安全データシート

ヘキサヒドロイソベンゾフラン-1,3-ジオン

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: ヘキサヒドロイソベンゾフラン-1,3-ジオン
  • CB番号: CB7468504
  • CAS: 85-42-7
  • EINECS番号: 201-604-9
  • 同義語: ヘキサヒドロ無水フタル酸,ヘキサヒドロフタル酸無水物

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 医薬・農薬・駆虫剤・アルキド樹脂・可塑剤・防錆剤原料,樹脂改質剤, (NITE CHRIP)
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
GHS改訂4版を使用
H29.3.1、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改定版 (ver1.1): JIS Z7252:2014準拠) を使用
物理化学的危険性
-
健康に対する有害性
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)   区分3 (気道刺激性、麻酔作用)
皮膚感作性   区分1
呼吸器感作性   区分1
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性   区分1
分類実施日(環境有害性)
環境に対する有害性はH21.3、 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)を使用
環境に対する有害性
水生環境有害性 (長期間)   -
水生環境有害性 (急性)   区分3

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS05GHS08
注意喚起語
危険
危険有害性情報
H402 水生生物に有害。
H334 吸入するとアレルギー、ぜん(喘)息又は呼吸困難を起こすおそれ。
H318 重篤な眼の損傷。
H317 アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ。
注意書き
安全対策
P284 換気が不十分な場合、呼吸用保護具を着用すること。
P280 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P261 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
応急措置
P342 + P311 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。
P305 + P351 + P338 + P310 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。直ちに医師に連絡すること。
P304 + P340 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 別名: Hexahydrophthalic anhydride
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C8H10O3
  • 分子量: 154.16 g/mol
  • CAS番号: 85-42-7
  • EC番号: 201-604-9
  • 化審法官報公示番号: 3-2416
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
医師に相談する。 この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸い込んだ場合、新鮮な空気の場所に移す。 呼吸していない場合には、人工呼吸を施す。 医師に相談する。
皮膚に付着した場合
石けんと多量の水で洗い流す。 医師に相談する。
眼に入った場合
多量の水で15分以上よく洗浄し、医師の診察を受けること。
飲み込んだ場合
意識がない場合、口から絶対に何も与えないこと。 口を水ですすぐ。 医師に相談する。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

適切な消火剤
水噴霧、耐アルコール泡消火剤、粉末消火剤、二酸化炭素を使用すること。

5.2 特有の危険有害性

炭素酸化物

5.3 消防士へのアドバイス

消火活動時には必要に応じて 自給式呼吸装置を装着する。

5.4 詳細情報

データなし

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

保護具を使用する。 粉じんの発生を避ける。 蒸気、ミスト、またはガスの呼吸を避ける。 十分な換気を確保する。 安全な場所に避難する。 粉じんを吸い込まないよう留意。個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

安全を確認してから、もれやこぼれを止める。 物質が排水施設に流れ込まないようにする。 環境への放出は必ず避けなければならない。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

粉じんを発生させないように留意して回収し、廃棄する。 掃いてシャベルですくいとる。 廃棄に備え適切な容器に入れて蓋をしておく。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

安全取扱注意事項
皮膚や眼への接触を避けること。 粉じんやエアゾルを発生させない。
火災及び爆発の予防
粉じんが発生する場所では、換気を適切に行う。
衛生対策
十分な衛生的作業を行い安全規定に従って取扱う。 休憩前や終業時には手を洗う。注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管条件
冷所に保管。 容器を密閉し、乾燥した換気の良い場所に保管する。

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
C: 0.005 mg/m3 - 米国。 ACGIH限界閾値(TLV)

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
十分な衛生的作業を行い安全規定に従って取扱う。 休憩前や終業時には手を洗う。
保護具
眼/顔面の保護
顔面シールドおよび保護メガネ NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規
格で試験され、認められた眼の保護具を使用する。
皮膚及び身体の保護具
手袋を着用して取扱う。 使用前に、必ず手袋を検査する。 (手袋外面に触れずに)適切に手袋
を脱ぎ、本製品の皮膚への付着を避ける。 適用法令およびGLPに従い、使用後に汚染手袋を廃
棄する。 手を洗い、乾燥させる。
選ばれた防護手袋は、EU指令2016/425の仕様と、それから派生する規格EN374を満たすもので
なければならない。
身体の保護
化学防護服, 特定の作業場に存在する危険物質の濃度および量に応じて、保護装置のタイプを選
択しなければならない。
呼吸用保護具
リスクアセスメントによりろ過式呼吸用保護具が適切であると示されている場所では、工学的
制御のバックアップとして、N100型(US)またはP3型(EN 143)呼吸用保護具カートリッジ
付き全面形呼吸用保護具を使用する。呼吸用保護具が唯一の保護手段である場合、全面形送気
マスクを使用する。 NIOSH(US)またはCEN(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、
認められた呼吸用保護具および部品を使用する。
環境暴露の制御
安全を確認してから、もれやこぼれを止める。 物質が排水施設に流れ込まないようにする。 環
境への放出は必ず避けなければならない。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
無色 (HSDB (2016))
臭い
無臭 (GESTIS (2016))
臭いのしきい(閾)値
データなし
pH
酸性 (GESTIS (2016))

融点・凝固点

32℃ (HSDB (2016))

沸点、初留点及び沸騰範囲

296℃ (760 Torr) (ACGIH (7th, 2015))

引火点

149℃(開放式) (HSDB (2016))

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

データなし

燃焼性(固体、気体)

可燃性 (ICSC(J) (2006))

燃焼又は爆発範囲

データなし

蒸気圧

0.0068 Torr (25℃) [換算値 0.91 Pa (25℃)] (ACGIH (7th, 2015))

蒸気密度

データなし

比重(相対密度)

1.19 (40℃) (HSDB (2016))

溶解度

水: Slightly soluble in water. (GESTIS (2016))

n-オクタノール/水分配係数

log Kow = 2.17 (est) (HSDB (2016))

自然発火温度

450℃ (GESTIS (2016))

分解温度

データなし

粘度(粘性率)

データなし

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

データなし

10.2 化学的安定性

推奨保管条件下では安定。

10.3 危険有害反応可能性

データなし

10.4 避けるべき条件

データなし

10.5 混触危険物質

強酸化剤, 強酸, 強塩基類

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
GHS分類: 区分外 ラットのLD50値として、2,700~2,800 mg/kg (ACGIH (7th, 2015)、HSDB (Access on May 2016)) 及び4,040 mg/kg (HSDB (Access on May 2016)) の報告に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。
経皮
GHS分類: 区分外 ウサギのLD50値として、> 2,000 mg/kg (HSDB (Access on May 2016) 又は 2,000 mg/kg で死亡無し (ACGIH (7th, 2015)) の報告に基づき、区分外とした。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、ラットのLC50値として、> 1,100 mg/m3/4h (ACGIH (2015)) の報告があるが、区分が特定できないため分類できない。分類ガイダンスに従い、区分を変更した。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

GHS分類: 区分外 ウサギを用いたドレイズ試験において刺激性が認められているとの記載があり (ACGIH (7th, 2015))、さらに元文献でスコア0.92のわずかな刺激性とされていることから、軽度の刺激性と判断し、区分外 (国連分類における区分3) とした。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

GHS分類: 区分1 工場での気中に存在する本物質へのばく露にて、作業員が結膜炎を発症したと報告 (ACGIH (7th, 2015)) や、ウサギを用いたドレイズ試験においては、重篤な刺激性が認められ可逆的であったが腐食性に分類したとの記載 (ACGIH (7th, 2015)) から、区分1とした。なお、本物質はEU CLP 分類で「H318 Eye Dam. 1」に分類されている (ECHA C&L Inventory (Access on May 2016))。

呼吸器感作性

GHS分類: 区分1 本物質を扱う労働者において、IgE、IgG介在性過敏症 (鼻炎、喘息等) を発症した報告が複数あり、皮膚プリック試験においては8/13人で陽性反応を示した (ACGIH (7th, 2015)) ことから、区分1とした。なお、本物質はEU CLP 分類で「H334 Resp. Sens. 1」に分類されている (ECHA C&L Inventory (Access on May 2016))。

皮膚感作性

GHS分類: 区分1 ヒトの事例で、本物質に経皮ばく露によって接触性蕁麻疹を発症した例がある (ACGIH (7th, 2015)) ことから、区分1とした。 なお、本物質はEU CLP 分類で「H334 Resp. Sens. 1」に分類されている (ECHA C&L Inventory (Access on May 2016))。

生殖細胞変異原性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性である (ACGIH (7th, 2015)、HSDB (Access on May 2016))。

発がん性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

生殖毒性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

特定標的臓器毒性(単回ばく露)

GHS分類: 区分3 (気道刺激性、麻酔作用) ヒトでは本物質が一過性の皮膚、目、気道への刺激効果に加えて、貧血、頭痛、発熱及びめまいなどを起こすことが報告されている (HSDB (Access on May 2016))。またヒトでは環状酸無水物の高濃度の粉塵や蒸気へのばく露直後に、刺激症状 (そう痒、流涙、くしゃみ、鼻漏、咳、呼吸困難) が現れることが報告されている (CICAD 75 (2009))。したがって区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。なお、List外の情報源のものであるため分類には用いなかったが、ラットの経口及び吸入による単回ばく露試験で活動性低下が認められたとの報告がある (HPVIS (Access on July 2016))。

特定標的臓器毒性(反復ばく露)

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

吸引性呼吸器有害性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

魚毒性
止水式試験 LC50 - Danio rerio (ゼブラフィッシュ) - > 1,000 mg/l - 96 h
(OECD 試験ガイドライン 203)
ミジンコ等の水生無脊
止水式試験 EC50 - Daphnia magna (オオミジンコ) - > 95 mg/l
椎動物に対する毒性
(OECD 試験ガイドライン 202)
藻類に対する毒性
止水式試験 EC50 - Pseudokirchneriella subcapitata - 90.5 mg/l - 72 h
(OECD 試験ガイドライン 201)
微生物毒性
呼吸抑制 EC50 - スラッジ処理 - 370 mg/l - 3 h
(OECD 試験ガイドライン 209)

12.2 残留性・分解性

生分解性
好気性 - 曝露時間 28 d
結果: 98 % - 易分解性。
(指令 67/548/EEC, Annex V, C.4.A.)

12.3 生体蓄積性

データなし

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
免許を有する廃棄物処理業者に、余剰物で再使用不可の溶液として処理を依頼する。 可燃性溶剤に溶解または混合し、アフターバーナーとスクラバーが備えられた化学焼却炉で焼却する。汚染容器及び包装製品入り容器と同様に処分する。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): -    IMDG (海上規制): -    IATA-DGR (航空規制): -

14.2 国連輸送名

IATA-DGR (航空規制): Not dangerous goods
IMDG (海上規制): Not dangerous goods
ADR/RID (陸上規制): 非危険物

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): -    IMDG (海上規制): -    IATA-DGR (航空規制): -

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): - IMDG (海上規制): - IATA-DGR (航空規制): -

14.5 環境危険有害性

非該当
ADR/RID: 非該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当

14.6 特別の安全対策

14.7 混触危険物質

国際輸送に関する国連勧告の定義上は、危険物に該当しない。
詳細情報
強酸化剤, 強酸, 強塩基類

15. 適用法令

16. その他の情報

略語と頭字語

TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物
IATA:国際航空運送協会
EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
免責事項:

本MSDS中の情報は指定された製品にのみ適用され、特に規定がない限り、本製品とその他の物質の混合物には適用されません。本MSDSは、製品使用者の適切な専門的なトレーニングを受けた者にのみ製品安全情報を提供します。本MSDSの使用者は、本SDSの適用性について独自に判断しなければならない。本MSDSの著者は、本MSDSの使用によるいかなる傷害にも責任を負わない。

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