない。本MSDSの著者は、本MSDSの使用によるいかなる傷害にも責任を負わない。

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