急性毒性
経口
ラットに2000 mg/kg投与(OECD TG401; GLP)で死亡例はなく、LD50値は>2000 mg/kg bw(SIDS (2006))との報告に基づき区分外とした。GHS分類:区分外
経皮
ラットに2000 mg/kg投与(OECD TG401; GLP)で死亡例はなく、LD50値は>2000 mg/kg(SIDS (2006))との報告に基づき区分外とした。なお、ウサギの場合はLD50値が3595~3991 mg/kg(SIDS (2006))により、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5)となる。GHS分類:区分外
吸入:ガス
GHSの定義における液体である。GHS分類:分類対象外
吸入:蒸気
データ不足。なお、飽和蒸気下で6時間ばく露により死亡は発生しなかったとの報告があるが、区分を特定できないので分類できない。GHS分類:分類できない
吸入:粉じん及びミスト
データなし。GHS分類:分類できない
皮膚腐食性及び刺激性
ウサギ6匹の皮膚に試験物質原液0.5mLを4時間にわたり半閉塞適用した試験(OECD TG404, GLP)において、適用後72時間に紅斑と浮腫が各3匹に見られたが、17日後までに消失し、皮膚一次刺激指数(PII)は3.23で中等度の刺激性(moderatory irritating)との報告(SIDS (2006))に基づき、区分2とした。なお、ウサギの皮膚に試験物質原液0.5mLを4時間にわたり閉塞または半閉塞適用した別の試験では刺激性は認められず、刺激性なし(not irritating)との報告(SIDS (2006))もある。GHS分類:区分2
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
ウサギの眼に試験物質原液0.1 mLを適用した試験(OECD TG405; GLP)において、3匹中1匹に軽微な結膜刺激を起こしたのみで刺激性なし(not irritating)と評価され、一方、ウサギの眼に試験物質原液0.1 mLを適用した別の試験(OECD TG405;およびGLPに概ね準拠)において、適用1時間以内に分泌物を伴う軽度の発赤と浮腫が見られたが24時間以内に消失、6匹中2匹が4時間以内に軽微な虹彩炎が見られたが角膜の傷害は観察されず、軽度の刺激性(slightly irritating)と評価された(SIDS (2006))。危険性の高い区分として後者の試験データに基づき区分2Bとした。GHS分類:区分2B
呼吸器感作性
データなし。GHS分類:分類できない
皮膚感作性
モルモットを用いたビューラー法による皮膚感作性試験(OECD TG406, GLP)において、感作性なし(not sensitizing)との評価結果(SIDS(2006))に基づき区分外とした。GHS分類:区分外
生殖細胞変異原性
体細胞in vivo変異原性試験として、マウスに腹腔内投与による骨髄細胞を用いた小核試験(OECD TG474, GLP)およびラットに90日間吸入暴露による骨髄細胞を用いた小核試験の結果がいずれも陰性(SIDS(2006))であったことに基づき、区分外とした。なお、in vito試験では、エームステストおよびマウスリンフォーマ試験の結果としていずれも陽性(SIDS (2006))が報告されている。GHS分類:区分外
発がん性
データなし。GHS分類:分類できない
生殖毒性
ラットの交配前14日から雄は28日間、雌は交配および妊娠期間を通じ交配後19日まで反復吸入ばく露による一世代生殖試験(OECD TG422, GLP)の結果、最高用量100 ppmにおいても親動物の一般状態および生殖毒性に影響は見られなかった(SIDS(2006))が、催奇形性を含む子の発生に及ぼす影響に関してはデータ不足のために分類できないとした。GHS分類:分類できない
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
ラットの単回経口投与試験におけるおおよその致死量は10000 mg/kgであり、5000~10000 mg/kg投与後30分で嗜眠、筋協調の消失が観察された(SIDS (2006))。また、ラットに2000 mg/kgを単回経口投与した試験(OECD TG401, GLP)では、投与後6時間迄に歩行異常、うずくまり、よろめきなどの症状が観察されたが、24時間後には全動物とも正常に回復していると思われた(SIDS (2006))。以上の所見に基づき区分3(麻酔作用)とした。GHS分類:区分3(麻酔作用)
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
ラットの90日間反復吸入ばく露試験(蒸気、0.004, 0.041, 0.814, 1.627 mg/L、6時間/日)におけるばく露の影響として、100 ppm (0.814 mg/L)雌雄で膀胱上皮過形成の発生増加、雄で腎臓のα-2μ-グロブリン(硝子滴腎症)発生の頻度および程度の増加が観察された(SIDS (2006))。ばく露濃度(0.814 mg/L)がガイダンス値区分2に相当することから区分2(膀胱)とし、一方、α-2μ-グロブリン腎症は雄ラット特有の変化でヒトには当てはまらないことから、分類の根拠としなかった。なお、膀胱上皮過形成の発生増加は、ラットに28日間反復吸入ばく露した別の試験でも観察されている(SIDS (2006))。GHS分類:区分2(膀胱)
吸引性呼吸器有害性
データなし。GHS分類:分類できない