急性毒性
経口
ラットを用いた経口投与試験のLD50値1,200 mg/kg (SIDS(1991))、2,730 mg/kg (EHC 169(1996))のうち、低い値1,200 mg/kgから区分4とした。
経皮
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50値 約600 mg/kg (SIDS(1991))、580 mg/kg (EHC 169(1996))から、区分3とした。
吸入
吸入(ガス): GHS定義上の固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
吸入(蒸気): データがないので分類できない。
吸入(粉じん): データがないので分類できない。
皮膚腐食性・刺激性
ウサギを用いた皮膚刺激性・腐食性試験(OECD TG 404、GLP)において、PII:6.0, 6.78から「highly irritating」 (ECETOC TR66(1995)、IUCLID(2000))と記述されているが、回復性に関する記述がないので区分2とした。
眼に対する重篤な損傷・刺激性
ウサギを用いた眼刺激性・腐食性試験(OECD TG 405、GLP)において、「Modified Maximum Average Scores:16.00;moderately irritating、59.17;irritating、60.50;irritating」(ECETOC TR48(1992)、IUCLID(2000))と記述されているので区分2とした。
呼吸器感作性又は皮膚感作性
呼吸器感作性:データがないので分類できない。
皮膚感作性: モルモットを用いたMaximization 試験で皮膚感作性を示さない(ECETOC TR77(1999))と記述されているので区分外とした。
生殖細胞変異原性
生殖細胞in vivo変異原性試験の小核試験で陰性(SIDS(1991)、EHC 169(1996))と記述されているので区分外とした。
発がん性
主要な国際的評価機関による評価がなされておらず、データが不十分なので分類できない。 なお、「長期試験は行われているが、発がん性評価には不十分である。動物に混餌投与した試験では、アルキルサルフェイトの発がん性の証拠は得られなかった」(EHC 169(1996))旨の記述がある。
生殖毒性
EHC 169(1996)に記載の一次文献(東京衛研年報 (1976))によると、「マウス皮膚塗布による催奇形性試験において、母動物の体重増加が抑制された用量で、受胎率の低下、胎仔重量が低下し、発育遅延を認めた。口蓋裂や骨化遅延もみられるが有意なものではなく、本実験の口蓋裂の発生や着床の問題も含め、経口投与での試験の必要性がある」旨の記述があり、データ不足から分類できない。
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)
マウス、ウサギ、モルモットでのエアロゾルばく露で気道刺激性がみられる(IUCLID(2000))、短期ばく露で気道刺激性がみられる(ICSC(1997))との記述から区分3(気道刺激性)とした。
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)
ラットを用いた2週間混餌投与試験において「肝臓重量増加がみられたラットの病理組織検査で、肝細胞がわずかに腫脹し分裂肝細胞数が増加していた。これらは本物質の投与に順応したものと考えられる。また、腎尿細管の上皮細胞の空胞変性、腎糸球体の萎縮がみられた」(EHC 169(1996))旨の記述がある。これらの症状は区分2のガイダンス値の範囲内で見られているが、肝臓における症状は、本物質の投与による有害影響とは考えられないので採用せず、区分2(腎臓)とした。 なお、ウサギを用いた3ヶ月間経皮投与試験では「用量依存性の皮膚刺激性がみられた」(EHC 169(1996))旨のみ記述されている。
吸引性呼吸器有害性
データがないので分類できない。