急性毒性
経口
【分類根拠】 (1)~(3) より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1) ラットのLD50:> 2,000 mg/kg、> 4,400 mg/kg、≧ 5,000 mg/kg (ACGIH (7th, 2019)) (2) ラットのLD50:4,500 mg/kg (ECETOC TR95 (2005)) (3) ラットのLD50: > 5,000 mg/kg (PATTY (6th, 2012))
経皮
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1) ウサギのLD50:8,100 mg/kg (ACGIH (7th, 2019)、PATTY (6th, 2012)、ECETOC TR95 (2005))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における液体であり、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 (1) より本物質をばく露しても死亡例がないため、LC50は2,213 ppmより高いことが考えられたが、区分を特定できないことから分類できないとした。 なお、ばく露濃度が飽和蒸気濃度 (5,079.3 ppm) の90%よりも低いため、ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
【根拠データ】 (1) ラットの吸入 (4時間) :3,337 ppm (全身ばく露)、2,213 ppm (鼻部ばく露) で死亡例なし (ACGIH (7th, 2019)、PATTY (6th, 2012))
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しない。 なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (5,079.3 ppm) より高いため、ミストとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。
【根拠データ】 (1) ラットの吸入 (4時間):1,420 mg/Lで死亡例なし (ACGIH (7th, 2019))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) OECD TG 404に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験において、1及び24時間後にごく軽微な紅斑がみられたが、48時間後には消失、落屑もみられたが7日後には消失した。24/48/72hの紅斑及び浮腫の平均スコアはそれぞれ、0~1.33及び0であった(REACH登録情報 (Access on August, 2019))。
【参考データ等】 (2) 本物質はウサギの皮膚に対し、軽微な刺激性を有し、軽微で一過性の紅斑と浮腫を生じ、72時間後にはわずかな落屑がみられた(ACGIH (7th, 2019))。 (3) ウサギを用いた24時間閉塞あるいは4時間半閉塞適用の皮膚刺激性試験で中等度の刺激性を示す(ECETOC TR64 (1995))。 (4) 本物質は皮膚に対しては軽度の刺激性を示す(PATTY (6th, 2012))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分2Bとした。
【根拠データ】 (1) ウサギの眼刺激性試験で強い刺激性は示さず、7日後までには回復する (ECETOC TR64 (1995)、PATTY (6th, 2012))。 (2) ウサギの眼刺激性試験では非刺激性の結果から中等度の刺激性までの結果が存在する(ACGIH (7th, 2019))。
呼吸器感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
【参考データ等】 (1) 本物質の酢酸エステル (CAS番号 54839-24-6) を用いたモルモットの皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) で感作性は示さないことから、親化合物である本物質も感作性を有しないと推察される (ECETOC TR64 (1995)、ACGIH (7th, 2019))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 In vivoのデータがなく、データ不足のため分類できない。
【根拠データ】 (1) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験及びヒトリンパ球の染色体異常試験で陰性の報告がある (ECETOC TR95 (2005))。
発がん性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
生殖毒性
【分類根拠】 (1) より、発生毒性に関しては母動物毒性がみられる用量においても胚/胎児に対する影響はみられていない。しかし、親の性機能、生殖能に関するデータがないことからデータ不足で分類できないとした。
【根拠データ】 (1) 雌ラット、ウサギの妊娠期間中に本物質蒸気を吸入ばく露した試験において、母動物に体重増加抑制、摂餌量減少がみられたが、胎児の発生影響はみられていない (ECETOC TR95 (2005)、PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2019))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分3 (麻酔作用、気道刺激性) とした。
【根拠データ】 (1) ラットの4時間単回吸入ばく露試験において、10,000 ppm (42.5 mg/L、区分2超) で、眼と鼻の刺激と中枢神経系抑制が認められたが、死亡例はなかった (ACGIH (7th, 2019)、PATTY (6th, 2012)、ECETOC TR95 (2005))。 (2) 別のラットの4時間単回吸入ばく露試験において、2,213 ppm (9.59 mg/L、区分1相当) で、一過性の流涙、流涎、中枢神経系抑制が認められたが、死亡例はなかった (ACGIH (7th, 2019)、PATTY (6th, 2012)、ECETOC TR95 (2005))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
【分類根拠】 (1) より、吸入経路については区分に該当しないと考えられる。経口、経皮経路についてはデータ不足のため分類できない。
【根拠データ】 (1) ラットを用いた13週間吸入ばく露試験 (6時間/日、5日間/週) において、300 ppm (ガイダンス値換算: 0.9 mg/L、区分2の範囲) 以上で尿量の増加、2,000 ppm (ガイダンス値換算: 6.2 mg/L、区分2超) で可逆的な眼及び鼻の刺激、鎮静、肝臓重量増加、肺に限局性のマクロファージ集簇がみられた (ACGIH (7th, 2019)、PATTY (6th, 2012)、ECETOC TR95 (2005))。
【参考データ等】 (2) ラットに2 mL/kgを10回経口投与した結果、雄でわずかな体重増加抑制、軽微な血液学的変化、雌雄で肝臓重量増加がみられた (ECETOC TR95 (2005))。
誤えん有害性*
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。