急性毒性
経口
ラットのLD50 >2000 mg/kg (OECD TG 401 GLP)(EU-RAR (2005))であること、さらにラット雄でLD50=31600 mg/kg (CICADs No. 27 (2001))であることより、区分外とした。
経皮
データなし
吸入
吸入(ガス): GHS定義における固体である。
吸入(蒸気): データなし
吸入(粉じん): ラットの4時間吸入試験においてLC50=0.369 mg/L (雄), 0.380 mg/L (雌)であったことより(EU-RAR 2005 of Final Report)、区分2とした。
皮膚腐食性・刺激性
ウサギのドレイズ試験(OECD TG 406 GLP)の結果、紅斑/痂皮および浮腫のスコア共に7日目が最大値を示している(EU-RAR (2005))ことから遅発性刺激物質であると考えられる。また、紅斑/痂皮の平均スコアが72時間後で2.33、7日後で3.17である(EU-RAR (2005))ことから、3日間連続して平均スコア値が2.3以上4.0以下であったと推定される。以上の試験データから区分2と判断した。また、EU分類においてXi; R36/37/38 に区分されている。なお、本物質の異性体であるメチレンビス(4,1-フェニレン)ジイソシアネート(CAS: 101-68-8)も区分2に分類されている(NITE Access on Feb. (2009))。
眼に対する重篤な損傷・刺激性
ウサギの試験において6匹中5匹で中等度の結膜炎が見られ、1匹はわずかな角膜上皮の剥離が見られているが、6日後には4匹で回復が見られたことから軽度の(slightly)刺激性と結論付けている(EU-RAR (2005))。また、ウサギの雌におけるドレイズ試験(OECD TG 405)において、全てのドレイズスコアが0であったことから刺激性なしと位置づけている(EU-RAR (2005))。以上の結果から刺激性はあっても軽微と考えられ、EU分類においてXi; R36/37/38に分類していることから区分2Bとした。なお、本物質の異性体であるメチレンビス(4,1-フェニレン)ジイソシアネート(CAS: 101-68-8)は区分2A-2Bに分類されている(NITE Access on Feb. (2009))。
呼吸器感作性又は皮膚感作性
呼吸器感作性:データがなく分類できない。なお、EU分類においてR42/43に分類され、本物質の異性体であるメチレンビス(4,1-フェニレン)ジイソシアネート(CAS: 101-68-8)は区分1に分類されている(NITE(Access on Feb 2009))。
皮膚感作性:雌モルモットのMaximization試験において強いアレルギー反応を示し(EU-RAR 2005 of Final Report)、さらにEU分類においてR42/43に分類されていることより区分1とした。なお、本物質の異性体であるメチレンビス(4,1-フェニレン)ジイソシアネート(CAS: 101-68-8)は区分1に分類されている(NITE Access on Feb. (2009))。
生殖細胞変異原性
in vivo試験のデータがなく、複数指標のin vitro変異原性試験のデータもないことから分類できない。なお、In vitro変異原性試験:エームス試験で陽性結果が得られている(EU-RAR (2005))(NITE Access on Feb. (2009))。
発がん性
EU分類においてCarc. Cat. 3; R40に分類されているが、他の分類機関による分類データおよび試験データがないため、分類できないとした。なお、本物質の異性体であるメチレンビス(4,1-フェニレン)ジイソシアネート(CAS: 101-68-8)はIARCでクループ3(IARC 71, 1999)であることから区分外に分類されている(NITE Access on Feb. (2009))。
生殖毒性
データがなく分類できない。なお、本物質の異性体であるメチレンビス(4,1-フェニレン)ジイソシアネート(CAS: 101-68-8)では、ラットを用いた妊娠中吸入ばく露試験において親動物に一般毒性が認められる用量でも明確な生殖毒性は認められなったことから(IARC 71, 1999; IRIS, 1998; CICAD 27, 2000)区分外としている(NITE Access on Feb. (2009))。