急性毒性
経口
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分4とした。
【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 雄: 550 mg/kg、雌: 710 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2012)、農薬工業会「日本農薬学会誌」第17巻第4号 (1992))
(2) ラットのLD50: 320 mg/kg (GESTIS (Access on June 2020)、HSDB (Access on June 2020))
経皮
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) ラットのLD50: > 2,000 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2012))
(2) ラットのLD50: 雄: 2,260 mg/kg、雌: 2,600 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2012)、農薬工業会「日本農薬学会誌」第17巻第4号 (1992))
(3) ウサギのLD50: 7,000 mg/kg (GESTIS (Access on June 2020))
吸入: ガス
【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。
なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (2.4E-005 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。
【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間): 雌: 7.29 mg/L、雄: > 8.40 mg/L (食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2012)、農薬工業会「日本農薬学会誌」第17巻第4号 (1992))
(2) ラットのLC50 (4時間): 8.4 mg/L (GESTIS (Access on June 2020)、HSDB (Access on June 2020))
(3) 本物質の蒸気圧: 2.8E-006 mmHg (20℃) (HSDB (Access on May 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 2.4E-005 mg/L)
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】
(1)、(2) より区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) 本物質は皮膚及び眼刺激性を示さず、感作性物質ではないが、分解産物であるメチルイソチオシアネート (CAS番号 556-61-6) は刺激性及び感作性を有する (Canada Pesticides (2018))。
(2) ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、刺激性は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2012)、農薬工業会「日本農薬学会誌」第17巻第4号 (1992))。
【参考データ等】
(3) 本物質の15%溶液を用いた試験では壊死がみられており、標準的なウサギの試験を含むいくつかの試験を横断的にみると、本物質の評価は刺激性から腐食性の範囲にわたっている (GESTIS (Access on June 2020))。
(4) ヒトにおいて希釈液は皮膚刺激性を有し、粉体は眼と皮膚を刺激する可能性がある (HSDB (Access on June 2020))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】
(1)、(2) より区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) 本物質は皮膚及び眼刺激性を示さず、感作性物質ではないが、分解産物であるメチルイソチオシアネート (CAS番号 556-61-6) は刺激性及び感作性を有する (Canada Pesticides (2018))。
(2) 本物質 (39 mg) のウサギを用いた眼刺激性試験において、適用1時間後に縮瞳が観察され、結膜に軽度の発赤が認められたが、72時間後には消失し、軽微な結膜浮腫が投与1 時間後にのみ認められた (食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2012)、GESTIS (Access on June 2020)、農薬工業会「日本農薬学会誌」第17巻第4号 (1992))。
【参考データ等】
(3) 粉体は眼と皮膚を刺激する可能性がある (HSDB (Access on June 2020))。
(4) 本物質は強い眼刺激性を有する (HSDB (Access on June 2020))。
(5) EU-CLP分類でEye Irrit. 2 (H319) に分類されている (EU CLP分類 (Access on June 2020))。
呼吸器感作性
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】
(1)、(2) より区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) 本物質は皮膚及び眼刺激性を示さず、感作性物質ではないが、分解産物であるメチルイソチオシアネート (CAS番号 556-61-6) は刺激性及び感作性を有する (Canada Pesticides (2018))。
(2) 本物質のモルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) で陰性と報告されている (食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2012)、GESTIS (Access on June 2020)、農薬工業会「日本農薬学会誌」第17巻第4号 (1992))。
【参考データ等】
(3) 本物質は軽度の感作性を有する (HSDB (Access on June 2020))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) in vivoでは、ラットの肝臓を用いる不定期DNA合成試験及びマウスの骨髄細胞を用いる小核試験において陰性の報告がある (食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2012))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験において弱い陽性、陰性の報告がある。また、哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験において陰性の結果、哺乳類培養細胞を用いる遺伝子突然変異試験において陽性の結果がある (同上)。
発がん性
【分類根拠】
(1)、(2) より区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、EPAでD (Not Classifiable as to Human Carcinogenicity) (EPA Annual Cancer Report 2019 (Access on September 2020):1993年分類) に分類されている。
(2) 雌雄のラット及びマウスに本物質を2年間及び18ヵ月間混餌投与した発がん性試験では、投与により発生頻度の増加した腫瘍性病変は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2019))。
生殖毒性
【分類根拠】
(1) より、母動物毒性のみられない用量で胚/胎児に対する影響がみられていることから区分1Bとした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果が変更となった。
【根拠データ】
(1) 雌ウサギの妊娠6~18日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性がみられない用量 (25 mg/kg/day) から着床後胚損失率の増加及び生存胎児数の減少がみられている (食安委 農薬評価書 (2019))。
【参考データ等】
(2) ラットを用いた混餌投与による2世代繁殖毒性試験において、親動物毒性 (体重増加抑制、肝臓の比重量増加等) がみられる用量においても、生殖影響はみられていない (食安委 農薬評価書 (2019))。
(3)雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制) がみられる用量においても胎児に影響はみられていない (食安委 農薬評価書 (2019))。
(4) 雌ウサギの妊娠7~19日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (死亡 (1/15例)、体重増加抑制、子宮重量減少) がみられる用量 (最高用量の45 mg/kg/day) で着床後胚損失率の増加、早期吸収胚数増加及び生存胎児数の減少、過剰肋骨増加、胸骨分節癒合の増加がみられている (食安委 農薬評価書 (2019)、農薬抄録 (2012))。