安全データシート

2-メルカプトピリジンN-オキシドナトリウム

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: 2-メルカプトピリジンN-オキシドナトリウム
  • CB番号: CB3352724
  • CAS: 3811-73-2
  • EINECS番号: 223-296-5
  • 同義語: ナトリウムピリチオン,ピリチオンナトリウム

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 防菌・防カビ・防藻剤 (NITE-CHRIPより引用)
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
物理化学的危険性
-
健康に対する有害性
急性毒性(経口)   区分4
急性毒性(経皮)   区分4
急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)   区分3
皮膚腐食性/刺激性   区分2
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性   区分2
皮膚感作性   区分1
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)   区分1(神経系)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)   区分1(神経系)
分類実施日(環境有害性)
ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
環境に対する有害性
水生環境有害性 短期(急性)   区分1
水生環境有害性 長期(慢性)   区分2

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS07
注意喚起語
警告
危険有害性情報
H302 飲み込むと有害。
H315 皮膚刺激。
H319 強い眼刺激。
H335 呼吸器への刺激のおそれ。
注意書き
安全対策
P261 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264 取扱い後は皮膚をよく洗うこと。
P270 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
P280 保護手袋/保護眼鏡/保護面を着用すること。
応急措置
P301 + P312 + P330 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。口をすすぐこと。
P302 + P352 皮膚に付着した場合:多量の水で洗うこと。
P304 + P340 + P312 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し,呼吸しやすい姿勢で休息させること。 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P305 + P351 + P338 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P332 + P313 皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
P337 + P313 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
保管
P403 + P233 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P405 施錠して保管すること。
廃棄
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C5H4NNaOS
  • 分子量: 149.15 g/mol
  • CAS番号: 3811-73-2
  • EC番号: 223-296-5
  • 化審法官報公示番号: 9-1473
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸入後は新鮮な空気を吸うこと。
皮膚に付着した場合
皮膚に接触した場合: すべての汚染された衣類を直ちに脱ぐこと。 皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
眼に入った場合
眼に触れた後は多量の水ですすぐこと。 眼科医の診察を受けること。 コンタクトレンズをはずす。
飲み込んだ場合
飲み込んだ後はただちに水を飲ませること(多くても2杯) 医師に相談する。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

使ってはならない消火剤
本物質/混合物に対する消火剤の制限なし
適切な消火剤
水 泡 二酸化炭素(CO2) 粉末

5.2 特有の危険有害性

炭素酸化物
窒素酸化物(NOx)
硫黄酸化物
酸化ナトリウム
可燃性。
火災時に有害な燃焼ガスや蒸気を生じるおそれあり。

5.3 消防士へのアドバイス

自給式呼吸器がある場合のみ危険区域に留まってもよい。安全なゾーンまで離れるか適切な保護衣を着用して、皮膚に触れないようにすること。

5.4 詳細情報

ガス/蒸気/ミストを水スプレージェットで抑える(除去する)。 消火水が、地上水または地下水のシステムを汚染しないようにする。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

救急隊員以外への助言: ほこりを吸い込まないこと。 触れないようにすること。 十分な換気を確保する。 危険なエリアから避難し、緊急時手順に従い、専門家に相談のこと個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

物質が排水施設に流れ込まないようにする。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

排水溝に蓋をすること。こぼれたら集めて結合させ、ポンプですくい取る。 物質の制限があれば順守のこと (セクション 7、10参照) 乾燥剤で処置すること。正しく廃棄すること。関係エリアを清掃のこと。ほこりを生じないようにすること。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管条件
密閉のこと。 乾燥。

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
許容濃度が設定されている物質を含有していない。

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔
を洗うこと。
保護具
眼/顔面の保護
NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、認められた眼の
保護具を使用する。 保護眼鏡
皮膚及び身体の保護具
本推奨は、当社発行の安全データシート,に記載されている製品およびその指定の使用法のみに
適用される。溶解、他の物質との混合、およびEN374に記載の逸脱条件での使用については、
CE認証手袋のサプライヤに問い合わせのこと(例. KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, Internet:
www.kcl.de)
フルコンタクト
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 480 min
試験物質:KCL 741 Dermatril® L
飛沫への接触
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 480 min
試験物質:KCL 741 Dermatril® L
身体の保護
保護衣
呼吸用保護具
ほこりが生じた際に必要。
次の規格に準拠しているフィルター式呼吸器保護具を推奨します。DIN EN 143、DIN 14387お
よび使用済み呼吸器保護システムに関連する他の付属規格。
環境暴露の制御
物質が排水施設に流れ込まないようにする。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

物理状態
固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
白色
臭い
悪臭

融点/凝固点

加熱分解する(GESTIS(2022))

沸点、初留点及び沸騰範囲

データなし

可燃性

可燃性(GESTIS(2022))

爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界

データなし

引火点

データなし

自然発火点

データなし

分解温度

データなし

pH

データなし

動粘性率

データなし

溶解度

水: 646.6 g/l(20℃)(GESTIS(2022))

n-オクタノール/水分配係数

Log Kow: -0.24(GESTIS(2022))

蒸気圧

データなし

密度及び/又は相対密度

データなし

相対ガス密度

データなし

粒子特性

データなし

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

可燃性有機物質及び製剤に概ね該当:微細に分散し、舞い上がった場合、粉じん爆発を起こす可能性が
通常想定される。

10.2 化学的安定性

標準的な大気条件(室温)で化学的に安定。

10.3 危険有害反応可能性

データなし

10.4 避けるべき条件

情報なし

10.5 混触危険物質

強酸化剤

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
【分類根拠】 (1)~(5)より、区分4とした。
【根拠データ】 (1)ラットのLD50:1000~2000 mg/kg(DFG MAK (2019)) (2)ラット(雌)のLD50:1208 mg/kg(DFG MAK (2019)、NICNAS IMAP (2017)) (3)ラットのLD50:660~900 mg/kg(NICNAS IMAP (2017)) (4)ラットのLD50:980~1120 mg/kg(NICNAS IMAP (2017)) (5)ラットのLD50:1500 mg/kg(NICNAS IMAP (2017))
経皮
【分類根拠】 (1)、(2)より、ラットでは区分に該当しない。(3)より、ウサギでは区分4に該当する。よって有害性の高い区分を採用し、区分4とした。
【根拠データ】 (1)ラットのLD50:> 2000 mg/kg(NICNAS IMAP (2017)) (2)ラットのLD50:2500 mg/kg(NICNAS IMAP (2017)) (3)ウサギのLD50:1800 mg/kg(NICNAS IMAP (2017))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 (1)より、区分3とした。なお、分類にはOECD TG403(GLP準拠)に従って実施された試験である(1)を優先して採用した。
【根拠データ】 (1)ラットのLC50(4時間)(OECD TG403、GLP):0.5~1.0 mg/Lの間(EU CLH提案文書(2019))
【参考データ等】 (2)ラット(雄)のLC50(4時間):1.3 mg/L((NICNAS IMAP (2017)、DFG MAK (2019)) (3)ラット(雌)のLC50(4時間):0.8 mg/L((NICNAS IMAP (2017)、DFG MAK (2019))

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

【分類根拠】 (1)、(2)より、区分2とした。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、半閉塞、4時間適用、14日観察)において、重度の浮腫がみられた(紅斑・痂皮スコア:0/3.3/2.3、浮腫スコア:0/4/1)との報告がある(CLH report (2019)、DFG MAK (2019)、NICNAS IMAP (2017)、REACH登録情報 (Accessed May 2020))。 (2)健常人ボランティアに対して本物質1~2%水溶液を頬、首、手の背面に1滴滴下したところ、10~60%の被験者に回復性の刺激反応(熱感、紅斑)がみられたとの報告がある(NICNAS IMAP (2017))。
【参考データ等】 (3)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、半閉塞、4時間適用、72時間観察)において、軽微な皮膚刺激がみられた(紅斑・痂皮スコア:1/1/1、浮腫スコア:0.3/0.3/0.3)との報告がある(CLH report (2019)、REACH登録情報 (Accessed May 2020))。 (4)ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、4時間適用、72時間観察)において、軽微な皮膚刺激がみられた(紅斑・痂皮スコア:0.7/0.7/0/0.3/0.7/1.7、浮腫スコア:0/0/0/0/0.3/0.7)との報告がある(CLH report (2019))。 (5)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、4時間適用、72時間観察)において、軽微な皮膚刺激がみられた(紅斑・痂皮スコア:0/0.3/0.3、浮腫スコア:0/0/0.3)との報告がある(CLH report (2019))。 (6)In vitro 皮膚刺激性試験(OECD TG 439、GLP)において細胞生存率R=114%との報告がある(CLH report (2019))。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

【分類根拠】 (1)より、区分2とした。なお、(2)~(7)は区分に該当しないことを示唆しているが、(1)の他(2)(3)でも死亡例が報告されており、労働者保護の観点から区分2を付与することとした。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、14日観察)において、2日目に3例が死亡した。回復性の虹彩炎及び回復性の結膜刺激が6例全例にみられた(角膜混濁スコア:-/0/0/0/0/0、虹彩炎スコア:-/0/0/1/0/0、結膜発赤スコア:-/2/3/2/1.7/2、結膜浮腫スコア:-/0/0.3/1/0.3/0.7)との報告がある(CLH report (2019)、NICNAS IMAP (2017))。
【参考データ等】 (2)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(EPA OPP 81-4)において、4例が24時間以内に死亡した。角膜混濁は1時間後以降全例にみられず、生存例では試験期間中を通してみられなかった。虹彩炎は1時間後に4/6例でみられたが(平均スコア:1)、24時間後まで影響がみられた生存1例ではその後回復した。結膜病変は雄では72時間後まで(発赤及び浮腫の24/48/72hの各平均スコア:1.67)、雌では24時間後まで(24/48/72hの平均スコア:1)みられた。生存例では、眼刺激影響は7日後には消失していたとの報告がある(CLH report (2019)、NICNAS IMAP (2017))。 (3)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、72時間観察)において、2日目に2例が死亡した。回復性の角膜混濁が1例、回復性の虹彩炎が2例に、また回復性のある結膜刺激が全例にみられた(角膜混濁スコア:0/0.3/0/0/0/0、虹彩炎スコア:1/0/0/1/0/0、結膜発赤スコア:2/0/0/1/0/0.3、結膜浮腫スコア:1/0/0/0/0/0)との報告がある(CLH report (2019)、NICNAS IMAP (2017))。 (4)サル(n=3)を用いた眼刺激性試験(EPA OPP 81-4、GLP、7日観察)において、結膜刺激が2例にみられたが、7日以内に回復した(角膜混濁スコア:0/0/0、虹彩炎スコア:0/0/0、結膜発赤スコア:1/1.3/0、結膜浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(CLH report (2019)、NICNAS IMAP (2017))。 (5)ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、7日観察)において、結膜刺激が3例にみられたが、7日以内に回復した(角膜混濁スコア:0/0/0、虹彩炎スコア:0/0/0、結膜発赤スコア:1.7/1.7/1.7、結膜浮腫スコア:1/0.7/0.3)との報告がある(CLH report (2019))。 (6)ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、7日観察)において、結膜刺激が3例にみられたが、2日以内に回復した(角膜混濁スコア:0/0/0/、虹彩炎スコア:0/0/0、結膜発赤スコア:0/0.3/0.3、結膜浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(CLH report (2019))。 (7)In vitro 眼刺激性試験(OECD TG 437)において、in vitro 刺激性スコア(IVIS)=0.8との報告がある(CLH report (2019))。 (8)EU CLHでは(1)を根拠に区分2が提案されている(CLH repot (2019))。

呼吸器感作性

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

【分類根拠】 (1)、(2)より、区分1とした。なお、(2)は区分1Aを支持し、(1)は区分1Bを支持するが、(2)は細胞操作中のエラーにより最高用量(25%)のSI値を欠損していることから、現状得られているデータでは細区分のための情報は十分ではないと判断した。
【根拠データ】 (1)マウス(n=5)を用いた局所リンパ節試験(LLNA)(OECD TG 429、GLP)において、刺激指数(SI値)は1.0(5%)、1.8(10%)、2.5(15%)、7.2(25%)、EC3値は16%と算出されたとの報告がある(CLH Report (2019))。 (2)マウス(n=4)を用いた局所リンパ節試験(LLNA)(OECD TG 429相当、GLP)において、刺激指数(SI値)は1.6(0.25%)、4.6(2.5%)、EC3値は1.3%と算出されたとの報告がある(CLH Report (2019))。
【参考データ等】 (3)手又は前腕に皮膚炎のある金属工業労働者230名に対する本物質1%溶液を用いたパッチテストにおいて、感作反応はみられなかったとの報告がある(DFG MAK (1998)、NICNAS IMAP (2017))。 (4)冶金工業で10年間作業をしていた女性作業者1名に対する本物質0.3%溶液を用いたパッチテストにおいて、48、72、96時間後に明らかな陽性反応が認められたが、同じ溶液を用いてボランティア(10名)に対してパッチテストを行ったところ、感作反応はみられなかったとの報告がある(DFG MAK (1998)、NICNAS IMAP (2017))。 (5)健康成人男子100名に対する本物質1%溶液を用いたパッチテスト(上腕部、閉塞、24時間適用、30日間で15回塗布)で感作を誘導し、2週間後に惹起(0.5%溶液、閉塞、24時間)させたところ、パッチ除去後24、48時間後に感作反応はみられなかったとの報告がある(DFG MAK (1998)、NICNAS IMAP (2017))。 (6)過去に本物質を含む金属加工油に接触し手に皮膚炎を発症している作業者115名に対する本物質0.1%溶液を用いたパッチテスト(閉塞、48時間適用)において、48及び96時間後に感作反応はみられなかったとの報告がある(DFG MAK (1998)、NICNAS IMAP (2017))。 (7)モルモット(n=20)を用いたMaximisation試験(皮内投与:5%溶液)において、経皮適用による感作誘導期に適用後4例が死亡した。惹起終了後24及び48時間後の陽性率はいずれも0%(試験群0/16例 vs 対照群1/10例(極軽度の紅斑)) であったとの報告がある(DFG MAK (1998))。 (8)モルモットを用いたMaximisation試験において、皮膚刺激性のみられる用量レベルまで感作性はみられなかったとの報告がある(EPA Pesticide RED (1995))。 (9)モルモット(n=10)を用いたMaximisation試験(OECD TG 406)において、感作誘導期に軽度から重度の紅斑がみられた。惹起後24及び48時間後の陽性率はそれぞれ20%(2/10例)及び30%(3/10例)であった。との報告がある(CLH Report (2019)、DFG MAK (1998)、NICNAS IMAP (2017))。 (10)EU CLHでは、(2)から区分1Aが示唆されるが、低いEC3値を支持する情報が十分ではないため、区分1が提案されている(CLH Report (2019))。

生殖細胞変異原性

【分類根拠】 (1)~(5)のデータから、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) マウス骨髄小核試験(単回強制経口投与および単回腹腔内投与)においてそれぞれ陰性の報告がある(NICNAS IMAP(2017))。 (2)細菌を用いた復帰突然変異試験において陰性の報告がある(NICNAS IMAP(2017))。 (3)ほ乳類培養細胞を用いた遺伝子突然変異試験において陰性の報告がある(NICNAS IMAP(2017))。 (4)ほ乳類培養細胞を用いた染色体異常試験において陽性の報告がある(NICNAS IMAP(2017))。 (5) In vitroのラット初代肝細胞を用いたUDS試験において陰性の報告がある(NICNAS IMAP(2017))。

発がん性

【分類結果】 (1)~(3)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)SDラットの104週間強制経口投与慢性毒性/がん原性併合試験(OECD TG 453, GLP)で、1.5 mg/kg以上:全身毒性(骨格筋の消耗、坐骨神経・網膜の萎縮、脊髄の変性)の最高投与群まで、投与に関連した腫瘍性変化なしとの報告がある(EU CLH提案文書(2019)、NICNAS IMAP(2017)、DFG MAK(2019))。 (2)SDラットの104週間強制経口投与慢性毒性/がん原性併合試験(OECD TG 453, GLP)で、1.4 mg/kg以上:全身毒性(骨格筋及び神経の変性など)の最高投与群まで、投与に関連した腫瘍性変化なしとの報告がある(EU CLH提案文書(2019)、NICNAS IMAP(2017)、DFG MAK(2019))。 (3)CD-1マウスの80週間経皮発がん性試験(OECD TG 451, GLP)で、40 mg/kgの投与で表皮の過形成の頻度増加がみられ最高投与群まで、投与に関連した腫瘍性変化なしとの報告がある(EU CLH提案文書(2019)、NICNAS IMAP(2017)、DFG MAK(2019))。
【参考データ等】 (4)EU CLPでは区分に該当しない。

生殖毒性

【分類根拠】 (1)~(4)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)(純度40.8%)ラットを用いた強制経口投与による二世代生殖毒性試験(交配10週間前から試験終了前日まで)において、1.4 mg/kg/day以上でF0、F1親動物に子宮重量増加、腎臓重量増加(雌)、F2児動物には出生児体重の減少、停留精巣がみられたとの報告がある(EU CLH提案文書(2019)、NICNAS IMAP (2017)、REACH登録情報 (Accessed May 2020))。なお、F0親動物の生殖能力低下については、精子パラメータへの影響がみられていないことから、毒性学的な関連性は評価できないとの報告がある(DFG MAK (2019))。 (2)ラットを用いた強制経口投与による二世代生殖毒性試験(交配前11週間及び分娩後25日まで)において、3.5 mg/kgでF0親動物に体重増加抑制、後肢の筋肉萎縮、交尾成立までの時間の増加と交尾及び妊娠成立動物数の減少、F1児動物に児動物数の減少傾向(非有意)、発育指標の遅延傾向(非有意)、体重増加抑制、後肢の筋肉萎縮がみられたとの報告がある(EU CLH提案文書(2019)、NICNAS IMAP (2017))。 (3)ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG414、GLP、妊娠6~19日)において、4 mg/kg/dayで親動物に体重減少、摂餌量減少、自発運動低下、衰弱及び子宮重量減少がみられたが、児動物には軽微な影響(胎児体重の低値及び骨化遅延)のみがみられたとの報告がある(EU CLH提案文書(2019)、NICNAS IMAP (2017))。 (4)ウサギを用いた経皮投与による発生毒性試験(妊娠6~19日)において、5 mg/kg/dayで発生毒性がみられなかったとの報告がある(EU CLH提案文書(2019)、NICNAS IMAP (2017))。

特定標的臓器毒性 (単回ばく露)

【分類根拠】 (1)、(3)より、振戦、後肢機能障害がみられており、区分1(神経系)とした。(1)~(3)の一部症状(嗜眠、流涎、瞳孔拡張など)もこれを支持する所見と考えた。また、(3)はLC50値より区分1の範囲と考えられるため、区分1(神経系)とした。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた複数の単回経口投与試験において、運動失調、円背姿勢、嗜眠、振戦、流涎、流涙、下痢、筋緊張度の変化、立毛及び努力呼吸の非致死影響がみられたとの報告がある(NICNAS IMAP(2017))。 (2)ラットを用いた複数の単回経皮ばく露試験において、嗜眠、鼻から分泌物、鼓張、下痢、眼瞼下垂、瞳孔拡張の非致死影響がみられたとの報告がある(NICNAS IMAP (2017))。 (3)ラットを用いた複数の単回吸入ばく露試験(粉塵)において、流涎、顔面・腹部・生殖器周囲の汚染、後肢の機能障害 (Hindlimb impairment)、衰弱、嗜眠、立毛、色素涙、眼瞼下垂、振戦、異常歩行及び黄斑紅斑の非致死影響が見られ、雌のLC50(4時間)は0.5~1.0 mg/Lであったとの報告がある(EU CLH提案文書(2019)、DFG MAK (2019))。

特定標的臓器毒性 (反復ばく露)

【分類根拠】 (1)、(2)、(4)、(5)より、ラットでは経口、経皮、吸入の各経路で区分1の用量から神経毒性とそれによる筋肉萎縮が認められたことから、区分1(神経系)とした。なお、(2)、(3)でみられている軽度の血液影響は標的臓器として採用しなかった。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた強制経口投与による90日間経口投与試験において、2 mg/kg/day以上(区分1の範囲)で後肢の上部筋の萎縮が、8 mg/kg/day(区分1の範囲)では後肢の運動失調から麻痺を生じた例がみられたため切迫屠殺された。この試験で生じた後肢の骨格筋萎縮は神経原性萎縮(neurogenic atrophy)と考えられ、神経毒性の生じないNOELは0.5 mg/kg/dayと報告されている(NICNAS IMAP (2017)、EPA Pesticide RED (1995))。 (2)ラットを用いた強制経口投与による2年間経口投与試験において、0.5 mg/kg/day以上(区分1の範囲)で血液影響(赤血球数・Hb・Ht減少)とCPK増加が、1.5 mg/kg/day以上(区分1の範囲)で雄に後肢の筋肉萎縮が、3.5 mg/kg/day以上(区分1の範囲)で後肢の筋肉萎縮、脊髄の神経線維の萎縮、雌雄に後肢の脆弱、坐骨神経の変性、網膜萎縮等がみられたとの報告がある(EU CLH提案文書(2019)、DFG MAK (2019)、NICNAS IMAP (2017))。 (3)カニクイザルを用いて52週間強制経口投与した試験において、血液影響として5 mg/kg/day以上(区分1の範囲)で赤血球数減少が、25 mg/kg/day(区分2の範囲)で雌雄にHb・Ht減少がみられたが、神経・骨格筋への影響は雄の150 mg/kg/day、雌の75 mg/kg/dayまでの用量で認められなかったとの報告がある(EU CLH提案文書(2019)、DFG MAK (2019))。 (4)ラットを用いて90日間経皮投与(6時間/日)した試験において、50 mg/kg/day群(区分2の範囲)(雌では15 mg/kg/day以上(区分1の範囲)の群)で肉眼的に筋肉の減少がみられ、病理組織検査で後肢の上部筋肉及び皮下の筋層の萎縮が50 mg/kg/day群で顕著に、15 mg/kg/day群でもより軽度に認められた。50 mg/kg/day群の雌では坐骨神経の変性が神経幹内の一本一本の神経線維にまで及んでいたとの報告がある(NICNAS IMAP (2017))。 (5)ラットを用いて90日間吸入ばく露(6時間/日、5日/週)した試験において、高用量群は3.8 mg/m3(0.004 mg/L)で暴露を開始し、6週間後に8.1 mg/m3(0.008 mg/L)に増加させた結果、雄には有害影響はみられなかった、雌には体重増加抑制、後肢の機能障害及び筋肉の変性がみられたとの報告がある(NICNAS IMAP (2017))。
【参考データ等】 (6)本物質の製造に2~13年間従事した作業者男性9人に毒性症状がみられないとの報告がある(NICNAS IMAP (2017))。

誤えん有害性*

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

データなし

12.2 残留性・分解性

データなし

12.3 生体蓄積性

データなし

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
内容物及び容器は、関連法規及び各自治体の条例等の規制に従い、産業廃棄物として適切に処理すること。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): -    IMDG (海上規制): -    IATA-DGR (航空規制): -

14.2 国連輸送名

ADR/RID (陸上規制): 非危険物
IMDG (海上規制): Not dangerous goods
IATA-DGR (航空規制): Not dangerous goods

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): -    IMDG (海上規制): -    IATA-DGR (航空規制): -

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): - IMDG (海上規制): - IATA-DGR (航空規制): -

14.5 環境危険有害性

ADR/RID: 非該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当
非該当

14.6 特別の安全対策

14.7 混触危険物質

強酸化剤
詳細情報
国際輸送に関する国連勧告の定義上は、危険物に該当しない。

15. 適用法令

労働安全衛生法

該当しない

化審法

優先評価化学物質(法第2条第5項)

化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)

第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)(令和5年度分以降の対象)

毒物及び劇物取締法

該当しない

16. その他の情報

略語と頭字語

ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
EC50: 有効濃度 50%
IATA:国際航空運送協会
IMDG: 国際海上危険物
LC50: 致死濃度 50%
LD50: 致死量 50%
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
STEL: 短期暴露限度
TWA: 時間加重平均

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
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