安全データシート

1,3-ジクロロプロペン (cis-, trans-混合物)

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: 1,3-ジクロロプロペン (cis-, trans-混合物)
  • CB番号: CB4324650
  • CAS: 542-75-6
  • EINECS番号: 208-826-5
  • 同義語: 1,3-ジクロロプロペン,ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 農薬他
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日
H23.1.31、政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7月版)を使用
物理化学的危険性
引火性液体   区分3
健康に対する有害性
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)   区分2(胃、上気道、膀胱)
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)   区分1(神経系、肺)
発がん性   区分2
生殖細胞変異原性   区分2
皮膚感作性   区分1
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性   区分2A
皮膚腐食性・刺激性   区分2
急性毒性(吸入:蒸気)   区分3
急性毒性(経皮)   区分3
急性毒性(経口)   区分3
環境に対する有害性
注) 上記で区分の記載がない危険有害性は政府向けガイダンス文書で規定された[分類対象外]、[区分外]または[分類できない]に該当するものであり、後述の該当項目の説明を確認する必要がある。
水生環境慢性有害性   区分1
水生環境急性有害性   区分1

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS02GHS06GHS08GHS09
注意喚起語
危険
危険有害性情報
H410 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性。
H335 呼吸器への刺激のおそれ。
H332 吸入すると有害。
H319 強い眼刺激。
H317 アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ。
H315 皮膚刺激。
H304 飲み込んで気道に侵入すると生命に危険のおそれ。
H301 + H311 飲み込んだ場合や皮膚に接触した場合は有毒。
H226 引火性液体及び蒸気。
注意書き
安全対策
P280 保護手袋/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P273 環境への放出を避けること。
P272 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P271 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
P270 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P264 取扱い後は皮膚をよく洗うこと。
P261 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P243 静電気放電に対する措置を講ずること。
P242 火花を発生させない工具を使用すること。
P241 防爆型の【電気機器/換気装置/照明機器/機器】を使用すること。
P240 容器を接地しアースをとること。
P233 容器を密閉しておくこと。
P210 熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。
応急措置
P391 漏出物を回収すること。
P337 + P313 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
P333 + P313 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P331 無理に吐かせないこと。
P305 + P351 + P338 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304 + P340 + P312 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し,呼吸しやすい姿勢で休息させること。 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P303 + P361 + P353 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を水【又はシャワー】で洗うこと。
P301 + P310 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
保管
P405 施錠して保管すること。
P403 + P235 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P403 + P233 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
廃棄
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C3H4Cl2
  • 分子量: 110.97 g/mol
  • CAS番号: 542-75-6
  • EC番号: 208-826-5
  • 化審法官報公示番号: 2-125
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
応急措置担当者は自分が暴露しないよう、適切な防護を行う。 この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸入後は新鮮な空気を吸うこと。
皮膚に付着した場合
皮膚に接触した場合: すべての汚染された衣類を直ちに脱ぐこと。 皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 直ちに医師を呼ぶ。
眼に入った場合
眼に触れた後は多量の水ですすぐこと。 眼科医の診察を受けること。 コンタクトレンズをはずす。
飲み込んだ場合
飲み込んだ場合は水を飲ませる(多くても2杯)。ただちに医師の診察を受けること。1時間以内に治療が受けられないという例外的な状況のみ、嘔吐させ(相手に完全に意識のある場合のみ)、活性炭(10%懸濁液に20~40g)を投与してできるだけ早く医師の診察を受ける。 嘔吐物の誤嚥後は呼吸不全のおそれ。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

使ってはならない消火剤
本物質/混合物に対する消火剤の制限なし
適切な消火剤
水 泡 二酸化炭素(CO2) 粉末

5.2 特有の危険有害性

火災時に有害な燃焼ガスや蒸気を生じるおそれあり。
高温で空気と反応して爆発性混合物を生じる。
蒸気は空気より重く、床に沿って広がることがある。
可燃性。
塩化水素ガス
炭素酸化物

5.3 消防士へのアドバイス

自給式呼吸器がある場合のみ危険区域に留まってもよい。安全なゾーンまで離れるか適切な保護衣を着用して、皮膚に触れないようにすること。

5.4 詳細情報

容器を危険ゾーンから移動させて水で冷やすこと。 ガス/蒸気/ミストを水スプレージェットで抑える(除去する)。 消火水が、地上水または地下水のシステムを汚染しないようにする。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

救急隊員以外への助言: 蒸気、エアゾールを吸入してはならない。 触れないようにすること。 十分な換気を確保する。 熱や発火源から遠ざける。 危険なエリアから避難し、緊急時手順に従い、専門家に相談のこと個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

物質が排水施設に流れ込まないようにする。 爆発のおそれ。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

排水溝に蓋をすること。こぼれたら集めて結合させ、ポンプですくい取る。 物質の制限があれば順守のこと (セクション 7、10参照) 液体吸収剤(例. Chemizorb® )で処置すること。 正しく廃棄すること。関係エリアを清掃のこと。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

安全取扱注意事項
換気フードの下で作業すること。吸い込まないこと。 蒸気やエアロゾルが生じないようにすること。
火災及び爆発の予防
炎、熱および発火源から遠ざける。静電気放電に対する予防措置を講ずること。
衛生対策
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔を洗うこと。注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管クラス
保管クラス (ドイツ) (TRGS 510): 3: 可燃性液体
保管条件
容器を密閉し、乾燥した換気の良い場所に保管する。 熱や発火源から遠ざける。 鍵をかけておくか、資格のあるまたは認可された人のみが出入りできる場所に入れておく。金属

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
TWA: 1 ppm - 米国。 ACGIH限界閾値(TLV)

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔
を洗うこと。
保護具
眼/顔面の保護
NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、認められた眼の
保護具を使用する。 保護眼鏡
皮膚及び身体の保護具
手袋を着用して取扱う。 使用前に、必ず手袋を検査する。 (手袋外面に触れずに)適切に手袋
を脱ぎ、本製品の皮膚への付着を避ける。 適用法令およびGLPに従い、使用後に汚染手袋を廃
棄する。 手を洗い、乾燥させる。
選ばれた防護手袋は、EU指令2016/425の仕様と、それから派生する規格EN374を満たすもので
なければならない。
フルコンタクト
材質: フッ素ゴム
最小厚: 0.7 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Vitoject? (KCL 890 / Aldrich Z677698, Size M)
飛沫への接触
材質: フッ素ゴム
最小厚: 0.7 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Vitoject? (KCL 890 / Aldrich Z677698, Size M)
データソース:KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, 電話 +49 (0)6659 87300, e-mail sales@kcl.de,
試験方法: EN374
EN374とは違った条件の下で、溶液の中、または他の物質と混ぜて使われる場合は、EC認可手
袋の供給業者に問い合わせる。 この勧告は単なる助言であり、予想される用途の特定状況に精
通した産業衛生専門家並びに安全管理者により評価されなければならない。 任意の使用方法に
ついて許可を受けていると理解すべきではない。
身体の保護
難燃静電気保護服。
呼吸用保護具
気化ガス/エアロゾル発生時に必要
次の規格に準拠しているフィルター式呼吸器保護具を推奨します。DIN EN 143、DIN 14387お
よび使用済み呼吸器保護システムに関連する他の付属規格。
環境暴露の制御
物質が排水施設に流れ込まないようにする。 爆発のおそれ。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
液体
無色~琥珀色、淡黄褐色
臭い
刺激臭、クロロホルム様臭
pH
データなし

融点・凝固点

融点 <-50 ℃ : HSDB (2009) /凝固点 シス体:-85 ℃、トランス体:<-25 ℃ : 農薬登録申請資料 (1997)

沸点、初留点及び沸騰範囲

シス体:104.3 ℃、トランス体:112 ℃ : Lide (88th, 2008)

引火点

25 ℃ : ICSC(J) (2004)

自然発火温度

データなし

燃焼性(固体、ガス)

データなし

爆発範囲

5.3~14.5 vol% (空気中) : ICSC(J) (2004)

蒸気圧

34 mmHg (25 ℃) : HSDB (2009)、3.7 kPa; (E)-isomer 2.3 kPa; (Z)-isomer 3.5 kPa (all at 20℃) bar : PM (13th, 2003)

蒸気密度

3.8 (空気=1) : ICSC(J) (2004)

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

データなし

比重(密度)

シス体:1.224、トランス体:1.217 (20 ℃) : Lide (88th, 2008) (シス体:1.224 g/cm3 (20 ℃)、トランス体:1.217 g/cm3 (20 ℃) : 農薬登録申請資料 (1997))

溶解度

ヘプタン[シス>610、トランス>607 g/kg]、キシレン[シス>551、トランス>551 g/kg]、アセトン[シス>589、トランス>597 g/kg] : 農薬登録申請資料 (1997)
2800 mg/L : HSDB (2009)、2 g/L (20 ℃); (E)-isomer 2.32 g/L (25 ℃), (Z)-isomer 2.18 g/L (25 ℃) : PM (13th, 2003)

オクタノール・水分配係数

1.82 : HSDB (2009)、logP = 1.82 (20 ℃); (E)-isomer logP = 2.03; (Z)-isomer logP = 2.06 (両方とも 25 ℃) : PM (13th, 2003)

分解温度

データなし

粘度

データなし

粉じん爆発下限濃度

データなし

最小発火エネルギー

データなし

体積抵抗率(導電率)

データなし

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

蒸気/空気混合物は、強く温めると爆発性となる。

10.2 化学的安定性

標準的な大気条件(室温)で化学的に安定。

10.3 危険有害反応可能性

データなし

10.4 避けるべき条件

加熱

10.5 混触危険物質

金属, 強酸化剤

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
ラットLD50値: 300, 224, 713, 470, 121, 150, 519, 304, 325, 85, 117, 78, 127, 130, 110-250, 57, 560, 510 mg/kg (雌雄含む)(農薬登録申請資料(1997)、ACGIH (2005)、ATSDR (2008)、IARC 41 (1986)、EHC 146 (1993))。(GHS分類:区分3)
経皮
ウサギLD50値: 333, 504 mg/kg (農薬登録申請資料(1997)、IARC 41 (1986))、ラットLD50値: 1000, 1300-2000, 423, 1575, 1090 mg/kg (PATTY (5th, 2001)、EHC 146 (1993))。(GHS分類:区分3)
吸入
吸入(ミスト):   データなし。(GHS分類:分類できない)
吸入(蒸気):   ラットLC50値: 855-1035, 904, 1000, 727, 595-676, 670, 744, 1075, 1190 ppm/4h (雌雄含む)(農薬登録申請資料(1997)、IARC 41 (1986)、EHC 146 (1993))。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度(44737 ppm)の90%より低いので、「ミストがほとんど混在しない蒸気」として、気体の区分基準値を適用した。(GHS分類:区分3)
吸入(ガス):   GHSの定義における液体である。(GHS分類:分類対象外)

皮膚腐食性・刺激性

ウサギに0.5 mLを4時間の閉塞適用した試験で、軽度~中等度の紅斑および中等度~重度の浮腫が観察され、14日後も一部の動物では症状が残った(EHC 146 (1993))。ウサギに4時間の半閉塞適用した試験で明瞭な紅斑と中等度の浮腫が認められたが、14日以内に完全に回復した(EHC 146 (1993))。ウサギに0.5 mLを4時間適用し、紅斑と軽度の浮腫を生じたが21日以内に完全に回復した(EHC 146 (1993))。なお、EU分類ではXi; R36/37/38である。(GHS分類:区分2)

眼に対する重篤な損傷・刺激性

ウサギの結膜嚢に0.1 mLを滴下した試験で、軽度~顕著な発赤、軽度~中等度の浮腫、虹彩の赤みと分泌物、1例では角膜に軽度の刺激性が見られたが、14日以内に全て回復した(EHC 146 (1993))。ウサギを用いた別の試験では、中等度~重度の結膜刺激、角膜の軽微な変化、浮腫、および虹彩の反応が見られたが、14日以内に回復した(EHC 146 (1993))。(GHS分類:区分2A)

呼吸器感作性又は皮膚感作性

皮膚感作性:モルモットを用いた皮膚感作性試験において、アジュバントを用いない場合(Buehler Test)の陽性率は2度の試験でそれぞれ25%(5/20)と90%(9/10)、アジュバントを用いる場合(Maximization test)の陽性率は2度の試験でそれぞれ100%(20/20)と80%(16/20)であり(EHC 146 (1993))、いずれも陽性の判定基準を超えている。また、ヒトでは殺虫剤製造施設の工程管理者が水疱性皮膚炎を発症、パッチテストで陽性反応を示し、恐らく当該物質95%を含む殺虫剤に感作されたものと結論されている(ACGIH (2005))。(GHS分類:区分1)
呼吸器感作性:データなし。(GHS分類:分類できない)

生殖細胞変異原性

体細胞in vivo変異原性試験としてマウスに経口投与後の骨髄細胞を用いた小核試験(IARC 71 (1999))およびマウスに腹腔内投与後の骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陽性(NTP DB (Access on Jun. 2009))。ラットに吸入ばく露による優性致死試験(生殖細胞in vivo経世代変異原性試験)で陰性(ACGIH (2005))、マウスに経口または腹腔内投与による骨髄を用いた別の小核試験で陰性(IARC 71 (1999))、ラットに経口または腹腔内投与による肝臓、腎臓などを用いたDNA損傷試験で陽性(IARC 71 (1999))。in vitroの試験では、エームス試験で陽性、染色体異常試験で陰性または陽性(NTP DB (Access on Jun. 2009)、安衛法変異原データ集(1996))、マウスリンパ腫試験で陽性(NTP DB (Access on Jun. 2009))。また遺伝毒性試験の陽性知見からEFSA(およびEU)ではMuta. Cat.3; R68が提案されたが、議論の結果、不純物や安定化剤の影響の可能性により承認されなかった(食品安全委員会 食品安全関係情報(2009))。(GHS分類:区分2)

発がん性

主要機関の発がん性評価として、IARCではグループ2B(IARC 71 (1999))、ACGIHではA3(ACGIH (2005))、EPAではB2(IRIS (2003))に分類されている。なお、ラットまたはマウスに2年間経口投与した試験において前胃扁平上皮の乳頭腫または癌腫の発生率の増加が見られ、さらに、ラットで肝臓腫瘍の発生率の増加、マウスで肺胞/細気管支の腫瘍および膀胱の移行上皮細胞癌の発生率が増加(NTP TR 269 (1985)、IRIS (2003))。(GHS分類:区分2)

生殖毒性

ラットの2世代に亘り吸入ばく露した試験で、親動物の毒性として体重減少と鼻粘膜の病理組織学的変化が現れたが、生殖および新生仔の成長または生存に対する悪影響は観察されなかった(EHC 146 (1993))。また、妊娠ラットおよび妊娠ウサギの器官形成期に吸入ばく露した試験において、両動物種とも母動物の一般毒性として体重増加抑制が観察されたが、着床、吸収、同腹仔数などの生殖指標への悪影響はなく、催奇形性および胎児毒性の証拠は見出されなかった(EHC 146 (1993))。(GHS分類:区分外)

特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)

ヒトでの情報として、低濃度の吸入ばく露は中枢神経系の抑制を起こし(EHC 146 (1993))、事故による高用量の中毒は急性神経症状を引き起こす(ACGIH (2005))。ラットを用いた急性経口毒性試験(LD50: 110~250 mg/kg)で、し眠、円背位、運動失調、振戦の症状があり(IUCLID (2000))、経皮投与(LD50: 800~2000 mg/kg)でも、し眠、円背位、運動失調に加え、正向反射の消失を示した(EHC 146 (1993)、IUCLID (2000))。これらのラットの急性毒性試験では神経系症状のほか、経口、経皮および吸入の3経路において呼吸数減少が認められ、生存例の剖検所見として経口および経皮投与で肺のうっ血、吸入投与で肺の蒼白と腫脹(EHC 146 (1993)、IUCLID (2000))。(GHS分類:区分1(神経系、肺))

特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)

ラットに13週間反復経口投与した試験において、15 mg/kg/day以上で前胃の基底膜近位で基底細胞の過形成と単核細胞の隆起が認められ(ACGIH (2005))、2年間投与で25または50 mg/kg/dayで、非腫瘍性病変として前胃の基底細胞または上皮の過形成が認められた(NTP TR 269 (1985))。ヒトの情報として健康状態良好な1人の農夫が30日間にわたり本物質の土壌処理の間、ホースから漏れた少量のばく露により、耳、鼻粘膜、咽頭に疼痛が現れ、入院検査により外耳の痛み、充血、鼻粘膜の表在性潰瘍および咽頭の炎症が明らかとなった(EHC 146 (1993))。ラットおよびマウスに13週間吸入(蒸気)ばく露した試験において、両動物種とも409 mg/m3以上で嗅上皮の変性と気道上皮の過形成が観察された(EHC 146 (1993))。また、マウスの13週間吸入試験では同用量で膀胱の移行上皮の過形成も認められ、この膀胱の所見は2年間吸入ばく露試験においても報告され(IARC 71 (1999))、吸入による主要標的組織は鼻粘膜と膀胱であるとの記載(EHC 146 (1993))がある。なお、2年間の経口投与後に前胃では扁平上皮の乳頭腫または癌腫、膀胱では移行上皮細胞癌の発生率が増加(NTP TR 269 (1985))。(GHS分類:区分2(胃、上気道、膀胱))

吸引性呼吸器有害性

データなし。(GHS分類:分類できない)

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

魚毒性
LC50 - Pimephales promelas (ファットヘッドミノウ) - 0.71 mg/l - 96.0 h
備考: (ECOTOX データベース)
ミジンコ等の水生無脊
EC50 - Daphnia magna (オオミジンコ) - 0.09 mg/l - 48 h
椎動物に対する毒性
備考: (ECOTOX データベース)

12.2 残留性・分解性

データなし

12.3 生体蓄積性

データなし

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
内容物及び容器は、関連法規及び各自治体の条例等の規制に従い、産業廃棄物として適切に処理すること。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): 1992    IMDG (海上規制): 1992    IATA-DGR (航空規制): 1992

14.2 国連輸送名

IATA-DGR (航空規制): Flammable liquid, toxic, n.o.s. (1,3-Dichloropropene)
IMDG (海上規制): FLAMMABLE LIQUID, TOXIC, N.O.S. (1,3-Dichloropropene)
ADR/RID (陸上規制): FLAMMABLE LIQUID, TOXIC, N.O.S. (1,3-ジクロロプロペン)

14.3 輸送危険有害性クラス

(6.1) (6.1)
ADR/RID (陸上規制): 3    IMDG (海上規制): 3 (6.1)    IATA-DGR (航空規制): 3

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): III IMDG (海上規制): III IATA-DGR (航空規制): III

14.5 環境危険有害性

非該当
ADR/RID: 非該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当

14.6 特別の安全対策

なし

14.7 混触危険物質

金属, 強酸化剤

15. 適用法令

労働安全衛生法

名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3) 変異原性が認められた既存化学物質(法第57条の5、労働基準局長通達)

化審法

第2種監視化学物質(法第2条第5項)(政令番号:2監-381)

大気汚染防止法

揮発性有機化合物 法第2条第4項 (平成14年度VOC排出に関する調査報告)

水質汚濁防止法

有害物質(法第2条、令第2条、排水基準を定める省令第1条)

海洋汚染防止法

有害液体物質(X類物質)(施行令別表第1)

化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)

第1種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)(政令番号:1-179)(旧政令番号:1-137 )

消防法

第4類引火性液体、第二石油類非水溶性液体(法第2条第7項危険物別表第1・第4類)

船舶安全法

引火性液体類(危規則第3条危険物告示別表第1)

航空法

引火性液体(施行規則第194条危険物告示別表第1)

16. その他の情報

略語と頭字語

TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物
IATA:国際航空運送協会
EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
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