安全データシート

ホスメット

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: ホスメット
  • CB番号: CB6681168
  • CAS: 732-11-6
  • EINECS番号: 211-987-4
  • 同義語: ホスメット

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 殺虫剤 (失効農薬) (NITE-CHRIPより引用)
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用)
R3.3.12、政府向けGHS分類ガイダンス (令和元年度改訂版 (ver2.0)) を使用
物理化学的危険性
-
健康に対する有害性
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)   区分1 (神経系) 区分2 (肝臓)
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)   区分1 (神経系)
生殖毒性   区分2
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性   区分2B
急性毒性 (吸入: 粉じん、ミスト)   区分2
急性毒性 (経口)   区分3
分類実施日(環境有害性)
平成18年度、GHS分類マニュアル(H18.2.10版)
環境に対する有害性
水生環境有害性 (長期間)   区分1
水生環境有害性 (急性)   区分1

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS06GHS08GHS09
注意喚起語
危険
危険有害性情報
H410 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性。
H370 臓器 (神経系) の障害。
H361 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い。
H332 吸入すると有害。
H301 飲み込むと有毒。
注意書き
安全対策
P273 環境への放出を避けること。
P271 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
P270 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P264 取扱い後は皮膚をよく洗うこと。
P260 粉じんを吸入しないこと。
P202 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P201 使用前に取扱説明書を入手すること。
応急措置
P391 漏出物を回収すること。
P308 + P311 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
P304 + P340 + P312 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し,呼吸しやすい姿勢で休息させること。 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P301 + P310 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
保管
P405 施錠して保管すること。
廃棄
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C11H12NO4PS2
  • 分子量: 317.32 g/mol
  • CAS番号: 732-11-6
  • EC番号: 211-987-4
  • 化審法官報公示番号: -
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸入後は新鮮な空気を吸うこと。ただちに医師の診察を受けること。 呼吸停止時はただちに人工呼吸を実施し、必要に応じて酸素も吸入する。
皮膚に付着した場合
皮膚に接触した場合: すべての汚染された衣類を直ちに脱ぐこと。 皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 直ちに医師を呼ぶ。
眼に入った場合
眼に触れた後は多量の水ですすぐこと。 眼科医の診察を受けること。 コンタクトレンズをはずす。
飲み込んだ場合
飲み込んだ場合は水を飲ませる(多くても2杯)。ただちに医師の診察を受けること。1時間以内に治療が受けられないという例外的な状況のみ、嘔吐させ(相手に完全に意識のある場合のみ)、活性炭(10%懸濁液に20~40g)を投与してできるだけ早く医師の診察を受ける。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

使ってはならない消火剤
本物質/混合物に対する消火剤の制限なし
適切な消火剤
水 泡 二酸化炭素(CO2) 粉末

5.2 特有の危険有害性

火災時に有害な燃焼ガスや蒸気を生じるおそれあり。
可燃性。
リンの酸化物
硫黄酸化物
窒素酸化物(NOx)
炭素酸化物

5.3 消防士へのアドバイス

自給式呼吸器がある場合のみ危険区域に留まってもよい。安全なゾーンまで離れるか適切な保護衣を着用して、皮膚に触れないようにすること。

5.4 詳細情報

ガス/蒸気/ミストを水スプレージェットで抑える(除去する)。 消火水が、地上水または地下水のシステムを汚染しないようにする。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

救急隊員以外への助言: いかなる場合も、ほこりを生じさせたり吸い込んだりしないようにすること。触れないようにすること。 十分な換気を確保する。 危険なエリアから避難し、緊急時手順に従い、専門家に相談のこと個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

物質が排水施設に流れ込まないようにする。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

排水溝に蓋をすること。こぼれたら集めて結合させ、ポンプですくい取る。 物質の制限があれば順守のこと (セクション 7、10参照) 慎重に行うこと。適切に廃棄すること。関連エリアを清掃のこと。 ほこりが生じないようにすること。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

安全取扱注意事項
換気フードの下で作業すること。吸い込まないこと。
衛生対策
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔を洗うこと。注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管クラス
保管クラス (ドイツ) (TRGS 510): 6.1A: 可燃性、急性毒性カテゴリー1および2 / 猛毒性危険物
保管条件
密閉のこと。 乾燥。 換気のよい場所で保管する。 鍵をかけておくか、資格のあるまたは認可された人のみが出入りできる場所に入れておく。保管安定性推奨された保管温度2 - 8 °C

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
許容濃度が設定されている物質を含有していない。

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔
を洗うこと。
保護具
眼/顔面の保護
NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、認められた眼の
保護具を使用する。 保護眼鏡
皮膚及び身体の保護具
本推奨は、当社発行の安全データシート,に記載されている製品およびその指定の使用法のみに
適用される。溶解、他の物質との混合、およびEN374に記載の逸脱条件での使用については、
CE認証手袋のサプライヤに問い合わせのこと(例. KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, Internet:
www.kcl.de)
フルコンタクト
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 480 min
試験物質:KCL 741 Dermatril® L
飛沫への接触
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 480 min
試験物質:KCL 741 Dermatril® L
身体の保護
保護衣
呼吸用保護具
ほこりが生じた際に必要。
次の規格に準拠しているフィルター式呼吸器保護具を推奨します。DIN EN 143、DIN 14387お
よび使用済み呼吸器保護システムに関連する他の付属規格。
環境暴露の制御
物質が排水施設に流れ込まないようにする。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

物理状態
固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
無色~オフホワイト
臭い
特徴的な臭気

融点/凝固点

72℃ (ICSC (2004))

沸点、初留点及び沸騰範囲

沸点以下の温度で分解する (HSDB (Access on May 2020))

可燃性

不燃性 (RAC Background Document (2016))

爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界

該当しない

引火点

該当しない

自然発火点

該当しない

分解温度

100℃ (ICSC (2004))

pH

データなし

動粘性率

該当しない

溶解度

水: 0.003 g/100 mL (20℃) (ICSC (2004)) アセトン、ベンゼン、メタノール、トルエン及びメチルイソブチルケトンに可溶 (HSDB (Access on May 2020))

n-オクタノール/水分配係数

log Pow = 2.83 (ICSC (2004))

蒸気圧

4.9E-007 mmHg (20~25℃) (HSDB (Access on May 2020))

密度及び/又は相対密度

1.03 g/cm³ (ICSC (2004))

相対ガス密度

該当しない

粒子特性

データなし

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

通常想定される。
可燃性有機物質及び製剤に概ね該当:微細に分散し、舞い上がった場合、粉じん爆発を起こす可能性が

10.2 化学的安定性

標準的な大気条件(室温)で化学的に安定。

10.3 危険有害反応可能性

データなし

10.4 避けるべき条件

情報なし

10.5 混触危険物質

強酸化剤

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
【分類根拠】 (1)~(7) より、区分3とした。
【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 92~310 mg/kg (Canada Pesticides (2017)) (2) ラットのLD50: 92.5~164 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2012)) (3) ラットのLD50: 113 mg/kg (EPA Pesticides RED (2006)、EU CLP CLH (2016)、食安委 農薬評価書 (2012)) (4) ラットのLD50: 121 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2012)) (5) ラットのLD50: 雄: 135~310 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2012)) (6) ラットのLD50: 雌: 224~369 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2012)) (7) ラットのLD50: 230 mg/kg (EU CLP CLH (2016))
経皮
【分類根拠】 (1) のラットのデータからは区分を特定できないため、 (2)~(6) のウサギのデータより区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) ラットのLD50: > 1,000 mg/kg (CLH Report (2015)、RAC Background Document (2016)、食安委 農薬評価書 (2012)) (2) ウサギのLD50: 3,160 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2012)) (3) ウサギのLD50: 3160~> 5000 mg/kg (Canada Pesticides (2017)) (4) ウサギのLD50: > 3,160 mg/kg (GESTIS (Access on May 2020)) (5) ウサギのLD50: > 4,600 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2012)) (6) ウサギのLD50: > 5,000 mg/kg (CLH Report (2015)、EPA Pesticides RED (2006)、RAC Background Document (2016)、食安委 農薬評価書 (2012)、Patty (6th, 2012))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分2とした。 なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (8.4E-006 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。
【根拠データ】 (1) ラットのLC50 (4時間): 0.054 mg/L (GESTIS (Access on May 2020)) (2) ラットのLC50 (4時間): > 0.152 mg/L (EPA Pesticides RED (2006)、RAC Background Document (2016)、食安委 農薬評価書 (2012)) (3) 本物質の蒸気圧: 4.9E-007 mmHg (20~25℃) (HSDB (Access on May 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 8.4E-006 mg/L)
【参考データ等】 (4) ラットのLC50 (4時間): 1.12 mg/L ((6) の外挿値) (RAC Background Document (2016)) (5) ラットのLC50 (4時間): 1.6 mg/L (70%水和剤) (RAC Background Document (2016)) (6) ラットのLC50 (1時間): 2.76 mg/L (4時間換算値: 0.69 mg/L) (HSDB (Access on May 2020))

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

【分類根拠】 (1)~(4) より、区分に該当しないとした。新しいデータ (1)~(4) が得られたことから、分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) OECD TG 404類似のウサギを用いた皮膚刺激性試験で適用24時間後に刺激性反応はみられなかった (CLH Report (2015)、RAC Background Document (2016))。 (2) EPA OPPTS 870.2500に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験で刺激性を示さない (EPA Pesticides RED (2006))。 (3) 本物質はウサギを用いた皮膚刺激性試験 (ドレイズ法) で刺激性を示さない (食安委 農薬評価書 (2012))。 (4) 本物質は皮膚刺激性を示さない (HSDB (Access on May 2020))。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

【分類根拠】 (1)~(4) より、区分2Bとした。
【根拠データ】 (1) 本物質は中等度の眼刺激性を示す (Canada Pesticides (2017)、HSDB (Access on May 2020))。 (2) OECD TG 405類似のウサギを用いた眼刺激性試験で1/3例に角膜混濁、結膜の発赤及び浮腫、分泌物がみられたが、適用7日後までに回復した (CLH Report (2015)、RAC Background Document (2016))。 (3) EPA OPPTS 870.2400に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験で中等度の刺激性を示す (EPA Pesticides RED (2006))。 (4) 本物質は軽度の眼刺激性を示す (食安委 農薬評価書 (2012))。

呼吸器感作性

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

【分類根拠】 (1)、(2) より、区分に該当しないとした。新しいデータ (1)、(2) が得られたことから分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) 本物質は皮膚感作性を示さない (Canada Pesticides (2017))。 (2) モルモットを用いた皮膚感作性試験 (改変ビューラー法) で陽性反応を示した動物は10例中1例 (陽性率10%) であった (CLH Report (2015)、RAC Background Document (2016)、食安委 農薬評価書 (2012))。

生殖細胞変異原性

【分類根拠】 (1)~(3) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) in vivoでは、マウス経口投与又は腹腔内投与の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性、ラット経口投与の肝細胞を用いた不定期DNA合成試験で陰性 (EU CLP CLH (2016)、食安委 農薬評価書 (2012)、Canada Pesticides (2017))。マウス腹腔内投与の肝臓及び腎臓を用いたコメットアッセイで陰性 (EU CLP CLH (2016))。なお、マウス経口投与の骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陽性の報告があるが、観察された染色体異常の増加は用量依存的でなく、試験結果は許容できないと考えられた (RAC Background Document (2016))。 (2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性、陰性の報告がある。哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験で陽性、陰性の報告、姉妹染色分体交換試験で陽性、遺伝子突然変異試験で陽性 (EU CLP CLH (2016)、食安委 農薬評価書 (2012)、Canada Pesticides (2017))、形質転換試験で陰性の報告がある (食安委 農薬評価書 (2012)、Canada Pesticides (2017)) (3) 本物質の遺伝毒性評価として、RACでは、証拠の重付けにより、in vitroで遺伝毒性の可能性があるが、in vivoではその懸念がないとしている (RAC Background Document (2016))、また食安委では、生体にとって問題となる遺伝毒性は認められなかったとしている (食安委 農薬評価書 (2012))。

発がん性

【分類根拠】 (1)、(2) より、EPAはSに分類しているが、JMPR、EU EFSA及び食安委の判断に基づき、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、EPAでS (suggestive evidence of carcinogenicity, but not sufficient to assess human carcinogenic potential) (EPA Annual Cancer Report 2019 (Access on August 2020):1999年分類) に分類されている。 (2) 雌雄のラット及びマウスに本物質を2年間混餌投与した慢性毒性/発がん性試験において、雌雄のラット及び雌マウスでは発がん性は認められなかった。雄のマウスで肝細胞腺腫の発生がみられたが、発生率に有意差は認められず、JMPRはマウスにおいて発がん性はないと結論づけている (JMPR (1994))。EU EFSAの専門家は、この軽度なマウス肝腫瘍の増加について、同時期の試験実施施設における発生頻度を僅かに超えていることから、発がん性分類R40 (発がん性作用の証拠が限定的である (Limited evidence of a carcinogenic effect)) に分類しなかった (EU EFSA (2011))。食安委は、EU EFSAの判断を支持した (食安委 農薬評価書 (2012))。

生殖毒性

【分類根拠】 (1) より、親動物で体重増加抑制等が認められた用量において交尾率及び受胎率の低下等が認められたことから区分2とした。
【根拠データ】 (1) ラットを用いた混餌による2世代繁殖試験において、親動物に赤血球コリンエステラーゼ (ChE) 活性阻害、体重増加抑制がみられる用量で、交尾率及び受胎率の減少がみられ、親動物に摂餌量減少、雌で脱水症状、雄で精巣重量の減少、肝細胞空胞化がみられる用量で児動物数、低体重児の頻度及び児動物の生存率の低下がみられている (食安委 農薬評価書 (2012)、EU CLP CLH (2016))。
【参考データ等】 (2) 雌ラットの妊娠7~16日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物に体重減少、摂餌量低下、身ぶるい (shaking) 及び立毛がみられる用量でも胎児に影響はみられていない (食安委 農薬評価書 (2012)、EU CLP CLH (2016))。 (3) 雌ウサギの妊娠7~19日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物で僅かな体重増加抑制、不安定 (unsteadiness)、身震い、流涎、不整呼吸 (irregular breathing) がみられる用量でも胎児に軽度の骨格変異のみがみられた (食安委 農薬評価書 (2012)、EU CLP CLH (2016))。 (4) 雌ザルの妊娠22~32日に強制経口投与した発生毒性試験において、影響はみられていない (食安委 農薬評価書 (2012))。 (5) EU CLP分類でRepr. 2に分類されている (Access on May 2020)。

特定標的臓器毒性 (単回ばく露)

【分類根拠】 (1)~(4) より、呼吸困難や呼吸不全の所見は神経系への影響による二次的影響と考えられたため、区分1 (神経系) とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) ヒトにおいて、本物質の急性ばく露により、著しい縮瞳、かすみ目、頭痛、めまい、筋肉の痙攣、重度の脱力感、嘔吐、下痢、腹痛、痙攣、昏睡、高血圧が起こることがある。胸痛、低血圧、呼吸困難に続いて呼吸不全が認められる場合もある (HSDB (Access on May 2020))。 (2) 動物試験において、本物質の急性症状は一般的にコリンエステラーゼ (ChE) 阻害剤に認められる典型的な副交感神経刺激様の症状を示した。毒性徴候は速やかに出現し、総体的に投与後30分以内に、振戦、流涎、咀嚼行動、眼球突出症、眼、鼻及び口の血液様滲出物、呼吸困難、下痢、痙攣及び死亡などの症状が認められた。毒性症候は一過性で、総体的に速やかに投与24~72時間で消失した (食安委 農薬評価書 (2012))。 (3) 上記の中毒症状は、ラットの経口投与では LD50値が92.5~369 mg/kgで多くが300 mg/kg以下であることから、区分1の範囲で生じる症状と考えられる (食安委 農薬評価書 (2012))。 (4) ラットを用いた強制経口投与による急性神経毒性試験では、22.5 mg/kg群の赤血球ChE活性は70%以上、脳ChE活性は60%以上阻害された (食安委 農薬評価書 (2012))。
【参考データ等】 (5) 有機リン中毒の症状は、次の3つのグループに分けられる。ムスカリン様症状 (気管支分泌の増加、過度の発汗、唾液分泌、流涙、著明な縮瞳、気管支収縮、腹部痙攣 (嘔吐と下痢)、徐脈)、ニコチン様症状 (筋肉の線維束性収縮 (fasciculation of fine muscles)、頻脈)、中枢神経系の症状 (頭痛、めまい、落ち着きのなさ、不安、精神錯乱、痙攣、昏睡、呼吸中枢の抑制) が生じる。軽度の中毒には、ムスカリン様性及びニコチン様の兆候のみが含まれる場合があり、重症の場合は常に中枢神経系の関与を示す。症状の組み合わせにより、臨床像は呼吸不全に支配され、時には肺水腫を引き起こす (EHC 63 (1986))。

特定標的臓器毒性 (反復ばく露)

【分類根拠】 (1) より、ヒトにおいて神経系への影響がみられるとの情報があり、(2)~(4) より、実験動物において区分1の用量で神経系への影響、区分2の用量で肝臓への影響がみられたとの情報があったことから、区分1 (神経系)、区分2 (肝臓) とした。
【根拠データ】 (1) 本物質を含む動物用ノミ駆除剤の業務上の使用による長期ばく露の症例が複数報告されている。これらの例では、赤血球コリンエステラーゼ (ChE) 活性は正常値の範囲内であったが、頭痛、めまい、かすみ目、縮瞳、息切れ、胸痛、頻脈、腹部の痙攣、吐き気、疲労感、発汗等の有機リン系中毒の症状がみられた (HSDB (Access on May 2020)、Patty (6th, 2012))。 (2) ラットの90日間混餌投与試験では、100 ppm (5 mg/kg/day相当、区分1の範囲) で赤血球及び脳ChE活性の阻害がみられたとの報告がある (食安委 農薬評価書 (2012)、JMPR (1994))。 (3) ラットの2年間混餌投与試験では、200 ppm (雄/雌: 23/27 mg/kg相当、いずれも区分2の範囲) で赤血球及び脳ChE活性の阻害、脂肪肝及び重篤化がみられたとの報告がある (食安委 農薬評価書 (2012)、JMPR (1994))。 (4) マウスの2年間混餌投与試験では、100 ppm (15 mg/kg/day相当、区分2の範囲) の雄で痙攣、肝細胞細胞質空胞化、雌で脳ChE活性阻害がみられたとの報告がある (食安委 農薬評価書 (2012)、JMPR (1994))。

誤えん有害性*

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。本有害クラスの内容に変更はない。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

魚毒性
流水式試験 LC50 - Oncorhynchus mykiss (ニジマス) - 0.241 mg/l - 96 h
(OECD 試験ガイドライン 203)
流水式試験 LC50 - Lepomis macrochirus - 19.7 μg/l - 96 h
(OECD 試験ガイドライン 203)
ミジンコ等の水生無脊
流水式試験 EC50 - Daphnia magna (オオミジンコ) - 2.11 μg/l - 48 h
椎動物に対する毒性
(OECD 試験ガイドライン 202)
藻類に対する毒性
止水式試験 ErC50 - Selenastrum capricornutum (緑藻) - 1.2 mg/l - 72 h
(OECD 試験ガイドライン 201)
止水式試験 最大無影響濃度 - Selenastrum capricornutum (緑藻) - 0.36 mg/l -
72 h
(OECD 試験ガイドライン 201)

12.2 残留性・分解性

生分解性
好気性 - 曝露時間 28 d
結果: 19.5 % - 易分解性ではない。
(OECD 試験ガイドライン 301D)

12.3 生体蓄積性

データなし

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

12.6 内分泌かく乱性

データなし

12.7 他の有害影響

データなし

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
内容物及び容器は、関連法規及び各自治体の条例等の規制に従い、産業廃棄物として適切に処理すること。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): 2811    IMDG (海上規制): 2811    IATA-DGR (航空規制): 2811

14.2 国連輸送名

IATA-DGR (航空規制): Toxic solid, organic, n.o.s. (Phosmet)
IMDG (海上規制): TOXIC SOLID, ORGANIC, N.O.S. (Phosmet)
スフェート)
ADR/RID (陸上規制): TOXIC SOLID, ORGANIC, N.O.S. (ジメチルフタリルイミドメチルジチオホ

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): 6.1    IMDG (海上規制): 6.1    IATA-DGR (航空規制): 6.1

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): II IMDG (海上規制): II IATA-DGR (航空規制): II

14.5 環境危険有害性

該当
ADR/RID: 非該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当

14.6 特別の安全対策

なし

14.7 混触危険物質

強酸化剤

15. 適用法令

労働安全衛生法

-

化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)

-

毒物及び劇物取締法

劇物(法第2条別表第2)【43 ジメチルフタリルイミドメチルジチオホスフエイト】 劇物(指定令第2条)【56 ジメチルフタリルイミドメチルジチオホスフエイトを含有する製剤】

道路法

車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)【3 PMP】

航空法

毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1)【【国連番号】2783 殺虫殺菌剤(有機リン系)(固体)(毒性のもの)】

船舶安全法

毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】2783 有機リン系殺虫殺菌剤類(固体)(毒性のもの)】

海洋汚染防止法

個品運送P(施行規則第30条の2の3、国土交通省告示)【【国連番号】2783 有機リン系殺虫殺菌剤類(固体)(毒性のもの)】

16. その他の情報

略語と頭字語

TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物
IATA:国際航空運送協会
EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
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