急性毒性
経口
【分類根拠】
(1) より、区分3とした。
なお、(2)、(3) のマウスのデータからは、区分2となるが、ガイダンスに従いラットのデータを優先した。
【根拠データ】
(1) ラットのLD50:100 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2019))
【参考データ等】
(2) マウスのLD50:雄:26 mg/kg、 雌:60 mg/kg (ATSDR (1997))
(3) マウスのLD50:36 mg/kg (PATTY (6th, 2012))
経皮
【分類根拠】
(1) より、区分3とした。
なお、(2) のモルモットのデータからは、区分2となるが、ガイダンスに従いウサギのデータを優先した。
【根拠データ】
(1) ウサギのLD50:467 mg/kg (ATSDR (1997))
【参考データ等】
(2) モルモットのLD50:131 mg/kg (ATSDR (1997))
吸入: ガス
【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分2とした。
なお、LC50値が飽和蒸気濃度 (91,981 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間):280~400 ppm (ATSDR (1997))
(2) ラットのLC50 (4時間):280 ppm (HSDB (Access on June 2019))
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】
(1) より区分1とした。
【根拠データ】
(1) 本物質は強アルカリで、皮膚、眼、及び粘膜に対して、腐食性・刺激性を示すと考えられる (PATTY (6th, 2012))。
【参考データ等】
(2) 本物質との接触は皮膚、粘膜に刺激性を示す可能性があるとの記載がある (HSDB (Access on June 2019))。
(3) イヌ、ウサギ、モルモットで本物質の経皮ばく露による皮膚の退色と刺激が認められた (ATSDR (1997)) 。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分1とした。
【根拠データ】
(1) 本物質は皮膚腐食性区分1に区分されている。
(2) 本物質は強アルカリで、皮膚、眼、及び粘膜に対して、腐食性・刺激性を示すと考えられる (PATTY (6th, 2012))。
【参考データ等】
(3) ウサギの眼に本物質を3 μL適用した結果、結膜炎及び眼瞼の紅斑を生じたとの報告がある (ATSDR (1997))。
呼吸器感作性
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】
(1)、(2) より区分2とした。
【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウスやラットの小核試験、染色体異常試験、DNA損傷試験、DNA付加体形成試験、姉妹染色分体交換試験、不定期DNA合成試験で陽性である (ATSDR (1997)、IARC 71 (1999))。
(2) in vitroでは、ヒト培養細胞の変異原性試験等で陽性である。マウスリンフォーマ試験及び細菌の復帰突然変異試験では陰性と陽性の報告がある (同上)。
発がん性
【分類根拠】
(1) の既存分類結果からガイダンスに従い区分1Bとした。
【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCは実験動物で発がん性の十分な証拠があることに加えて、発がんの作用機序として遺伝毒性の証拠があることから、グループ2Aに分類した (IARC 71 (1999))。EUでもCarc.1Bに分類されている (ECHA C&L Inventory (Access on June 2019))。
【参考データ等】
(2) 実験動物ではラット及びマウスを用いた発がん性試験が主に皮下投与、一部は経口経路及びその他の経路 (腹腔内など) の試験として、多数実施されており、投与経路にかかわらず、マウス及びラットにおいて結腸の腺腫及び腺がんが高頻度で認められ、小腸の腺腫及び腺がんが比較的低頻度で認められた。飲水投与又は強制経口投与試験では、血管腫瘍が高頻度で認められた (IARC 71 (1999))。
生殖毒性
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
【参考データ等】
(1) 雌ハムスターの妊娠12日に経口投与した発生毒性試験で、発生毒性及び催奇形性はみられていない (ATSDR (1997))。この試験は、1用量を妊娠期間中の1日のみに投与しており、限定的な試験である。
(2) 雌ラットの妊娠6~15日に腹腔内投与した発生毒性試験において、母動物の体重増加抑制、胎児重量減少、わずかな奇形の増加がみられている (IARC 71 (1999)、PATTY (6th, 2012))。この試験は腹腔内投与であるため分類根拠としなかった。