急性毒性
経口
ラットLD50値:3980 mg/kg bw、12300 mg/kg bw(雄)、10800 mg/kg bw(雌)(いずれもEU-RAR 13 (2002))。(GHS分類:区分外(分類JIS基準))
経皮
ウサギLD50値:>10,300 mg/kg bw(EU-RAR 13(2002))。(GHS分類:区分外)
吸入
吸入(ガス): GHSの定義における液体である。(GHS分類:分類対象外)
吸入(蒸気): ラットの飽和蒸気圧濃度(5.46 mg/L/8h = 7.72 mg/L/4h)で死亡なし(EU-RAR 13(2002))。(GHS分類:データ不足で分類できない。)
吸入(ミスト): ラットLC50値:>8.99 mg/L/4時間(IUCLID (2000))なお、ばく露濃度(5.995 mg/L/8時間)は飽和蒸気圧濃度(5.46mg/L)を超えるのでミストとみなした。(GHS分類:区分外(分類JIS基準))
皮膚腐食性・刺激性
ウサギの皮膚に試験物質0.5 mLを4時間適用した試験(OECD TG 404; GLP)で刺激性なし(not irritating)(EU-RAR 13(2002)、IUCLID (2000))。(GHS分類:区分外)
眼に対する重篤な損傷・刺激性
ウサギに試験物質0.1 mLを適用した試験(OECD TG 405; GLP)で角膜には影響なく、結膜に中等度の刺激性と虹彩に軽度の刺激性が認められたが2~3日後に回復し、軽度の刺激性(slightly irritating)(EU-RAR 13(2002)、IUCLID (2000))。(GHS分類:区分2B)
呼吸器感作性又は皮膚感作性
呼吸器感作性:データなし。(GHS分類:分類できない)
皮膚感作性:26人のボランティアによる皮膚感作性試験(maximization test)において惹起処理後に陽性反応は認められず(EU-RAR 13(2002))、また、モルモットを用いた皮膚感作性試験(maximization test)において感作性を示さなかった(IUCLID(2000))。しかし、前者のヒトの試験では得られた情報は試験の摘要のみで、評価書中の結論にもヒトで確かなデータは得られていない(EU-RAR 13(2002))との記載がある。(GHS分類:データ不足で分類できない。)
生殖細胞変異原性
エームステストで陰性(JECFA 974(2000)、(EU-RAR 13(2002))、チャイニーズハムスターの肺細胞(CHL)ならびにV79細胞を用いた染色体異常試験でいずれも陰性(EU-RAR 13(2002))。(GHS分類:in vivoの試験データがなく分類できない。)
発がん性
データなし。(GHS分類:分類できない)
生殖毒性
ラットを用いた経口投与による生殖発生毒性スクリーニング試験(OECD TG 421: GLP)において、性機能および生殖能に対する悪影響の報告はされていないが、最高用量1000 mg/kg/dayでは対照群に比べ着床数の減少に関連する出生仔数の僅かな減少、着床後胚損失率の増加、平均出生率と生存出生率の減少が軽度ながら認められたが、毒性学的意義はないと考えられ、かつ、着床前および着床後胚損失率の程度、胎仔の出生指標はいずれも背景データの範囲内におさまるものであり、ばく露に関連する変化ではないと考えられた(EU-RAR 13(2002))。(GHS分類:データ不足で分類できない。)
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)
ラットの経口投与による所見として、10000 mg/kg以上で随伴性頻呼吸、し眠、重度の下痢などの症状と死亡の発生が見られたが、8000 mg/kg bwでは中等度~重度の下痢、2000-4000 mg/kg bwでは中等度の下痢のみでその他の影響については記載されていない(EU-RAR 13 (2002))。(GHS分類:経口投与では区分外に相当するが、データ不足で分類できない。)
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)
ラットを用いた4週間反復経口投与試験(OECD TG 407)では最高用量1000 mg/kg/dayで流涎が見られた以外は、体重、摂餌量、眼底検査、血液・生化学検査、臓器重量、剖検および組織学的検査において試験物質の投与に関連する所見は得られず、NOAELは1000 mg/kg/day (90日換算用量:308 mg/kg/day)と報告されている(EU-RAR 13 (2002))。また、ラットに28日間混餌投与した試験では最高用量1000 mg/kg/dayで試験物質ばく露の影響が認められたものの毒性学的意義は不明であり、明確に試験物質の有害性を示すものではないと結論され、NOAELは1000 mg/kg/day (90日換算用量:311 mg/kg/day)と報告されている(EU-RAR 13 (2002))。(GHS分類:経口経路では区分外に相当するが、データ不足で分類できない。)
吸引性呼吸器有害性
データなし。(GHS分類:分類できない)