安全データシート

2-エチル-1-ヘキサノール

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: 2-エチル-1-ヘキサノール
  • CB番号: CB1394458
  • CAS: 104-76-7
  • EINECS番号: 203-234-3
  • 同義語: 2-エチルヘキサノール,2-エチルヘキシルアルコール

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 可塑剤・潤滑油・界面活性剤原料,溶剤 (NITE-CHRIPより引用)
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
R5.3.31、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver2.1))を使用 ※一部、ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
物理化学的危険性
引火性液体   区分4
健康に対する有害性
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)   区分2(呼吸器)、区分3(麻酔作用)
生殖毒性   区分2
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性   区分2A
皮膚腐食性/刺激性   区分2
分類実施日(環境有害性)
ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
環境に対する有害性
水生環境有害性 短期(急性)   区分2

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS07
注意喚起語
警告
危険有害性情報
H402 水生生物に有害。
H335 呼吸器への刺激のおそれ。
H332 吸入すると有害。
H319 強い眼刺激。
H315 皮膚刺激。
H227 可燃性液体。
注意書き
安全対策
P280 保護手袋/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P273 環境への放出を避けること。
P271 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
P264 取扱い後は皮膚をよく洗うこと。
P261 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P210 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
応急措置
P370 + P378 火災の場合:消火するために乾燥砂、粉末消火剤 (ドライケミカル) 又は耐アルコール性フォームを使用すること。
P337 + P313 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
P332 + P313 皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
P305 + P351 + P338 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304 + P340 + P312 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し,呼吸しやすい姿勢で休息させること。 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P302 + P352 皮膚に付着した場合:多量の水で洗うこと。
保管
P405 施錠して保管すること。
P403 + P235 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P403 + P233 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
廃棄
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 別名: Isooctyl alcohol
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C8H18O
  • 分子量: 130.23 g/mol
  • CAS番号: 104-76-7
  • EC番号: 203-234-3
  • 化審法官報公示番号: 2-217
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
医師に相談する。 この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸い込んだ場合、新鮮な空気の場所に移す。 呼吸していない場合には、人工呼吸を施す。 医師に相談する。
皮膚に付着した場合
石けんと多量の水で洗い流す。 医師に相談する。
眼に入った場合
多量の水で15分以上よく洗浄し、医師の診察を受けること。
飲み込んだ場合
無理に吐かせないこと。 意識がない場合、口から絶対に何も与えないこと。 口を水ですすぐ。 医師に相談する。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

使ってはならない消火剤
ウォータージェットは使用しない。
適切な消火剤
水噴霧、耐アルコール泡消火剤、粉末消火剤、二酸化炭素を使用すること。

5.2 特有の危険有害性

炭素酸化物

5.3 消防士へのアドバイス

消火活動時には必要に応じて 自給式呼吸装置を装着する。

5.4 詳細情報

未開封の容器を冷却するために水を噴霧する。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

保護具を使用する。 蒸気、ミスト、またはガスの呼吸を避ける。 十分な換気を確保する。 付近の発火源となるものを取り除く。 安全な場所に避難する。 蒸気がたまると爆発性濃縮物が生成されるので要注意。蒸気は低いところにたまる可能性あり。個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

安全を確認してから、もれやこぼれを止める。 物質が排水施設に流れ込まないようにする。 環境への放出は必ず避けなければならない。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

漏出物を閉じ込め、不可燃性の吸収剤 (砂、土、珪藻土、バーミキュライト等) を使用して集め、地域/国の規則に従い廃棄するために容器に入れる (項目 13 を参照)。 廃棄に備え適切な容器に入れて蓋をしておく。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

安全取扱注意事項
皮膚や眼への接触を避けること。 蒸気やミストの吸い込みを避けること。
火災及び爆発の予防
発火源から離しておいてください-禁煙。静電気の蓄積を防止する手段を講じる。
衛生対策
十分な衛生的作業を行い安全規定に従って取扱う。 休憩前や終業時には手を洗う。注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管クラス
保管クラス (ドイツ) (TRGS 510): 10: 可燃性液体
保管条件
容器を密閉し、乾燥した換気の良い場所に保管する。

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
OEL-M: 1 ppm 5.3 - 日本産業衛生学会 許容濃度等の勧告

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
十分な衛生的作業を行い安全規定に従って取扱う。 休憩前や終業時には手を洗う。
保護具
眼/顔面の保護
顔面シールドおよび保護メガネ NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規
格で試験され、認められた眼の保護具を使用する。
皮膚及び身体の保護具
手袋を着用して取扱う。 使用前に、必ず手袋を検査する。 (手袋外面に触れずに)適切に手袋
を脱ぎ、本製品の皮膚への付着を避ける。 適用法令およびGLPに従い、使用後に汚染手袋を廃
棄する。 手を洗い、乾燥させる。
選ばれた防護手袋は、EU指令2016/425の仕様と、それから派生する規格EN374を満たすもので
なければならない。
フルコンタクト
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.4 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Camatril? (KCL 730 / Aldrich Z677442, Size M)
飛沫への接触
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 141 min
試験物質:Dermatril® (KCL 740 / Aldrich Z677272, Size M)
データソース:KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, 電話 +49 (0)6659 87300, e-mail sales@kcl.de,
試験方法: EN374
EN374とは違った条件の下で、溶液の中、または他の物質と混ぜて使われる場合は、EC認可手
袋の供給業者に問い合わせる。 この勧告は単なる助言であり、予想される用途の特定状況に精
通した産業衛生専門家並びに安全管理者により評価されなければならない。 任意の使用方法に
ついて許可を受けていると理解すべきではない。
身体の保護
化学防護服, 特定の作業場に存在する危険物質の濃度および量に応じて、保護装置のタイプを選
択しなければならない。
呼吸用保護具
リスクアセスメントによりろ過式呼吸用保護具が適切であると示されている場所では、工学的
制御のバックアップとして、多目的直結式(US)またはABEK型(EN14387)呼吸用保護具カ
ートリッジ付き全面形呼吸用保護具を使用する。呼吸用保護具が唯一の保護手段である場合、
全面形送気マスクを使用する。 NIOSH(US)またはCEN(EU)などの適切な政府機関の規格
で試験され、認められた呼吸用保護具および部品を使用する。
環境暴露の制御
安全を確認してから、もれやこぼれを止める。 物質が排水施設に流れ込まないようにする。 環
境への放出は必ず避けなければならない。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

物理状態
液体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
無色
臭い
特徴的な臭気

融点/凝固点

<-76 ℃(GESTIS(2022), ICSC(2018))

沸点、初留点及び沸騰範囲

184 ℃(GESTIS(2022)) 182 ℃(ICSC(2018))

可燃性

データなし

爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界

ca. 0.79~ca. 43 vol.%(GESTIS(2022)) 0.88~9.7 vol.%(ICSC(2018))

引火点

73 ℃(Closed cup)(GESTIS(2022), ICSC(2018))

自然発火点

270 ℃(GESTIS(2022), ICSC(2018))

分解温度

データなし

pH

7(GESTIS(2022))

動粘性率

10 mPa*s(20℃)(GESTIS(2022)) 12 mm²/s(20℃)(ICSC(2018))

溶解度

水: 0.6 g/L(20℃)(GESTIS(2022)) 水: 0.11 g/100 mL(20℃)(ICSC(2018))

n-オクタノール/水分配係数

log Pow: 2.3~3.1(ICSC(2018))

蒸気圧

0.48 hPa(20℃)(GESTIS(2022)) 48 Pa(20℃)(ICSC(2018))

密度及び/又は相対密度

0.83 g/cm³ (20℃)(GESTIS(2022)) 0.83 (ICSC(2018))

相対ガス密度

4.49 (GESTIS(2022)) 4.5 (ICSC(2018))

粒子特性

データなし

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

データなし

10.2 化学的安定性

推奨保管条件下では安定。

10.3 危険有害反応可能性

データなし

10.4 避けるべき条件

熱、炎、火花。

10.5 混触危険物質

強酸, 強酸化剤

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
ラットのLD50値として、2,053 mg/kg、3,200 mg/kg、3,250mg/kg、3,730 mg/kg、3,200-6,400mg/kg、2,049-7,000 mg/kg(JECFA FAS32(1993)、DFGOT vol.20(2003)、PATTY(6th, 2012))の6件の報告があり、うち4件が該当する区分外(国連分類基準の区分5)とした。
経皮
ラットのLD50値として、> 2,000 mg/kg、> 3,000 mg/kg(DFGOT vol.20(2003))の報告、及びウサギのLD50値として、1,986 mg/kg、> 2,000 mg/kg、> 2,600 mg/kg(JECFA FAS32(1993)、DFGOT vol.20(2003)、PATTY(6th, 2012))の報告があり、最多該当数の区分外とした。JECFA FAS32(1993)のデータ及びPATTY(6th, 2012)のデータを追加し、区分を見直した。
吸入: ガス
GHSの定義における液体である。
吸入: 蒸気
データ不足のため分類できない。なお、ラットの蒸気吸入試験において、0.89 mg/L(4時間)(DFGOT vol.20(2003)、IUCLID(2000))、及び飽和蒸気(0.953 mg/L)(8時間)(4時間換算値:1.35 mg/L)(JECFA FAS32(1993)、PATTY(6th, 2012))で死亡例なしとの報告があるが、これらのデータのみではLC50値がどの区分に該当するかを特定できないため分類できない。なお、これらの値は、飽和蒸気圧濃度0.953 mg/L の90%より高いため、ミストを含む蒸気としてmg/Lを単位とする基準値を適用した。
吸入: 粉じん及びミスト
データ不足のため分類できない。なお、1.2 mg/L(6時間)(4時間換算値:1.8 mg/L)で死亡例なしとの報告(JECFA FAS32(1993)、DFGOT vol.20(2003)、PATTY(6th, 2012))、及び5.3 mg/L(エアロゾル/蒸気混合)(4時間)で全例死亡との報告(DFGOT vol.20(2003)、IUCLID(2000))があるが、これらのデータのみではLC50値がどの区分に該当するかを特定できないので分類できない。なお、これらの値は、飽和蒸気圧濃度0.953 mg/L より高いため、ミストとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

DFGOT vol.20(2003)には、ウサギの皮膚に無希釈の試験物質を4時間適用した試験(OECD TG 404)で、紅斑、浮腫及び瘢痕形成を伴う重度の刺激性を示し、皮膚刺激指数は6.75/8.0との報告や、ウサギを用いた試験で20時間閉塞ばく露により、24時間後に軽度の紅斑と浮腫形成、8日後に顕著な落屑がみられたとの報告がある。以上の情報に基づき、区分2とした。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

DFGOT vol.20(2003)には、ウサギの眼に無希釈の試験物質0.1 mLを適用した試験(OECD TG 405)で、角膜、虹彩及び結膜に中等度~重度の刺激性を示し、眼刺激指数は28.59/110との報告がある。またECETOC TR48(1998)には、無希釈の試験物質0.1 mLをウサギの眼の結膜嚢に適用した試験で、24時間に角膜混濁、虹彩炎、結膜の発赤と浮腫がみられ、眼刺激指数(MMAS)は51.3/110であり、7日~14日後に回復したとの報告がある。以上の情報に基づき区分2Aとした。

呼吸器感作性

データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

データ不足のため分類できない。なお、DFGOT vol.20(2003)には、ボランティア29人に対するKligman法(マキシマイゼーション法)による皮膚感作性試験で、感作性がみられた人がいなかったとの報告や、製造/加工工場の産業医学部門報告で本物質は皮膚感作性物質ではないとの記述がある。

生殖細胞変異原性

ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、マウスの優性致死試験で陰性、マウス骨髄細胞の小核試験、ラット骨髄細胞の染色体異常試験で陰性である(DFGOT vol.20(2003))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のhprt遺伝子突然変異試験、マウスリンフォーマ試験、染色体異常試験でいずれも陰性である(DFGOT vol.20(2003)、IUCLID(2000)、JECFA(1998)、NTP DB(Access on September 2013))。

発がん性

【分類根拠】 (1)、(2)より、本物質投与による発がん性の証拠は得られないため、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)マウスを用いた18ヵ月間強制経口投与による発がん性試験(50~750 mg/kg/day、5日/週)では、最高用量の750 mg/kg/dayで雌に肝細胞がんの軽度増加がみられた。高用量群雌の肝細胞がんは統計学的に水対照群とは有意差はないが、媒体(クレモフォアEL)対照群と比べ有意な増加がみられた。しかし、雄には腫瘍の増加はみられず、雌の肝細胞がんは生物学的意義がない、又は生物学的変動の範囲内と判断された。本物質を用いたマウスの試験では、雌雄ともに発がん性の証拠はないと結論された(JECFA FAS 40 (1998)、EU EFSA (2011)、産衛学会 許容濃度の勧告等 (2016))。 (2)ラットを用いた2年間強制経口投与による発がん性試験(50~500 mg/kg/day、5日/週)では、雌雄とも最高用量の500 mg/kg/dayまで腫瘍の発生増加は認められなかったが、高用量群の雌では死亡率が52%と高く、全身毒性影響が強かった。本物質を用いたラットの試験では、雌雄ともに発がん性の証拠はないと結論された(JECFA FAS 40 (1998)、EU EFSA (2011)、産衛学会 許容濃度の勧告等 (2016))。
【参考データ等】 (3)(1)の試験結果において、高用量群の雄マウスでは肝細胞がんの18%増加がみられたが、統計的に有意な増加ではなく、背景陰性対照データの範囲内であったこと、雌マウスでは肝細胞がんの10%の増加がみられ、対照群と比べて統計的に有意な増加であり(水対照群との比較では有意差なし)、かつ背景陰性対照データの範囲を超える増加であったこと、(2)のラットの試験において腫瘍の過剰発生はみられなかったが、雌では高い死亡率が制限要因となった可能性も考えられることを踏まえ、(1)における雌マウスの肝細胞がんの有意な増加に基づき、ACGIHは本物質の発がん性分類としてA3を提案した(ACGIH (2022))。

生殖毒性

ラットの妊娠12日目に経口投与により、母動物の毒性についての報告はないが、水腎、尾の異常、四肢奇形などの奇形胎児の発生増加がみられ(DFGOT vol.20(2003))、また、ラットの器官形成期に経口投与した発生毒性試験では、母動物に死亡、一般症状、摂餌量低下及び体重増加抑制がみられた用量で、吸収胚、着床後損失率の明らかな増加、腎盂拡張や水尿管症の胎児増加に加え、骨格奇形の増加を示し、本物質は母体及び胚・胎児に毒性を生じる用量でのみ催奇形性を有すると結論付けされている(DFGOT vol.20(2003))ことから、区分2とした。

特定標的臓器毒性 (単回ばく露)

本物質は、ヒトの職業ばく露において頭痛、眩暈、疲労感、腸障害、軽度の血圧低下を起すと報告されている(PATTY(6th, 2012))。動物試験ではマウス、ラット、モルモットの単回吸入投与試験(1.8 mg/L/4時間、ミスト(6h、227ppmばく露の換算))で、肺出血及び回復性の中枢神経抑制及び眼、鼻、喉及び呼吸経路の粘膜の刺激が認められた(JECFA FAS32(1993)、DFGOT vol.20(2003))との報告に基づき区分2(呼吸器)、区分3(麻酔作用)とした。

特定標的臓器毒性 (反復ばく露)

DFGOT vol. 20(2003)、PATTY(6th, 2012)及びJECFA FAS 32(1996)の記述より、ラットの13週間及び2年間強制経口投与又は13週間混餌投与試験並びにマウスの18ヶ月間強制経口投与試験のいずれの試験においても、区分2までの用量範囲内で毒性影響はみられず、区分2を超える用量では肝臓(重量増加、ペルオキシゾーム増殖など)、腎臓(皮質変性)、前胃(上皮過形成)がみられた。一方、ラットに本物質蒸気を90日間吸入ばく露した試験では、最高濃度(120 ppm; 0.65 mg/L)まで毒性影響は認められなかったが、試験濃度が区分2の範囲をカバーしておらず、ガイダンス値上限での毒性影響の有無は不明であるため、分類に用いるには不十分なデータと判断された。また、分類に利用できる経皮ばく露のデータはない。以上、経口経路では区分外相当であるが、他の経路の毒性情報が不十分であり、全体としてデータ不足のため分類できないとした。

誤えん有害性*

データ不足のため分類できない。

* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

魚毒性
流水式試験 LC50 - Leuciscus idus (コイの一種) - 17.1 mg/l - 96 h
(OECD 試験ガイドライン 203)
ミジンコ等の水生無脊
止水式試験 EC50 - Daphnia magna (オオミジンコ) - 39 mg/l - 48 h
椎動物に対する毒性
(理事会規則 (EC) No. 440/2008,付属書, C.2)
藻類に対する毒性
止水式試験 ErC50 - Desmodesmus subspicatus(セネデスムス・サブスピカ
トゥス) - 16.6 mg/l - 72 h
(理事会規則 (EC) No. 440/2008,付属書, C.3)
微生物毒性
EC10 - Pseudomonas putida (シュードモナス‐プチダ) - 540 mg/l - 18 h
(DIN(ドイツ工業規格) 38412)
備考: (IUCLID)

12.2 残留性・分解性

生分解性
好気性 - 曝露時間 14 d
結果: 79 - 99.9 % - 易分解性。
(OECD テスト ガイドライン 301C)

12.3 生体蓄積性

データなし

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
免許を有する廃棄物処理業者に、余剰物で再使用不可の溶液として処理を依頼する。 このような可燃性の物質は、 アフターバーナーとスクラバーが備えられた化学焼却炉で焼却しても差し支えないと考えられる。汚染容器及び包装製品入り容器と同様に処分する。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): -    IMDG (海上規制): -    IATA-DGR (航空規制): -

14.2 国連輸送名

IATA-DGR (航空規制): Not dangerous goods
IMDG (海上規制): Not dangerous goods
ADR/RID (陸上規制): 非危険物

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): -    IMDG (海上規制): -    IATA-DGR (航空規制): -

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): - IMDG (海上規制): - IATA-DGR (航空規制): -

14.5 環境危険有害性

非該当
ADR/RID: 非該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当

14.6 特別の安全対策

なし

14.7 混触危険物質

強酸, 強酸化剤

15. 適用法令

労働安全衛生法

労働安全衛生法に基づくラベル表示・SDS交付の義務化候補物質リスト(令和5年)

化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)

該当しない

毒物及び劇物取締法

該当しない

消防法

第4類 引火性液体 第三石油類 非水溶性(法第2条第7項危険物別表第1・第4類)

16. その他の情報

略語と頭字語

EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定
TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物
IATA:国際航空運送協会

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
免責事項:

本MSDS中の情報は指定された製品にのみ適用され、特に規定がない限り、本製品とその他の物質の混合物には適用されません。本MSDSは、製品使用者の適切な専門的なトレーニングを受けた者にのみ製品安全情報を提供します。本MSDSの使用者は、本SDSの適用性について独自に判断しなければならない。本MSDSの著者は、本MSDSの使用によるいかなる傷害にも責任を負わない。

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