カイニン酸水和物 化学特性,用途語,生産方法
外観
白色~わずかにうすい褐色, 結晶~粉末
溶解性
水に可溶
解説
(2S,3S,4S)-2-carboxy-4-isopropenyl-3-pyrrolidineacetic acid.C10H15NO4(213.23).紅藻の一種である海人藻Digenea simplexに含まれる(-)-α-カイニン酸のこと.駆虫剤(虫くだし)としての生理活性があり,以前は,小·中学校において寄生虫の集団駆虫に使用された.神経伝達物質のグルタミン酸に構造が似ているため,グルタミン酸の受容体を刺激し,線虫や条虫の運動を麻ひさせる作用がある.また,ほ乳動物に対しても神経興奮性作用があり,大量投与すると大脳海馬の特定領域が破壊される.融点251 ℃(分解).[α]D24"-14.1°.水に可溶,エーテルに不溶.pKa1 2.05,pKa2 4.30,pKa3 10.08.森北出版「化学辞典(第2版)
用途
マクリの有効成分。カイニン酸は,人体寄生虫カイチュウの運動を最初興奮させ,のち麻痺(まひ)させるため,ときにギョウチュウの駆除に用いられたが,現在は使われない。マクリ (海人草)に含まれるアミノ酸の一種。回虫駆除薬。理論的に8種類の光学異性体が存在するが,駆虫有効成分はL-α-カイニン酸である。
1953年村上信三,竹本常松によって,駆虫薬として古くから用いられていたマクリ(カイニンソウ)の有効成分として抽出されたもので,その後合成されてカイチュウ(回虫)に,ときにギョウチュウ(蟯虫),ベンチュウ(鞭虫)にも用いられる。カイチュウの運動を初め興奮させ,後,神経および筋肉に作用して痙攣(けいれん),麻痺をおこし,運動能力を低下させ,腸管の蠕動(ぜんどう)によって体外に虫体を排出させる。サントニンとの併用によって相乗的な効果が得られる。
効能
駆虫薬
確認試験
(1) 本品の水溶液(1→5000)5mLにニンヒドリン試液1mL
を加え,60~70℃の水浴中で5分間加温するとき,液は黄色
を呈する.
(2) 本品0.05gを酢酸(100)5mLに溶かし,臭素試液0.5mL
を加えるとき,試液の色は直ちに消える.
定量法
本品を乾燥し,その約0.4gを精密に量り,温湯50mL
に溶かし,冷後, 0.1mol/L水酸化ナトリウム液で滴定
する(指示薬:ブロモチモールブルー試液10滴).
0.1mol/L水酸化ナトリウム液1mL=21.32mg C
10H
15NO
4
純度試験
(1) 溶状 本品0.10gを水10mLに溶かすとき,液は無色
澄明である.
(2) 塩化物 本品0.5gを白金るつぼにとり,炭酸
ナトリウム試液5mLを加えて溶かし,水浴上で蒸発乾固し
た後,徐々に加熱し,ほとんど灰化するまで強熱する.冷後,
希硝酸12mLを加え,加温して溶かした後,ろ過する.残留
物を水15mLで洗い,ろ液及び洗液を合わせ,水を加えて
50mLとする.これを検液とし,試験を行う.
比較液:0.01mol/L塩酸0.30mLに炭酸ナトリウム試液
5mLを加え,以下同様に操作する(0.021%以下).
(3) 硫酸塩 本品0.5gに水40mLを加え,加温して
溶かし,冷後,希塩酸1mL及び水を加えて50mLとする.こ
れを検液とし,試験を行う.比較液には0.005mol/L硫酸
0.30mLを加える(0.028%以下).
(4) アンモニウム 本品0.25gをとり,試験を行う.
比較液にはアンモニウム標準液5.0mLを用いる(0.02%以下).
(5) 重金属 本品1.0gをとり,第2法により操作し,
試験を行う.比較液には鉛標準液2.0mLを加える(20ppm以
下).
(6) ヒ素 本品1.0gを希塩酸5mLに溶かし,これ
を検液とし,試験を行う(2ppm以下).
(7) アミノ酸又は他のイミノ酸 本品0.10gを水10mLに
溶かし,試料溶液とする.この液2mLを正確に量り,水を
加えて正確に100mLとする.この液1mLを正確に量り,水
を加えて正確に20mLとし,標準溶液とする.これらの液に
つき,薄層クロマトグラフィーにより試験を行う.
試料溶液及び標準溶液10μLずつを薄層クロマトグラフィー
用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に
水/1-ブタノール/酢酸(100)混液(5:4:1)の上層を展開
溶媒として約10cm展開した後,薄層板を風乾する.これに
ニンヒドリンのアセトン溶液(1→50)を均等に噴霧した後,
80℃で5分間乾燥するとき,試料溶液から得た主スポット以
外のスポットは,標準溶液から得たスポットより濃くない.
貯法
容器 気密容器.
乾燥減量
6.5~8.5%(1g,105℃,4時間).
強熱残分
0.1%以下(0.5g).
化学的特性
soluble in 0.1 M NaOH
使用
(-)-α-Kainic Acid is a naturally occurring neuroexcitatory chemical that is an selective agonist for a subtype of ionotropic glutamate receptor. Administration of (-)-α-Kainic Acid has been shown to increase production of reactive oxygen species, mitochondrial dysfunction, and apoptosis in neurons in many regions of the brain, particularly in the hippocampal subregions and in the hilus of dentate gyrus.
生物活性
Selective agonist at kainate receptors. Potent excitant and neurotoxin. Also available as part of the Kainate Receptor Tocriset™ .
純化方法
Purify the acid by adsorbing on to a strongly acidic ion-exchange resin (Merck), elute the diacid with aqueous M NaOH, the eluate is evaporated, H2O is added, and filtered through a weakly acidic ion-exchange resin (Merck). The filtrate is then evaporated and recrystallised from EtOH. Its solubility is 0.1g in 1mL of 0.5N HCl. (±)--Kainic acid is recrystallised from H2O with m 230-260o. UV (MeOH): 219 (log 3.9); max 1HNMR (CCl4, 100MHz, Me4Si standard) : 1.64 (s 1H), 1.70 (s 3H), 3.24 (d J 7.5, 2H), 3.3-4.2 (1H), 3.70 (s 3H), 3.83 (s 3H), 4.35 (dd J 7.5, J 14.5, 1H), 5.21 (t J 7.5, 1H), 7.26 (t J 7.5, 1H). [Oppolzer & Andres Helv Chim Acta 62 2282 1979, Beilstein 22 III/IV 1523.]
カイニン酸水和物 上流と下流の製品情報
原材料
準備製品