安全データシート

グリオキサール

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: グリオキサール
  • CB番号: CB1280241
  • CAS: 107-22-2
  • 同義語: グリオキザール,グリオキサール

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 繊維処理剤、紙仕上げ剤、医薬・香料原料、消臭剤、土壌硬化剤
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日
H25.8.22、政府向けGHS分類ガイダンス(H25.7版)を使用
GHS改訂4版を使用
健康に対する有害性
急性毒性(経口)   区分3
急性毒性(吸入:ミスト)   区分4
皮膚腐食性及び皮膚刺激性   区分2
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性   区分2A
皮膚感作性   区分1
特定標的臓器毒性(単回ばく露)   区分2 (肺、腎臓、副腎、呼吸器、中枢神経系)
特定標的臓器毒性(反復ばく露)   区分1(呼吸器)
分類実施日
2008-10-06 00:00:00
環境に対する有害性
水生環境有害性 (急性)   区分3
水生環境有害性 (長期間)   区分外

他の危険有害性

使用前に取扱説明書を入手すること。
すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
屋外または換気の良い場所でのみ使用すること。
環境への放出を避けること。
この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
取扱い後は手や顔をよく洗うこと。
保護手袋、保護衣、保護面を着用すること。
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に委託す
ること。
施錠して保管すること。
皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。皮膚刺激または発疹が生じ
た場合:医師の診断、手当てを受けること。汚染された衣類を脱ぐこと。そし
て再使用する場合には洗濯をすること。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させるこ
と。気分が悪い時は、医師に連絡すること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。コンタクトレンズを着用して
いて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。眼の刺激が続
く場合は、医師の診断、手当てを受けること。
暴露または暴露の懸念がある場合:医師に連絡すること。

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質/混合物の区別: : 混合物
  • 化学名又は一般名: : グリオキサール (39%水溶液, 約8.8mol/L)
  • 濃度又は濃度範囲: : ....
  • CAS RN: : 107-22-2
  • 化学式: : C2H2O2
  • 官報公示整理番号 化審法: : (2)-510
  • 官報公示整理番号 安衛法: : 公表化学物質

4. 応急措置

吸入した場合:

ること。
空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。医師に連絡す

皮膚に付着した場合:

洗うこと。医師に連絡すること。
直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、取り除くこと。多量の水と石鹸で

目に入った場合:

て洗うこと。医師に連絡すること。
水で数分間注意深く洗うこと。コンタクトレンズを容易にはずせる場合は外し

飲み込んだ場合:

医師に連絡すること。口をすすぐこと。

応急措置をする者の保護:

救助者はゴム手袋、密閉ゴーグルなどの保護具を着用する。

5. 火災時の措置

適切な消火剤:

粉末, 泡, 水噴霧, 二酸化炭素

火災時の特定危険有害性:

火災時、温度上昇などにより急激に重合し、容器が破裂する恐れがある。安全な場所から消火すること。

特有の消火方法:

消火作業は、風上から行い、周囲の状況に応じた適切な消火方法を用いる。関係者以外は安全な場所に退去させる。周辺火災時、容器に水を噴霧して冷却する。安全に対処できるならば着火源を除去すること。

消火を行う者の保護:

消火作業の際は、必ず保護具を着用する。

6. 漏出時の措置

人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置:

る。
漏出した場所の周辺に、ロープを張るなどして関係者以外の立入りを禁止す
十分に換気を行う。
漏出場所の風上から作業し、風下の人を退避させる。
個人用保護具を着用する。

環境に対する注意事項:

製品が排水路に排出されないよう注意する。

封じ込め及び浄化の方法及び機材:

付着物、回収物などは、関係法規に基づき速やかに処分する。
大量の流出には盛土で囲って流出を防止する。
乾燥砂、不燃性吸収剤などに吸収させてふた付きの容器に回収する。

7. 取扱い及び保管上の注意

取扱い

技術的対策:
取扱いは換気のよい場所で行う。適切な保護具を着用する。漏れ、あふれ、飛散しないよう注意し、みだりに蒸気を発生させない。取扱い後は手や顔などをよく洗う。
注意事項:
できれば、密閉系で取扱う。蒸気やエアゾールが発生する場合には、換気、局所排気を用いる。
安全取扱い注意事項:
あらゆる接触を避ける。

保管

適切な保管条件:
容器を密栓して冷暗所に保管する。施錠して保管する。酸化剤などの混触危険物質から離して保管する。
安全な容器包装材料:
法令の定めるところに従う。

8. ばく露防止及び保護措置

設備対策:

密閉化した設備又は局所排気装置を設ける。取扱い場所の近くに洗眼及び身体洗浄用の設備を設ける。

管理濃度:

設定されていない。

許容濃度:

ACGIH TLV(TWA):
0.1 mg/m3 (IFV) (sen)

保護具

呼吸用保護具:
防毒マスク、自給式呼吸器、送気マスク等。
手の保護具:
不浸透性の手袋。
眼、顔面の保護具:
保護眼鏡(ゴーグル型)。状況に応じ保護面。
皮膚及び身体の保護具:
不浸透性の保護衣。状況に応じ、保護長靴。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
液体
無色~淡黄色
臭い
情報なし
臭いのしきい(閾)値
情報なし
pH
pH = 2.1 to 2.7 (40% solution):HSDB(2013)

融点・凝固点

15℃ :HSDB(2013)

沸点、初留点及び沸騰範囲

51℃(776mmHg) :HSDB(2013)

引火点

100℃以上(40%水溶液) : ICSC (2003)

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

情報なし

燃焼性(固体、気体)

情報なし

燃焼又は爆発範囲

情報なし

蒸気圧

2.4kpa at 20℃ (40% solution) :ICSC(2003)

蒸気密度

1.27(Air=1) (40% solution) :ICSC(2003)

比重(相対密度)

20 ℃で混和:HSDB(2013)

溶解度

有機:無水溶媒に可溶:HSDB(2013)
水:600 g/l(40%solution) at 20℃:GESTIS(2013)

n-オクタノール/水分配係数

情報なし

自然発火温度

285℃ (40% solution) :ICSC(2003)

分解温度

情報なし

粘度(粘性率)

情報なし

10. 安定性及び反応性

反応性:

情報なし

化学的安定性:

熱、光などの影響や過酸化物などの重合開始剤との接触により重合することがある。

危険有害反応可能性:

特別な反応性は報告されていない。

避けるべき条件:

熱, 光

混触危険物質:

酸化剤, 強塩基

危険有害な分解生成物:

二酸化炭素, 一酸化炭素

11. 有害性情報

急性毒性

経口
ラットのLD50値200 mg/kg (環境省リスク評価第3巻 (2004)) に基づき、区分3とした。
経皮
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50=12,700 mg/kg (CICAD 57 (2004)) に基づき、区分外とした。
吸入:ガス
GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
データ不足のため分類できない。
吸入:粉じん及びミスト
40%水溶液 (エアロゾル) でのラットを用いた吸入ばく露試験でLC50 (4時間) =2,440 mg/m3 (2.44 mg/L) (SIDS (2003)、CICAD 57 (2004)、NITE初期リスク評価書 (2008)) との報告がある。このLC50値は計算値である (CICAD 57 (2004)) との記載に基づき、ミストとして mg/L を単位とする基準値を適用し、区分4とした。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

ウサギを用いた皮膚刺激性試験結果の記述に、「重度の刺激性」 (SIDS (2003))、「軽度の刺激性」 (SIDS (2003))、「紅斑がみられた」 (CICADS 57 (2004)、「刺激性なし」 (SIDS (2003)) との記載がある。ヒトへの影響としては、「現在ではヒトの眼や皮膚、粘膜を刺激すると考えられている。」との記載がある (環境省リスク評価第3巻 (2004))。さらに、本物質は、EU DSD分類において「Xi; R36/38」、EU CLP分類において「Skin Irrit. 2 H315」に分類されている。以上の情報に基づき可逆的な重度の刺激性を与えると考え、区分2とした。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405準拠) では、「軽度の刺激性」がみられた」との記述がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。ウサギを用いた別の試験では、「紅斑と結膜浮腫がみられ、8日後に完全に回復した。」、「結膜に重度の紅斑と軽度の浮腫、虹彩に炎症と曇りがみられた。1~2週間で症状が治まった。」との記述がある (SIDS (2003))。さらに、本物質は、EU DSD分類において「Xi; R36/38」、EU CLP分類において「Eye Irrit. 2 H319」に分類されている。以上の情報に基づき可逆的な重度の刺激性を与えると考え、区分2Aとした。

呼吸器感作性

呼吸器感作性: データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

皮膚感作性: モルモットを用いたビューラー法、マキシマイゼーション法の結果の記述 (SIDS (2003)) に「陽性」とあり、ヒト疫学事例の記述に「マキシマイゼーション法を行ったところ、皮膚の壊死、紅斑、浮腫がみられた (SIDS (2003)) 」、「10%溶液での感作ならびに2%溶液での惹起によって全例で陽性の皮膚反応がみられ、グリオキサールは極めて強い皮膚感作性を有することが示された (NITE初期リスク評価書 (2008)) 」との記載があることから、「皮膚感作性がある」と考えられた。さらに、本物質は、EU DSD分類において「R43」、EU CLP分類において「Skin Sens. 1 H317」に分類されている。以上の情報に基づき区分1とした。

生殖細胞変異原性

データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験で陰性の報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2003)、CICAD 57 (2004))。また、ラット肝臓を用いる不定期DNA合成 (UDS) 試験で陰性であるが (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2003))、ラット胃幽門粘膜のUDS試験、ラット肝臓のDNA単鎖切断試験で陽性結果がみられている (SIDS (2003)、NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第3巻 (2004)、CICAD 57 (2004)、ACGIH (7th, 2001))。これらの陽性知見は、いずれも局所的なDNA損傷と評価されている (SIDS (2003))。一方、in vitroでは、細菌復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞を用いる遺伝子突然変異試験及び染色体異常試験で陽性である (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2003)、CICAD 57 (2004)、環境省リスク評価第3巻 (2004)、ACGIH (7th, 2001))。分類ガイダンスの改訂により区分を変更した。

発がん性

ACGIH (7th, 2001) でA4に分類されていることから、分類できないとした。分類ガイダンスの改訂により区分を変更した。

生殖毒性

母動物毒性が発現する用量で発生毒性はないとの情報はある (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2003)) が、性機能及び生殖能に及ぼす影響についての情報がなく、データ不足のため分類できないとした。

特定標的臓器毒性(単回ばく露)

ラット、マウスなどの経口急性毒性試験において、剖検により消化管 (消化管刺激)、肺、腎臓、副腎に変化がみられたことに加え、ラットの吸入 (エアロゾル) ばく露試験において、呼吸困難、不整呼吸、中枢神経系抑制、肺の充血がみられた (SIDS (2003)、NITE初期リスク評価 (2008)) ことから、消化器、呼吸器、腎臓、副腎、中枢神経系が標的臓器と考えられた。このうち、消化器は本物質が刺激性を有していることから、標的臓器に含めなかった。なお、実験動物に対する影響は、区分2に相当するガイダンス値の範囲 (経口経路 (640 - 1,400 mg/kg (ラット))、吸入経路 (1.3 mg/L 以上)) でみられた。以上より、区分2 (肺、腎臓、副腎、呼吸器、中枢神経) とした。なお、旧分類には標的臓器に「心臓」、「肝臓」も含まれていたが、今回分類に用いた情報源には標的臓器としての「心臓」及び「肝臓」の記載がないため、削除した。

特定標的臓器毒性(反復ばく露)

ラットの29日間吸入ばく露試験において、区分1のガイダンス値の範囲内の濃度 (ガイダンス値換算値: 0.0003 mg/L) で粘膜下のリンパ球様細胞浸潤を伴った喉頭蓋上皮の扁平上皮化生がみられており (NITE初期リスク評価書 (2008))、区分1 (呼吸器) とした。なお、ラットに28日間経口投与した試験では、区分2のガイダンス値範囲内の用量 (ガイダンス値換算値: 40 mg/kg/day) で、体重増加抑制、摂餌量減少が認められているが、標的臓器を特定可能な病理学的変化はみられなかった (NITE初期リスク評価書 (2008))。

吸引性呼吸器有害性

データ不足のため分類できない。

12. 環境影響情報

生態毒性:

魚類:
96h LC50:215 mg/L (Pimephales promelas)
甲殻類:
情報なし
藻類:
96h EC50:66.48 mg/L (Selenastrum capricornutum)

残留性・分解性:

65 % (by BOD) , 98 % (by TOC)*既存化学物質安全性点検による判定結果:良分解性

生体蓄積性(BCF):

情報なし

土壌中の移動性

オクタノール/水分配係数:
-0.85
土壌吸着係数(Koc):
情報なし
ヘンリー定数(PaM 3/mol):
情報なし

オゾン層への有害性:

情報なし

13. 廃棄上の注意

処理施設がないなどの理由で廃棄できない場合は、許可を受けた産業廃棄物処理業者に委託する。
空容器を処分する時は、内容物を完全に除去した後に行う。
地方条例や国内規制に従う。
適切な保護具を着用する。

14. 輸送上の注意

国連番号:

該当なし。

国連分類:

国連の分類基準に該当せず。

輸送の特定の安全対策及び条件:

積み込み、荷崩れの防止を確実に行い、法令の定めるところに従う。
運搬に際しては容器に漏れのないことを確かめ、転倒、落下、損傷のないように

15. 適用法令

化学物質排出把握管理促進法

第1種指定化学物質

労働安全衛生法

変異原性が認められた既存化学物質

消防法

第4類引火性液体(引火点不明)

大気汚染防止法

有害大気汚染物質 揮発性有機化合物 法第2条第4項

海洋汚染防止法

有害液体物質

16. その他の情報

略語と頭字語

TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物
IATA:国際航空運送協会
EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
免責事項:

本MSDS中の情報は指定された製品にのみ適用され、特に規定がない限り、本製品とその他の物質の混合物には適用されません。本MSDSは、製品使用者の適切な専門的なトレーニングを受けた者にのみ製品安全情報を提供します。本MSDSの使用者は、本SDSの適用性について独自に判断しなければならない。本MSDSの著者は、本MSDSの使用によるいかなる傷害にも責任を負わない。

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