安全データシート

エチレングリコール

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: エチレングリコール
  • CB番号: CB7852707
  • CAS: 107-21-1
  • EINECS番号: 203-473-3
  • 同義語: エチレングリコール,グリコール

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 本物質の主な用途は、ポリエステル繊維原料、不凍液、グリセリンの代用、溶剤(酢酸ビニル系樹脂)、耐寒潤滑油、有機合成(染料、香料、化粧品、ラッカー)、電解コンデンサー用ペースト、乾燥防止剤(にかわ)、医薬品、不凍ダイナマイト、界面活性剤、不飽和ポリエステルである
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日
GHS改訂4版を使用
H25.8.22、政府向けGHS分類ガイダンス(H25.7版)を使用
物理化学的危険性
分類できない
健康に対する有害性
特定標的臓器毒性(単回ばく露)   区分1 (中枢神経系、血液系、腎臓)、 区分3 (気道刺激性、麻酔作用)
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性   区分2B
皮膚腐食性及び皮膚刺激性   区分2
急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)   区分4
分類実施日
環境に対する有害性はH18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用
環境に対する有害性
水生環境有害性 (急性)   区分3

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS07GHS08
注意喚起語
警告
危険有害性情報
H373 長期にわたる、又は反復ばく露(経口)による臓器の障害のおそれ (腎臓)。
H302 飲み込むと有害。
注意書き
安全対策
P270 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P264 取扱い後は皮膚をよく洗うこと。
応急措置
P301 + P312 + P330 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。口をすすぐこと。
P314 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。
廃棄
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 別名: 1,2-Ethanediol
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C2H6O2
  • 分子量: 62.07 g/mol
  • CAS番号: 107-21-1
  • EC番号: 203-473-3
  • 化審法官報公示番号: 2-230
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
医師に相談する。 この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸い込んだ場合、新鮮な空気の場所に移す。 呼吸していない場合には、人工呼吸を施す。 医師に相談する。
皮膚に付着した場合
石けんと多量の水で洗い流す。 医師に相談する。
眼に入った場合
予防措置として、水で眼を洗浄する。
飲み込んだ場合
意識がない場合、口から絶対に何も与えないこと。 口を水ですすぐ。 医師に相談する。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

適切な消火剤
水噴霧、耐アルコール泡消火剤、粉末消火剤、二酸化炭素を使用すること。

5.2 特有の危険有害性

炭素酸化物

5.3 消防士へのアドバイス

消火活動時には必要に応じて 自給式呼吸装置を装着する。

5.4 詳細情報

データなし

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

保護具を使用する。 蒸気、ミスト、またはガスの呼吸を避ける。 十分な換気を確保する。個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

物質が排水施設に流れ込まないようにする。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

不活性の吸収材に吸収させ、有害な廃棄物として処分する。 廃棄に備え適切な容器に入れて蓋をしておく。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

安全取扱注意事項
皮膚や眼への接触を避けること。 蒸気やミストの吸い込みを避けること。
衛生対策
十分な衛生的作業を行い安全規定に従って取扱う。 休憩前や終業時には手を洗う。注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管クラス
保管クラス (ドイツ) (TRGS 510): 10: 可燃性液体
保管条件
容器を密閉し、乾燥した換気の良い場所に保管する。 一度開けた容器は注意深く再度密封し、漏れを避けるためまっすぐ立てておく。吸湿性の.

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
TWA: 25 ppm - 米国。 ACGIH限界閾値(TLV)

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
十分な衛生的作業を行い安全規定に従って取扱う。 休憩前や終業時には手を洗う。
保護具
眼/顔面の保護
顔面シールドおよび保護メガネ NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規
格で試験され、認められた眼の保護具を使用する。
皮膚及び身体の保護具
手袋を着用して取扱う。 使用前に、必ず手袋を検査する。 (手袋外面に触れずに)適切に手袋
を脱ぎ、本製品の皮膚への付着を避ける。 適用法令およびGLPに従い、使用後に汚染手袋を廃
棄する。 手を洗い、乾燥させる。
選ばれた防護手袋は、EU指令2016/425の仕様と、それから派生する規格EN374を満たすもので
なければならない。
フルコンタクト
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Dermatril® (KCL 740 / Aldrich Z677272, Size M)
飛沫への接触
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Dermatril® (KCL 740 / Aldrich Z677272, Size M)
データソース:KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, 電話 +49 (0)6659 87300, e-mail sales@kcl.de,
試験方法: EN374
EN374とは違った条件の下で、溶液の中、または他の物質と混ぜて使われる場合は、EC認可手
袋の供給業者に問い合わせる。 この勧告は単なる助言であり、予想される用途の特定状況に精
通した産業衛生専門家並びに安全管理者により評価されなければならない。 任意の使用方法に
ついて許可を受けていると理解すべきではない。
身体の保護
化学防護服, 特定の作業場に存在する危険物質の濃度および量に応じて、保護装置のタイプを選
択しなければならない。
呼吸用保護具
リスクアセスメントによりろ過式呼吸用保護具が適切であると示されている場所では、工学的
制御のバックアップとして、多目的直結式(US)またはABEK型(EN14387)呼吸用保護具カ
ートリッジ付き全面形呼吸用保護具を使用する。呼吸用保護具が唯一の保護手段である場合、
全面形送気マスクを使用する。 NIOSH(US)またはCEN(EU)などの適切な政府機関の規格
で試験され、認められた呼吸用保護具および部品を使用する。
環境暴露の制御
物質が排水施設に流れ込まないようにする。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
吸湿性液体:ICSC(2000)
無色、粘ちょう:ICSC(2000)
臭い
無臭
臭いのしきい(閾)値
情報なし
pH
情報なし

融点・凝固点

-12.69℃(融点):HSDB(2014)

沸点、初留点及び沸騰範囲

197.3℃:HSDB(2014)

引火点

111℃(密閉式):HSDB(2014)

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

情報なし

燃焼性(固体、気体)

非該当

燃焼又は爆発範囲

下限 3.2vol%:NFPA(13th,2002)、上限 15.3vol% :ICSC(2000)

蒸気圧

7 Pa(20℃) :ICSC(2000)

蒸気密度

2.14(空気=1) :計算値

比重(相対密度)

1.1

溶解度

混和する(水):ICSC(2000) 混和:低級脂肪族アルコール、グリセリン、酢酸、アセトン及び類似のケトン、アルデヒド、ピリジン。微溶:エーテル(1:200)。不溶:ベンゼン及びその同属体、塩素化炭化水素、石油エーテル(Merck(13th,2001))。

n-オクタノール/水分配係数

log Pow = -1.36 (PHYSPROP Database (2005))

自然発火温度

398℃:HSDB(2014)

分解温度

情報なし

粘度(粘性率)

情報なし

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

データなし

10.2 化学的安定性

推奨保管条件下では安定。

10.3 危険有害反応可能性

データなし

10.4 避けるべき条件

データなし

10.5 混触危険物質

強酸, 強酸化剤, 強塩基類, アルデヒド類, アルミニウム

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
ラットのLD50値として、4,000-13,400 mg/kg の範囲内で10件の報告がある。ガイダンスの改訂により、最も多くのデータ (6件) (6,140 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、8,540 mg/kg (DFGOT vol. 4 (1992)、PATTY (6h, 2012))、10,800 mg/kg (DFGOT vol. 4 (1992)、PATTY (6th, 2012))、11,300 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、13,000 mg/kg、5,890-13,400 mg/kg (SIDS (2009)) が該当する区分外とした。なお、3件が国連分類基準の区分5、1件が国連分類基準の区分5又は区分外に該当する。新たな情報源 (ACGIH (7th, 2001)、環境省リスク評価第3巻 (2004)、ATSDR (2010)、PATTY (6th, 2012)、DFGOT vol. 4 (1992)、CEPA (2000)、NITE初期リスク評価書 (2007)、SIDS (2009)) を追加し、分類を見直した。
経皮
ラットのLD50値として、2,800 mg/kg (ACGIH (7th, 2001))、ウサギのLD50値として、9,530 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6h, 2012))、10,600 mg/kg (CICAD 45 (2002)、CEPA (2000)、NITE初期リスク評価書 (2007))、10,612 mg/kg (環境省リスク評価第3巻 (2004)) の4件の報告がある。1件が国連分類基準の区分5に、3件が区分外に該当する。ガイダンスの改訂により最も多くのデータ (3件) が該当する区分外とした。
吸入:ガス
GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
データ不足のため分類できない。
吸入:粉じん及びミスト
ラットのLC50値 (1時間) として、10.9 mg/L (4時間換算値:2.7 mg/L) (PATTY (6th, 2012)) に基づき、区分4 とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度(0.2 mg/L) より高いため、ミストの基準値を適用した。新たな情報源 (PATTY (6th, 2012)) を追加し、区分を見直した。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

ヒト103人に対するパッチテストにおいて、本物質の原液0.2 mLの適用により刺激性がみられた (SIDS (2009)) ことから、区分2とした。またウサギ、モルモットを用いた皮膚刺激性試験で軽度の皮膚刺激性がみられた (CICAD 45 (2002)、初期リスク評価書 (2007)、CEPA (2000)) との報告がある。ヒトの所見を追加し区分を変更した。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

ウサギに原液を適用した眼刺激性試験において、刺激性なしとの報告がある (SIDS (2009))。また、液体や蒸気への1回あるいは短時間の眼へのばく露は、恒久的な角膜損傷を伴わない軽微な結膜刺激をウサギに引き起こす (CICAD 45 (2002)、初期リスク評価書 (2007)、CEPA (2000)) との報告がある。ヒトの事故例として本物質 (濃度不明) に眼にばく露された結果、結膜炎、浮腫、光反射の遅延、重度の角膜炎がみられたが4週間後には回復したとの報告がある (DFGOT vol. 4 (1992)) が濃度等については詳細不明である。以上の結果から区分2Bとした。

呼吸器感作性

データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

ヒトに対する報告が2件あり、本物質5%又は25%水溶液を11人に適用したところ、1人 (レンズの切断作業で25%水溶液を扱い腕、胸、腹部に皮膚炎を発症した31歳女性、ニッケルアレルギーあり) に激しいアレルギー反応を示したが、他の10名にアレルギー反応はみられなかった (DFGOT vol. 4 (1992))。また、本物質の1%及び5%水溶液を10人に適用したところ1人 (4ヶ月間光学レンズの洗浄作業で25%水溶液を扱い、発疹がみられた17歳男性) にアレルギー反応はみられなかったが、本物質3%を含むエタノール溶液に対して軽度の刺激、紅斑、腫れがみられた。他の9人についてはアルコールに対する軽度の刺激以外の反応はみられなかった (DFGOT vol. 4 (1992))。なお、モルモットを用いたマキシマイゼーション試験において、感作性はみられなかったとの報告がある (SIDS (2009))。動物試験では陰性の結果があるものの、ヒトの事例でアレルギー反応の事例があることから、分類できないとした。

生殖細胞変異原性

ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、ラットの優性致死試験、マウスの小核試験及び染色体異常試験でいずれも陰性 (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第3巻 (2004)、SIDS (2009)、ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (2010)、CEPA (2000)) である。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験でいずれも陰性 (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第3巻 (2004)、SIDS (2009)、ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (2010)、CEPA (2000)) である。

発がん性

ACGHIでA4 (ACGIH (7th, 2001)) に分類されているため、「分類できない」とした。

生殖毒性

ラットを用いた経口経路 (混餌) での三世代生殖毒性試験においては生殖発生毒性に対する影響は認められなかったとの報告 (ATSDR (2010)、(NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第3巻 (2004)、CICAD 45 (2002))、マウスを用いた経口経路 (飲水) での連続交配試験では、母動物毒性はないが極めて高用量 (1,640 mg/kg bw/day) で、胎児への影響 (出生児体重の減少、同腹児数及び生存児数のわずかな減少、発生数は不明であるが顔貌異常と、頭蓋骨、胸骨分節、肋骨、椎骨で骨格変化) がみられたとの報告がある (ATSDR (2010)、CICAD 45 (2002))。 ラットあるいはマウスを用いた経口経路 (強制) での催奇形性試験において、母動物毒性のみられない高用量 (1,000 mg/kg bw/day以上) において児動物への影響 (胎児体重の減少、骨化遅延、骨格奇形) がみられている (ATSDR (2010)、NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第3巻 (2004)、CICAD 45 (2002))。 以上のように、母動物毒性のみられない用量において主に骨格奇形を含む児動物への影響がみられたが極めて高用量であること、旧分類の根拠である作用機序がヒトに該当しないとの明確な証拠が得られなかったことから、分類できないとした。

特定標的臓器毒性(単回ばく露)

ラット、マウスでは、投与量に相関した中枢神経抑制作用があり、多量の経口投与では、昏睡、麻痺、運動失調を示し死に至る。また、頻脈、頻呼吸、気管支肺炎、肺浮腫、うっ血性心不全、代謝性アシドーシス、腎臓障害を伴う多渇症、多尿症、尿中シュウ酸カルシウム結晶析出が報告されている。病理組織学的にはシュウ酸カルシウム結晶沈着による腎尿細管上皮の変性、間質性水腫、腎皮質の出血性壊死が認められている (NITE初期リスク評価書 (2007)、SIDS (2009)、CEPA (2000)、ACGIH (7th, 2001))。なお、これらの影響はガイダンス値の区分の範囲では認められていない。 以上より、区分1 (中枢神経系、血液系、腎臓)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。
ヒトにおいては、経口摂取後の毒性影響は主として以下の3段階に分けられる。すなわち、第一段階 (摂取から0.5-12時間) :中枢神経系への影響 (中毒、嗜眠、痙攣、昏睡) 及び代謝障害 (アシドーシス、高カリウム血症、低カルシウム血症)、第二段階 ((摂取から12-24時間) :心臓及び肺への影響 (頻脈、高血圧、代償性過呼吸を伴う重度の代謝性アシドーシス、低酸素症鬱血性心不全、成人呼吸窮迫症候群)、第三段階 (摂取から24-72時間) :腎毒性 (シュウ酸カルシウム沈着、血尿、急性尿細管壊死、腎不全) である (SIDS (2009)、CEPA (2000)、環境省リスク評価第3巻 (2004))。さらに、摂取から6-14日、あるいはそれ以降において見られる影響として第四段階を置き、中枢神経系影響に加え、神経学的影響(顔面神経麻痺、不明瞭な発語、運動能力の喪失、視力障害を含む) が観察され、脳神経の損傷を示唆するとの報告もある (NITE初期リスク評価書 (2007)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 4 (1992))。 なお、ヒトにおける経口摂取による致死量は、約0.4-1.3 g/kg bw (CEPA (2000)) や1.6 g/kg bw (SIDS (2009)、NITE初期リスク評価書 (2007)、ACGIH (7th, 2001)) の報告がある。ヒトの吸入経路では、情報が少ないが、55 ppmのばく露で、1.5 分後から喉及び上気道の痛みがあり、79 ppm 以上では、激しい痛みとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2007)、ACGIH (7th, 2001))。吸入経路では、ボランティアによる 55 ppm の吸入ばく露試験で吸入開始 1.5 分後から喉及び上気道の痛みがあり、79 ppm 以上では、痛みが非常に激しく 1 分以上耐えられなかった (NITE初期リスク評価書 (2007)、ACGIH (7th, 2001))。

特定標的臓器毒性(反復ばく露)

ヒトでは、男性ボランティアに69 mg/m3までの濃度を毎日20-22時間、1ヶ月間吸入ばく露したが、全身影響はみられなかった (環境省リスク評価第3巻 (2004)、SIDS (2009)、ATSDR (2010))。また、カナダ及びフィンランドにおける職業ばく露による報告では、本物質ばく露により懸念された腎臓への影響はみられなかった (SIDS (2009))。この他、反復ばく露であることが明らかなヒトでの本物質への高濃度反復ばく露による知見はない。 実験動物では、SIDS (2009) 及びATSDR (2010) の記述より、腎臓が最も感受性の高い標的臓器であるとされており、SIDS (2009) で信頼性が最も高いと判断されたラットを用いた16週間、1年間又は2年間混餌投与試験において、いずれも腎臓に毒性病変(腎症、腎結石、尿結晶など) が雄に強く生じたが、その発現用量は区分2を遥かに超える用量 (腎毒性を指標としたLOAELの最小値: 300 mg/kg/day (雄ラット1年間混餌投与試験)) であった (SIDS (2009))。 一方、吸入経路では本物質の反復吸入ばく露試験自体は実施されていないが、SIDS (2009) による記述では、エチレングリコール類の毒性はSIDSがカテゴリー評価対象物質としたジエチレングリコール (DEG)、トリエチレングリコール (TEG)、PEG 200のラット吸入ばく露における影響濃度が1,000 mg/m3超であることから、概して低いと考えられると推定されている。 以上より、カテゴリー物質の知見も含めて、本物質は実験動物では経口、吸入のいずれの経路でも反復ばく露による毒性は低いと考えられるが、ヒトにおける高濃度反復ばく露による影響の有無に関して十分な知見がなく、データ不足のため分類できないとした。 なお、旧分類では環境省リスク評価第3巻 (2004) にあるヒトでのばく露による症状を基に分類されたが、いずれの所見も被験者のごく一部にみられた所見で、本物質ばく露に関連した特異的な有害性を示す所見ではないと判断されたため、これらの知見は採用しなかった。

吸引性呼吸器有害性

データ不足のため、分類できない。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

魚毒性
止水式試験 LC50 - Pimephales promelas (ファットヘッドミノウ) - > 72,860
mg/l - 96 h
(US-EPA)
ミジンコ等の水生無脊
止水式試験 EC50 - Daphnia magna (オオミジンコ) - > 100 mg/l - 48 h
椎動物に対する毒性
(OECD 試験ガイドライン 202)
藻類に対する毒性
IC5 - Scenedesmus quadricauda (緑藻) - > 10,000 mg/l - 7 d
備考: (Lit.)
微生物毒性
止水式試験 EC20 - 活性汚泥 - > 1,995 mg/l - 30 min
(ISO 8192)

12.2 残留性・分解性

生分解性
好気性 - 曝露時間 10 d
結果: 90 - 100 % - 易分解性。
(OECD テスト ガイドライン 301A)
生化学的酸素要求量
780 mg/g
(BOD)
備考: (IUCLID)
化学的酸素要求量
1,190 mg/g
(COD)
備考: (IUCLID)
理論上の酸素要求
1,290 mg/g
(量)
備考: (IUCLID)
BOD/ThBOD比
60 %
備考: (IUCLID)

12.3 生体蓄積性

生物濃縮されない。

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
免許を有する廃棄物処理業者に、余剰物で再使用不可の溶液として処理を依頼する。汚染容器及び包装製品入り容器と同様に処分する。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): -    IMDG (海上規制): -    IATA-DGR (航空規制): -

14.2 国連輸送名

IATA-DGR (航空規制): Not dangerous goods
IMDG (海上規制): Not dangerous goods
ADR/RID (陸上規制): 非危険物

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): -    IMDG (海上規制): -    IATA-DGR (航空規制): -

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): - IMDG (海上規制): - IATA-DGR (航空規制): -

14.5 環境危険有害性

非該当
ADR/RID: 非該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当

14.6 特別の安全対策

なし

14.7 混触危険物質

強酸, 強酸化剤, 強塩基類, アルデヒド類, アルミニウム

15. 適用法令

化審法

優先評価化学物質

労働安全衛生法:

名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)

消防法

第4類引火性液体、第三石油類水溶性液体

16. その他の情報

略語と頭字語

TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物
IATA:国際航空運送協会
EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
免責事項:

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