補酵素 化学特性,用途語,生産方法
種類
酵素のタンパク質部分(アポ酵素という)と可逆的に結合して酵素作用の発現に寄与する補欠分子族(補欠分子団)をいう。助酵素、コエンチーム、コエンザイムともよばれる。普通はアポ酵素のみ、あるいは補酵素のみでは活性をもたないが、両者が結合すると複合体(ホロ酵素という)を形成して酵素作用を示すようになる。結合が弱く解離しやすい補酵素は、多くの類似の反応に共通な基質(補基質)とみなすことができる。
水溶性ビタミンの大部分は補酵素の成分である。水溶性ビタミンから誘導される補酵素としては、チアミン(ビタミンB1)→チアミンピロリン酸(TPP)、リボフラビン(ビタミンB2)→フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)とフラビンモノヌクレオチド(FMN)、ニコチン酸(ナイアシン)→ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(酸化型NAD・NAD+)、ピリドキシン・ピリドキサール・ピリドキサミン(ビタミンB6)→ピリドキサールリン酸(PLP)、パントテン酸→補酵素A、ビオチン→カルボキシラーゼに共有結合、葉酸→テトラヒドロ葉酸(FH4またはTHF)、コバラミン(ビタミンB12類)→コバミド補酵素がある。
解説
助酵素,コエンザイムともいう.酵素が複合タンパク質で,非タンパク質部分が酵素の機能発現に重要な役割を果たす場合,この低分子物質をいう.タンパク質と補酵素とは可逆的に解離,会合する場合が多く,透析操作などによってタンパク質部分より容易に分離される.補酵素との共同作用により,酵素はさらに多種多様な機能を発現する.次表に補酵素の種類と関与する反応を示す.
"
森北出版「化学辞典(第2版)
反応性
補酵素は一般的には特異性があり、安定した小分子の非タンパク質性の有機化合物である。補酵素を必要とする反応には、酸化還元、基転移、異性体化、共有結合形成がある。分解反応では補酵素を必要としない。水素を転移する反応の補酵素には、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)、NADP(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)、FMN(フラビンモノヌクレオチド)、FAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)、リポ酸、補酵素Q(ユビキノン)があり、水素以外の基を転移する反応の補酵素としては、リン糖質、補酵素A、チアミンピロリン酸、ピリドキサールリン酸、葉酸補酵素、ビオチン、コバミド補酵素、リポ酸がある。
補酵素を必要とする酵素反応の特徴としては、第一に基質におこる変化の裏返しの変化が補酵素におこることである。たとえば、酸化還元反応では基質が酸化されると補酵素が還元される。アミノ基転移反応の一つであるアラニンからピルビン酸への反応では、アミノ基はピリドキサールに転移されてピリドキサミンとなる。また、α(アルファ)-ケトグルタル酸からグルタミン酸への反応では、ピリドキサミンのアミノ基が転移されてピリドキサールとなる。
生理学的には、基質の反応が重要ではなく、補酵素の変化が重要なものがある。たとえば、筋肉の運動によって嫌気的にピルビン酸が乳酸となる反応で重要なのは、これらの基質ではなくて、NADH(還元型NAD)がNADとなる反応である。NADが生成されなくなると、解糖が行われなくなってATP(アデノシン三リン酸)の生成が止まる。すなわち、嫌気的条件では、ピルビン酸が還元されて乳酸となる反応でNADHが再酸化され、ATPの合成が行われる。
なお、補酵素の構造上の特徴としては、D-リボースアデノシンリン酸をもつものが多いことがある。[有馬暉勝・有馬太郎・竹内多美代]
定義
coenzyme: An organic nonproteinmolecule that associates with anenzyme molecule in catalysing biochemicalreactions. Coenzymes usuallyparticipate in the substrate–enzyme interaction by donating oraccepting certain chemical groups.Many vitamins are precursors ofcoenzymes.
補酵素 上流と下流の製品情報
原材料
準備製品