安全データシート

1-ビニル-2-ピロリドン

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: 1-ビニル-2-ピロリドン
  • CB番号: CB3272024
  • CAS: 88-12-0
  • EINECS番号: 201-800-4
  • 同義語: ビニルピロリドン,1-ビニル-2-ピロリドン

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 結合剤、反応性希釈剤、ポリマー原料 (医薬、化粧品、工業用) (化学工業日報社)
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
H27.10.31、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改定版 (ver1.1): JIS Z7252:2014準拠) を使用
GHS改訂4版を使用
健康に対する有害性
急性毒性(経口)   区分4
急性毒性(経皮)   区分3
急性毒性 (吸入:粉塵、ミスト)   区分4
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性   区分1
発がん性   区分2
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)   区分2 (中枢神経系、呼吸器、肝臓)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)   区分1 (呼吸器、肝臓、血液系)
分類実施日(環境有害性)
H21.3.27、政府向けGHS分類ガイダンス (H20.9.5版) を使用
環境に対する有害性
水生環境有害性 (急性)   区分3

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS05GHS07GHS08
注意喚起語
危険
危険有害性情報
H302 + H312 + H332 飲み込んだ場合や皮膚に接触した場合や吸入した場合は有害。
H318 重篤な眼の損傷。
H335 呼吸器への刺激のおそれ。
H351 発がんのおそれの疑い。
H373 長期にわたる、又は反復ばく露により臓器 (肝臓) の障害のおそれ。
H402 水生生物に有害。
注意書き
安全対策
P201 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P260 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264 取扱い後は皮膚をよく洗うこと。
P270 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
P273 環境への放出を避けること。
P280 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
応急措置
P301 + P312 + P330 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。口をすすぐこと。
P302 + P352 + P312 皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P304 + P340 + P312 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し,呼吸しやすい姿勢で休息させること。 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P305 + P351 + P338 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P308 + P313 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
保管
P403 + P233 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P405 施錠して保管すること。
廃棄
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C6H9NO
  • 分子量: 111.14 g/mol
  • CAS番号: 88-12-0
  • EC番号: 201-800-4
  • 化審法官報公示番号: 5-114
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸入後は新鮮な空気を吸うこと。ただちに医師の診察を受けること。
皮膚に付着した場合
皮膚に接触した場合: すべての汚染された衣類を直ちに脱ぐこと。 皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 医師に相談する。
眼に入った場合
眼に触れた後は多量の水ですすぐこと。 ただちに眼科医の診察を受けること。 コンタクトレンズをはずす。
飲み込んだ場合
飲み込んだ後はただちに水を飲ませること(多くても2杯) 医師に相談する。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

使ってはならない消火剤
本物質/混合物に対する消火剤の制限なし
適切な消火剤
水 泡 二酸化炭素(CO2) 粉末

5.2 特有の危険有害性

炭素酸化物
窒素酸化物(NOx)
可燃性。
蒸気は空気より重く、床に沿って広がることがある。
高熱で空気と反応して爆発性混合物を生じる
火災時に有害な燃焼ガスや蒸気を生じるおそれあり。

5.3 消防士へのアドバイス

自給式呼吸器がある場合のみ危険区域に留まってもよい。安全なゾーンまで離れるか適切な保護衣を着用して、皮膚に触れないようにすること。

5.4 詳細情報

ガス/蒸気/ミストを水スプレージェットで抑える(除去する)。 消火水が、地上水または地下水のシステムを汚染しないようにする。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

救急隊員以外への助言: 蒸気、エアゾールを吸入してはならない。 触れないようにすること。 十分な換気を確保する。 危険なエリアから避難し、緊急時手順に従い、専門家に相談のこと個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

物質が排水施設に流れ込まないようにする。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

排水溝に蓋をすること。こぼれたら集めて結合させ、ポンプですくい取る。 物質の制限があれば順守のこと (セクション 7、10参照) 液体吸収剤(例. Chemizorb® )で処置すること。 正しく廃棄すること。関係エリアを清掃のこと。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

安全取扱注意事項
換気フードの下で作業すること。吸い込まないこと。 蒸気やエアロゾルが生じないようにすること。
衛生対策
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔を洗うこと。注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管クラス
保管クラス (ドイツ) (TRGS 510): 10: 可燃性液体
保管条件
密閉のこと。室温で貯蔵する。

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
TWA: 0.05 ppm - 米国。 ACGIH限界閾値(TLV)

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔
を洗うこと。
保護具
眼/顔面の保護
NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、認められた眼の
保護具を使用する。 密着性の高い安全ゴーグル
皮膚及び身体の保護具
本推奨は、当社発行の安全データシート,に記載されている製品およびその指定の使用法のみに
適用される。溶解、他の物質との混合、およびEN374に記載の逸脱条件での使用については、
CE認証手袋のサプライヤに問い合わせのこと(例. KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, Internet:
www.kcl.de)
フルコンタクト
材質: ブチルゴム
最小厚: 0.7 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Butoject® (KCL 898)
本推奨は、当社発行の安全データシート,に記載されている製品およびその指定の使用法のみに
適用される。溶解、他の物質との混合、およびEN374に記載の逸脱条件での使用については、
CE認証手袋のサプライヤに問い合わせのこと(例. KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, Internet:
www.kcl.de)
飛沫への接触
材質: ラテックス製手袋
最小厚: 0.6 mm
破過時間: 30 min
試験物質:Lapren® (KCL 706 / Aldrich Z677558, Size M)
身体の保護
保護衣
呼吸用保護具
気化ガス/エアロゾル発生時に必要 次の規格に準拠しているフィルター式呼吸器保護具を推奨し
ます。DIN EN 143、DIN 14387および使用済み呼吸器保護システムに関連する他の付属規格。
環境暴露の制御
物質が排水施設に流れ込まないようにする。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
液体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
無色 (HSDB (2015))
臭い
かすかなアミン様 (GESTIS (2015))
臭いのしきい(閾)値
データなし
pH
9~10(20℃) (濃度: 100 g/L) (GESTIS (2015))

融点・凝固点

13℃ (ICSC (2004))

沸点、初留点及び沸騰範囲

90~93℃ (1.3 kPa) (ICSC (2004))

引火点

93℃ (ICSC (2004))

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

データなし

燃焼性(固体、気体)

データなし

燃焼又は爆発範囲

1.4~10 vol% (空気中) (ICSC (2004))

蒸気圧

12 Pa (20℃) (ICSC (2004))

蒸気密度

3.83 (空気 = 1) (ICSC (2004))

比重(相対密度)

1.04 (水 = 1) (ICSC (2004))

溶解度

水: 易溶 (ICSC (2004)) 多くの有機溶媒に溶ける (HSDB (2015))

n-オクタノール/水分配係数

log Pow = 0.4 (ICSC (2004))

自然発火温度

364℃ (ICSC (2004))

分解温度

データなし

粘度(粘性率)

2.07 cP (25℃) (ICSC (2004))

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

高熱で空気と反応して爆発性混合物を生じる
引火点より下のおよそ15ケルビンからの範囲は危険とみなされている。

10.2 化学的安定性

標準的な大気条件(室温)で化学的に安定。

10.3 危険有害反応可能性

次と激しく反応
過酸化物
重合開始剤
強酸化剤

10.4 避けるべき条件

強力な熱

10.5 混触危険物質

情報なし

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
GHS分類: 区分4 ラットのLD50値として、834~1,314 mg/kg、1,022 mg/kg、1,700 mg/kg、2,500 mg/kg (EU-RAR (2003)、NICNAS (2000)、DFGOT vol. 5 (1993)) 及び1,043 mg/kg (EU-RAR (2003)、NICNAS (2000)) の5件の報告がある。4件が区分4、1件が区分外 (国連分類基準の区分5) に該当するので、最も多くのデータが該当する区分4とした。
経皮
GHS分類: 区分3 ラットのLD50値として、1,043~4,127 mg/kg (NICNAS (2000)、DFGOT vol. 5 (1993))、ウサギのLD50値として、> 400 mg/kg (DFGOT vol. 5 (1993))、560 mg/kg (NICNAS (2000)、DFGOT vol. 5 (1993)) の3件の報告がある。1件が区分3に該当し、その他2件のデータでは区分を特定できないので、1件が該当する区分3とした。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、ラットの飽和蒸気 (0.6 mg/L) を6~8時間吸入させた結果 (4時間換算値: 0.73~0.85 mg/L (161~187 ppm))、死亡例はみられなかったとの報告 (EU-RAR (2003)) がある。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 区分4 ラットのLC50値 として、3.07 mg/L (4時間) (EU-RAR (2003)、NICNAS (2000)、DFGOT vol. 5 (1993))、> 3.7 mg/L (6時間) (4時間換算値: > 5.55 mg/L) (DFGOT vol. 5 (1993)) の2件の報告 (DFGOT vol. 5 (1993)) がある。1件が区分4、1件が区分外に該当するので、LC50値の最小値が該当する区分4とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (0.6 mg/L) より高いため、ミストの基準値を適用した。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

GHS分類: 区分外 ウサギを用いた皮膚刺激性試験4報において、本物質を20又は24時間適用した結果、軽度の紅斑、軽度の浮腫、軽度の落屑がみられたのみであり、刺激性なし又は軽度の刺激性と判断されている (EU-RAR (2003)、HSDB (2015))。また、ラットを用いた皮膚刺激性試験において、本物質1,043 mg/kgを、体表面積の約10%に24時間適用した結果刺激性はみられなかったとの報告がある (EU-RAR (2003)、DFGOT vol.5 (1993)、HSDB (2015))。一方、ウサギに本物質を適用した結果著しい刺激性がみられたとの報告が3報あるが (EU-RAR (2003))、いずれも古い報告であることからEU-RAR (2003) はより新しい報告を採用し、皮膚刺激性物質に区分していない (EU-RAR (2003))。また、ボランティア6人に本物質を8時間適用した結果、3人に軽度の紅斑がみられたが、他の3人に症状はみられなかったとの報告がある (EU-RAR (2003)、NICNAS (2000))。以上の結果から区分外 (国連分類基準の区分3) とした。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

GHS分類: 区分1 ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質0.1 mLを適用した結果、発赤 (スコア1.9)、結膜炎 (スコア2.2)、虹彩炎 (スコア1)、角膜混濁 (スコア1.8) がみられ、回復性はみられず症状がひどくなる傾向がみられたことから重度の刺激性と判断されている (EU-RAR (2003))。また、ウサギを用いた他の報告において、本物質の原液の適用により軽度から重度の結膜炎、浮腫、角膜混濁がみられ観察期間の8日中に回復性はみられなかったとの報告がある (EU-RAR (2003)、DFGOT vol.5 (1993))。また、本物質はEU CLP分類において「Eye Dam. 1 H318」に分類されている (ECHA CL Inventory (2015))。以上の結果から区分1とした。

呼吸器感作性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、EU-RAR (2003) では、本物質が皮膚感作性がみられないことや、蛋白と結合しないことから、少なくとも免疫システムによる呼吸器感作性は起こさないだろうと記載している (EU-RAR (2003))。

皮膚感作性

GHS分類: 区分外 モルモットを用いたビューラー試験において、本物質 (純度99.7%) による感作性はみられなかったとの報告がある (EU-RAR (2003)、HSDB (2015))。この試験について、EU-RARは、媒体対照群は設けていないが未処理対照群があること、陽性対照群についても試験の6ヶ月以内にα-hexylcinnamaldehydeを用いたビューラー試験で陽性結果が得られていることから試験の感度に問題はないとし感作性なしと判断している。以上より、区分外とした。

生殖細胞変異原性

GHS分類: 分類できない ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験、ラット肝臓のDNA結合試験で陰性である (EU-RAR (2003)、NICNAS (2000)、ACGIH (7th, 2003)、DFGOT vol. 5 (1993))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、染色体異常試験、不定期DNA合成試験で陰性である (EU-RAR (2003)、NICNAS (2000)、ACGIH (7th, 2003)、DFGOT vol. 5 (1993))。

発がん性

GHS分類: 区分2 本物質の蒸気をラット (雌10匹) に45 ppmの濃度で3ヶ月間吸入ばく露し、21ヶ月間無処置で放置後に剖検した結果、生存した6例中4例の肝臓に腫瘍が肉眼的に観察され、うち2例は肝細胞がんであった (EU-RAR (2003)、ACGIH (7th, 2003))。また、本物質 (安定化剤としてKerobit (抗酸化剤: 3 ppm) を含有) の蒸気を雌雄ラットに5、10、又は20 ppm で2年間吸入ばく露した試験では、5 ppm以上で肝細胞がん、及び鼻腔の腺腫、又は腺がんの発生頻度の増加、20 ppm ではさらに喉頭の扁平上皮細胞がんの頻度増加が認められた (EU-RAR (2003)、ACGIH (7th, 2003))。ヒトでの発がん性の情報はないが、上記の実験動物を用いた試験結果に基づき、ACGIHはA3に分類した (ACGIH (7th, 2003))。また、EUはラットの肝臓腫瘍誘発はヒトへの妥当性があるとし (EU RAR (2003))、CLP分類で Carc. 2に分類した (ECHA CL Inventory (2015))。よって、分類ガイダンスに従い、本項は区分2とした。なお、IARCは1999年にグループ3に分類後 (IARC vol. 71 (1999))、再評価を行っていないため、より新しい年度の分類結果に従った。

生殖毒性

GHS分類: 分類できない ヒトでの生殖影響に関する情報はない。実験動物では、妊娠ラットの器官形成期 (妊娠6~19日) に本物質蒸気を吸入ばく露した発生毒性試験報告があり、母動物毒性 (体重増加量が対照群より68%低下) が顕著な用量 (20 ppm: 92 mg/m3) で、胎児には重量の低値、骨化遅延及び波状肋骨の頻度増加がみられ、骨格への影響は母動物毒性による二次的影響と考えられている (EU RAR (2003))。すなわち、本物質は吸入経路では重大な発生影響を生じないと考えられるが、性機能、及び生殖能を評価した試験成績がなく、よってデータ不足のため分類できない。

特定標的臓器毒性(単回ばく露)

GHS分類: 区分2 (中枢神経系、呼吸器、肝臓) 本物質は、吸入及び経口経路で気道刺激性を有する (EU-RAR (2003)、NICNAS (2000)、IARC 71 (1999))。 実験動物では複数のデータがある。吸入ばく露では、ラット、マウスの3.07 mg/L (LC50) (区分2に相当) で、呼吸困難、流涎、鼻汁、立毛、呼吸数減少、円背位、よろめき歩行、運動失調、昏睡が認められ、ラットでは死亡例の剖検で、肝臓、肺が主要な標的器官である。肝臓では小葉中心性肝細胞壊死、単細胞壊死、細胞核変化を含む傷害、腎臓の変色、肺の鬱血、アルカリホスファターゼの増加と総タンパク量減少がみられている。経口投与では、ラットの834~1,314 mg/kg (区分2に相当) で、流涙、眼瞼下垂、利尿、正向反射消失 (NICNAS (2000)、EU-RAR (2003))、マウスの 420-1,400 mg/kg (区分2及びそれ以上に相当) で背弯姿勢を伴う筋痙攣収縮 (convulsive twitching with arching of the back)、振戦の報告がある (EU-RAR (2003))。 上述の所見において、肝臓及び肺の変化については死亡動物の所見であるが、反復投与でも肝臓及び肺に対する病理組織学的変化がみられているため、単回投与による毒性症状と判断した。腎臓については、変色と利尿のみであるため、分類対象臓器としなかった。 ヒトの情報はない。 以上より、本物質は、気道刺激性、中枢神経系、呼吸器、肝臓への影響が認められるため、区分2 (中枢神経系、呼吸器、肝臓) とした。 新しい情報を加え、旧分類の区分を見直した。

特定標的臓器毒性(反復ばく露)

GHS分類: 区分1 (呼吸器、肝臓、血液系) ヒトに関する情報はない。 実験動物では、マウスを用いた7週間吸入毒性試験において、5 ppm (ガイダンス値換算: 0.0088 mg/L) 以上でカタル性化膿性鼻炎、鼻の嗅上皮の萎縮、粘膜下腺細胞の過形成、鼻の呼吸上皮の過形成、ラットを用いた7週間吸入毒性試験において、15 ppm (ガイダンス値換算: 0.027 mg/L) 以上で貧血、γーGT増加、グルタチオン増加、血小板数の増加、タンパク異常血症、鼻の嗅上皮の萎縮、45 ppm (ガイダンス値換算: 0.08 mg/L) で肝臓の絶対重量増加、肝臓の小葉中心性肝細胞の壊死・脂肪蓄積がみられている (NICNAS (2000))。ラットを用いた3ヶ月間吸入毒性試験において、15 ppm (ガイダンス値換算: 0.045 mg/L) 以上、ラット、マウスを用いた6ヶ月間吸入毒性試験で10 ppm (ガイダンス値換算: 0.045 mg/L) でも血液、血液生化学、肝臓・鼻腔の病理組織学的変化は7週間吸入ばく露試験と同様の所見がみられている (NICNAS (2000)、EU-RAR (2003))。 ラットを用いた3ヶ月間強制経口投与毒性試験において、100 mg/kg/day (90日換算: 72.2 mg/kg/day) で肝臓への影響 (肝臓重量増加、γ-GT増加、肝細胞のわずかな変性) がみられ、ラットを用いた3ヶ月間飲水投与毒性試験において、75 ppm (8.3 mg/kg/day) でタンパク異常血症がみられている (NICNAS (2000)、EU-RAR (2003))。 以上のように気道、肝臓、血液に対する影響が区分1の範囲でみられた。 したがって、区分1 (呼吸器、肝臓、血液系) とした。

吸引性呼吸器有害性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、HSDB収載の数値データ (粘性率: 2.07 mPa・s; 密度 (比重) : 1.04 (HSDB (2015)) より、動粘性率は1.99 mm2/sec (25℃) と算出される。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

魚毒性
止水式試験 LC50 - Oncorhynchus mykiss (ニジマス) - 913 mg/l - 96 h
(OECD 試験ガイドライン 203)
備考: (試験液の溶解限度を上回る)
ミジンコ等の水生無脊
止水式試験 EC50 - Daphnia magna (オオミジンコ) - 45 mg/l - 48 h
椎動物に対する毒性
(OECD 試験ガイドライン 202)
藻類に対する毒性
止水式試験 EC50 - Desmodesmus subspicatus (緑藻) - > 1,000 mg/l - 72 h
(OECD 試験ガイドライン 201)
備考: (試験液の溶解限度を上回る)
止水式試験 EC10 - Desmodesmus subspicatus (緑藻) - 530 mg/l - 72 h
(OECD 試験ガイドライン 201)
備考: (試験液の溶解限度を上回る)
微生物毒性
EC20 - 活性汚泥 - 1,995 mg/l - 30 min
(OECD 試験ガイドライン 209)

12.2 残留性・分解性

生分解性
好気性 - 曝露時間 28 d
結果: 100 % - 易分解性。
(OECD テスト ガイドライン 301A)

12.3 生体蓄積性

データなし

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
内容物及び容器は、関連法規及び各自治体の条例等の規制に従い、産業廃棄物として適切に処理すること。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): -    IMDG (海上規制): -    IATA-DGR (航空規制): -

14.2 国連輸送名

ADR/RID (陸上規制): 非危険物
IMDG (海上規制): Not dangerous goods
IATA-DGR (航空規制): Not dangerous goods

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): -    IMDG (海上規制): -    IATA-DGR (航空規制): -

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): - IMDG (海上規制): - IATA-DGR (航空規制): -

14.5 環境危険有害性

ADR/RID: 非該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当
非該当

14.6 特別の安全対策

14.7 混触危険物質

情報なし
詳細情報
国際輸送に関する国連勧告の定義上は、危険物に該当しない。

15. 適用法令

労働安全衛生法

名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)

化審法

旧第2種監視化学物質

航空法

毒物類・毒物

消防法

第4類引火性液体、第三石油類水溶性液体

船舶安全法

毒物類・毒物

大気汚染防止法

有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質

化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)

第1種指定化学物質

外国為替及び外国貿易管理法

輸出貿易管理令別表第1の16の項 輸出貿易管理令別表第2 輸入貿易管理令第4条第1項第2号輸入承認品目「2の2号承認」

特定廃棄物輸出入規制法(バーゼル法)

廃棄物の有害成分・法第2条第1項第1号イに規定するもの

16. その他の情報

略語と頭字語

TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物
IATA:国際航空運送協会
EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
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