急性毒性
経口
GHS分類: 区分2 ラットのLD50値として、32 mg/kg (HSDB (Access on June 2016)) の報告に基づき、区分2とした。なお、ラットのLD50値として、32 mg/kg (環境省リスク評価第8巻 (2010)) との報告があるが、List3のRTECSに基づく情報であり、詳細不明であるため、分類には採用しなかった。
経皮
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、ウサギのLD50値として、2,318 mg/kg (環境省リスク評価第8巻 (2010)) との報告があるが、List3のRTECSに基づく情報であり、詳細不明であるため、分類には採用しなかった。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 分類できない ヒトで刺激性なしと報告されているが (環境省リスク評価第8巻 (2010))、試験の詳細が不明なため、分類できないとした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陽性である (環境省リスク評価第8巻 (2010)、NTP DB (Access on June 2016)、HSDB (Access on June 2016))。
発がん性
GHS分類: 分類できない ラット、又はマウスに本物質を78週間混餌投与し、26週間後 (ラット) 又は14週間後 (マウス) に屠殺剖検した発がん性試験において、雄ラットに腫瘍発生の増加はみられなかったが、雌ラットは高用量群の組織試料を偶発的に紛失したため評価不能であった。一方、マウスには雌で用量レベルと肝細胞腺腫との間に正の有意な相関がみられ、雄にもその傾向が窺われたが有意差はなく、雄ラット、及び雌雄マウスでは発がん性を結論付ける証拠はなかったと結論された (NTP TR 183 (1979))。既存分類結果としては、ACGIHが有機スズ化合物に対してA4に分類している (ACGIH (7th, 2001))。以上より、本項は分類できないとした。
生殖毒性
GHS分類: 区分1B 妊娠ラットの器官形成期に強制経口投与した複数の発生毒性試験において、母動物毒性 (胸腺重量減少、体重増加抑制) がみられる用量、又はそれ以下の用量で、胎児に胚/胎児死亡の増加、外表奇形 (下顎裂、下唇裂、舌癒着、脳ヘルニアなど)、骨格奇形 (顎異常、肋骨や胸部椎弓の融合など) の発生頻度の増加が認められている (環境省リスク評価第8巻 (2010))。よって、本項は区分1Bとした。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 なお、体内で、ジブチルスズオキシド及びジブチルスズクロリドになるジブチルスズ類については、その毒性を共通して採用できると考えられるが、本物質が生体内でジブチルスズオキシド又はジブチルスズクロリドに転換するという情報は得られなかった。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
GHS分類: 区分2 (肝臓) ヒトに関する情報はない。 実験動物では、マウスを用いた混餌での78週間反復投与毒性試験において、区分2相当の150 ppm (ガイダンス値換算: 22.5 mg/kg/dayで肝臓に影響 (変性性及び壊死性変化) の報告がある (NTP TR183 (1979))。なお、ラットを用いた混餌での78週間反復投与毒性試験において、区分1相当の62.5 ppm (ガイダンス値換算: 3.125 mg/kg/day) で子宮に影響 (化膿性炎、嚢胞性・ポリープ性過形成) がみられている (NTP TR183 (1979))。しかし、NTP TR183 (1979) において影響として明確に記載していないこと、用量相関性が確認できないことから影響とするには不十分であると判断した。 また、体内で、ジブチルスズオキシド及びジブチルスズクロリドになるジブチルスズ類については、その毒性を共通して採用できると考えられるが、本物質が生体内でジブチルスズオキシド又はジブチルスズクロリドに転換するという情報は得られなかった。 したがって、区分2 (肝臓) とした。
吸引性呼吸器有害性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない、なお、HSDB (Access on June 2016) に収載された数値データ (粘性率: 18 mPa・s (25℃)、密度 (比重): 1.31 (25℃)) より、動粘性率は13.74 mm2/sec (25/25℃) と算出される。