安全データシート

ニトログリセリン

改訂日:2024-01-29版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: ニトログリセリン
  • CB番号: CB2145318
  • CAS: 55-63-0
  • 同義語: ニトログリセリン

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: ダイナマイトの基材、狭心症の薬。液体のままニトログリセリンが工場外にでることはなく、工場内でダイナマイトに変えられる。また無煙火薬の主剤とする
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日
GHS改訂4版を使用
平成24年。政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)を使用
物理化学的危険性
爆発物   不安定爆発物
健康に対する有害性
特定標的臓器毒性(反復ばく露)   区分1(心血管系)
特定標的臓器毒性(単回ばく露)   区分1(心血管系、血液、神経系)
生殖毒性   区分2
皮膚感作性   区分1
急性毒性(経口)   区分4
環境に対する有害性
<環境分類実施日に関する情報>
オゾン層への有害性   分類実施中
水生環境有害性 (長期間)   区分2
水生環境有害性 (急性)   区分2
水生環境有害性 (急性):H18.3.23、H24年度の分類は実施中のため、H18年度の分類を記載(GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用)。 水生環境有害性 (長期間):H18.3.23、H24年度の分類は実施中のため、H18年度の分類を記載(GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用)。

GHSラベル要素

絵表示
GHS06
注意喚起語
危険
危険有害性情報
長期継続的影響によって水生生物に毒性   長期にわたる、又は反復ばく露による臓器の障害(心血管系)
水生生物に毒性   長期にわたる、又は反復ばく露による臓器の障害(心血管系)
長期にわたる、又は反復ばく露による臓器の障害(心血管系)
臓器の障害(心血管系、血液、神経系)
授乳中の子に害を及ぼすおそれ
生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い
アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
飲み込むと有害
不安定爆発物
注意書き
安全対策
保護手袋、保護衣、保護眼鏡、保護面を着用すること。
環境への放出を避けること。   汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱後は手などをよく洗うこと。
妊娠中、授乳期中は接触を避けること。
粉じん、煙、ガス、ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
応急措置
漏出物を回収すること。   区域より退避させること。
区域より退避させること。
炎が爆発物に届いたら消火活動をしないこと。
火災の場合に爆発する危険性あり。
特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
飲み込んだ場合:口をすすぐこと。   飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
汚染された衣服を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
皮膚に付着した場合:多量の水/…で洗うこと。
保管
施錠して保管すること。
法令・規則に従って保管すること。   …に保管すること。
廃棄
内容物、容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に委託すること。
他の危険有害性

3. 組成及び成分情報

  • 単一製品・混合物の区別: 単一製品
  • 化学名又は一般名: ニトログリセリン
  • 別名: 硝酸グリセロール、三硝酸グリセリン、1,2,3-プロパントリオールトリニトラート、Glyceryl trinitrate、Glyceryl trinitrate、1,2,3-Propanetriol trinitrate
  • 濃度又は濃度範囲: 工業的純品。   振動または摩擦によっても爆発するため、そのままの形での輸送は禁止されている。   40質量%以上の不揮発性かつ水に溶けない鈍感剤で鈍性化したもの。
  • 分子式 (分子量): C3H5N3O9(227.09)
  • CAS番号: 55-63-0
  • 官報公示整理番号(化審法): (2)-1574
  • 官報公示整理番号(安衛法): (2)-1574
  • 分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 40質量%以上の不揮発性かつ水に溶けない鈍感剤で鈍性化したもの。

4. 応急措置

吸入した場合

特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
新鮮な空気、安静。

皮膚に付着した場合

汚染された衣服を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
多量の水と石けんで洗うこと。   皮膚に付着した場合:多量の水/…で洗うこと。

眼に入った場合

特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。

飲み込んだ場合

吐かせる(意識がある場合のみ!)。水に活性炭を懸濁した液を飲ませる。
特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
口をすすぐこと。   飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。

急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

添加された安定剤や抑制剤がこの物質の毒性に影響を与える可能性があるので、専門家に相談する。
アルコール飲料の使用により有害作用が増大する。
長期または反復暴露の影響:反復または長期の接触により、皮膚感作を引き起こすことがある。反復して暴露すると著しい耐性が生じる。暴露を短期間中止すると、突然死することがある。
短期暴露の影響:眼を刺激する。心血管系に影響を与え、血圧低下を生じることがある。医学的な経過観察が必要である。
経口摂取 : 顔面紅潮、頭痛、めまい、吐き気、嘔吐、ショック/虚脱
眼 : 発赤、痛み
皮膚 :吸収される可能性あり!
頭痛、顔面紅潮、めまい
吸入 : 頭痛、顔面紅潮、めまい

応急措置をする者の保護

データなし。

医師に対する特別な注意事項

データなし。

5. 火災時の措置

消火剤

水噴霧、泡消火薬剤、乾燥砂、粉末消火薬剤、二酸化炭素   粉末消火薬剤、泡消火薬剤、二酸化炭素、砂

使ってはならない消火剤

情報なし。

特有の危険有害性

鎮火後再燃の危険がある。十分散水冷却し、監視を続ける。   危険物第5類、第3類該当または有機過酸化物の区分がある 鎮火後再燃の危険がある。十分散水冷却し、監視を続ける。
当該製品は着火後爆発の危険性があるため、直ちに避難する。   危険物第5類、第3類該当または有機過酸化物の区分がある。 当該製品は着火後爆発の危険性があるため、直ちに避難する。
火災の場合に爆発する危険性あり。
当該製品は分子中にNを含有しているため燃焼ガスには、一酸化炭素などの他、窒素酸化物系のガスなどの有毒ガスが含まれるので、消火作業の際には、煙を吸入しないように注意する。   当該製品は[分子中にN,P,S,ハロゲン]を含有しているため燃焼ガスには、一酸化炭素などの他、【窒素酸化物系、リン酸化物系、硫黄酸化物系、ハロゲン酸化物系】のガスなどの有毒ガスが含まれるので、消火作業の際には、煙を吸入しないように注意する。
当該製品は分子中にNを含有しているため火災時に刺激性もしくは有毒なヒューム(またはガス)を放出する。   当該製品は[分子中にN,P,S,ハロゲン]を含有しているため火災時に刺激性もしくは有毒なヒューム(またはガス)を放出する。

特有の消火方法

水を噴霧して容器類を冷却する。安全な場所から消火作業を行う。
区域より退避させること。
炎が爆発物に届いたら消火活動をしないこと。
爆発する危険性あり。   火災の場合に爆発する危険性あり。
周辺火災の場合に移動可能な容器は、速やかに安全な場所に移す。
消火作業は、風上から行う。

消火を行う者の保護

消火作業では、適切な保護具(手袋、眼鏡、マスク等)を着用する。

6. 漏出時の措置

人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置

必要に応じた換気を確保する。
多量の場合、人を安全な場所に退避させる。
作業には、必ず保護具(手袋・眼鏡・マスクなど)を着用する。

環境に対する注意事項

漏出物を回収すること。   区域より退避させること。
漏出物を河川や下水に直接流してはいけない。

封じ込め及び浄化の方法及び機材

散水して湿った状態を保つ。
火花を発生しない安全な用具を使用する。
漏出物の上をむやみに歩かない。
床に漏れた状態で放置すると、滑り易くスリップ事故の原因となるため注意する。
付近の着火源となるものを速やかに除くとともに消火剤を準備する。
残留液を砂または不活性吸収剤に吸収させて安全な場所に移す。
漏れた液やこぼれた液を密閉式の容器に出来る限り集める。
この物質を環境中に放出してはならない。
下水に流してはならない。
個人用保護具: 自給式呼吸器付完全保護衣
すべての発火源を取り除く。   ・すべての発火源を取り除く。
専門家に相談する!   ・専門家に相談する!
危険区域から立ち退く!   ・危険区域から立ち退く!

7. 取扱い及び保管上の注意

取扱い

技術的対策
取扱い場所の近くに、洗眼及び身体洗浄のための設備を設置する。
安全取扱い注意事項
火気厳禁、衝撃注意
添加された安定剤や抑制剤がこの物質の毒性に影響を与える可能性があるので、専門家に相談する。
アルコール飲料の使用により有害作用が増大する。
閉ざされた場所で燃焼すると、爆轟することがある。
20℃で気化したとき、空気は汚染されても有害濃度に達しないか、達してもきわめて遅い;しかし噴霧もしくは拡散すると、かなり急速に有害濃度に達する。   20℃で気化したとき、空気は汚染されても有害濃度に達しないか、達してもきわめて遅い;しかし噴霧もしくは拡散すると、かなり急速に有害濃度に達する。。
加熱すると、激しく燃焼または爆発することがある。衝撃、摩擦、または振動を加えると、爆発的に分解することがある。燃焼すると、窒素酸化物を含む有毒なフュームを生成する。オゾンと反応し、爆発の危険をもたらす。
顔面シールド、または呼吸用保護具と眼用保護具の併用
換気、局所排気、または呼吸用保護具。
作業環境管理を厳密に!
密閉系、換気、防爆型電気および照明設備。防爆用工具を使用する。摩擦や衝撃を与えない。
高温面との接触禁止
裸火禁止、火花禁止、禁煙
保護手袋、保護衣、保護眼鏡、保護面を着用すること。
環境への放出を避けること。   汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱後は手などをよく洗うこと。
妊娠中、授乳期中は接触を避けること。
粉じん、煙、ガス、ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
接触回避
有機溶剤との混触で発火、爆発危険がある。(但しUN0144 ニトログリセリン、アルコール溶液で1~12%のもの)
塩素酸ナトリウム、過酸化水素、酸類との混触で発火、爆発危険がある。(但しUN0144 ニトログリセリン、アルコール溶液で1~12%のもの)
オゾンと混合すると爆発する。
少量の酸があると分解する。
衛生対策
取扱い後は手などをよく洗うこと。

保管

安全な保管条件
25℃以下の室温で保存する。冷蔵しないこと。
光や熱から保護する。
火気厳禁、衝撃注意
食品や飼料から離しておく。   ・食品や飼料から離しておく。
密封。   ・密封。
耐火設備(条件)。   ・耐火設備(条件)。
排水管や下水管へのアクセスのない場で貯蔵する。   ・排水管や下水管へのアクセスのない場で貯蔵する。
安定化した状態でのみ貯蔵。   ・安定化した状態でのみ貯蔵。
施錠して保管すること。
…に保管すること。
換気の良い場所で保管すること。
安全な容器包装材料
データなし。

8. ばく露防止及び保護措置

管理濃度

未設定

許容濃度

日本産衛学会(2012年度版)
最大0.05 ppm 最大0.46mg/m3

許容濃度

ACGIH(2012年版)
TWA: 0.05ppm STEL: -

設備対策

耐火設備(条件)。
機器類は防爆構造とし、設備は静電気対策を実施する。
取扱い場所の近くに、洗眼及び身体洗浄のための設備を設置する。
蒸気またはヒュームやミストが発生する場合は、局所排気装置を設置する。

保護具

呼吸用保護具
顔面シールド、または呼吸用保護具と眼用保護具の併用
自給式呼吸器付完全保護衣
必要に応じて、適切な呼吸用保護具を着用すること。
手の保護具
保護手袋、保護衣を着用すること。   保護手袋、保護衣、保護眼鏡、保護面を着用すること。
眼の保護具
顔面シールド、または呼吸用保護具と眼用保護具の併用
保護眼鏡、保護面を着用すること。   保護手袋、保護衣、保護眼鏡、保護面を着用すること。
皮膚及び身体の保護具
顔面シールド、または呼吸用保護具と眼用保護具の併用
自給式呼吸器付完全保護衣
保護手袋、保護衣、保護眼鏡、保護面を着用すること。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
液体(Merck (14th, 2006) )
無色~黄色(ICSC(J) (2005))
臭い
データなし。
臭いのしきい(閾)値
データなし。
pH
データなし。

融点・凝固点

不安定体: 2.8 安定体:13.5℃(Merck (14th, 2006))

沸点、初留点及び沸騰範囲

125℃ (2mmHg)(HSDB (2005))

引火点

データなし。

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

データなし。

燃焼性(固体、気体)

データなし。

燃焼又は爆発範囲

データなし。

蒸気圧

0.03Pa (20℃)(ICSC(J) (2005))

蒸気密度

7.8 (air=1)(ICSC(J) (2005))

比重(相対密度)

1.6009(15℃/4℃)(Merck (14th, 2006))

溶解度

エーテル、アセトン、氷酢酸、酢酸エチル、ベンゼン、ニトロベンゼン、ピリジン、クロロホルム、臭化エチレン、ジクロロエチレンに混和。(Merck (14th, 2006))
水:1.3g/kg(CRC (91st, 2010))

n-オクタノール/水分配係数

1.62(ICSC(J) (2005))

自然発火温度

270℃(UN0143(減感剤入り))(ICSC(J) (2005))

分解温度

145℃以上で激しく分解し、215-218℃で爆発する。強い紫外線照射により、100℃で爆発する。(Bretherick (7th, 2007))
50-60℃(分解開始)(Merck (14th, 2006))

粘度(粘性率)

36cP(HSDB (2005))

10. 安定性及び反応性

反応性

加熱すると、激しく燃焼または爆発することがある。

化学的安定性

衝撃に対して敏感である。凍結したニトログリセリンは液体のものよりもやや鈍感になるが、半解凍や部分解凍されたものは鋭敏になる。
50-60℃で分解開始し、100℃で蒸発し、135℃で黄色い亜硝酸蒸気を放出する。218℃で爆発する。
爆発力は強大である。少量の酸があると分解する。
衝撃、摩擦、または振動を加えると、爆発的に分解することがある。

危険有害反応可能性

強い紫外線照射により、100℃で爆発する。
オゾンと反応し、爆発の危険をもたらす。
多くの化学物質と激しく反応し、火災や爆発の危険をもたらす。

避けるべき条件

冷蔵しないこと。
加熱、衝撃、摩擦、振動、紫外線。

混触危険物質

有機溶剤との混触で発火、爆発危険がある。(但しUN0144 ニトログリセリン、アルコール溶液で1~12%のもの)
塩素酸ナトリウム、過酸化水素、酸類との混触で発火、爆発危険がある。(但しUN0144 ニトログリセリン、アルコール溶液で1~12%のもの)
多くの化学物質、酸、塩基。

危険有害な分解生成物

135℃で黄色い亜硝酸蒸気を放出する。
燃焼すると、窒素酸化物を含む有毒なフュームを生成する。

11. 有害性情報

急性毒性

経口
ラットLD50値として3件[685 mg/kg(USEPA/HPV (2002); List1相当)、822~884 mg/kg(化学物質の初期リスク評価書 Ver.1.0, 139 (2008)、105 mg/kg(環境省リスク評価 第7巻 (2009))]の報告の中、1件が区分3、2件が区分4に該当することから、該当数の多い区分4とした。GHS分類:区分4
経皮
ラットLD50値 は >9560 mg/kg(OECD TG402、GLP準拠)(USEPA/HPV (2002))に基づき、区分外とした。GHS分類:区分外
吸入:ガス
GHSの定義における液体である。GHS分類:分類対象外
吸入:蒸気
データなし。GHS分類:分類できない
吸入:粉じん及びミスト
データなし。GHS分類:分類できない

皮膚腐食性及び刺激性

ウサギ6匹の皮膚に本物質原液0.5 mLを24時間適用した試験(16CFR 1500.41(FHSA)、GLP準拠)で、パッチ除去24時間後にわずかな紅斑と浮腫が見られたが、7日後に消失し、皮膚一次刺激指数は0.9で、軽度の刺激性(mild irritation)との評価結果(USEPA/HPV (2002))に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分3)とした。なお、ヒトでは、ボランティア24人にニトログリセリンの31、80 mgを24時間貼付し、ほぼ全員に貼付部位の紅斑が観察されたが、数時間で消退した(化学物質の初期リスク評価書 Ver.1.0, 139 (2008))との報告がある。 GHS分類:区分外

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

ウサギ(6匹)の結膜嚢に本物質原液0.1 mLを適用した試験(16CFR 1500.42(FHSA)、GLP準拠)で、非洗浄眼における唯一の影響は適用1時間後に3匹中2匹の結膜に排出物が観察されたことで、その他の観察時点では全例が正常であり、本物質は眼刺激物ではないと結論されている(USEPA/HPV (2002))ことから、区分外とした。GHS分類:区分外

呼吸器感作性

データなし。GHS分類:分類できない

皮膚感作性

モルモットのマキシマイゼーション試験において陽性率は40%(4/10)と中等度の感作性を示し、ヒトでも繰り返しの接触により少数のヒトに皮膚感作性を引き起こす可能性が高い(USEPA/HPV (2002))と記述されている。さらに、本物質はContact Dermatitis (Frosch)に感作性物質として掲載されている(Contact Dermatitis (5th, 2011))。以上の知見により、区分1とした。なお、ヒトではボランティア28人に惹起処置を含めたパッチテストにより皮膚感作性は認められなかった(化学物質の初期リスク評価書 Ver.1.0, 139 (2008))との結果、また、アレルギー性接触皮膚炎を有する4人のダイナマイト作業者にニトログリセリンのパッチテストにより陽性の結果を示した(化学物質の初期リスク評価書 Ver.1.0, 139 (2008))疫学調査の報告などがある。GHS分類:区分1

生殖細胞変異原性

ラットに13週間混餌投与による優性致死試験(生殖細胞in vivo経世代変異原性試験)で陰性(USEPA/HPV (2002))、ラットに5または13週間混餌投与による末梢血リンパ球を用いた染色体異常試験および2年間混餌投与による骨髄または腎臓細胞を用いた染色体異常試験(いずれの体細胞 in vivo変異原性試験)で陰性(USEPA/HPV (2002))の結果により区分外とした。なお、in vitro試験としては、エームス試験において陰性(化学物質の初期リスク評価書 Ver.1.0, 139 (2008))、チャイニーズハムスターの卵巣細胞を用いた遺伝子突然変異試験で陰性(USEPA/HPV (2002))が報告されている。GHS分類:区分外

発がん性

ラットの2年間混餌投与試験において、24ヵ月後に1.0%群(363~434 mg/kg bw/day)で肝細胞がん/腺腫が高頻度に観察された(化学物質の初期リスク評価書 Ver.1.0, 139 (2008))。また、別の試験では約8週齢のラットに本物質500 mg/kg/day相当用量を76週間(84週齢まで)混餌投与により、32週齢から肝細胞腺腫が出現、78週齢から肝細胞がんが出現、84週齢では肝細胞腺腫及び高分化型肝細胞がんの出現頻度は共に50~75%であり、肝細胞がんの発生は本物質の長期食餌経由によるものであることが示された(化学物質の初期リスク評価書 Ver.1.0, 139 (2008))と報告されている。一方、マウスを用いた試験では、飲水投与(0、10、40、330 mg/L)による18ヶ月間の発がん性試験で、雌で下垂体腺腫のわずかな増加が見られたが、2年間の混餌による試験では腫瘍の増加は認めらなかった(化学物質の初期リスク評価書 Ver.1.0, 139 (2008))。以上から、ラットでは腫瘍の発生が認められているものの、上記の2年間混餌投与試験は使用した動物数も少なく(各用量38匹)、他の試験も特殊な試験であり、またマウスでは腫瘍の発生に関して明確でないことから、専門家判断により「分類できない」とした。GHS分類:分類できない

生殖毒性

ラットに混餌投与による3世代生殖試験(US FDA Guidelines)において、高用量群(混餌濃度1%)では親動物(F0世代)の体重に有意な減少が見られ、高用量群の第二世代第一産仔(F1a)で性比を除く同腹仔の指標が全て低下し、高用量群の第二世代第二産仔(F1b)および第三世代第一産仔(F2a)でほとんどの指標がある程度の低下を示し、第三世代第一産仔(F2a)の雄が重度の不妊につながる精子形成不全を起こした(USEPA/HPV (2002))。さらに、ラットの器官形成期に混餌投与した発生毒性試験(US FDA Guidelines)では、横隔膜ヘルニアが母動物が体重低下を示した高用量群でのみ発生し、試験物質に起因するされている(USEPA/HPV (2002))ことから、区分2とした。また、本物質は冠動脈拡張剤として使用されている医薬品でもあり、授乳婦に投与する場合には授乳を中止させる(動物試験で授乳中への移行が報告されている)との記載(医療用医薬品集 (2010))により、「追加区分:授乳に対する又は授乳を介した影響」とした。GHS分類:区分2、追加区分:授乳に対する又は授乳を介した影響

12. 環境影響情報

生態毒性

水生環境有害性(急性)
水生生物の毒性(区分2)(H18.3.23、H24年度の分類は実施中)
魚類(ブルーギル)の96時間LC50=1.38mg/L(CERIハザードデータ集 (2002)) から、区分2とした。
水生環境有害性(長期間)
長期的影響により水生生物に毒性(区分2)(H18.3.23、H24年度の分類は実施中)
急性毒性が区分2、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow = 1.62(PHYSPROP Database (2005))、急速分解性がないと推定される(BIOWIN)ことから、区分2とした。

オゾン層への有害性

分類実施中

13. 廃棄上の注意

残余廃棄物

内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に委託すること。
廃棄の前に、可能な限り無害化、安定化及び中和等の処理を行って危険有害性のレベルを低い状態にする。

汚染容器及び包装

空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。
容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。

14. 輸送上の注意

国際規制

国連番号
143
国連品名
ニトログリセリン(鈍性化されたもの)(40質量%以上の不揮発性かつ水に溶けない鈍感剤で鈍性化したものに限る。)
国連危険有害性クラス
1.1D
副次危険
-
容器等級
-

国内規制

海上規制情報
船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報
航空法の規定に従う。
陸上規制情報
消防法・火薬類取締法の規定に従う。

特別安全対策

重量物を上積みしない。
輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
移送時にイエローカードの保持が必要。

緊急時応急措置指針番号

112

15. 適用法令

労働安全衛生法

名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)
危険物・爆発性の物

化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)

第1種指定化学物質

火薬類取締法

火薬類

消防法

第5類自己反応性物質、硝酸エステル類

船舶安全法

輸送禁止

航空法

輸送禁止

16. その他の情報

略語と頭字語

TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物
IATA:国際航空運送協会
EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定

参考文献

【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
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