安全データシート

アリルグリシジルエーテル

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: アリルグリシジルエーテル
  • CB番号: CB3852688
  • CAS: 106-92-3
  • EINECS番号: 203-442-4
  • 同義語: アリルグリシジルエーテル

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: シランカップリング剤の原料、アクリルゴムのコモノマー、アクリル繊維や羊毛の改質、接着材、塗料用樹脂、ポリウレタンゴゴムの耐寒、耐油化、ポリエーテルゴムのコモノマー等 。
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日
H22.2.19、政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)を使用
物理化学的危険性
火薬類   分類対象外
可燃性・引火性ガス   分類対象外
可燃性・引火性エアゾール   分類対象外
支燃性・酸化性ガス類   分類対象外
高圧ガス   分類対象外
引火性液体   区分3
可燃性固体   分類対象外
自己反応性化学品   区分外
自然発火性液体   区分外
自然発火性固体   分類対象外
自己発熱性化学品   分類できない
水反応可燃性化学品   分類対象外
酸化性液体   分類対象外
酸化性固体   分類対象外
有機過酸化物   分類対象外
金属腐食性物質   分類できない
健康に対する有害性
急性毒性(経口)   区分4
急性毒性(経皮)   区分外
急性毒性(吸入:ガス)   分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気)   区分2
急性毒性(吸入:粉じん)   分類対象外
急性毒性(吸入:ミスト)   分類できない
皮膚腐食性・刺激性   区分2
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性   区分2A
呼吸器感作性   分類できない
皮膚感作性   区分1
生殖細胞変異原性   区分2
発がん性   分類できない
生殖毒性   区分2
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)   区分1(中枢神経系、呼吸器、肝臓、腎臓)
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)   区分1(上気道)
吸引性呼吸器有害性   分類できない
分類実施日
急性毒性:H22.2.19、政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)を使用
慢性毒性:H18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10)を使用
水生環境急性有害性   区分3
水生環境慢性有害性   区分3

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS02GHS05GHS06GHS08
注意喚起語
危険
危険有害性情報
H226 引火性液体及び蒸気。
H302 飲み込むと有害。
H315 皮膚刺激。
H317 アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ。
H318 重篤な眼の損傷。
H331 吸入すると有毒。
H335 呼吸器への刺激のおそれ。
H341 遺伝性疾患のおそれの疑い。
H351 発がんのおそれの疑い。
H361 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い。
H412 長期継続的影響によって水生生物に有害。
注意書き
安全対策
P201 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P210 熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。
P233 容器を密閉しておくこと。
P240 容器を接地しアースをとること。
P241 防爆型の【電気機器/換気装置/照明機器/機器】を使用すること。
P242 火花を発生させない工具を使用すること。
P243 静電気放電に対する措置を講ずること。
P261 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264 取扱い後は皮膚をよく洗うこと。
P270 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
P272 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P273 環境への放出を避けること。
P280 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
応急措置
P301 + P312 + P330 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。口をすすぐこと。
P303 + P361 + P353 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を水【又はシャワー】で洗うこと。
P304 + P340 + P311 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し,呼吸しやすい姿勢で休息させること。 医師に連絡すること。
P305 + P351 + P338 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P308 + P313 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
P333 + P313 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
保管
P403 + P233 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P403 + P235 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P405 施錠して保管すること。
廃棄
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 別名: Allyl 2,3-epoxypropyl ether
    1-Allyloxy-2,3-epoxypropane
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C6H10O2
  • 分子量: 114.14 g/mol
  • CAS番号: 106-92-3
  • EC番号: 203-442-4
  • 化審法官報公示番号: 2-393
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
応急措置担当者は自分が暴露しないよう、適切な防護を行う。 この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸入後は新鮮な空気を吸うこと。ただちに医師の診察を受けること。 呼吸停止時はただちに人工呼吸を実施し、必要に応じて酸素も吸入する。
皮膚に付着した場合
皮膚に接触した場合: すべての汚染された衣類を直ちに脱ぐこと。 皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 医師に相談する。
眼に入った場合
眼に触れた後は多量の水ですすぐこと。 ただちに眼科医の診察を受けること。 コンタクトレンズをはずす。
飲み込んだ場合
飲み込んだ後はただちに水を飲ませること(多くても2杯) 医師に相談する。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

使ってはならない消火剤
本物質/混合物に対する消火剤の制限なし
適切な消火剤
二酸化炭素(CO2) 泡 粉末

5.2 特有の危険有害性

炭素酸化物
可燃性。
蒸気は空気より重く、床に沿って広がることがある。
高温で空気と反応して爆発性混合物を生じる。
火災時に有害な燃焼ガスや蒸気を生じるおそれあり。

5.3 消防士へのアドバイス

自給式呼吸器がある場合のみ危険区域に留まってもよい。安全なゾーンまで離れるか適切な保護衣を着用して、皮膚に触れないようにすること。

5.4 詳細情報

容器を危険ゾーンから移動させて水で冷やすこと。 消火水が、地上水または地下水のシステムを汚染しないようにする。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

救急隊員以外への助言: 蒸気、エアゾールを吸入してはならない。 触れないようにすること。 十分な換気を確保する。 熱や発火源から遠ざける。 危険なエリアから避難し、緊急時手順に従い、専門家に相談のこと個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

物質が排水施設に流れ込まないようにする。 爆発のおそれ。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

排水溝に蓋をすること。こぼれたら集めて結合させ、ポンプですくい取る。 物質の制限があれば順守のこと (セクション 7、10参照) 液体吸収剤(例. Chemizorb® )で処置すること。 正しく廃棄すること。関係エリアを清掃のこと。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

安全取扱注意事項
換気フードの下で作業すること。吸い込まないこと。 蒸気やエアロゾルが生じないようにすること。
火災及び爆発の予防
炎、熱および発火源から遠ざける。静電気放電に対する予防措置を講ずること。
衛生対策
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔を洗うこと。注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管クラス
保管クラス (ドイツ) (TRGS 510): 3: 可燃性液体
保管条件
容器を密閉し、乾燥した換気の良い場所に保管する。 熱や発火源から遠ざける。 鍵をかけておくか、資格のあるまたは認可された人のみが出入りできる場所に入れておく。不活性ガス下に貯蔵する。

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
TWA: 1 ppm - 米国。 ACGIH限界閾値(TLV)

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔
を洗うこと。
保護具
眼/顔面の保護
NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、認められた眼の
保護具を使用する。 密着性の高い安全ゴーグル
皮膚及び身体の保護具
本推奨は、当社発行の安全データシート,に記載されている製品およびその指定の使用法のみに
適用される。溶解、他の物質との混合、およびEN374に記載の逸脱条件での使用については、
CE認証手袋のサプライヤに問い合わせのこと(例. KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, Internet:
www.kcl.de)
フルコンタクト
材質: ブチルゴム
最小厚: 0.7 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Butoject® (KCL 898)
本推奨は、当社発行の安全データシート,に記載されている製品およびその指定の使用法のみに
適用される。溶解、他の物質との混合、およびEN374に記載の逸脱条件での使用については、
CE認証手袋のサプライヤに問い合わせのこと(例. KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, Internet:
www.kcl.de)
飛沫への接触
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.4 mm
破過時間: 30 min
試験物質:Camatril? (KCL 730 / Aldrich Z677442, Size M)
身体の保護
難燃静電気保護服。
呼吸用保護具
気化ガス/エアロゾル発生時に必要 次の規格に準拠しているフィルター式呼吸器保護具を推奨し
ます。DIN EN 143、DIN 14387および使用済み呼吸器保護システムに関連する他の付属規格。
環境暴露の制御
物質が排水施設に流れ込まないようにする。 爆発のおそれ。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
液体
無色
臭い
特徴臭
pH
データなし

融点・凝固点

-100℃ : ICSC (1999)

沸点、初留点及び沸騰範囲

154℃ : ICSC (1999)

引火点

57℃ (開放式) : Sax (11th 2004)

自然発火温度

データなし

燃焼性(固体、ガス)

データなし

爆発範囲

データなし

蒸気圧

4.7mmHg (25℃) : HSDB (2005)

蒸気密度

データなし

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

データなし

比重(密度)

0.9698 (20℃,4℃) : HSDB (2005)

溶解度

水 : 14g/100mL : ICSC (1999)
アセトン、トルエン、オクタン : 混和 : HSDB (2005)

オクタノール・水分配係数

log P=0.34 : 既存化学物質安全性点検データ

分解温度

データなし

粘度

データなし

粉じん爆発下限濃度

データなし

最小発火エネルギー

データなし

体積抵抗率(導電率)

データなし

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

蒸気/空気混合物は、強く温めると爆発性となる。

10.2 化学的安定性

標準的な大気条件(室温)で化学的に安定。

10.3 危険有害反応可能性

次と激しく反応
強酸化剤
塩基類
強酸
アミン

10.4 避けるべき条件

加熱

10.5 混触危険物質

データなし

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
ラットのLD50値が830-1600 mg/kg (PATTY (5th, 2001))、あるいは1600 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)) より区分4とした。
経皮
ウサギ LD50: 2550 mg/kg(ACGIH (2001)に基づき、分類JIS基準の区分外(国連GHS分類の区分5に相当)とした。なお、ウサギに500 mg/kgの経皮投与により死亡のデータ(DFGOT 7 (1996))があるが、情報源はこのDFGOTの記載のみである。一方、上記分類に用いたACGIHに記載のデータ(2550 mg/kg)は、DFGOTを含めその他多数の評価文書に引用されていることから、証拠としての重みで勝ると判断して分類に用いた。
吸入
吸入(ガス):   GHSの定義による液体である。
吸入(蒸気):   2件のラットLC50値(308 ppm/7h = 407 ppm/4h(PATTY(5th,2001))、および670 ppm/8h = 950 ppm/4h(ACGIH (2001)))の区分が異なるので、危険性の高い方の区分2とした。なお、試験濃度が飽和蒸気濃度(6200 ppm)の90%以下であるため、分類には気体の基準値を適用した。
吸入(ミスト):   データなし

皮膚腐食性・刺激性

ウサギを用いた試験で軽度~重度の刺激性の結果(PATTY (5th 2001))、また別の試験で中等度の刺激性の結果(CERI・NITE有害性評価書 No.68 (2005))があり、さらにEU分類がXi; R37/38である(EU-Annex1 (access on May. 2009))ことに基づいて区分2とした。

眼に対する重篤な損傷・刺激性

ウサギを用いた試験で強度の刺激性を示したが、その後障害を残すことなく回復したとの結果(CERI・NITE有害性評価書 (2005))、また、ウサギを用いた別の試験では重度であるが可逆性の結膜炎、虹彩炎および角膜混濁の報告(ACGIH (7th, 2001))に基づき区分2Aとした。なお、EU分類はXi; R41(EU-Annex1 (access on May. 2009))である

呼吸器感作性又は皮膚感作性

呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性:エポキシ化合物を取り扱って皮膚炎を示したヒトに対するパッチテストで、20 人中2人が本物質に陽性反応を示した(CERI・NITE有害性評価書 (2005))こと、皮膚炎をおこしたガラス封止材の製造作業者がパッチテストで、原料中に不純物として含まれていた本物質に陽性の反応を示した(CERI・NITE有害性評価書 (2005))こと、さらに23人の職業性皮膚炎の作業者のうち4人が本物質に感作性反応を示した(PATTY ( 5th, 2001))ことがそれぞれ報告されている。少なくとも複数の施設におけるパッチテストにより陽性結果が示されていることから区分1とした。

生殖細胞変異原性

マウスに腹腔内投与による骨髄細胞を用いた小核試験(体細胞in vivo 変異原性試験)における陽性結果(NTP DB (access on May,2009))に基づき区分2とした。なお、マウスに経皮投与による優性致死試験とマウスに吸入ばく露による小核試験の結果はいずれも陰性(CERI・NITE有害性評価書 (2005))、また、in vitro試験ではエームス試験、およびCHO細胞あるいはRL4細胞を用いた染色体異常試験でいずれも陽性(CERI・NITE有害性評価書 (2005))が報告されている。

発がん性

ラットおよびマウスに2年間吸入ばく露した試験(NTP TR376 (1990))では気道上皮由来の腫瘍が観察されているが、NTPは雌ラットでは発がん性の証拠はなく、雄ラットと雌マウスでは発がん性の証拠は曖昧であったとしている。しかし、雄マウスでは、高用量(10 ppm)群の動物の鼻道において、3例に気道上皮腺腫、4匹に異形成、7匹に気道上皮基底細胞の限局性過形成が認められたことから、ある程度発がん性の証拠があるとしている。ACGIHが、ラットおよびマウスの2年間吸入試験の結果に基づき、A4に分類しているが(ACGIH (7th, 2001)、EUがカテゴリー3(EU-Annex1 (access on May. 2009))としていることから分類できないとした。

生殖毒性

ラットを用い8週間吸入ばく露後に交配させた生殖毒性試験(CERI・NITE有害性評価書 (2005))において、親の動物への一般毒性の発現は不明であるが、ばく露群の雄と同居させた無処置雌の妊娠成立数が用量依存的(30 ppm以上)に減少し、雄の授精能力の低下が認められたことから区分2とした。また、雄動物の死亡(2/20)が見られる高濃度群(200 ppm)では精子形態異常発現率の増加、雌の妊娠黄体数の減少が見られている。

特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)

ラットとマウスの急性経口毒性試験(LD50: ラット830~1600 mg/kg、マウスに390 mg/kg)において、協調不能、運動失調、運動低下などの症状に次いで努力呼吸と中枢神経系抑制を来たしたとの記述(PATTY (5th. 2001))、マウスの吸入毒性試験(蒸気:0.96 - 3.6 mmg/L)の所見にも中枢神経系の抑制が記載(NITE初期リスク評価書(2005))があり、試験濃度から判断し区分1(中枢神経系)とした。また、上記の経口毒性試験では時に肝臓に限局性壊死が見られた(PATTY (5th. 2001))こと、また、マウスの急性吸入毒性試験(LC50: 270ppm/4h [=1.3 mg/L/ 4h])では、時に肝臓に限局性の炎症細胞と中等度のうっ血が観察された(PATTY (5th. 2001))こと、そして吸入経路の試験濃度がガイダンス値区分1相当しているので区分1(肝臓)とした。マウスの急性吸入毒性試験(LC50: 270ppm/4h [=1.3 mg/L/ 4h])で刺激による肺の炎症反応と肺炎が組織学的に確認された(PATTY (5th. 2001))こと、ラットに500 ppm/7h(2.334 mg/L/4h)以上の吸入ばく露により肺水腫の所見(NITE初期リスク評価書(2005))があること、また、マウスを用いた別の試験[蒸気: 0.96 - 3.6 mmg/L]では呼吸困難など呼吸器に強い刺激症状が認められている(NITE初期リスク評価書(2005))ことなどより、区分1(呼吸器系)とした。またラットの吸入ばく露試験の300ppm/7h(1.8mg/L/4h)で腎臓のうっ血が認められ(NITE初期リスク評価書(2005))、「急性の経口及び経皮による主な標的臓器は腎臓である」との記述(PATTY (5th. 2001))から区分1(腎臓)とした。

特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)

ラットに13週間吸入ばく露(NTP TR376 (1990))により、組織学的病変として全ばく露群(4~200 ppm(0.019~0.95 mg/L))で気道上皮と嗅上皮を含む鼻道の扁平上皮化生が見られ、その程度はばく露濃度に依存し、30 ppm(0.14 mg/L)以上では鼻道に糜爛が生じ、上気道にも扁平上皮化生が見られた。マウスでも13週間吸入ばく露( NTP TR376 (1990))により10~30 ppm(0.048~0.14 mg/L)の濃度で気道上皮と嗅上皮を含む鼻道の扁平上皮化生を示し、30 ppm(0.14 mg/L)では上皮の糜爛が見られた。さらにラットに400 ppm(1.9 mg/L/7時間;90日間、6時間換算値1.12mg/L)以上を50日間ばく露させた試験(ACGIH (2001))では、気管支肺炎、肺気腫、気管支拡張、肺炎等が報告されているが、ガイダンス値範囲を超えた高濃度における所見である。以上の結果から、反復吸入ばく露による有害影響の発現濃度はガイダンス値範囲区分1に相当し、発生部位が気道上皮と嗅上皮を含む上気道に限られているので、区分1(上気道)とした。

吸引性呼吸器有害性

データなし

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

魚毒性
止水式試験 LC50 - Cyprinus carpio (コイ) - 36 mg/l - 96.0 h
(OECD 試験ガイドライン 203)
ミジンコ等の水生無脊
止水式試験 EC50 - Daphnia magna (オオミジンコ) - 50 mg/l - 48 h
椎動物に対する毒性
(OECD 試験ガイドライン 202)
藻類に対する毒性
止水式試験 ErC50 - Pseudokirchneriella subcapitata - > 79 mg/l - 72 h
(OECD 試験ガイドライン 201)

12.2 残留性・分解性

生分解性
好気性 - 曝露時間 28 d
結果: 5 - 9 % - 易分解性ではない。
(OECD 試験ガイドライン 301D)
生化学的酸素要求量
60 mg/g
(BOD)
備考: (外部MSDS)
化学的酸素要求量
1,990 mg/g
(COD)
備考: (外部MSDS)
理論上の酸素要求
2,100 mg/g
(量)
備考: (Lit.)
BOD/ThBOD比
2.8 %
備考: (Lit.)

12.3 生体蓄積性

データなし

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

12.6 内分泌かく乱性

データなし

12.7 他の有害影響

生態系に関する追加情 環境への放出は必ず避けなければならない。

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
内容物及び容器は、関連法規及び各自治体の条例等の規制に従い、産業廃棄物として適切に処理すること。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): 2219    IMDG (海上規制): 2219    IATA-DGR (航空規制): 2219

14.2 国連輸送名

ADR/RID (陸上規制): ALLYL GLYCIDYL ETHER
IMDG (海上規制): ALLYL GLYCIDYL ETHER
IATA-DGR (航空規制): Allyl glycidyl ether

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): 3    IMDG (海上規制): 3    IATA-DGR (航空規制): 3

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): III IMDG (海上規制): III IATA-DGR (航空規制): III

14.5 環境危険有害性

ADR/RID: 非該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当
非該当

14.6 特別の安全対策

なし

14.7 混触危険物質

15. 適用法令

化審法

第2種監視化学物質(法第2条第5項)(政令番号:2監-385)

労働安全衛生法

変異原性が認められた既存化学物質(法第57条の5、労働基準局長通達)(政令番号:14)
危険物・引火性の物(施行令別表第1第4号)
名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)

化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)

第1種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)(政令番号:1-29)

消防法

第4類引火性液体、第二石油類非水溶性液体(法第2条第7項危険物別表第1・第4類)

船舶安全法

引火性液体類(危規則第3条危険物告示別表第1)

航空法

引火性液体(施行規則第194条危険物告示別表第1)

16. その他の情報

略語と頭字語

ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
EC50: 有効濃度 50%
IATA:国際航空運送協会
IMDG: 国際海上危険物
LC50: 致死濃度 50%
LD50: 致死量 50%
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
STEL: 短期暴露限度
TWA: 時間加重平均

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
免責事項:

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