安全データシート

ジブチルすずマレアート

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: ジブチルすずマレアート
  • CB番号: CB6377377
  • CAS: 78-04-6
  • EINECS番号: 201-077-5

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 塩ビ安定剤 (NITE-CHRIPより引用)
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
R5.3.31、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver2.1))を使用 ※一部、ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
物理化学的危険性
-
健康に対する有害性
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)   区分1(肝臓、免疫系)
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)   区分1(呼吸器)
生殖毒性   区分1B
生殖細胞変異原性   区分2
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性   区分1
皮膚腐食性/刺激性   区分1
急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)   区分2
急性毒性(経口)   区分4
分類実施日(環境有害性)
ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
環境に対する有害性
水生環境有害性 長期(慢性)   区分1
水生環境有害性 短期(急性)   区分1

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS05GHS06GHS08GHS09
注意喚起語
危険
危険有害性情報
H411 長期継続的影響によって水生生物に毒性。
H372 長期にわたる、又は反復暴露による臓器 (全身毒性) の障害。
H360 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ。
H341 遺伝性疾患のおそれの疑い。
H330 吸入すると生命に危険。
H317 アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ。
H314 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷。
H302 飲み込むと有害。
注意書き
安全対策
P284 換気が不十分な場合、呼吸用保護具を着用すること。
P280 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P273 環境への放出を避けること。
P272 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P271 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
P270 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P264 取扱い後は皮膚をよく洗うこと。
P260 粉じん/ミストを吸入しないこと。
P202 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P201 使用前に取扱説明書を入手すること。
応急措置
P391 漏出物を回収すること。
P363 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P333 + P313 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P308 + P313 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
P305 + P351 + P338 + P310 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。直ちに医師に連絡すること。
P304 + P340 + P310 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し,呼吸しやすい姿勢で休息させること。 直ちに医師に連絡すること。
P303 + P361 + P353 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P301 + P330 + P331 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P301 + P312 + P330 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。口をすすぐこと。
保管
P405 施錠して保管すること。
P403 + P233 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
廃棄
専門的な使用者に限定。
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C12H20O4Sn
  • 分子量: 346.99 g/mol
  • CAS番号: 78-04-6
  • EC番号: 201-077-5
  • 化審法官報公示番号: -
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
医師に相談する。 この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸い込んだ場合、新鮮な空気の場所に移す。 呼吸していない場合には、人工呼吸を施す。 医師に相談する。
皮膚に付着した場合
直ちに汚染された衣服と靴を脱ぐ。 石けんと多量の水で洗い流す。 直ちに被災者を病院に連れて行く。医師に相談する。
眼に入った場合
多量の水で15分以上よく洗浄し、医師の診察を受けること。
飲み込んだ場合
無理に吐かせないこと。 意識がない場合、口から絶対に何も与えないこと。 口を水ですすぐ。 医師に相談する。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

適切な消火剤
水噴霧、耐アルコール泡消火剤、粉末消火剤、二酸化炭素を使用すること。

5.2 特有の危険有害性

スズ/スズ酸化物
炭素酸化物

5.3 消防士へのアドバイス

消火活動時には必要に応じて 自給式呼吸装置を装着する。

5.4 詳細情報

データなし

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

呼吸保護(服)を着用。 粉じんの発生を避ける。 蒸気、ミスト、またはガスの呼吸を避ける。 十分な換気を確保する。 安全な場所に避難する。 粉じんを吸い込まないよう留意。個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

安全を確認してから、もれやこぼれを止める。 物質が排水施設に流れ込まないようにする。 環境への放出は必ず避けなければならない。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

粉じんを発生させないように留意して回収し、廃棄する。 掃いてシャベルですくいとる。 廃棄に備え適切な容器に入れて蓋をしておく。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

安全取扱注意事項
皮膚や眼への接触を避けること。 粉じんやエアゾルを発生させない。曝露を避けるー使用前に特別指示を受ける。
火災及び爆発の予防
粉じんが発生する場所では、換気を適切に行う。
衛生対策
皮膚、眼、そして衣服との接触を避ける。 休憩前や製品取扱い直後には手を洗う。注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管クラス
保管クラス (ドイツ) (TRGS 510): 6.1A: 可燃性、急性毒性カテゴリー1および2 / 猛毒性危険物
保管条件
容器を密閉し、乾燥した換気の良い場所に保管する。

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
許容濃度が設定されている物質を含有していない。

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
皮膚、眼、そして衣服との接触を避ける。 休憩前や製品取扱い直後には手を洗う。
保護具
眼/顔面の保護
顔面シールドおよび保護メガネ NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規
格で試験され、認められた眼の保護具を使用する。
皮膚及び身体の保護具
手袋を着用して取扱う。 使用前に、必ず手袋を検査する。 (手袋外面に触れずに)適切に手袋
を脱ぎ、本製品の皮膚への付着を避ける。 適用法令およびGLPに従い、使用後に汚染手袋を廃
棄する。 手を洗い、乾燥させる。
選ばれた防護手袋は、EU指令2016/425の仕様と、それから派生する規格EN374を満たすもので
なければならない。
フルコンタクト
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Dermatril® (KCL 740 / Aldrich Z677272, Size M)
飛沫への接触
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Dermatril® (KCL 740 / Aldrich Z677272, Size M)
データソース:KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, 電話 +49 (0)6659 87300, e-mail sales@kcl.de,
試験方法: EN374
EN374とは違った条件の下で、溶液の中、または他の物質と混ぜて使われる場合は、EC認可手
袋の供給業者に問い合わせる。 この勧告は単なる助言であり、予想される用途の特定状況に精
通した産業衛生専門家並びに安全管理者により評価されなければならない。 任意の使用方法に
ついて許可を受けていると理解すべきではない。
身体の保護
化学防護服, 特定の作業場に存在する危険物質の濃度および量に応じて、保護装置のタイプを選
択しなければならない。
呼吸用保護具
リスクアセスメントによりろ過式呼吸用保護具が適切であると示されている場所では、工学的
制御のバックアップとして、N100型(US)またはP3型(EN 143)呼吸用保護具カートリッジ
付き全面形呼吸用保護具を使用する。呼吸用保護具が唯一の保護手段である場合、全面形送気
マスクを使用する。 NIOSH(US)またはCEN(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、
認められた呼吸用保護具および部品を使用する。
環境暴露の制御
安全を確認してから、もれやこぼれを止める。 物質が排水施設に流れ込まないようにする。 環
境への放出は必ず避けなければならない。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

物理状態
固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
白色
臭い
データなし

融点/凝固点

135~140 ℃(GESTIS(2022))

沸点、初留点及び沸騰範囲

データなし

可燃性

難燃性(GESTIS(2023))

爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界

データなし

引火点

データなし

自然発火点

データなし

分解温度

データなし

pH

データなし

動粘性率

データなし

溶解度

水: <10 mg/L(20 °C)(GESTIS(2022))

n-オクタノール/水分配係数

データなし

蒸気圧

データなし

密度及び/又は相対密度

データなし

相対ガス密度

データなし

粒子特性

データなし

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

データなし

10.2 化学的安定性

推奨保管条件下では安定。

10.3 危険有害反応可能性

データなし

10.4 避けるべき条件

データなし

10.5 混触危険物質

強酸化剤

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
ラットのLD50値 (OECD TG 401) として、510 mg/kg (SIDS (2009)) との報告に基づき、区分4とした。
経皮
データ不足のため分類できない。
吸入: ガス
GHSの定義における固体である。
吸入: 蒸気
GHSの定義における固体である。
吸入: 粉じん及びミスト
ラットのLC50値 (4時間) として、317 mg/m3 (SIDS (2009)) との報告に基づき、区分2とした。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

【分類根拠】 (1)より、区分1とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2022年度)。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(4時間適用、14日観察)において、全例で紅斑が14日間持続し、うち3例は浮腫も14日間持続した。1例では壊死が、他の1例では表面的な壊死がみられ、影響は非可逆的であった(紅斑・痂皮スコア:1.7/1.7/1.7/2/1/2、浮腫スコア:1.3/0.3/1.3/1.7/0/1.7)との報告がある(ECHA RAC Opinion (2021)、CLH Report (2020))。
【参考データ等】 (2)EpiSkinを用いたin vitro 皮膚腐食性試験(OECD TG 431、GLP)において、T=3分 細胞生存率R=90.6%、T=60分 細胞生存率R=90.6%、T=240分 細胞生存率R=79.1%であり、皮膚腐食性物質ではないとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2021)、CLH Report (2020))。 (3)In vitro 皮膚刺激性試験(再構築ヒト表皮試験法、GLP)において、細胞生存率R=71.6%であり、皮膚刺激性物質ではないとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2021)、CLH Report (2020))。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

【分類根拠】 (1)~(3)より、区分1とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2022年度)。
【根拠データ】 (1)皮膚腐食性/刺激性で区分1である。 (2)ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、14日観察)において、角膜混濁、虹彩炎及び中程度から重度の結膜刺激がみられた他、結膜の蒼白部位や瞬膜の点状出血が認められた。また、1例に眼瞼炎と血液混じりの分泌物が認められた。影響は非可逆的であった(角膜混濁スコア:1/1/1.3、虹彩炎スコア:1/0.7/1、結膜発赤スコア:2/1.7/2、結膜浮腫スコア:2.3/1.7/2.3)との報告がある(ECHA RAC Opinion (2021)、CLH Report (2020)、REACH登録情報 (Accessed Aug. 2022))。 (3)ウサギ(n=9)を用いた眼刺激性試験において、非洗浄群6例のうち全例で24/48/72時間後には結膜の壊死が、72時間後には潰瘍がみられ、影響は非可逆的であった(角膜混濁スコア:1.67/-/2/-/3.67/3、虹彩炎スコア:3/-/-/-/1.33/-、結膜発赤スコア:3/3/3/3/3/3、結膜浮腫スコア:3/3.67/3.67/4/3.33/3.67)。洗浄群3例でも同様の影響がみられ、21日後に壊死、潰瘍がみられたとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2021)、CLH Report (2020))。

呼吸器感作性

データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

データ不足のため分類できない。

生殖細胞変異原性

【分類根拠】 本物質自体(DBTM)のデータは(4)の細菌を用いた復帰突然変異試験の陰性の結果に限られるが、(1)より、カテゴリーを形成するDBTCとDBTLのデータが利用可能と考えられる。(2)~(4)より、2つのin vivo試験系で陽性、2つのin vitro試験系で陽性の結果が得られていることから、区分2とした。新たな情報源を利用し分類結果を見直した(2022年度)。
【根拠データ】 (1)本物質(DBTM)は胃内での加水分解(pH 1~2)を模倣した実験では30分間未満の半減期でジブチルスズジクロリド(DBTC:CAS番号 683-18-1)に変換した(変換率:30分間で95%以上)。DBTM以外にもジブチルスズジラウラート(DBTL:CAS番号 77-58-7)含めいくつかのジブチルスズ化合物が胃内で加水分解を受け、DBTC及びその派生物を生成すると考えられ、1つのカテゴリーを形成している(EU CLP CLH (2021))。したがって、本物質の経口投与等による全身性影響の評価には、本物質自体のデータがなくてもDBTC、DBTLの経口投与試験データが利用可能と考えられる(SIAR (2006)、SIDS Dossier (2006)、MOE 初期評価 (2018))。 (2)DBTCについて、マウスの骨髄細胞を用いたin vivo小核試験(単回強制経口投与)で陽性(試験最高用量の50 mg/kg投与群で雌雄ともに陽性であり、雌の方がより明瞭)、及び陰性(単回経口投与、200 mg/kgまで陰性。中用量(100 mg/kg)以上で毒性症状、高用量(200 mg/kg)で死亡例5例)の相反する結果が得られた(EU CLP CLH (2021)、AICIS IMAP (2019)、MOE 初期評価 (2018)、SIAR (2006))。 (3)DBTLについて、ラットの大脳皮質細胞を標的としたコメットアッセイ(7週間強制経口投与、5~20 mg/kg/day)で、陽性(有意かつ用量相関的なDNA傷害性)であった(EU CLP CLH (2021)、AICIS IMAP (2019))。 (4)In vitroでは、本物質(DBTM)とDBTCについて、細菌を用いた復帰突然変異試験で陰性であった。DBTCについて、チャイニーズハムスター肺由来(V79)細胞を用いた遺伝子突然変異試験で陰性(S9+/-)、チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いた遺伝子突然変異試験で陽性(S9-)、ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験で陽性(S9+/-)であった(EU CLP CLH (2021)、SIAR (2006))。
【参考データ等】 (5)EUではMuta. 2への分類が提案されている(EU CLP CLH (2021))。

発がん性

ACGIHが有機スズ化合物に対し、A4に分類している (ACGIH (7th, 2001)) ため、本項は分類できないとした。

生殖毒性

妊娠ラットの妊娠8日に約 28 mg/kg を強制経口投与した結果、母動物毒性の有無は記載がなく不明であるが、胎児に外表奇形 (下顎裂、下唇裂、舌融合、舌裂、脳ヘルニアなど)、骨格奇形 (肋骨、椎骨の異常) など催奇形性がみられている (環境省リスク評価第8巻 (2010)、SIDS (2009))。よって、母動物毒性の有無は不明であるが、本物質が催奇形性を示したことを重視し、本項は区分1Bとした。

特定標的臓器毒性 (単回ばく露)

ヒトでの本物質の単回ばく露のデータはない。実験動物ではラットを用いた4時間の単回吸入ばく露試験で、0.212 mg/L以上の濃度で、肉眼所見として斑状肺、鼻汁、胸水、浮腫が認められたとの記載がある (SIDS (2009))。したがって区分1 (呼吸器) とした。なお、上記のラットの単回吸入ばく露試験で鎮静、呼吸困難、立毛、腹臥位が認められたとの記載、及びラットの単回経口ばく露試験で、LD50値未満の250 mg/kgで呼吸困難、立毛、鎮静、眼球突出、下痢が認められたとの記載がある (SIDS (2009))。 また、本物質は、人工胃液中での加水分解試験において30分未満の半減期でジブチルスズジクロリド (CAS番号 683-18-1) に転換され (環境省リスク評価第8巻 (2010)、SIDS (2009))、その転換率は100%であることが報告されている (SIDS (2009))。したがって本物質も経口摂取の場合にはジブチルスズジクロリドと同様の影響を示す可能性があると考えられる。

特定標的臓器毒性 (反復ばく露)

本物質のヒト及び実験動物についてのデータはない。 しかし、体内で、ジブチルスズオキシド及びジブチルスズクロリドになるジブチルスズ類については、その毒性を共通して採用できると考えられる。 本物質は、人工胃液での加水分解試験において30分未満の半減期でジブチルスズジクロリド (CAS番号 683-18-1) に転換され (環境省リスク評価第8巻 (2010)、SIDS (2009))、その転換率は100%であった (SIDS (2009))。 したがって、本物質はジブチルスズジクロリド (CAS番号 683-18-1) と同様の標的臓器を示すと考えられる。ジブチルスズジクロリドでは肝臓への影響が区分1相当の1.17 mg/kg/day、免疫系への影響が区分1相当の0.39 mg/kg/day以上でみられ、ジブチルスズジクロリドの分子量 (303.8)、本物質の分子量 (346.98) であり、本物質においても、肝臓、免疫系への影響が区分1相当 (分子量からの換算として肝臓への影響が1.3 mg/kg/day、免疫系への影響が0.44 mg/kg/day) で生じることが推定されることから、区分1 (肝臓、免疫系) とした。

誤えん有害性*

データ不足のため分類できない。

* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

魚毒性
半静止試験 LC50 - Danio rerio (ゼブラフィッシュ) - > 5.7 mg/l - 96 h
(OECD 試験ガイドライン 203)
ミジンコ等の水生無脊
止水式試験 EC50 - Daphnia magna (オオミジンコ) - 0.21 mg/l
椎動物に対する毒性
(OECD 試験ガイドライン 202)
藻類に対する毒性
止水式試験 EC50 - Desmodesmus subspicatus(セネデスムス・サブスピカト
ゥス) - 4.1 mg/l - 72 h
(OECD 試験ガイドライン 201)

12.2 残留性・分解性

生分解性
好気性 - 曝露時間 28 d
結果: 3.2 % - 易分解性ではない。
(OECD 試験ガイドライン 301F)

12.3 生体蓄積性

データなし

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

12.6 内分泌かく乱性

データなし

12.7 他の有害影響

非該当
オゾン層への有害性
環境への放出を避けること。
長期継続的影響によって水生生物に毒性。

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
免許を有する廃棄物処理業者に、余剰物で再使用不可の溶液として処理を依頼する。 可燃性溶剤に溶解または混合し、アフターバーナーとスクラバーが備えられた化学焼却炉で焼却する。汚染容器及び包装製品入り容器と同様に処分する。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): 3146    IMDG (海上規制): 3146    IATA-DGR (航空規制): 3146

14.2 国連輸送名

ADR/RID (陸上規制): ORGANOTIN COMPOUND, SOLID, N.O.S. (Dibutyltin maleate)
IMDG (海上規制): ORGANOTIN COMPOUND, SOLID, N.O.S. (Dibutyltin maleate)
IATA-DGR (航空規制): Organotin compound, solid, n.o.s. (Dibutyltin maleate)

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): 6.1    IMDG (海上規制): 6.1    IATA-DGR (航空規制): 6.1

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): II IMDG (海上規制): II IATA-DGR (航空規制): II

14.5 環境危険有害性

ADR/RID: 非該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当
該当

14.6 特別の安全対策

なし

14.7 混触危険物質

強酸化剤

15. 適用法令

労働安全衛生法

名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9) 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)、リスクアセスメント対象物(法第57の3) 作業場内表示義務(法第101条の4)

労働基準法

疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1)【ブチル錫(皮膚障害又は肝障害)】

化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)

第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)

毒物及び劇物取締法

該当しない

大気汚染防止法

有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申)

船舶安全法

毒物類(危規則第3条危険物告示別表第1)

航空法

毒物類(施行規則第194条危険物告示別表第1)

港則法

その他の危険物・毒物類(毒物)(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)

16. その他の情報

略語と頭字語

TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物
IATA:国際航空運送協会
EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
免責事項:

本MSDS中の情報は指定された製品にのみ適用され、特に規定がない限り、本製品とその他の物質の混合物には適用されません。本MSDSは、製品使用者の適切な専門的なトレーニングを受けた者にのみ製品安全情報を提供します。本MSDSの使用者は、本SDSの適用性について独自に判断しなければならない。本MSDSの著者は、本MSDSの使用によるいかなる傷害にも責任を負わない。

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