急性毒性
経口
ラットを用いた経口投与試験のLD50値 1,080 mg/kg ((ACGIH (7th, 2001)、 (環境省リスク評価第11巻 (2013)、 (PATTY (6th, 2012))、約1,140 mg/kg、1,539 mg/kg、約1,800 mg/kg、1,950 mg/kg (SIDS (2002)) に基づき、区分4とした。
経皮
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50値は、約672 mg/kg、1,040 mg/kg (SIDS (2002))、1,090 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)、環境省リスク評価第11巻 (2013)) であり、1件が区分3、2件が区分4に該当する。これらのデータから分類ガイダンスに基づき、該当数の多い区分4とした。
吸入:ガス
GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
データ不足のため分類できない。なお、旧分類の根拠である環境省リスク評価第11巻 (2013) の結果は「LDLo」であったため不採用とした。
吸入:粉じん及びミスト
データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
環境省リスク評価第11巻 (2013)、NITE初期リスク評価書 (2005) のヒト健康影響についての記述、及びウサギを用いた皮膚刺激性試験結果の「強い腐食性」、「腐食性」との記述 (NITE初期リスク評価書 (2005)、SIDS (2002)) がある。さらに、本物質は、EU DSD分類において「C; R34」、EU CLP分類において「Skin Corr. 1B H314」に分類されている。以上の情報に基づき区分1とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
ヒト健康影響のデータ (環境省リスク評価第11巻 (2013)、ACGIH (7th, 2001))、及びウサギを用いた眼刺激性試験で原液を投与した試験結果 (NITE初期リスク評価書 (2005)、SIDS (2002)) において、「強度刺激性」「強腐食性」「視力喪失」との記述がある。さらに、本物質は皮膚腐食性物質であり、EU DSD分類において「C; R34」、EU CLP分類において「Skin Corr. 1B H314」に分類されている。以上の情報に基づき区分1とした。
呼吸器感作性
呼吸器感作性: ヒトに対する健康影響のデータとして、職業ばく露による気道に対するぜんそく様のアレルギー反応の発症が報告されているとの記述 (NITE初期リスク評価書 (2005)、SIDS (2002)、ACGIH (7th, 2001)) との記載から、呼吸器感作性があると考えられるため、区分1とした。
皮膚感作性
皮膚感作性: モルモットを用いたマキシマイゼーション試験での陽性の結果 (NITE初期リスク評価書 (2005)、SIDS (2002))、及び本物質を取り扱う作業者に対するパッチテストで陽性の結果がみられたとの報告等 (NITE初期リスク評価書 (2005)、SIDS (2002)、ACGIH (7th, 2001)) から、皮膚感作性があると考えられる。さらに、本物質は、EU DSD分類において「R43」、EU CLP分類において「Skin Sens. 1 H317」に分類されている。以上の情報に基づき区分1とした。
生殖細胞変異原性
分類ガイダンスの改訂により、「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、In vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いる小核試験で陰性である (NITE初期リスク評価書 (2005)、環境省リスク評価第11巻 (2013)、SIDS (2002))。さらに、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞を用いる遺伝子突然変異試験及び染色体異常試験で陰性である (NITE初期リスク評価書 (2005)、環境省リスク評価第11巻 (2013)、SIDS (2002))。
発がん性
既存分類がされていないこと、並びに毒性情報はあるが信頼性のある情報がないことから、分類できないとした。
生殖毒性
NITE初期リスク評価書 (2005) 及び環境省リスク評価第11巻 (2003) の記述から、ラットにおける生殖発生毒性試験 (OECD TG 421) において、親動物に他の毒性作用がみられない用量下で生殖発生への影響 (妊娠期間の延長、胚・胎児死亡の増加など) がみられていることから、分類ガイダンスに従い、区分1Bに分類した。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
データ不足のため分類できない。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
データ不足のため分類できない。
吸引性呼吸器有害性
データ不足のため分類できない。