急性毒性
経口
GHS分類: 区分3
ラットのLD50値として、27~180 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、71 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)) との2件の報告がある。1件が区分3に該当し、もう1件は区分を特定できないので、区分3とした。
経皮
GHS分類: 区分3
ウサギのLD50値として、0.12~0.41 mL/kg (115-394 mg/kg) (PATTY (6th, 2012))、0.22 mL/kg (211 mg/kg) (ACGIH (7th, 2001)) との2件の報告がある。1件が区分3に、もう1件は区分を特定できないので、区分3とした。旧分類根拠となっているLD50値の単位はmg/kgではなく、mL/kgであったので、修正して区分を見直した。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外
GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 区分1
ラットのLC50値 (6時間) として、6.1 ppm (4時間換算値:7.5 ppm) との報告 (PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2001)) に基づき、区分1とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (457,895 ppm) より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 区分2
ウサギの耳介に本物質を30分間適用した結果、紅斑や浮腫がみられ、壊死がみられたとの記載がある (HSDB (Access on August 2015))。また、本物質はヒトの皮膚に刺激性を有するとの記載がある (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on August 2015))。以上より区分2とした。なお、本物質は、EU CLP分類において「Skin. Irrit. 2 H315」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 区分1
本物質はヒトの眼に非可逆的な損傷を与えるとの記載や (ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on August 2015))、眼に強度の刺激性を有するとの記載がある (HSDB (Access on August 2015))。また、ボランティアに本物質 (1.75-5 ppm) をばく露した結果、眼刺激性がみられたとの報告がある (PATTY (6th, 2012))。以上、非可逆的な損傷との記載から、区分1とした。なお、本物質は、EU CLP分類において「Eye Dam. 1 H318」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。
呼吸器感作性
GHS分類: 区分1
本物質のばく露により喘息が引き起こされるとの記載が複数ある (HSDB (Access on August 2015)) ことから区分1とした。なお、本物質は、EU CLP分類において「Resp. Sens. 1 H334」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。
皮膚感作性
GHS分類: 区分1
モルモットを用いた皮内感作試験で、全ての供試動物 (16匹) に免疫反応がみられたとの報告や (ACGIH (2001))、ヒトにおいても感作性を引き起こすとの記載がある (HSDB (Access on August 2015)) ことから区分1とした。なお、本物質は、EU CLP分類において「Skin sens. 1 H317」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 区分2
In vivoでは、ヒト疫学事例で、本物質ガスにばく露されたヒトの末梢血リンパ球で染色体異常発生頻度が高かったという2例の報告がある (HSDB 2005))。吸入ばく露による雌雄マウス骨髄細胞、末梢血赤血球の小核試験で陰性の結果 (NTP DB (Access on August 2015))、並びに高用量でのみ弱いが有意な小核の増加が認められた (NTP DB (Access on August 2015))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陽性である (ACGIH (7th, 2001)、NTP DB (Access on August 2015)、PATTY (6th, 2012))。以上より、in vivoの体細胞変異原性陽性結果があることから、区分2とした。
発がん性
GHS分類: 分類できない
ラット又はマウスを用いた本物質の吸入経路による2年間発がん性試験において、雄ラットのみで副腎髄質の褐色細胞腫、及び膵臓腺房細胞の腺腫の発生頻度に僅かな増加がみられたのみで、雌ラット及び雌雄マウスには腫瘍発生の増加はみられなかった (HSDB (Access on August 2015))。米国EPAはヒトで利用可能な情報がないこと、また実験動物での上記の結果を基に、グループDに分類した (EPA Technology and Transfer Network Air Toxic Website (Access on August 2015)) が、他の機関による分類結果はない。以上より、本項は分類できないとした。
生殖毒性
GHS分類: 区分1B
インドの工場での事故により本物質にばく露された可能性がある付近住民の妊婦を対象とした聞き取り調査の結果、死産、自然流産の増加、並びに出産後の新生児死亡率の増加が報告されている (EPA Technology and Transfer Network Air Toxic Website (Access on August 2015)、HSDB (Access on August 2015))。実験動物でも妊娠マウスに単回 (妊娠8日)、又は4日間 (妊娠14~17日) 吸入ばく露した試験で、母動物毒性の有無に関わらず、胎児に体重の低値、又は死亡率の軽度増加など胎児毒性がみられたとの記述がある (EPA Technology and Transfer Network Air Toxic Website (Access on August 2015)、HSDB (Access on August 2015))。以上より、疫学調査の事例は事故による1件のみであるが、結果は動物実験である程度裏づけられたものと考えられ、本項は区分1Bとした。
なお、EU CLP分類では、Repr. 2 とされている (ECHA CL Inventory (Access on August 2015))。