急性毒性
経口
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しない。 なお、旧分類の根拠情報は情報源がRTECSであり原典を確認できないため、新たな情報に基づき区分を変更した。
【根拠データ】 (1) ラットのLD50: > 2,000 mg/kg (REACH登録情報 (Access on October 2019))
経皮
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1) ラットのLC50 (4時間、エアロゾル): > 5.08 mg/L (REACH登録情報 (Access on October 2019))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) OECD TG 404に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験で24/48/72hの平均スコアは全て0であった (REACH登録情報 (Access on November 2019))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) OECD TG 405に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験で24/48/72hの角膜、虹彩、結膜発赤、結膜浮腫の平均スコアは全て0であった (REACH登録情報 (Access on November 2019))。
呼吸器感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) OECD TG 429に準拠したマウス局所リンパ節試験 (LLNA) においてSI値は3未満であり、陰性と判定された (REACH登録情報 (Access on November 2019))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
発がん性
【分類根拠】 (1) の既存分類結果からガイダンスに従い分類できないとした。
【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、EPAが1999年のドラフトガイドラインに基づき、ほう素及びほう素化合物として“inadequate for an assessment of human carcinogenic potential for boron”と評価している (IRIS (2004))。
【参考データ等】 (2) マウスにほう酸 (CAS番号 10043-35-3) を2年間混餌投与した試験では、腫瘍発生頻度の上昇は認められなかった (食品安全委員会 清涼飲料水評価書 (2012))。 (3) ヒトでは食事や環境からのほう素ばく露の増加に伴う発がん性を疑う報告はなく、むしろ逆に前立腺がんの発生率低下を示唆する報告がある (環境省リスク評価第14巻 (2016))。
生殖毒性
【分類根拠】 本分類は半金属としてのほう素を分類対象としている。(1) より、実験動物で生殖影響を示すことが知られているとの記載があるが、ほう酸 (CAS番号 10043-35-3) 及びほう砂 (CAS番号 1330-43-4) のデータを基にしている。 (3) より、本物質は水、塩酸に不溶であることから、水溶性のほう素化合物であるほう酸、ほう砂等のデータを基に分類することは適切ではないと考えられる。したがって、データ不足のため分類できないとした。
【参考データ等】 (1) 実験動物においては、ほう素は精巣毒性及び発生毒性を示すことが報告されている (食品安全委員会 清涼飲料水評価書 (2012))。 (2) 疫学調査では、労働環境又は飲料水からほう素に高濃度ばく露された男性を対象として生殖影響が調べられており、男女比率への影響を示唆するようなデータも存在するが、ほう素の生殖影響を明確に示す結果は得られていない (食品安全委員会 清涼飲料水評価書 (2012))。 (3) ほう素は水、塩酸に不溶である (NITE初期リスク評価書 (2008))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 本物質のヒトでの単回ばく露に関する情報はない。実験動物での (1) の情報より、区分2 (呼吸器) とした。新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) ラットの4時間単回吸入ばく露試験において、本物質 (非晶質ほう素) のエアロゾル5.08 mg/L (区分2上限をわずかに超える濃度) で、ばく露中及びばく露直後、2日目及び4日目の観察時に呼吸雑音や深大呼吸がみられたが、死亡例はなかった。14日後の剖検では、肺の褐色化とうっ血が認められた (REACH登録情報 (Access on October 2019))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
【参考データ等】 (1) マウスに本物質を72.8 mg/m3の濃度で30日間 (7時間/日、5日/週) 吸入ばく露した結果、肺、肝臓、腎臓、消化管からほう素が検出されたが、影響はみられなかった (PATTY (6th, 2012)、環境省リスク評価第14巻 (2016)、GESTIS (Access on September 2019))。 (2) マウス及びラットに本物質の粉じんを12、170 mg ほう素/m3の濃度で4ヵ月間 (4時間/日、6日/週) 吸入曝露した結果、肝機能パラメータの変化、肺、肝臓、脳、腎臓の組織学的変化がみられた (GESTIS (Access on September 2019))。 (3) ラットに本物質の粉じんを1.7、10.56 mg ほう素/m3の濃度で4ヵ月間 (4時間/日) 吸入ばく露した結果、10.56 mg ほう素/m3の濃度で体重増加抑制、赤血球数減少、中枢神経の興奮、心作用の増強 (stronger heart action)、肺組織の変化 (肺胞壁の肥厚及び多形核浸潤)、性腺刺激作用 (精子の浸透圧抵抗の減少、上皮の剥離を伴う精細管数の増加) がみられた (GESTIS (Access on September 2019))。 (4) ほう砂 (四ほう酸ナトリウム) (CAS番号 1330-43-4) は平成29年度GHS分類事業において区分1 (呼吸器)、区分2 (生殖器 (男性)) に分類されている。
誤えん有害性*
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。