急性毒性
経口
ラットを用いた経口投与試験のLD50値は>5,000 mg/kg、1,987 mg/kg、 960 mg/kg(EHC 92 (1989))、>2,500 mg/kg、1,721 mg/kg、1,244 mg/kg(EHC 92 (1989)、HSDB (2001))、1,400 mg/kg(HSDB (2001))との記述がある。確定値が全て区分4に該当することから、区分4とした。
なお、EU分類はXn;R22である(EU-Annex I)。
経皮
ラットを用いた経皮投与試験のLD50値 >2,500 mg/kg(EHC 92 (1989))、>3,000 mg/kg(HSDB (2001))、ウサギを用いた経皮投与試験のLD50値 >2,500 mg/kg(EHC 92 (1989))から、区分外とした。
吸入
吸入(粉じん): ラットを用いた4時間エアロゾル吸入ばく露試験のLC50値 >9.49 mg/L及び、ラットを用いた1時間エアロゾル吸入ばく露試験のLC50値 >12.0 mg/L(4時間換算値:>4.9 mg/L)(EHC 92 (1989))との記述がある。LC50値 >9.49 mg/Lから区分外とした。
吸入(蒸気): データがないので分類できない。
吸入(ガス): GHS定義上の固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
皮膚腐食性・刺激性
ICSC(2001)の短期ばく露の影響の項に「皮膚を刺激する」との記述があるが、List1の情報源であるEHC 92 (1989)に、工業品レスメトリンは、ウサギの耳を用いた皮膚刺激性試験で「slight irritant」と記述されている。また、本物質の構成成分であるバイオレスメトリンのウサギを用いた皮膚刺激性試験において「皮膚刺激性はない」(EHC 92 (1989)、JMPR (1991))旨の記述がある。「slight irritant」は、国連GHS皮膚刺激性区分3に相当すると思われるが、国内では不採用区分につき、区分外とした。
眼に対する重篤な損傷・刺激性
ICSC(2001)の短期ばく露の影響の項に「眼を刺激する」との記述があるが、刺激の程度など詳細については不明である。本物質の構成成分であるバイオレスメトリンについては、ウサギを用いた眼刺激性試験において「眼刺激性はない」(EHC 92 (1989)、JMPR (1991))旨の記述があるが、本物質のデータはないので、データ不足のため分類できない。
呼吸器感作性又は皮膚感作性
皮膚感作性:「モルモットで皮膚感作性を示さなかった」(EHC 92 (1989))との記述がある。また、本物質の構成成分であるバイオレスメトリンについて、モルモットを用いた感作性試験で「皮膚感作性を生じなかった」(JMPR (1991))との記述、「わずかに紅斑が見られただけで、感作性の可能性は低い」(EHC 92(1989)、JMPR (1991))旨の記述があるが、本物質については他にデータがないので、データ不足のため分類できない。
呼吸器感作性:データがないので分類できない。
生殖細胞変異原性
in vivo試験のデータがないので、分類できない。
なお、in vitro変異原性試験として、ネズミチフス菌及び大腸菌を用いた復帰突然変異試験、チャイニーズハムスター培養細胞及びマウス骨髄細胞を用いた染色体異常試験、チャイニーズハムスターV79細胞を用いた突然変異試験で、いずれも「陰性」 (EHC 92 (1989)) との記述がある。
発がん性
主要な国際的評価機関による評価がなされておらず、データも不十分なので分類できない。
なお、マウスを用いた85週間経口投与試験及びラットを用いた112週間経口投与試験で「最高用量でも発がん性は見られなかった」(EHC 92 (1989))との記述がある。
生殖毒性
NTP DB (Access on November 2008)では「動物に対して生殖毒性はないが、ヒトのデータはない」旨の記述がある。またEHC 92(1989)には、ラット及びマウスを用いた経口投与による催奇形性試験で「催奇形性はみられなかった」旨の記述がある。一方、ラットを用いた混餌投与による3世代試験で「統計学的に明らかな低体重の児数及び死産数の増加が見られた」(EHC 92 (1990)、IRIS (2002))旨の記述があるが、同用量での親動物の毒性影響について、一次文献を確認することができず不明であるので、区分2とした。