安全データシート

ジシクロペンタジエン

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: ジシクロペンタジエン
  • CB番号: CB3854309
  • CAS: 77-73-6
  • EINECS番号: 201-052-9
  • 同義語: ジシクロペンタジエン

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 農薬・EPラバー・不飽和ポリエステル・反応射出成形樹脂原料
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
H30.3.16、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改訂版 (ver1.1):JIS Z7252:2014準拠) を使用
GHS改訂4版を使用
物理化学的危険性
引火性液体   区分3
健康に対する有害性
急性毒性(経口)   区分4
急性毒性(吸入:蒸気)   区分2
皮膚腐食性/刺激性   区分2
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性   区分2B
生殖毒性   区分2
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)   区分1 (中枢神経系、呼吸器) 区分3 (麻酔作用)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)   区分2 (呼吸器、肝臓)
分類実施日(環境有害性)
環境に対する有害性はH18年度、GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用
環境に対する有害性
水生環境有害性 (急性)   区分2
水生環境有害性 (長期間)   区分2

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS02GHS06GHS09
注意喚起語
危険
危険有害性情報
H225 引火性の高い液体及び蒸気。
H302 飲み込むと有害。
H315 皮膚刺激。
H319 強い眼刺激。
H330 吸入すると生命に危険。
H335 呼吸器への刺激のおそれ。
H410 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性。
注意書き
安全対策
P210 熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。
P233 容器を密閉しておくこと。
P240 容器を接地しアースをとること。
P241 防爆型の【電気機器/換気装置/照明機器/機器】を使用すること。
P242 火花を発生させない工具を使用すること。
P243 静電気放電に対する措置を講ずること。
P260 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264 取扱い後は皮膚をよく洗うこと。
P270 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
P273 環境への放出を避けること。
P280 保護手袋/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P284 換気が不十分な場合、呼吸用保護具を着用すること。
応急措置
P301 + P312 + P330 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。口をすすぐこと。
P303 + P361 + P353 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を水【又はシャワー】で洗うこと。
P304 + P340 + P310 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し,呼吸しやすい姿勢で休息させること。 直ちに医師に連絡すること。
P305 + P351 + P338 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P332 + P313 皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
P337 + P313 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
P391 漏出物を回収すること。
保管
P403 + P233 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P403 + P235 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P405 施錠して保管すること。
廃棄
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 別名: 4,7-Methano-3a,4,7,7a-tetrahydroindene
    Cyclopentadiene dimer
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C10H12
  • 分子量: 132.20 g/mol
  • CAS番号: 77-73-6
  • EC番号: 201-052-9
  • 化審法官報公示番号: 4-634
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
応急措置担当者は自分が暴露しないよう、適切な防護を行う。 この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸入後は新鮮な空気を吸うこと。ただちに医師の診察を受けること。 呼吸停止時はただちに人工呼吸を実施し、必要に応じて酸素も吸入する。
皮膚に付着した場合
皮膚に接触した場合: すべての汚染された衣類を直ちに脱ぐこと。 皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
眼に入った場合
眼に触れた後は多量の水ですすぐこと。 眼科医の診察を受けること。 コンタクトレンズをはずす。
飲み込んだ場合
飲み込んだ後はただちに水を飲ませること(多くても2杯) 医師に相談する。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

使ってはならない消火剤
本物質/混合物に対する消火剤の制限なし
適切な消火剤
二酸化炭素(CO2) 泡 粉末

5.2 特有の危険有害性

炭素酸化物
可燃性。
逆火に注意する。
蒸気は空気より重く、床に沿って広がることがある。
火災時に有害な燃焼ガスや蒸気を生じるおそれあり。
周囲温度で空気と反応して爆発性混合物を生じる。

5.3 消防士へのアドバイス

自給式呼吸器がある場合のみ危険区域に留まってもよい。安全なゾーンまで離れるか適切な保護衣を着用して、皮膚に触れないようにすること。

5.4 詳細情報

容器を危険ゾーンから移動させて水で冷やすこと。 消火水が、地上水または地下水のシステムを汚染しないようにする。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

救急隊員以外への助言: 蒸気、エアゾールを吸入してはならない。 触れないようにすること。 十分な換気を確保する。 熱や発火源から遠ざける。 危険なエリアから避難し、緊急時手順に従い、専門家に相談のこと個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

物質が排水施設に流れ込まないようにする。 爆発のおそれ。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

排水溝に蓋をすること。こぼれたら集めて結合させ、ポンプですくい取る。 物質の制限があれば順守のこと (セクション 7、10参照) 液体吸収剤(例. Chemizorb® )で処置すること。 正しく廃棄すること。関係エリアを清掃のこと。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

安全取扱注意事項
換気フードの下で作業すること。吸い込まないこと。 蒸気やエアロゾルが生じないようにすること。
火災及び爆発の予防
炎、熱および発火源から遠ざける。静電気放電に対する予防措置を講ずること。
衛生対策
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔を洗うこと。注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管条件
容器を密閉し、乾燥した換気の良い場所に保管する。 熱や発火源から遠ざける。 鍵をかけておくか、資格のあるまたは認可された人のみが出入りできる場所に入れておく。不活性ガス下に貯蔵する。

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
TWA: 0.5 ppm - 米国。 ACGIH限界閾値(TLV)
価値: 管理濃度 - 出典
TWA: 2 mg/m3 - 米国。 ACGIH限界閾値(TLV)

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔
を洗うこと。
保護具
眼/顔面の保護
NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、認められた眼の
保護具を使用する。 保護眼鏡
皮膚及び身体の保護具
本推奨は、当社発行の安全データシート,に記載されている製品およびその指定の使用法のみに
適用される。溶解、他の物質との混合、およびEN374に記載の逸脱条件での使用については、
CE認証手袋のサプライヤに問い合わせのこと(例. KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, Internet:
www.kcl.de)
フルコンタクト
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.4 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Camatril? (KCL 730 / Aldrich Z677442, Size M)
本推奨は、当社発行の安全データシート,に記載されている製品およびその指定の使用法のみに
適用される。溶解、他の物質との混合、およびEN374に記載の逸脱条件での使用については、
CE認証手袋のサプライヤに問い合わせのこと(例. KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, Internet:
www.kcl.de)
飛沫への接触
材質: ブチルゴム
最小厚: 0.7 mm
破過時間: 30 min
試験物質:Butoject® (KCL 898)
身体の保護
難燃静電気保護服。
呼吸用保護具
気化ガス/エアロゾル発生時に必要 次の規格に準拠しているフィルター式呼吸器保護具を推奨し
ます。DIN EN 143、DIN 14387および使用済み呼吸器保護システムに関連する他の付属規格。
環境暴露の制御
物質が排水施設に流れ込まないようにする。 爆発のおそれ。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
無色結晶性固体[注:90°Fを超える液体] (HSDB (2017))
臭い
不快な刺激臭 (HSDB (2017))
臭いのしきい(閾)値
0.003 ppm (HSDB (2017))
pH
情報なし

融点・凝固点

32.9℃ (HSDB (2017))

沸点、初留点及び沸騰範囲

172℃ (HSDB (2017))

引火点

39℃(c.c.) (GESTIS (2017))

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

情報なし

燃焼性(固体、気体)

可燃性 (HSDB (2017))

燃焼又は爆発範囲

0.8~6.3%(v/v) (HSDB (2017))

蒸気圧

180 Pa (20℃) (ICSC (J) (2005))

蒸気密度

4.55(空気= 1) (HSDB (2017))

比重(相対密度)

0.975 (化学商品 (2016))

溶解度

水: 0.020 g/L (25℃) (HSDB (2017)) エチルエーテル、エタノールに非常によく溶ける。アセトン、ジクロロメタン、酢酸エチル、n-ヘキサン、トルエンに易溶 (HSDB (2017))

n-オクタノール/水分配係数

log Kow = 2.78 (HSDB (2017))

自然発火温度

500℃ (GESTIS (2017))

分解温度

情報なし

粘度(粘性率)

0.736 cP (est) (70°F) (HSDB (2017))

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

蒸気は空気と爆発性混合物を形成することがある。

10.2 化学的安定性

標準的な大気条件(室温)で化学的に安定。
以下の安定剤が含まれている:
2,6‐ジ(tert‐ブチル)‐p‐クレゾール (0.05 %)

10.3 危険有害反応可能性

反応性が増す:
強酸化剤
強酸
強アルカリ

10.4 避けるべき条件

警告

10.5 混触危険物質

強塩基類

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
GHS分類: 区分4 ラットのLD50値として、346.5 mg/kg (ECETOC JACC 19 (1991))、378 mg/kg (雌)、396 mg/kg (雌)、402 mg/kg (雄)、435 mg/kg (雄)、520 mg/kg (雄) (以上DFGOT vol. 5 (1993))、590 mg/kg (雌雄)、820 mg/kg (雄) (以上ECETOC JACC 19 (1991)) との報告に基づき、区分4とした。
経皮
GHS分類: 区分外 ウサギのLD50値として、4,380 mg/kg (雄)、4,990 mg/kg、6,600 mg/kg (雄) (いずれもECETOC JACC 19 (1991)) の3件の報告があり、2件が区分外 (国連分類基準の区分5)、1件が区分外に該当する。件数の多い区分を採用して、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。なお、工業製品 (純度95%以上) については、融点が11~13℃なので液体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 区分2 GHSの定義における固体であるが、工業製品 (純度95%以上) については、融点が11~13℃なので液体である。 工業製品を用いたラットの4時間吸入試験のLC50値として、359 ppm (雄)、385 ppm (雌) (いずれもDFGOT vol. 5 (1993)、ECETOC JACC 19 (1991))、660 ppm (ACGIH (7th, 2001))、6時間吸入試験のLC50値として、284 ppm (雄) (4時間換算値: 348 ppm)、353 ppm (雌) (4時間換算値: 432 ppm) (いずれもECETOC JACC 19 (1991)) の5件の報告があり、4件が区分2、1件が区分3に該当する。件数の多い区分を採用して、区分2とした。なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 ((1,782 ppm) の90%より低いため、ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

GHS分類: 区分2 ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、中等度の刺激性を有するとの報告 (ECETOC JACC 19 (1991)) から、区分2とした。なお、EU CLP分類において本物質はSkin Irrit. 2 に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

GHS分類: 区分2B ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質は軽度 (only slight) の角膜損傷を示したとの報告 (ECETOC JACC 19 (1991)) から、区分2Bとした。なお、EU CLP分類において本物質はEye Irrit. 2 に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。

呼吸器感作性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

GHS分類: 分類できない モルモットを用いた皮膚感作性試験において、2件の試験結果のいずれも陰性との報告 (ECETOC JACC 19 (1991)、DFGOT vol. 6 (1993)) があるが、ヒトでの情報が得られなかったため、分類できないとした。

生殖細胞変異原性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陰性である (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on July 2017)、SIDS (2002)、環境省リスク評価第11巻 (2013)、DFGOT vol. 5 (1993)、PATTY (6th, 2012))。

発がん性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

生殖毒性

GHS分類: 区分2 ラットを用いた強制経口投与による反復投与・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、母動物に体重増加抑制、摂餌量減少がみられる高用量 (100 mg/kg/day) では母親動物の2/10例で全児が死亡し、新生児生存率の低下がみられた (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2017)、SIDS (2002)、環境省リスク評価第11巻 (2013))。また、ラットに交配1週間前から交配中16週間強制経口投与した生殖毒性試験では、中用量 (30 mg/kg/day) 以上で肝臓への影響 (重量増加、透明細胞巣の頻度増加) がみられ、高用量 (100 mg/kg/day) ではF1出生率の28%低下、F1の体重低値、F1死亡率の高値など次世代への影響がみられた (PATTY (6th, 2012))。一方、妊娠ラット、又は妊娠ウサギの器官形成期 (妊娠6~15日 (ラット)、妊娠6~19日 (ウサギ)) に強制経口投与した発生毒性試験では、母動物に死亡例が発現する用量 (ラットで200 mg/kg/day以上、ウサギで300 mg/kg/day以上) で、胎児にはラットで軽微な影響 (胎児体重の低値) のみで、ウサギでは統計的に有意な影響はみられていない (環境省リスク評価第11巻 (2013))。 以上、ラットの2試験で親動物の一般毒性用量で児動物の生存率低下が報告されていることから、区分2とした。

特定標的臓器毒性(単回ばく露)

GHS分類: 区分1 (中枢神経系、呼吸器)、区分3 (麻酔作用) ラットの6時間単回吸入ばく露試験において、鼻汁、協調運動性低下、持続性及び間代性痙攣が認められたとの報告がある。影響がみられた用量の詳細な記載はないが、LC50値である 284 ppm (雄) (4時間換算値: 348 ppm) 及び353 ppm (雌) (4時間換算値: 432 ppm) の付近 (区分1相当) でみられたと考えられる (ECETOC JACC 19 (1991))。また、別のラットの4時間単回吸入ばく露試験で、区分1相当の1,000 ppmで、眼と鼻の刺激、呼吸困難、協調運動性低下、振戦、知覚過敏を示した後に (死亡時期の記載はないが) 全例が死亡し、剖検結果では、肺、肝臓、腎臓のうっ血が認められたとの報告がある (DFGOT vol. 5 (1993))。経口経路では、ラットの単回経口投与試験で、円背位、嗜眠、立毛、呼吸数低下、鼻の周囲の赤褐色の変色が認められ、剖検所見では、肺の出血、肝臓の暗色化、胃上皮の剥離がみられたとの報告がある。死亡例は投与当日に死亡したが、回復例は投与の翌日には正常な外見を示したと記載されている。影響がみられた用量の詳細な記載はないが、LD50値である590 mg/kg (区分2相当) 付近でみられたと考えられる (ECETOC JACC 19 (1991))。経皮経路では、ラットの単回経皮ばく露試験で、区分2上限の2,000 mg/kgの閉塞条件下、24時間適用で、円背位、嗜眠、立毛、眼瞼下垂、一部で鼻周辺の赤褐色の変色が認められたが、2日後には症状は消失し、死亡例はなかったとの報告がある (ECETOC JACC 19 (1991))。以上の情報を総合すると、本物質は中枢神経系と呼吸器に影響を及ぼし、また麻酔作用を示すと考えられる。吸入ばく露試験での影響が区分1の範囲の用量でみられていることから、区分1 (中枢神経系、呼吸器)、区分3 (麻酔作用) とした。

特定標的臓器毒性(反復ばく露)

GHS分類: 区分2 (呼吸器、肝臓) ヒトについては、本物質の蒸気に5ヵ月間ばく露されたヒトで最初の2ヵ月間は頭痛がみられたがその後の3ヵ月間は症状がみられず、慣れと考えられているとの報告がある (ECETOC JACC 19 (1991))。 実験動物については、ラットを用いた強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、区分1のガイダンス値の範囲内である4 mg/kg/day (90日換算: 2 mg/kg/day) 以上の雄で雄ラット特有の腎臓病変、20 mg/kg/day (90日換算: 9.8 mg/kg/day) 以上の雄で副腎束状帯の脂肪滴増加、区分2のガイダンス値の範囲内である100 mg/kg/day (90日換算: 雄48.9 mg/kg/day、雌45.6 mg/kg/day) の雄でGOT (AST)・GPT (ALT) の増加、肝臓の重量増加、肝臓の腫大・単細胞壊死、腎臓の退色・多発性灰白色点、副腎の腫大等、雌で副腎束状帯の脂肪滴増加がみられている (環境省リスク評価第11巻 (2013)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2017)、SIDS (2002))。ラットを用いた強制経口投与による28日間反復経口投与毒性試験において、区分2のガイダンス値の範囲内である40 mg/kg/day (90日換算: 12 mg/kg/day) 以上で、体重増加抑制、GPT (ALT) の増加、塩素・A/G比の減少、腎臓の重量増加、200 mg/kg/day (90日換算: 62 mg/kg/day) で死亡、ヘマトクリット値・平均血球容積の増加、GOT (AST) の増加、肝臓の相対重量増加、副腎の絶対及び相対重量の増加、副腎皮質の肥大、肝細胞の泡沫状物質 (水様変性又は脂肪変性) 等がみられている (環境省リスク初期評価第11巻 (2013))。
ラットを用いた18週間吸入毒性試験 (7時間、5日/週) において区分2のガイダンス値 (蒸気) の範囲内である190 mg/m3 (0.22 mg/L) 以上の群の雄で雄ラット特有の腎臓病変、399 mg/m3 (ガイダンス値換算: 0.47 mg/L) の雌で針状の石灰質、雄で慢性の肺炎及び気管支拡張がみられている (環境省リスク評価第11巻 (2013))。 以上のうち、雄の腎臓にみられた影響は雄ラット特有の所見であること、副腎束状帯の脂肪滴増加については毒性学的意義が不明であること、吸入試験で雌にみられた針状の石灰質については他の複数の評価書 (DFGOT vol. 5 (1993)、ECETOC JACC 19 (1991)) において影響として採用されていないことから分類根拠としなかった。 したがって、区分2 (呼吸器、肝臓) とした。

吸引性呼吸器有害性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

魚毒性
LC50 - Oryzias latipes (オレンジレッドカダヤシ) - 4.3 mg/l - 96 h
備考: (Lit.)
ミジンコ等の水生無脊
止水式試験 EC50 - Daphnia magna (オオミジンコ) - 0.62 mg/l - 48 h
椎動物に対する毒性
(OECD 試験ガイドライン 202)
藻類に対する毒性
止水式試験 EC50 - Pseudokirchneriella subcapitata (緑藻) - > 100 mg/l - 96
h
(US-EPA)

12.2 残留性・分解性

生分解性
結果: - 易分解性ではない。
(OECD テスト ガイドライン 301C)
BOD/ThBOD比
<= 4 %

12.3 生体蓄積性

12.4 土壌中の移動性

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
内容物及び容器は、関連法規及び各自治体の条例等の規制に従い、産業廃棄物として適切に処理すること。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): 2048    IMDG (海上規制): 2048    IATA-DGR (航空規制): 2048

14.2 国連輸送名

ADR/RID (陸上規制): DICYCLOPENTADIENE
IMDG (海上規制): DICYCLOPENTADIENE
IATA-DGR (航空規制): Dicyclopentadiene

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): 3    IMDG (海上規制): 3    IATA-DGR (航空規制): 3

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): III IMDG (海上規制): III IATA-DGR (航空規制): III

14.5 環境危険有害性

ADR/RID: 該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当
該当

14.6 特別の安全対策

なし

14.7 混触危険物質

強塩基類

15. 適用法令

化審法

優先評価化学物質(法第2条第5項) 旧第3種監視化学物質(旧法第2条第6項)

労働安全衛生法

危険物・引火性の物(施行令別表第1第4号) 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9) 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9) 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)

化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)

第1種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)

道路法

車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)

消防法

第4類引火性液体、第二石油類非水溶性液体(法第2条第7項危険物別表第1・第4類)

港則法

その他の危険物・引火性液体類(法第21条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)

航空法

引火性液体(施行規則第194条危険物告示別表第1)

船舶安全法

引火性液体類(危規則第3条危険物告示別表第1)

海洋汚染防止法

有害液体物質(Y類物質)(施行令別表第1)

16. その他の情報

略語と頭字語

STEL: 短期暴露限度
TWA: 時間加重平均
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
EC50: 有効濃度 50%
IATA:国際航空運送協会
IMDG: 国際海上危険物
LC50: 致死濃度 50%
LD50: 致死量 50%
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
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