急性毒性
経口
【分類根拠】 (1)~(3)より、区分に該当しない(国連分類基準の区分5)。
【根拠データ】 (1)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(GLP)(厚生労働省 既存点検結果 (不明)、SIAR (2013)) (2)ラット(雄)のLD50:2,830 mg/kg(SIAR (2013)、AICIS IMAP (2015)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022)) (3)ラットのLD50:> 5,000 mg/kg(OECD TG 401)(SIAR (2013)、AICIS IMAP (2015)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))
経皮
【分類根拠】 (1)より、区分を特定できず、分類できない。
【参考データ等】 (1)モルモットのLD50:> 1,000 mg/kg(REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、閉塞、4時間適用、72時間観察)において、皮膚刺激性影響はみられなかった(紅斑・痂皮スコア:0/0/0、浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(SIDS Dossier 2013)、SIAR (2013) 、AICIS IMAP (2015)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
【参考データ等】 (2)EpiDermSCTを用いたin vitro 皮膚腐食性試験(OECD TG 431、GLP)において、T=3分 細胞生存率R=105%、T=60分 細胞生存率R=105%(非腐食性物質に相当)との報告がある(SIDS Dossier (2013) 、SIAR (2013)、AICIS IMAP (2015)、REACH登録情報 (Accessed 2022))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、7日間観察)において、みられた影響は7日以内に回復した(角膜混濁スコア:0/0/1、虹彩炎スコア:0/0/0、結膜発赤スコア:1.3/1.3/2、結膜浮腫スコア:1.3/1.3/1.3)との報告がある(SIAR (2013) 、AICIS IMAP (2015)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
呼吸器感作性
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)マウス(n=5/群)を用いた局所リンパ節試験(LLNA)(OECD TG 429、GLP)において、刺激指数(SI値)は1.39(5%)、1.90(10%)及び1.68(25%)であったとの報告がある(SIDS Dossier (2013)、SIAR (2013) 、AICIS IMAP (2015)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 (1)、(2)より、染色体異常はin vivoでは生じないと判断されることから、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)In vivoでは、ラットの骨髄細胞を用いた小核試験(OECD TG474、GLP:2回(24時間間隔)強制経口投与、最大2,000 mg/kg)で陰性(厚労省既存点検結果 (2010)、SIAR (2013)、AICIS IMAP (2015))、及びマウスの骨髄細胞を用いた小核試験(OECD TG474、GLP:単回強制経口投与、最大2,000 mg/kg)で陰性(SIAR (2013)、AICIS IMAP (2015))との報告がある。 (2)In vitroでは、5菌株の細菌を用いた復帰突然変異試験(OECD TG471、GLP)で陰性(厚労省既存点検結果 (1999)、SIAR (2013))、その他5つの試験で陰性(SIAR (2013) 、AICIS IMAP (2015))、2種のほ乳類培養細胞(チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、マウスリンパ腫細胞L5178株)を用いた遺伝子突然変異試験で陰性(S9+/-)(SIAR (2013)、AICIS IMAP (2015)、REACH登録情報)、チャイニーズハムスター肺由来細胞(CHL/IU)を用いた染色体異常試験で連続処理(24時間)条件下で細胞毒性がみられる高濃度で弱い染色体異常がみられたとの報告(厚労省既存点検結果 (1999)、SIAR (2013))、CHO細胞を用いた染色体異常試験でも細胞毒性のない濃度で用量依存性のある染色体異常がみられたとの報告がある(SIAR (2013)、REACH登録情報)。
発がん性
データ不足のため分類できない。
生殖毒性
【分類根拠】 (1)~(3)より、区分1Bとした。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた強制経口投与による拡張一世代生殖毒性試験(OECD TG443、GLP、20~180 mg/kg/day)において、一般毒性影響としてF0親動物の雄に盲腸肥大、腎肥大(重量増加)、雌に肝臓相対重量増加のみがみられた最高用量(180 mg/kg/day)で、F0雌に性周期の延長、着床部位数の減少、着床後胚損失の増加、総出産児数の減少及び死産児の増加がみられたとの報告がある。また、F1雌に一般毒性影響がみられなかった最高用量において、性周期の延長、着床部位数の減少、着床後胚損失の増加、及びF2出産児数の減少がみられ、F1雄には最高用量で乳腺の萎縮がみられたとの報告がある。(EU CLP CLH (2020)、REACH登録情報 (2022))。 (2)(1)の拡張一世代生殖毒性試験のための強制経口投与による用量設定予備試験(OECD TG422類似、GLP、30~300 mg/kg/day)において、親動物に一般毒性影響(雌雄:流涎、体重低値、雄:盲腸拡張、腎臓肥大・重量増加、肝臓肥大・重量増加等)がみられた高用量(300 mg/kg/day)群で、雌に性周期の延長、着床部位数の低値、着床後胚損失率の高値及び出産児数の減少がみられたとの報告がある(EU CLP CLH (2020)、REACH登録情報 (Accessed 2022))。 (3)ラットを用いた強制経口投与による生殖毒性スクリーニング試験(OECD TG421、GLP、10~300 mg/kg/day)において、雌雄親動物に一般毒性影響(体重増加抑制、摂餌量減少、盲腸膨満等)がみられる用量(300 mg/kg/day)で、母動物に性周期の延長、不整性周期動物の増加、着床数の低値傾向、着床率の減少、受胎率の減少傾向が、児動物には総出産児数、出産生存児数及び生後4日の生児数に低値傾向がみられたとの報告がある(厚労省既存点検結果 (2000)、SIAR (2013)、AICIS IMAP (2015)、EU CLP CLH (2020))。
【参考データ等】 (4)ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG414、GLP、30~300 mg/kg/day)において、母動物に流涎がみられる最高用量(300 mg/kg/day)で胎児に軽微な発生影響(骨格変異)がみられたとの報告がある(EU CLP CLH (2020)、AICIS IMAP (2015))。 (5)EUではRepr. 1Bに分類されている(CLP分類結果 (Accessed Sep. 2022))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 (1)より、区分2の用量範囲で標的臓器が特定できない影響がみられることから、区分2(全身毒性)とした。
【根拠データ】 (1)ラット(雄)を用いた単回経口投与試験において、1,500及び2,000 mg/kg(区分2の範囲)で1/10例及び2/10例が死亡し、全身症状として排尿増加、流涎、鎮静、呼吸困難、側臥/腹臥位等がみられたとの報告がある(SIAR (2013)、AICIS IMAP (2015)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
【参考データ等】 (2)ラットを用いた単回経口投与試験(GLP)において、2,000 mg/kg(区分2の範囲)で異常はみられなかったとの報告がある(厚生労働省 既存点検結果 (不明)、SIAR (2013))。 (3)ラットを用いた単回経口投与試験(OECD TG 401)において、5,000 mg/kg(区分に該当しない範囲)で呼吸困難、眼球突出、被毛粗剛、円背姿勢がみられたが、死亡例は生じなかったとの報告がある(SIAR (2013)、AICIS IMAP (2015)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分2の用量範囲で消化管への影響がみられることから、区分2(消化管)とした。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた強制経口投与による28日間反復経口投与試験(GLP)において、200 mg/kg/day(90日換算値:62.2 mg/kg/day、区分2の範囲)以上で消化管影響(盲腸の粘膜の過形成及び粘膜上皮の単細胞壊死)、尿蛋白陽性例数の増加、腎臓重量の増加(雄)がみられ、1,000 mg/kg/day(90日換算値:311 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)で血液影響(赤血球数・ヘモグロビン・ヘマトクリットの減少)、肝臓影響(重量増加・小葉中心性肝細胞肥大・髄外造血)、脾臓影響(髄外造血)、副腎影響(重量増加・皮質束状帯細胞肥大)、大腿骨影響(造血亢進)がみられたとの報告がある(厚生労働省 既存点検結果 (1998)、SIAR (2013)、AICIS IMAP (2015)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。 (2)ラットを用いた強制経口投与による生殖毒性スクリーニング試験(OECD TG 421、GLP、投与期間:交配14日前から計45日間(雄)、交配14日前から哺育3日までの計40~46日間(雌))において、60 mg/kg/day(90日換算値:26.6~30.7 mg/kg/day、区分2の範囲)以上で消化管影響(盲腸の膨満・粘膜上皮のび漫性増生)がみられ、300 mg/kg/day(90日換算値:133~153 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)で肝臓影響(小葉中心性肝細胞肥大、重量増加(雄))がみられたとの報告がある(厚生労働省 既存点検結果 (2000)、SIAR (2013))。
【参考データ等】 (3)ラットを用いた強制経口投与による90日間反復経口投与試験(OECD TG 408、GLP)において、100 mg/kg/day(区分2の範囲)以上で有害影響はみられず、300 mg/kg/day(区分に該当しない範囲)以上で、雌に肝臓・血液影響、雄に全身症状(軟便・糞の退色・流涎)・乳腺・盲腸への影響等がみられたとの報告がある(AICIS IMAP (2015)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
誤えん有害性*
データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。