急性毒性
経口
【分類根拠】 (1)~(4)より、有害性の高い区分を採用し、区分4とした。なお、新たな知見に基づき分類結果を変更した。旧分類からEUで急性毒性(経口、経皮)のGHS区分が変更されたことに伴い、急性毒性項目のみ見直した(2021年)。
【根拠データ】 (1)ラットのLD50:2,144 mg/kg(雄:2,664 mg/kg、雌:1,563 mg/kg)(OECD TG 401)(CLP Report (2011)、JMPR (2015)) (2)ラットのLD50:1,600 mg/kg(EPA pestiside RED (1995)) (3)ラット(雄)のLD50:2,639 mg/kg(JMPR (2015)) (4)ラット(雌)のLD50:1,564 mg/kg(JMPR (2015))
【参考データ等】 (5)本物質はEU CLHにおいて、区分4に分類されている。
経皮
【分類根拠】 (1)より、雌のデータに基づき区分3とした。なお、新たな知見に基づき分類結果を変更した。旧分類からEUで急性毒性(経口、経皮)のGHS区分が変更されたことに伴い、急性毒性項目のみ見直した(2021年)。
【根拠データ】 (1)ラットのLD50:1,517 mg/kg (雄:1,210 mg/kg、雌:983 mg/kg)(OECD TG 402)(CLP Report (2011)、JMPR (2015))
【参考データ等】 (2)本物質はEU CLHにおいて、区分3に分類されている。
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。旧分類からEUで急性毒性(経口、経皮)のGHS区分が変更されたことに伴い、急性毒性項目のみ見直したが、分類結果に変更はない(2021年)。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 (1)より、区分4とした。旧分類からEUで急性毒性(経口、経皮)のGHS区分が変更されたことに伴い、急性毒性項目のみ見直したが、分類結果に変更はない(2021年)。
【根拠のデータ】 (1)ラットのLC50(4時間):3.20 mg/L(OECD TG 403)(CLH Report (2011))
【参考データ等】 (2)ラットのLC50(ばく露時間不明) :3.26mg/L(OECD TG 403)(JMPR(2015)、EFSA (2008)、EPA pestiside RED (1995))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
ウサギの皮膚に水溶液として0.5 mLを1~4時間適用し、6匹中4匹に斑点状の壊死と浮腫、6匹に接触性紅斑が観察され、本物質の腐食性(corrosive)が明らかになったと報告され(JMPR 861(1993))、かつ、本物質のpHはおよそ1との記述(Sax(11th, 2004))により、区分1とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
ウサギの結膜嚢に適用した試験で角膜傷害が報告され(HSDB(2010))、かつ、本物質のpHがおよそ1との記述(Sax(11th, 2004))により、区分1とした。なお、本物質は皮膚刺激性試験で腐食性を示し、眼に対しても作用をがあり、EPAではカテゴリーI(4段階中の最も高いカテゴリー)に位置付けられいる(EPA RED factsheet(1996))。
呼吸器感作性
データなし。
皮膚感作性
モルモットを用いた皮膚感作性試験で接触感作性の証拠は認められなかった(JMPR 861(1993))との結果、さらに本物質は皮膚感作性を惹起せず、EPAにより陰性であると結論付けられている(EPA RED(1995))ことから、区分に該当しないとした。
生殖細胞変異原性
ラットを用いた優性致死試験(生殖細胞in vivo経世代変異原性試験)およびマウスを用いた小核試験(in vivo変異原性試験)でいずれも陰性(JMPR 861(1993))の報告に基づき、区分に該当しないとした。なお、in vitro試験としては、エームス試験で陽性、チャイニーズハムスターの卵巣細胞を用いた染色体異常試験で陰性、チャイニーズハムスターの卵巣細胞を用いたHGPRT遺伝子突然変異試験で陰性の結果(JMPR 861(1993))が報告されている。
発がん性
ラットを用い104週間または97~104週間の混餌投与による2つの試験でいずれも発がん性は認められなかった(JMPR 861(1993))と報告され、さらにマウスに78週間混餌投与による2つの試験でいずれもばく露に関連する腫瘍発生の増加はなく、発がん性は示されなった(JMPR 861(1993))と報告されている。2種の動物で各2回実施された発がん性試験で、いずれも発がん性の証拠が得られなかったことにより区分に該当しないとした。
生殖毒性
ラットに交配前から交配、妊娠、分娩および授乳の各期間を通じて混餌投与した二世代生殖試験の二世代目において、高用量(30000 ppm)群の親動物が妊娠および授乳期間中に体重低下を示し、第2産仔で死産および周産期死亡の増加が報告されている(JMPR 861(1993))、さらに妊娠ウサギの器官形成期に経口投与した試験では催奇形性は認められなかったが、母動物が生存率低下および体重増加抑制を示し、同一用量で着床後胚損失率および早期吸収率の高値、平均生存仔数の低値が報告されている(JMPR 861(1993))。以上の結果により、区分2とした。なお、二世代生殖試験の各世代とも交配、受胎、妊娠を含む性機能および生殖能に影響はなく(EPA RED(1995))、また、妊娠ラットの器官形成期投与試験では、催奇形性を含む仔の発生に悪影響は認められなかった(JMPR 861(1993))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
ラットに経口投与により1000~2000 mg/kgで死亡例の発生(雌のみ)に加え、一過性の症状として瞳孔収縮、排尿増加、体温低下、運動低下などが認められた(JMPR 861(1993))。一方、本物質は高用量で実験動物に対し、流涎、流涙、排尿、排便などの有機リン酸類に類似の中毒症状を引き起こし、最も鋭敏なばく露の指標は低用量でも現れる血球および血漿のコリンエステラーゼ阻害である(IRIS RED(2006))と述べられている。以上の知見に基づき、ラットでガイダンス値区分2に相当する用量で症状が認められていることから区分2(神経系)とした。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
ヒトのボランティアを用いた試験で16日間または22日間経口投与により、血漿コリンエステラーゼ活性の有意な阻害が報告されている(JMPR 861(1993))。また、実験動物では、ラットに4週間、マウスに4週間、およびイヌに2年間経口投与した試験で、血漿および赤血球のコリンエステラーゼ活性の有意な阻害が報告されている(JMPR 861(1993))。本物質のばく露による血漿および赤血球のコリンエステラーゼ活性阻害は低用量でも現れ、鋭敏なばく露の指標とされている(IRIS(2006))が、上述のヒトの試験および動物試験とも認められた影響は、検査値(コリンエステラーゼ活性値)の変化のみで、関連する中毒症状や病理学的変化などその他の影響を伴っていないことから、「分類できない」とした。
誤えん有害性*
データなし。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。