急性毒性
経口
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない(国連分類基準の区分5)。
【根拠データ】 (1)ラット(雌)LD50:3,850 mg/kg(CLH Report (2017)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023)) (2)ラット(雄)のLD50:5,140 mg/kg(CLH Report (2017)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))
経皮
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、半閉塞、4時間適用、72時間観察)において、ごく軽微~中程度の紅斑がみられたが、72時間以内に回復した。痂皮はみられなかった(紅斑・痂皮スコア:1.3/1/0、浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、72時間観察)において、24時間後に1例で結膜発赤が見られたが、48時間後には回復した(角膜混濁スコア:0/0/0、虹彩炎スコア:0/0/0、結膜発赤スコア:0/0/0.3、結膜浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))。
呼吸器感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 本物質(Tetraglyme)のデータはin vitroのAmes試験の陰性結果しかない。しかし、構造類似物質で共通の毒性代謝物を産生すると考えられているGlyme類化合物(Mono-、Di-及びTriglyme)のデータを利用し、(1)、(2)より区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1)本物質(別名:Tetraglyme)と構造類似物質であるTriglyme(CAS登録番号:112-49-2)、Diglyme(CAS登録番号:111-96-6)及びMonoglyme(CAS登録番号:110-71-4)は、Diglymeの体内動態データを用いてQSAR適用により、これら4物質は発生毒性既知物質の2-メトキシ酢酸(2-MAA、CAS登録番号:625-45-6)を共通代謝物として生成すると推定されている(EU CLP CLH (2018))。したがって、本物質のデータがない項目では限定的にこれらのデータが利用可能と考えられる。ただし、Glyme類化合物の単位構造であるEGME(エチレングリコールメチルエーテル)側鎖の鎖長が長くなるにつれて、生体内利用率も代謝能もやや低下し、ポテンシー(潜在能力)は低下すると推測されている(EU CLP CLH (2018))。 (2)In vivoでは、Monoglymeのマウスを用いた小核試験、Mono-及びDiglymeの染色体異常試験で陰性であった。一方、Diglymeの優性致死試験では陽性の結果であったが、Diglymeの優性致死試験は遺伝毒性の評価には適切ではないと考えられている(EU CLP CLH (2018)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022))。 (3)In vitroでは、本物質については細菌を用いた復帰突然変異試験で陰性の報告に限られる。Mono-、Di-及びTriglymeの細菌を用いた復帰突然変異試験及びMonoglymeのほ乳類培養細胞を用いた遺伝子変異試験では、いずれも陰性であった(EU CLP CLH (2018)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022))。
【参考データ等】 (4)Diglymeの本項目は区分に該当しない(2008年度GHS分類結果)、Mono-(2008年度GHS分類結果)及びTriglyme(2013年度GHS分類結果)は分類できないと判定している。
発がん性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
生殖毒性
【分類根拠】 (1)、(2)より、例数の限られた試験であるが、親動物に一般毒性がみられない用量から奇形を含む明瞭な発生影響がみられたため、区分1Bとした。
【根拠データ】 (1)ラット(3匹/性/群)を用いた強制経口投与による生殖発生毒性スクリーニング試験の用量設定試験(250~1,000 mg/kg/day)において、雌雄親動物に全身影響がみられない中用量(500 mg/kg/day)から雌に交尾前間隔及び妊娠期間の延長、児動物に生存児数の減少がみられた。母親動物に体重増加抑制がみられる高用量(1,000 mg/kg/day)では、着床後胚/胎児損失の増加により生存児が得られなかった(EU CLP CLH (2018)、REACH登録情報 (Accessed 2022))。 (2)妊娠ラット(8匹/群)を用いた強制経口投与による発生毒性試験の用量設定試験(250~1,000 mg/kg/day)において、母動物毒性がない低用量から、ほぼ全胎児に骨格奇形(指骨及び第4中手骨の欠損、胸骨分節・舌骨・剣状突起の欠損、頭部骨格の不完全骨化等)の発生増加、中用量(500 mg/kg/day)では加えて内臓奇形(左右心室肥大、胸腺矮小、第3脳室/側脳室の拡張等)の発生増加がみられた(EU CLP CLH (2018)、REACH登録情報 (Accessed 2022))。
【参考データ等】 (3)本物質はEU CLP (Accessed 2022) でRepr. 1Bに分類され、SVHCの指定されている(EU REACH SVHC (2021))。 (4)構造類似物質のDiglyme(CAS登録番号:111-96-6)の優性致死試験では陽性の結果であり、生殖細胞変異原性より生殖毒性を反映した結果とも考えられた(EU CLP CLH (2018)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 (1)より、区分3(麻酔作用)とした。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた単回経口投与試験において、2,500~5,000 mg/kgで過活動性がみられた後、抵抗性の低下、ふらつき、深麻酔、協調運動障害、運動失調、腹這い、腹/側/背臥位、攣縮、筋伸展反射低下、瞳孔反応陰性、粘液/漿液性鼻汁分泌、皮膚発赤などの症状がみられたとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Jan, 2023))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
【参考データ等】 (1)ラットを用いた強制経口投与による28日間反復経口投与試験(OECD TG 407、GLP)において、最高用量の1,000 mg/kg/day(90日換算:311 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)で、胸腺(リンパ球の著減を伴う皮質の菲薄化)、精巣(重量減少、生殖細胞の変性、成熟精子数の減少など)への影響等がみられたとの報告がある(CLH Report (2018)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))。
誤えん有害性*
【分類根拠】 データ不足ため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。