急性毒性
経口
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しない。 GLP試験結果の信頼性に重みをおいて採用した。
【根拠データ】 (1) ラットのLD50: > 2,000 mg/kg (REACH登録情報 (Access on September 2019)、HSDB (Access on August 2019))
【参考データ等】 (2) ラットのLD50: 566 mg/kg (環境省リスク評価第11巻 (2013))
経皮
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しない。 GLP試験結果の信頼性に重みをおいて採用した。
【根拠データ】 (1) ラットのLD50: > 2,500 mg/kg (REACH登録情報 (Access on September 2019))
【参考データ等】 (2) ウサギのLD50: 200 mg/kg (環境省リスク評価第11巻 (2013))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、ガイダンスでは分類対象外に相当し、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しない。 新たな情報源の使用により、旧分類から区分を変更した。
【根拠データ】 (1) ラットのLC50 (4時間) : > 6.65 mg/L (HSDB (Access on August 2019)、REACH登録情報 (Access on September 2019))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1) より、区分2とした。
【根拠データ】 (1) 「労働基準法施行規則の規定に基づき労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物 (合金を含む。) 並びに労働大臣が定める疾病を定める件」(平成8年労働省告示第33号) において、バナジウム及びその化合物について労働大臣 (現厚生労働大臣) が定める疾病として、皮膚障害、前眼部障害又は気道・肺障害が記載されている。
【参考データ等】 (2) OECD draft TG (EPISKIN Standard Model) に準拠したin vitro皮膚刺激性試験において15分ばく露後の細胞生存率 (相対吸光度) は86.2%であり、GHS区分に該当しないとしている (REACH登録情報(Access on Octorber 2019))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 (1)~(3) より、区分2Aとした。新たなデータが得られたことにより、区分を変更した。
【根拠データ】 (1) OECD TG 405に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験で24/48/72hの平均スコアはそれぞれ角膜混濁:<1、虹彩:0、結膜発赤:2、結膜浮腫:<2であり、21日後までに全て回復した (REACH登録情報 (Access on October 2019))。 (2) 本物質の粉じん及びヒュームへのばく露は眼及び粘膜への刺激を示す可能性がある (DFGOT vol.25 (2009)、HSDB (Access on August 2019))。 (3) 「労働基準法施行規則の規定に基づき労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物 (合金を含む。) 並びに労働大臣が定める疾病を定める件」(平成8年労働省告示第33号) において、バナジウム及びその化合物について労働大臣 (現厚生労働大臣) が定める疾病として、皮膚障害、前眼部障害又は気道・肺障害が記載されている。
呼吸器感作性
【分類根拠】 データ不足のため、分類できない。
【参考データ等】 (1) バナジウム化合物に関する入手可能な情報では、経皮または吸入経路による感作性に関する明白な証拠はない (DFGOT vol.25 (2009))。 (2) 本物質と五酸化バナジウムに1~5年間の吸入ばく露で120例中3例に喘息が生じた(HSDB (Access on September 2019))。
皮膚感作性
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) OECD TG 406 (マキシマイゼーション法、皮内感作:0.01%、貼付感作:50%、惹起:25%) に準拠したモルモット皮膚感作性試験で皮膚反応は認められず、感作性は陰性と結論されている (REACH登録情報 (Access on October 2019))。
【参考データ等】 (2) バナジウム化合物に関する入手可能な情報では、経皮または吸入経路による感作性に関する明白な証拠はない (DFGOT vol.25 (2009))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 In vivoデータがなく、データ不足のため分類できない。
【根拠データ】 (1) in vitroでは、哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験で陽性の報告 (DFGOT vol.25 (2009))、遺伝子突然変異試験で陰性の報告、姉妹染色分体交換試験 (SCE) で陽性の報告がある (HSDB (Access on August 2019))。
発がん性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
生殖毒性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 (1)~(3) より、区分1 (呼吸器) とした。情報の再検討により、旧分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) 酸化バナジウム粉じんの急性ばく露は上気道及び下気道に刺激性を示し、鼻炎、咽頭炎の症状がばく露後30分から12時間で現れ、より重篤なばく露では咳、喘鳴、呼吸困難、胸骨下の痛みなどの症状を起こすとの記載がある (HSDB (Access on August 2019))。 (2) バナジウム化合物の主な作用は結膜と気道に対する刺激性であるとの記載がある (HSDB (Access on August 2019))。 (3) 「労働基準法施行規則の規定に基づき労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物 (合金を含む。) 並びに労働大臣が定める疾病を定める件」(平成8年労働省告示第33号) において、バナジウム及びその化合物について労働大臣 (現厚生労働大臣) が定める疾病として、皮膚障害、前眼部障害又は気道・肺障害が記載されている。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
【分類根拠】 (1)~(3) より、区分1 (呼吸器) とした。
【根拠データ】 (1) バナジウムを含む粉じんを長期間吸入することにより慢性的な職業病が生じる。上気道の刺激により気管支炎を引き起こし、慢性化する可能性がある。重症の場合、発熱を伴う気管支肺炎及び気管支喘息と同様の閉塞性疾患がみられる (DFGOT vol.25 (2009))。 (2) ウサギに本物質のエアロゾル40~75 mg/m3を9~12ヵ月間 (2時間/日) (ガイダンス値換算: 0.01~0.02 mg/L、区分1の範囲) ばく露した結果、鼻汁、くしゃみ、呼吸困難、喘息などの呼吸器症状がみられた (EHC 81 (1988))。 (3) 「労働基準法施行規則の規定に基づき労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物 (合金を含む。) 並びに労働大臣が定める疾病を定める件」(平成8年労働省告示第33号) において、バナジウム及びその化合物について労働大臣 (現厚生労働大臣) が定める疾病として、皮膚障害、前眼部障害又は気道・肺障害が記載されている。
誤えん有害性*
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。