急性毒性
経口
厚労省報告 (Access on October 2008) では、ラットを用いた経口投与試験 (OECD TG 401、GLP) のLD0値は1,821 mg/kg (雄)、1,077 mg/kg (雌) であるが、用量相関性がみられなかった。しかし、 LD50値を≧1,821 mg/kg (雄)、≧1,077 mg/kg (雌) と推定している。また、SIDS (2004) ではラットを用いた経口投与試験のLD50値>5,000 mg/kg、6,420 mg/kgが示されている。さらにPatty (5th, 2001)には「急性毒性(経口) のLD50値は>5,000 mg/kg」である旨の記述がある。以上より、確定値のLD50値6,420 mg/kg を採用し、区分外とした。
経皮
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50値>2,000 mg/kg (SIDS (2004)、Patty (5th, 2001)、IUCLID (2000)) から区分外とした。
吸入
吸入(粉じん): データがないので分類できない。
吸入(蒸気): データがないので分類できない。
吸入(ガス): GHS定義上の固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
皮膚腐食性・刺激性
ウサギを用いた24時間Draize試験で、「moderateの皮膚刺激性」 (SIDS (2004)) との記述があるが、4時間より厳しい条件での結果なので、分類できない。
眼に対する重篤な損傷・刺激性
SIDS (2004) には、ウサギを用いた眼刺激試験で「Not irritating」、Draize試験で「slightly」との記述がある。結論として SIDS (2004) には「slightly irritating to eyes in rabbits」と記述されているので、区分外とした。
呼吸器感作性又は皮膚感作性
皮膚感作性:ヒトについてのデータはない。モルモットを用いたMaximization試験で「Not sensitizing」(SIDS (2004)、IUCLID (2000)) との記述があり、さらに、SIDS (2004) は「皮膚感作性はない」と結論している。また、Patty (5th, 2001) でも、「本物質は皮膚感作性物質ではない」 と結論しているので、区分外とした。
呼吸器感作性:データがないので分類できない。
生殖細胞変異原性
体細胞in vivo変異原性試験(ラット骨髄細胞を用いる染色体異常試験(GLP)) が「陰性」(SIDS (2004)) との記述から、区分外とした。
発がん性
主要な国際的評価機関による評価がなされておらず、「十分な証拠のある研究例はない」(SIDS (2004)、Patty (5th, 2001)、IUCLID (2000)) との結論があるので、分類できない。
生殖毒性
厚労省報告 (Access on October 2008)、SIDS(2004)に、ラットを用いた反復投与毒性試験と生殖・発生毒性スクリーニング試験を組み合わせた試験(OECD TG 422、GLP) において「交尾率および受胎率に変化は認められず、影響はないものと判断された」との記述がある。また、母動物に毒性の発現が認められた投与量での胎児および新生児に対する影響、分娩および哺育の異常については、「一般毒性学的な影響が大きいものと考えられた」との記述がある。しかし、この試験では児動物の催奇形性のデータが不十分である。他の試験データもないため、分類できない。