急性毒性
経口
GHS分類: 区分4 ラットのLD50値として、382 mg/kgとの報告 (DFGOT vol. 3 (1992)、PATTY (6th, 2012)) との報告に基づき、区分4とした。
経皮
GHS分類: 区分3 ラットのLD50値として、0.5~1.0 mL/kg (530~1,060 mg/kg) 及び1.13~1.43 mL/kg (1,198~1,516 mg/kg) との報告 (いずれもHSDB (Access on June 2017)) があり、1件が区分3~4、1件が区分4に該当する。有害性の高い区分を採用し、区分3とした。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 区分4 ラットの4時間吸入ばく露試験のLC50値として、200 ppm (1.24 mg/L) (DFGOT vol. 3 (1992)) 及び220 ppm (1.36 mg/L) (PATTY (6th, 2012)) の報告に基づき、区分4とした。なお、LC50値が、飽和蒸気圧濃度 (4.35 ppm) より高いため、ミストとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 区分1 ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、重度の刺激性と損傷を示すとの報告 (DFGOT vol. 3 (1992))、及び重度の皮膚刺激性又は腐食性を示すとの記述 (PATTY (6th, 2012)) から、区分1とした。なお、EU CLP分類において本物質はSkin Corr. 1B に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 区分1 本物質の皮膚腐食性/刺激性が区分1に分類されていることから、区分1とした。なお、ウサギを用いた眼刺激性試験において、重度の刺激性と損傷を示すとの報告 (DFGOT vol. 3 (1992))、眼刺激性を示すとの記述 (PATTY (6th, 2012))、発赤や重度の深部熱傷による痛みが生じるとの報告 (HSDB (Access on June 2017)) がある。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、本物質は皮膚感作性物質として知られているとの記述 (HSDB (Access on June 2017)) があるが、試験方法等の詳細が不明のため採用しなかった。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 分類できない ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウスの優性致死試験、マウスの末梢血を用いた小核試験で陰性 (NTP DB (Access on July 2017)、HSDB (Access on June 2017))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性である (SIAP (2008)、NTP DB (Access on July 2017)、HSDB (Access on June 2017))。
発がん性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
生殖毒性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
GHS分類: 区分2 (呼吸器) 本物質のヒトでの単回ばく露の情報はない。実験動物ではラットの4時間単回吸入ばく露試験において、剖検で気管と肺に重度の炎症が認められたとの報告がある (PATTY (6th, 2012))。用量の詳細な記載はないが、LC50値はガイダンスのミストの基準値で区分2範囲の220 ppm (1.36 mg/L) と報告されているため、影響は区分2範囲の用量でみられたと考えられる。したがって、区分2 (呼吸器) とした。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
GHS分類: 区分1 (呼吸器、血液系) ヒトに関する情報はない。 実験動物については、ラットを用いた3ヵ月間吸入毒性試験 (6時間/日、5日/週) において、区分1のガイダンス値の範囲 (ミスト) である124 mg/m3 (ガイダンス値換算: 0.017 mg/L) で死亡がみられ生存動物についてばく露12日に切迫屠殺した。同群では、眼及び鼻の刺激症状、呼吸困難、体重増加の抑制、赤血球数・ヘモグロビン濃度・白血球数の減少、角膜・鼻甲介・胃の潰瘍及び炎症、胸腺の萎縮、リンパ小節や脾臓の胚中心でリンパ系組織の枯渇、肝臓の脂質含有量の減少がみられた (環境省リスク評価第9巻:暫定的有害評価シート (2011))。 以上、眼、呼吸器、消化管の刺激のほか血液系に影響がみられており、このうち眼については眼刺激の項に該当し、消化管については経口摂取したことによる可能性やストレスが考えられることから分類対象としない。したがって、区分1 (呼吸器、血液系) とした。
吸引性呼吸器有害性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。