急性毒性
経口
ラットのLD50値が雄 1131mg/kg、雌 1300mg/kg (HSDB (2009)) に基き、区分4とした。
経皮
ウサギのLD50値が >5000mg/kg (HSDB (2009)) に基き、区分外とした。
吸入
吸入(ガス): GHSの定義における固体である。
吸入(蒸気): データなし
吸入(粉じん): ラットのLC50値は >5000mg/m3 (換算値:>5mg/L) に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類規準の区分5または区分外)とした。(飽和蒸気圧濃度は5.39E-07mg/Lである。従って試験はミストで実施されたものと判断される。
皮膚腐食性・刺激性
ウサギを用いた試験で、刺激性なし (HSDB (2009))、皮膚刺激性はない (HSDB (2009)) 及びモルモットを用いた試験で、皮膚刺激性はない (HSDB (2009)) のデータから、区分外とした。
眼に対する重篤な損傷・刺激性
ウサギを用いた試験で、具体的なスコア値の記述はないが角膜混濁、結膜発赤、結膜浮腫が発現し、7日間の観察期間で可逆的であり、中等度の角膜刺激と記載(HSDB (2009))されていること及びウサギを用いた試験で、可逆性の刺激 (HSDB (2009))の情報から、区分2Bとした。
呼吸器感作性又は皮膚感作性
呼吸器感作性::データなし
皮膚感作性::モルモットを用いた試験で、感作性なし(HSDB(2009))および皮膚感作性でない(HSDB(2009))の情報から、区分外に該当するが、リスト2のデータであることから分類できないとした。
生殖細胞変異原性
生殖細胞および体細胞in vivo 試験のデータがなく分類できない。なお、in vitro のデータして、Ames試験(HSDB (2009))、、CHO細胞を用いる染色体異常試験(HSDB (2009))で陰性の結果が得られている。
発がん性
マウスの76週の経口投与試験で、肺、胸部、気道に腫瘍、気管支原性がんの発現、腫瘍は自然発生的などの記述 (RTECS (2007)) があるが、この記述のみで被験物質の発がん性について判断するのは難しいこと、このデータ以外に適切な動物試験の情報がないため、分類できないとした。
生殖毒性
ラットを用いた2世代経口投与試験(0, 25, 50 or 75 ppm) で雄の50 ppm 以上のばく露群に輸精管の変性が見られ、親の毒性は明らかでないが、F1の高用量群の雄に交尾の減少、F1の雌に妊娠、着床率の減少傾向が観察され、同腹の産仔数が減少した(HSDB (2009))。ラットの強制経口投与試験(0, 3, 10 or 30 mg/kg/day、days of 6-15 of gestation) で親に毒性示すばく露量(30mg/kg/day) で僅かな化骨遅延(不完全な上後頭骨)や未発達な肋骨発生の増加が見られた(HSDB (2009))。催奇性は明らかでないが、F1の雌に妊娠、着床率の減少傾向が観察され、同腹の産仔数が減少ししていることから区分2とした。
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)
データなし
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)
ラットを用いた28日間の経口投与試験(0, 50, 100, 200, 400 or 800 ppm) で200 ppm (18.7mg/kg/day : 90日補正値=5.81mg/kg/day) 以上の雄の投与群に精巣への影響(精巣細管変性、巨細胞形成)が観察された。(HSDB (2009))が見られ、ラットを用いた91日経口投与試験 (0, 25, 50, 100 or 200 ppm) で全ての投与群で用量に依存して精巣重量が減少し、100ppm(8.6mg/kg/day)以上のばく露群で精巣萎縮、200ppm (17.0mg/kg/day) のばく露で軽度の前立腺萎縮が見られている(HSDB (2009))。また、ラットの2年間の経口投与試験(0、25、50、100 and 200 ppm)で雌で50ppm 以上、雄で25ppm 以上の投与群に用量に依存して糸球体腎炎の発現、雄の50ppm以上ばく露で精巣萎縮の発現(100, 200ppmでは際立っていた)が観察された(HSDB (2009))。マウスの18ヶ月間の経口投与試験で(0, 25, 50, 100 and 200 ppm)で雌雄とも50ppm(換算値:7.5mg/kg/day)以上のばく露で慢性腎炎、腎臓にアミロイド沈着がみられ、雄の50ppm以上のばく露で精巣変性が発現した。また、イヌの91日間の経口投与試験で(0, 3, 6, or 12mg/kg/day) で雌雄の6及び12mg/kg/day のばく露群に振せん、ひきつけ、筋肉及び皮下脂肪の消耗が見られ、雄の6及び12mg/kg/day のばく露群に軽度~中等度の精巣萎縮が観察されている(HSDB (2009))。ラット、マウスのガイダンスの区分1の用量で精巣、腎臓への影響が見られ、イヌいおいてはガイダンスの区分1の用量で振せん、ひきつけなどの神経系への影響が認められるがリスト2のデータあることから区分2(精巣、腎臓、神経系)とした。
吸引性呼吸器有害性
データなし