急性毒性
経口
GHS分類: 区分外 ラットのLD50値として、> 5,000 mg/kg (沈降シリカ (Tixosil 53)) 及び> 5,110 mg/kg (沈降シリカ (Sident9)) との報告 (SIDS (2006)、ECETOC JACC (2006)) に基づき、区分外とした。
経皮
GHS分類: 区分外 ウサギのLD50値として、> 2,000 mg/kg (シリカゲル (Syloid 244)) 及び> 5,000 mg/kg (シリカゲル (ZEO 49、ZEOSYL 113、ZEOSYL 200及びZEOFREE 153)) との報告 (SIDS (2006)、ECETOC JACC (2006)) に基づき、区分外とした。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない データ不足のため、分類できない。なお、ラットのLC50値 (4時間) として、> 0.691 mg/L (沈降シリカ (SIPERNAT 22S)) (ECETOC JACC (2006)) 及び > 2.08 mg/L (非晶質シリカ (CAB-O-SIL M5)) (SIDS (2006)) との報告があるが、これらのデータのみでは区分を特定できない。被験物質が固体であるため、粉じん、ミストの基準値を適用した。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 区分外 ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG 404) において、沈降シリカ (Sident9) を適用した結果、刺激性はみられなかったとの報告 (SIDS (2006)、ECETOC JACC (2006)) や、沈降シリカ (SIPERNAT) をウサギに24時間適用した試験において、いずれも刺激性はみられなかったとの報告がある (SIDS (2006)、ECETOC JACC (2006))。また、ウサギにシリカゲル (Syloid 244) を24時間適用した結果、刺激性はみられなかったとの報告がある (SIDS (2006))。以上から、区分外とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 区分2B ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405) において、沈降シリカ (Sident9) を適用した結果、軽度の結膜発赤がみられたが回復性を示したとの報告がある (SIDS (2006)、ECETOC JACC (2006))。また、沈降シリカをウサギに適用した試験の報告が複数あり、眼刺激性はみられなかったとの報告や、軽度の結膜刺激がみられたが回復したとの報告がある (SIDS (2006))。以上から、区分2Bとした。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 分類できない ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、経口投与あるいは吸入ばく露によるラットの優性致死試験、遺伝子突然変異試験、染色体異常試験でいずれも陰性 (SIDS (2006))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、染色体異常試験で陰性、哺乳類培養細胞の小核試験であいまいな結果である (SIDS (2006))。
発がん性
GHS分類: 分類できない 本物質は合成型非晶質シリカに分類される (IARC 68 (1997))。ヒトでの合成型非晶質シリカばく露による発がん性情報はない。しかし、IARCは非晶質シリカ全体 (本物質以外に珪藻土、生物起源のシリカ繊維も含む) に対し、発がん性に関する証拠はヒトで不十分、実験動物で合成型非晶質シリカに対する証拠も不十分 (後述) として、非晶質シリカ全体に対して発がん性分類を「グループ3」とした (IARC 68 (1997))。よって、本物質もIARCの評価に従い、分類できないとした。 なお、非晶質シリカに関するヒト発がん性関連の情報としては、生物起源の非晶質シリカ繊維にばく露された3つの地域社会を対象とした症例対照研究において、シリカばく露と中皮腫発生との間に相関はみられなかったとの報告がある (IARC 68 (1997))。一方、実験動物では、ラットに本物質又は酸化第二鉄を単独、或いは両者の1:1混合物を各々500 mg/匹の用量で1年間吸入ばく露した結果、生存率は対照群と投与各群との間で大差はなく、10ヶ月以上の生存例における肺腫瘍 (腺腫、がん) 発生率は対照群で7.9~9.6% (5/53~5/52)、本物質単独投与群で21.3% (13/61)、酸化第二鉄単独投与群で32.7% (17/52)、混合物投与群で19.3% (12/62) であった (IARC 68 (1997))。一方、経口経路による発がん性関連情報として、合成非晶質のシリカゲル (Syloid 244) をラット又はマウスに2年間混餌投与した結果、50,000 ppm までの用量で、主要臓器に腫瘍性変化、非腫瘍性変化ともにみられなかった (ECETOC JACC (2006)、IARC 68 (1997)) との記述がある。
生殖毒性
GHS分類: 分類できない ヒトの生殖影響に関する情報はない。実験動物では合成非晶質シリカゲル (Syloid 244) をラット、マウス、ハムスター、及びウサギの各妊娠雌動物の器官形成期に強制経口投与した催奇形性試験において、いずれの動物種でも、1,340~1,600 mg/kg/dayの用量を投与しても、母動物毒性、胎児毒性、催奇形性のいずれも認められなかったとの報告がある (ECETOC JACC (2006))。しかしながら、性機能、及び生殖能への本物質投与による影響については試験報告がなく、本項はデータ不足のため「分類できない」とした。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
GHS分類: 区分3 (気道刺激性) シリカゲル (Syloid 244) は気道刺激性があるとの報告 (SIDS (2006)、ECETOC JACC (2006)) から、区分3 (気道刺激性) とした。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
GHS分類: 分類できない ヒトにおいては、本物質のダストに平均8.5年間ばく露された労働者の肺機能及び胸部レントゲン検査に有害影響はみられなかったとの報告がある (ACGIH (7th, 2001)、ECETOC JACC (2006)、SIDS (2006)、DFGOT vol. 2 (1991))。 実験動物については、ラット、モルモット、ウサギに本物質126 mg/m3をラットでは1年間、モルモット及びウサギでは2年間吸入ばく露した試験において、肺線維症の発症はみられておらず、反応はマクロファージ蓄積と細網線維の軽度増殖に限定されたとの報告がある (ACGIH (7th, 2001))。マウスを用いた21ヶ月間混餌投与試験、ラットを用いた24ヶ月間混餌投与試験において毒性影響はみられていない (ECETOC JACC (2006))。サル、ラット、モルモットに本物質15 mg/m3を12~18ヶ月間吸入ばく露した試験において、肺の単球細胞増加、細網線維の増加がみられたとの報告がある (DFGOT vol. 2 (1991))。 以上のようにヒトにおいて影響はみられず、実験動物においては、吸入経路において軽微な影響のみみられ、経口経路では影響はみられていない。したがって、分類できないとした。
吸引性呼吸器有害性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。