急性毒性
経口
GHS分類: 区分外
ラットのLD50値として、5,140 mg/kg (HSDB (Access on June 2017)) 及び5,800 mg/kg (PATTY (6th, 2012)) との報告に基づき、区分外とした。
経皮
GHS分類: 区分外
ラットのLD50値として、> 2,150 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2017)) との報告に基づき、区分外とした。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外
GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 区分外
ラットの4時間吸入試験のLC50値として、1,220 ppm (8.19 mg/L) (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2017)) との報告に基づき、区分外とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (56.8 ppm) より高いため、ミストとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 区分2
ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、ドレイズスコアが5.2/8で中等度の皮膚刺激性を示すとの記述 (PATTY (6th, 2012))、及びヒトにおいて中等度から重度の皮膚刺激性を示すとの記述 (HSDB (Access on June 2017)) から、区分2とした。なお、EU CLP分類において本物質はSkin Irrit. 2, H315 に分類されている (ECHA CL Inventory (Access onJune 2017))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 区分2B
ウサギを用いた眼刺激性試験において、軽度の刺激性を示し迅速に回復するとの記述 (PATTY (6th, 2012)) から、区分2Bとした。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 区分1
ヒトにおいて、職業性接触皮膚炎を有する実験技術者のパッチテストで4名中2名が陽性を示したとの記述や、エポキシ樹脂や溶剤に定常的にばく露され皮膚掻痒感や咽頭狭窄等の病歴のある労働者のパッチテストで、適用30分後の観察で本物質に対する蕁麻疹反応がみられ、再試験においても咽頭のヒリヒリ感、嗄声を伴う蕁麻疹反応がみられたとの記述がある (いずれもHSDB (Access on June 2017))。モルモットにおいては、強い皮膚感作性物質 (potent skin sensitizer) との記述がある (PATTY (6th, 2012))。以上より、区分1とした。なお、EU CLP分類において本物質はSkin Sens. 1, H317に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 分類できない
本物質は異性体 (オルト (CAS番号 2210-79-9)、メタ (CAS番号 2186-25-6)、パラ (CAS番号 2186-24-5)) の混合物 (混合比は不明) である。In vivoでは、オルト異性体を用いた経皮適用によるトランスジェニックマウス (MutaTM mice) の遺伝子突然変異試験で骨髄、肝臓、皮膚の細胞において陰性、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陰性である (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2017))。In vitroでは、本物質、オルト異性体、パラ異性体を用いた細菌の復帰突然変異試験でいずれも陽性である (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2017))。以上より、ガイダンスに従い分類できないとした。
発がん性
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
生殖毒性
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。なお、吸入ばく露後に一般毒性影響濃度 (2.55 mg/m3) よりも低い濃度で生殖器官及び胎児への毒性がみられたとの詳細不明の記述がある (HSDB (Access on June 2017))。