急性毒性
経口
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) ラットのLD50: > 5,000 mg/kg (MOE初期評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、EHC 172 (1995)、Canada Screening Assessment Report (2013))
経皮
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) ウサギのLD50: > 2,000 mg/kg (EHC 172 (1995)、Canada Screening Assessment Report (2013))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 (1) からは区分を特定できず、分類できないとした。 なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (3.0E-015 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。
【根拠データ】 (1) ラットのLC50 (1時間): > 12.5 mg/L (4時間換算値: > 3.13 mg/L) (EHC 172 (1995)、MOE初期評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)) (2) 本物質の蒸気圧: 9.68E-016 mmHg (est) (MOE初期評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 3.0E-015 mg/L)
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) 本物質 (500 mg) のウサギを用いた皮膚刺激性試験において、非刺激物または軽度刺激物と報告されている (Canada Screening Assessment Report (2013))。 (2) 本物質 (500 mg) をウサギに24時間適用した皮膚刺激性試験において、刺激性はみられなかった (EHC 172 (1995))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) 本物質 (100 mg) のウサギを用いた眼刺激性試験において、非刺激物または軽度刺激物と報告されている (Canada Screening Assessment Report (2013))。 (2) 本物質をウサギに適用した眼刺激性試験において、刺激性はみられなかった (EHC 172 (1995))。
呼吸器感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分に該当しないとした。新しいデータ (1)、(2) が得られたことから分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) 54人のボランティアによる本物質 (3~5 mg) の反復パッチテストの結果、感作性なしと報告されている (Canada Screening Assessment Report (2013)、EHC 172 (1995))。 (2) モルモットを用いた皮内投与 (週3回、計10回) 及び閉塞パッチ (6時間閉塞、計9回) による皮膚感作性試験で陰性と報告されている (EHC 172 (1995))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 データ不足で分類できない。
【根拠データ】 (1) in vivoはデータなし。 (2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性の報告がある (EHC 172 (1995)、Canada Screening Assessment Report (2013))。
発がん性
【分類根拠】 データがなく分類できない。
生殖毒性
【分類根拠】 (1) のデータがあるものの、みられた生殖影響に有意差がないことから分類根拠とはしなかった。また、発生毒性のデータがなくデータ不足のため分類できないとした。
【根拠データ】 (1) ラットを用いた強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、親動物毒性 (軟便、盲腸の拡張、BUNの高値、脾臓の髄外造血亢進、胸腺皮髄質萎縮等) がみられる用量で、総産児数、出産生児数、出産率及び出生率の低値傾向がみられた (経済産業省による安全性試験結果 (2011))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 データ不足のため、分類できない。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
【分類根拠】 (1)~(5) より、実験動物への経口投与、吸入ばく露、経皮適用によりガイダンス値の範囲内で毒性影響はみられていないことから、区分に該当しないとした。新たな情報源の情報に基づき検討を行い、旧分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) ラットに90日間混餌投与した結果、100 mg/kg/day (区分2の上限) までの投与で毒性影響はみられなかった (EHC 172 (1995))。 (2) マウスに3ヵ月間混餌投与した結果、2,200 mg/kg/day以上 (区分2超) で体重増加抑制、赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット値、血清トリグリセリド、総タンパク質の減少、脾臓重量増加、脾臓における髄外造血が、7,100 mg/kg/day (区分2超) でおそらく栄養失調と貧血が原因で試験期間中に全ての動物が死亡したとの報告がある (EHC 172 (1995))。 (3) ラットを用いた反復投与毒性・生殖毒性併合試験 (TG422) の結果、200 mg/kg/day以上 (90日換算: 93 mg/kg/day、区分2の範囲) で雌雄で軟便、盲腸の拡張 (病理組織学的所見を伴わない)、雌で無機リンの高値、胸腺絶対及び相対重量の低値、脾臓の髄外造血の亢進が、1,000 mg/kg/day (90日換算: 467 mg/kg/day、区分2超) の雌雄で尿素窒素の高値、雌で体重の低値、下痢、胸腺の皮髄質の軽度萎縮等がみられたとの報告がある (経済産業省による安全性試験結果 (2011))。 (4) ラットに微粉化した本物質を2週間吸入ばく露 (4時間/日、5日/週) した結果、6 mg/L以上 (ガイダンス値換算: 0.15 mg/L、区分2の範囲) で雌で肝相対重量の減少が、18 mg/L以上 (ガイダンス値換算: 0.4 mg/L、区分2超) で唾液分泌過多、赤色又は透明鼻汁、流涙がみられた (EHC 172 (1995))。 (5) ウサギに本物質100~2,500 mg/kg/dayを3週間 (6時間/日、5日/週) 経皮適用した結果、ごく軽度の皮膚の紅斑がみられたのみであった (EHC 172 (1995))。
誤えん有害性*
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。本有害クラスの内容に変更はない。