急性毒性
経口
【分類根拠】
(1)~(6) より、区分4とした。
【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 雌: 550 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2016))
(2) ラットのLD50: 641 mg/kg (GESTIS (Access on June 2020)、HSDB (Access on June 2020))
(3) ラットのLD50: 641~5,200 mg/kg (Patty (6th, 2012))
(4) ラットのLD50: 雌: 691 mg/kg、雄: 701 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2016)、農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第406号 (1992))
(5) ラットのLD50: 雌: 3,998 mg/kg、雄: 5,126 mg/kg (EPA Pesticides RED (1996))
(6) ラットのLD50: 雄: 5,200 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on June 2020))
経皮
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) ラットのLD50: > 2,000 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2016)、農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第406号 (1992))
(2) ラットのLD50: > 5,000 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2016))
(3) ラットのLD50: > 5,000 mg/kg (EPA Pesticides RED (1996)、Patty (6th, 2012)、GESTIS (Access on June 2020))
吸入: ガス
【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。
なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (4.3E-006 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。
【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間): > 4.8 mg/L (ACGIH (7th, 2001)、Patty (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2020))
(2) ラットのLC50 (4時間): > 14.4 mg/L (EPA Pesticides RED (1996))
(3) 本物質の蒸気圧: 3.07E-007 mmHg (25℃) (HSDB (Access on May 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 4.3E-006 mg/L)
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しない (国連分類基準の区分3相当) とした。
【根拠データ】
(1) OECD TG 404に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験で、刺激性なしと報告されている (REACH登録情報 (Access on September 2020))。
(2) EPA OPP 81-5に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験で、一次刺激性スコアは0.8であり、カテゴリーIV (適用72時間後において刺激なし或いは軽度の紅斑がみられる) に分類されている (EPA Pesticides RED (1996))。
(3) ウサギを用いた皮膚刺激性試験で、刺激性は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2016))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分2Bとした。
【根拠データ】
(1) EPA OPP 81-4に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験で、軽度刺激性で毒性カテゴリーIII (角膜への影響あり或いはその他の症状は適用7日以内に消失する。) と報告されている (EPA Pesticides RED (1996))。
(2) ウサギを用いた眼刺激性試験で、軽度の刺激性が認められた (食安委 農薬評価書 (2016))。
【参考データ等】
(3) 本物質 のOECD TG 405に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験 (適用量 0.09 g) で、角膜混濁はみられず、虹彩及び結膜に刺激性反応がみられたが、適用72時間以内に全て消失し、刺激性なしと判定された (REACH登録情報 (Access on September 2020))。
呼吸器感作性
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) 本物質のOECD TG 406に準拠したモルモットを用いた皮膚感作性試験 (ビューラー法、原体/プロピレングリコール 1:1混合を適用) で皮膚反応は観察されず、感作性陰性と判定された (REACH登録情報 (Access on September 2020))。
(2) 本物質は感作性を示さない (ACGIH (7th, 2001))。
(3) 本物質のモルモットを用いた皮膚感作性試験 (改良ビューラー法) で、感作性は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2016))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いる小核試験において陰性の報告がある (食安委 農薬評価書 (2016))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験において陽性、陰性の報告がある (同上)。
発がん性
【分類根拠】
(1)~(3) より区分2とした。
【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、ACGIHでA3 (ACGIH (7th, 2001))、EPAでC (Possible Human Carcinogen) (EPA Annual Cancer Report 2019 (Access on September 2020):1993年分類) に分類されている。
(2) 雌雄のラットに本物質を2年間混餌投与した慢性毒性/発がん性併合試験では、投与に関連して発生頻度が増加した腫瘍性病変は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2016))。
(3) 雌雄のマウスに本物質を18ヵ月間混餌投与した発がん性試験において、雄で肝細胞腺腫及び肝細胞がんの合計の発生頻度に有意な増加が認められた (食安委 農薬評価書 (2016))。
生殖毒性
【分類根拠】
(1) より、母動物毒性がみられる用量で吸収胚数増加、生存胎児数減少がみられ、母動物毒性、胎児毒性の程度が不明のためガイダンスに従い区分2とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) 雌ウサギの妊娠7~19日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重減少、摂餌量減少) がみられる用量 (300 mg/kg/day以上) で、吸収胚数の増加、生存胎児数の減少がみられている (食安委 農薬評価書 (2016))。
【参考データ等】
(2) ラットを用いた混餌による2世代繁殖試験において、親動物毒性 (過剰反応、体重増加抑制、摂餌量減少) がみられる用量 (2,500 ppm (P雄: 145、P雌: 173、F1雄: 191、F1雌: 217 mg/kg/day)) で、児動物に体重増加抑制 (有意差なし) がみられている (食安委 農薬評価書 (2016))。
(3) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物に体重増加抑制、体重減少、肝臓絶対相対重量増加がみられる最高用量まで、胎児には軽微な影響 (骨格変異、低体重) がみられただけであった (食安委 農薬評価書 (2016))。