急性毒性
経口
GHS分類: 区分外 ラットのLD50値として、3,600 mg/kg (雄)、2,200 mg/kg (雌) (食品安全委員会農薬評価書 (2008)、農薬抄録 (2005)、農薬工業会 (Access on October 2016)) の報告に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。
経皮
GHS分類: 区分外 ラットのLD50値として、> 4,000 mg/kg (雌雄) (食品安全委員会農薬評価書 (2008)、農薬抄録 (2005)、農薬工業会 (Access on October 2016)) の報告に基づき、区分外とした。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 なお、ラットのLC50値 (4時間) として、> 2.8 mg/L (農薬抄録 (2009)、食品安全委員会農薬評価書 (2010)) との報告があり、区分4~区分外に該当するが、この値のみでは区分を特定できない。 なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (0.082 μg/L) より高いため、ミストの基準値を適用した。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 区分2 ウサギの皮膚刺激性試験において、適用直後と24時間後の無傷の皮膚刺激一次指数は2.3であり、紅斑の平均スコアは1.5~2 (6匹中4匹) で、浮腫のスコアは1未満 (6匹中4匹) であった (農薬抄録 (2005))。これらの結果に基づいて、本物質は中等度の刺激性ありと評価されていることから (食品安全委員会農薬評価書 (2008)、農薬工業会 (Access on October 2016))、区分2とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 区分2B ウサギの眼刺激性試験において、非洗浄眼の眼刺激性スコア (AOIに相当) は4.7 (最大値110) であり、3日後に反応は完全に消失し (農薬抄録 (2005))、本物質の眼刺激性はごく軽度と考えられることから (食品安全委員会農薬評価書 (2008)、農薬工業会 (Access on October 2016))、区分2Bとした。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 区分1 モルモットを用いた皮膚感作性試験 (ビューラー法) において陽性と報告されている (農薬抄録 (2005)、食品安全委員会農薬評価書 (2008))。その他、モルモットを用いた皮膚感作性試験 (オプティマイゼーション法 (OECD未承認試験法)) においても陽性結果が報告されている (農薬抄録 (2005)、食品安全委員会農薬評価書 (2008))。よって、区分1とした。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 分類できない ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、ラット、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陰性 (食品安全委員会農薬評価書 (2008)、農薬工業会 (Access on October 2016) 、農薬抄録 (2005))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陰性である (食品安全委員会農薬評価書 (2008)、農薬工業会 (Access on October 2016) 、農薬抄録 (2005))。
発がん性
GHS分類: 区分外 ラット、又はマウスに2年間混餌投与した発がん性試験において、ラットに本物質投与と関連した腫瘍性病変の頻度増加は認められなかった。マウスでは雄1,000 ppm (33/80例、41.3%)、及び雌3,000 ppm (18/80例、22.5%) で肝細胞腺腫の頻度増加が示されたが、雌雄とも発生頻度に用量依存性がなく、背景データ (雄: 22.0~49.0%、雌: 6.0~24.0%) の範囲内であったことなどから、肝細胞腺腫の発生は被験物質投与による影響ではないと判断されており、本物質は発がん性を有さないと結論されている (食品安全委員会農薬評価書 (2008))。よって、本項は区分外とした。
生殖毒性
GHS分類: 区分外 ラットを用いた経口経路 (混餌投与) による2世代繁殖毒性試験において、F0~F2親動物に一般毒性影響 (体重増加抑制、摂餌量減少、肝臓・腎臓相対重量増加) がみられる用量 (300~3,000 ppm) まで投与しても繁殖能に影響はなく、F1、F2児動物には一般毒性影響 (体重増加抑制、肝臓相対重量増加、脾臓相対重量減少) がみられただけであった。また、妊娠ラット及び妊娠ウサギの器官形成期 (ラット:妊娠7~17日、ウサギ:妊娠6~19日) に強制経口投与した発生毒性試験ではラット、ウサギともに母動物毒性が発現する用量 (150~300 mg/kg/day) でも胎児に異常は認められなかった。(食品安全委員会農薬評価書 (2008))。以上、本物質は一般毒性影響のみで生殖発生毒性を示さないことから、本項は区分外とした。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
GHS分類: 区分2 (中枢神経系) ラット及びマウスを用いた本物質の単回経口投与試験において、区分2相当の1,000 mg/kg以上で、嘔吐様動作、立毛、全身性痙攣、自発運動低下、下痢、失禁、鎮静、衰弱が認められたとの記述がある (食品安全委員会農薬評価書 (2008)、農薬抄録 (2005))。また、ラットの単回経皮投与試験で、区分2超の4,000 mg/kgで嘔吐様動作と軽度の全身性痙攣がみられたが死亡例はなかったとの報告がある (食品安全委員会農薬評価書 (2008)、農薬抄録 (2005))。以上より区分2 (中枢神経系) とした。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
GHS分類: 区分2 (腎臓) ヒトに関する情報はない。 実験動物については、ラットを用いた混餌投与による2年間反復投与毒性試験において、区分2相当の300 ppm (雄:18.3 mg/kg/day、雌:18.5 mg/kg/day) では雄で肝及び脾比重量増加、腎及び副腎絶対・比重量増加、腎表面細顆粒状、慢性腎症 (糸球体硬化、線維化、ネフローシス)、雌で血糖増加が認められている (食品安全委員会農薬評価書 (2008))。 したがって、区分2 (腎臓) とした。
吸引性呼吸器有害性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。