急性毒性
経口
データ不足のため分類できない。旧分類根拠データ (RTECS) は確認できなかったため、区分を見直した。なお、ラットのLD50値として、535 mg/kg (PATTY (6th, 2012)) との報告があるが、SIDS Dossier (2007) では信頼性が低いとしているため分類には採用しなかった。
経皮
ウサギのLD50値として、> 5,000 mg/kgとの報告 (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2007)、ACGIH (7th, 2004)) に基づき、区分外とした。
吸入:ガス
GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
ラットのLC50値 (4時間) として、40,250 ppmとの報告 (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2007)、ACGIH (7th, 2004)) に基づき、区分外とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (660,526 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
吸入:粉じん及びミスト
データ不足のため分類できない
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
本物質(未希釈) をウサギに24時間閉塞適用した結果、軽度の刺激性がみられたとの報告 (SIDS (2007)) や、ウサギに本物質を適用 (適用時間不明) した結果刺激スコアは0.4 (0-8) であり軽度の刺激性であった (ACGIH (7th, 2004)) との報告がある。また、ウサギの皮膚に軽度の刺激性を示す (PATTY (6th, 2012)) との記載がある。。以上の結果から、区分外 (国連分類基準の区分3) とした。新たな情報 (SIDS (2007)) を追加した。ガイダンスの改訂により区分が変更になった。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
ウサギの眼に本物質を適用した試験において、強膜に影響があり軽度の刺激性がみられた (SIDS (2007)) との報告や、軽度から中等度の刺激性がみられ、症状は4日後に回復した (ACGIH (7th, 2004)) との報告から区分2Bとした。なお、具体的な情報は不明であるが、本物質は重度の刺激性をもつ (PATTY (6th,2012)) との記載がある。
呼吸器感作性
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
データ不足のため分類できない。
生殖細胞変異原性
In vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験で陰性 (SIDS (2007))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性である (SIDS (2007)、ACGIH (7th, 2004) )。以上より、「分類できない」とした。
発がん性
データ不足のため分類できない。
生殖毒性
データ不足のため分類できない。 ラットを用いた経口経路 (強制) での催奇形性試験において、最高用量 (1,000 mg/kg/day) においても母動物毒性、胎児毒性はみられていないとの報告がある (SIDS (2007))。しかし、生殖能に関する十分な情報がないことから分類できないとした。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
本物質に関するヒトのデータはない。実験動物では情報が少ないが、ラットの3-140 mg/L、吸入ばく露で、粘膜刺激性、随意筋麻痺及び呼吸筋麻痺の記載がある (HSDB (Access on September 2014)) が、詳細は不明である。 以上、少ない知見より本物質の分類をすることはできず、データ不足のため「分類できない」とした。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
揮発性硫化物混合物 (本物質以外に他のモノ又はジスルフィド、メルカプタンを含む) への吸入ばく露により、心血管系、呼吸器、神経系への影響がみられたとする複数の職業ばく露報告があるが、本物質ばく露による影響として信頼できるデータはないとされる (ACGIH (7th, 2004))。 実験動物ではラットに14週間強制経口投与したが、最高用量の250 mg/kg/dayで明確な標的臓器毒性は認められなかった (SIDS (2007)、ACGIH (7th, 2004)、PATTY (6th, 2012))。 以上、経口経路では区分外相当と考えられるが、他の経路での毒性情報及びヒトで信頼性のある知見がなく、データ不足のため「分類できない」とした。
吸引性呼吸器有害性
データ不足のため分類できない。