安全データシート

(±)-trans-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: (±)-trans-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物
  • CB番号: CB0688857
  • CAS: 14166-21-3
  • EINECS番号: 238-009-9
  • 同義語: trans-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物,3aα,4,5,6,7,7aβ-ヘキサヒドロ-1,3-イソベンゾフランジオン

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
R5.3.31、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver2.1))を使用
物理化学的危険性
-
健康に対する有害性
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)   区分3(気道刺激性)
皮膚感作性   区分1
呼吸器感作性   区分1
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性   区分1
分類実施日(環境有害性)
-
環境に対する有害性
-

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS05GHS08
注意喚起語
危険
危険有害性情報
H318 重篤な眼の損傷。
H317 アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ。
注意書き
安全対策
P280 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
応急措置
P333 + P313 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P305 + P351 + P338 + P310 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。直ちに医師に連絡すること。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 別名: trans-Hexahydrophthalic anhydride
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C8H10O3
  • 分子量: 154.16 g/mol
  • CAS番号: 14166-21-3
  • EC番号: 238-009-9
  • 化審法官報公示番号: 3-2416
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
医師に相談する。 この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸い込んだ場合、新鮮な空気の場所に移す。 呼吸していない場合には、人工呼吸を施す。 医師に相談する。
皮膚に付着した場合
石けんと多量の水で洗い流す。 医師に相談する。
眼に入った場合
多量の水で15分以上よく洗浄し、医師の診察を受けること。
飲み込んだ場合
意識がない場合、口から絶対に何も与えないこと。 口を水ですすぐ。 医師に相談する。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

適切な消火剤
水噴霧、耐アルコール泡消火剤、粉末消火剤、二酸化炭素を使用すること。

5.2 特有の危険有害性

炭素酸化物

5.3 消防士へのアドバイス

消火活動時には必要に応じて 自給式呼吸装置を装着する。

5.4 詳細情報

データなし

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

保護具を使用する。 粉じんの発生を避ける。 蒸気、ミスト、またはガスの呼吸を避ける。 十分な換気を確保する。 安全な場所に避難する。 粉じんを吸い込まないよう留意。個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

物質が排水施設に流れ込まないようにする。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

粉じんを発生させないように留意して回収し、廃棄する。 掃いてシャベルですくいとる。 廃棄に備え適切な容器に入れて蓋をしておく。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

安全取扱注意事項
皮膚や眼への接触を避けること。 粉じんやエアゾルを発生させない。
火災及び爆発の予防
粉じんが発生する場所では、換気を適切に行う。
衛生対策
十分な衛生的作業を行い安全規定に従って取扱う。 休憩前や終業時には手を洗う。注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管クラス
保管クラス (ドイツ) (TRGS 510): 13: 否可燃性固体
保管条件
冷所に保管。 容器を密閉し、乾燥した換気の良い場所に保管する。湿気に反応する。

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
C: 0.005 mg/m3 - 米国。 ACGIH限界閾値(TLV)

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
十分な衛生的作業を行い安全規定に従って取扱う。 休憩前や終業時には手を洗う。
保護具
眼/顔面の保護
顔面シールドおよび保護メガネ NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規
格で試験され、認められた眼の保護具を使用する。
皮膚及び身体の保護具
手袋を着用して取扱う。 使用前に、必ず手袋を検査する。 (手袋外面に触れずに)適切に手袋
を脱ぎ、本製品の皮膚への付着を避ける。 適用法令およびGLPに従い、使用後に汚染手袋を廃
棄する。 手を洗い、乾燥させる。
選ばれた防護手袋は、EU指令2016/425の仕様と、それから派生する規格EN374を満たすもので
なければならない。
フルコンタクト
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Dermatril® (KCL 740 / Aldrich Z677272, Size M)
飛沫への接触
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Dermatril® (KCL 740 / Aldrich Z677272, Size M)
データソース:KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, 電話 +49 (0)6659 87300, e-mail sales@kcl.de,
試験方法: EN374
EN374とは違った条件の下で、溶液の中、または他の物質と混ぜて使われる場合は、EC認可手
袋の供給業者に問い合わせる。 この勧告は単なる助言であり、予想される用途の特定状況に精
通した産業衛生専門家並びに安全管理者により評価されなければならない。 任意の使用方法に
ついて許可を受けていると理解すべきではない。
身体の保護
化学防護服, 特定の作業場に存在する危険物質の濃度および量に応じて、保護装置のタイプを選
択しなければならない。
呼吸用保護具
リスクアセスメントによりろ過式呼吸用保護具が適切であると示されている場所では、工学的
制御のバックアップとして、N100型(US)またはP3型(EN 143)呼吸用保護具カートリッジ
付き全面形呼吸用保護具を使用する。呼吸用保護具が唯一の保護手段である場合、全面形送気
マスクを使用する。 NIOSH(US)またはCEN(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、
認められた呼吸用保護具および部品を使用する。
環境暴露の制御
物質が排水施設に流れ込まないようにする。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

物理状態
固体(GHS判定)
データなし
臭い
データなし

融点/凝固点

145~147 ℃(HODOC(1989)) 140~141 ℃(Chapman(1995)) 145~147 (GESTIS(2022))

沸点、初留点及び沸騰範囲

データなし

可燃性

可燃性は低い(GESTIS(2023))

爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界

データなし

引火点

データなし

自然発火点

データなし

分解温度

水の中で分解する。(GESTIS(2022))

pH

データなし

動粘性率

データなし

溶解度

データなし

n-オクタノール/水分配係数

データなし

蒸気圧

データなし

密度及び/又は相対密度

データなし

相対ガス密度

データなし

粒子特性

データなし

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

データなし

10.2 化学的安定性

推奨保管条件下では安定。

10.3 危険有害反応可能性

データなし

10.4 避けるべき条件

データなし

10.5 混触危険物質

強酸化剤, 強塩基類, 強酸

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
【分類根拠】 本物質(ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)のtrans-異性体)自体のデータはない。(1)~(3)より、HHPAのcis-異性体とtrans-異性体の混合物(CAS登録番号:85-42-7)のデータに基づき区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1)ラットのLD50(HHPA異性体混合物):2,700 mg/kg(AICIS IMAP (2016)) (2)ラットのLD50(HHPA異性体混合物):2,700~2,800 mg/kg(ACGIH (2015)) (3)ラットのLD50(HHPA異性体混合物):4,040 mg/kg(REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))
経皮
【分類根拠】 本物質(ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)のtrans-異性体)自体のデータはない。(1)より、HHPAのcis-異性体とtrans-異性体の混合物(CAS登録番号:85-42-7)のデータに基づき区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1)ウサギのLD50(HHPA異性体混合物):> 2,000 mg/kg(ACGIH (2015)、AICIS IMAP (2016)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))
吸入: ガス
【分類根拠】 異性体混合物がGHSの定義における固体であることから、本物質も固体であると考えられ、区分に該当しないとした。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 本物質(ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)のtrans-異性体)自体のデータはない。(1)より、HHPAのcis-異性体とtrans-異性体の混合物(CAS登録番号:85-42-7)のデータでは区分を特定できず分類できないとした。
【参考データ等】 (1)ラットのLC50(HHPA異性体混合物)(ダスト、4時間):> 1.1 mg/L(ACGIH (2015)、AICIS IMAP (2016)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

【分類根拠】 (1)、(2)より、本物質を含む異性体混合物であるHHPA(CAS登録番号:85-42-7)の知見を用い、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1)本物質を含む異性体混合物であるHHPA(CAS登録番号:85-42-7)について、ウサギ(n= 6)を用いた皮膚刺激性試験(閉塞、24時間適用、6日間観察)において、24/72hの全例の平均スコアは紅斑0.0、浮腫0.33であったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))。 (2)本物質を含む異性体混合物であるHHPA(CAS登録番号:85-42-7)の本項は、区分に該当しないと判定している(2016年度GHS分類結果)。
【参考データ等】 (3)本物質を含む異性体混合物であるHHPA(CAS登録番号:85-42-7)の6.25~50%溶液について、ウサギを用いた皮膚刺激性試験(24時間適用)において、軽微な刺激性がみられたとの報告がある(ACGIH (2015)、AICIS IMAP (2016))。 (4)本物質を含む異性体混合物であるHHPA(CAS登録番号:85-42-7)の50%溶液について、ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(24時間適用)において、適用終了直後に3/6例で浮腫がみられたが、72時間後には刺激症状は全くみられなかったとの報告がある(AICIS IMAP (2016))。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

【分類根拠】 (1)、(2)より、本物質を含む異性体混合物であるHHPA(CAS登録番号:85-42-7)の知見を用い、区分1とした。
【根拠データ】 (1)本物質を含む異性体混合物であるHHPA(CAS登録番号:85-42-7)について、ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(21日観察)において、3例の非洗眼群で21日後まで影響が持続したとの報告がある(AICIS IMAP (2016)、ACGIH (2015)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))。 (2)本物質を含む異性体混合物であるHHPA(CAS登録番号:85-42-7)の本項は、区分1と判定している(2016年度GHS分類結果)。
【参考データ等】 (3)本物質及び本物質を含む異性体混合物であるHHPA(CAS登録番号:85-42-7)はともにEUでEye Dam. 1に分類されている(CLP分類結果 (Accessed Nov. 2022))。 (4)本物質を含む異性体混合物であるHHPA(CAS登録番号:85-42-7)について、ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(14日観察)において、重度の眼刺激性影響がみられた(角膜混濁スコア:1/1/1.3、虹彩炎スコア:1/1/1、結膜発赤スコア:3/3/3、結膜浮腫スコア:2/3/2.3)との報告がある(AICIS IMAP (2016)、REACH登録情報 (Accessed 2022))。

呼吸器感作性

【分類根拠】 (1)、(2)より、本物質を含む異性体混合物であるHHPA(CAS登録番号:85-42-7)の知見を用い、区分1とした。
【根拠データ】 (1)本物質を含む異性体混合物であるHHPA(CAS登録番号:85-42-7)が鼻炎、結膜炎、喘鳴、咳などの初期症状に続き、胸部締めつけ感、息切れ、夜間の喘息症状を伴う職業喘息を生じ、発症は数年遅れて生じる可能性があるという科学的な証拠がある。HHPAへのばく露はばく露が長期化した後には持続性の呼吸器過敏症を生じるおそれがある。HHPAへの長期ばく露後に職業性喘息を含む呼吸器疾患の発生がいくつかの疫学研究で報告されており、HHPAが重篤かつ持続性の肺機能障害を生じる可能性が高いことが確認されている(EU REACH SVHC (2012)、ACGIH (2015))。 (2)本物質を含む異性体混合物であるHHPA(CAS登録番号:85-42-7)の本項は、区分1と判定している(2016年度GHS分類結果)。
【参考データ等】 (3)本物質及び本物質を含む異性体混合物であるHHPA(CAS登録番号:85-42-7)について、ACGIHでは呼吸器感作性物質としてRSENに指定している(ACGIH (2015))。 (4)本物質及び本物質を含む異性体混合物であるHHPA(CAS登録番号:85-42-7)について、EUではResp. Sens. 1に分類されている(CLP分類結果 (Accessed Nov. 2022))。

皮膚感作性

【分類根拠】 (1)、(2)より、本物質を含む異性体混合物であるHHPA(CAS登録番号:85-42-7)の知見を用い、区分1とした。なお、(1)は区分1Aを示唆する知見であるが、本物質を含む異性体混合物の知見であることから細区分せず、区分1とした。
【根拠データ】 (1)本物質を含む異性体混合物であるHHPA(CAS登録番号:85-42-7)について、モルモット(n=20)を用いたMaximisation試験(皮内投与:0.5%)において、惹起24、48時間後の陽性率はそれぞれ19/20例(95%)、16/20例(80%)であった(区分1Aに相当する結果)との報告がある(REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))。 (2)本物質を含む異性体混合物であるHHPA(CAS登録番号:85-42-7)の本項は、区分1と判定している(2016年度GHS分類結果)。
【参考データ等】 (3)本物質を含む異性体混合物であるHHPA(CAS登録番号:85-42-7)について、53名に5%溶液を経皮適用したところ、4名で弱い感作性反応、1名で顕著な反応がみられたとの報告がある。(AICIS IMAP (2015))。 (4)本物質及び本物質を含む異性体混合物であるHHPA(CAS登録番号:85-42-7)について、EUではSkin Sens. 1に分類されている(CLP分類結果 (Accessed Nov. 2022))。

生殖細胞変異原性

【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)本物質を含む異性体混合物であるHHPA(CAS登録番号: 85-42-7)について、in vivoデータはないが、HHPAは急速に加水分解され、その加水分解物(HHP酸:CAS登録番号:1687-30-5)は腎臓から半減期2時間で排泄される。そのため、細胞内で遺伝物質と相互作用する可能性は低いと考えられる(AICIS IMAP (2016)、ACGIH (2015)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))。 (2)HHPAについて、in vitroでは、ネズミチフス菌及び大腸菌を用いた復帰突然変異原性試験(OECD TG 471、GLP)、マウスリンパ腫(L5178Y)細胞を用いた遺伝子突然変異試験(OECD TG 476、GLP)及びヒトリンパ球を用いた染色体異常試験(OECD TG 473、GLP)で、代謝活性化の有無に関わらず結果はいずれも陰性であった(AICIS IMAP (2016)、ACGIH (2015)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))。

発がん性

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

生殖毒性

【分類根拠】 (1)より、本物質を含む異性体混合物であるHHPAでは生殖及び発生に影響はみられていないものの、スクリーニング試験であること、発生毒性試験のデータがないことからデータ不足のため分類できない。
【根拠データ】 (1)HHPA(異性体混合物)について、ラットを用いた強制経口投与による生殖発生毒性スクリーニング試験(OECD TG421、GLP)において、限度量の1,000 mg/kg/dayで親動物には明確な一般毒性影響(体重及び摂餌量の低下、脾臓・卵巣重量増加等)がみられたが、親動物の生殖影響並びに出生児には生後7日まで異常はみられなかったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed 2022))。

特定標的臓器毒性 (単回ばく露)

【分類根拠】 (1)より、区分3(気道刺激性)とした。なお、新たな知見に基づき分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)HHPA(異性体混合物)はヒトにおいて、一過性の影響(皮膚、眼、呼吸器への刺激性)がみられ、貧血、頭痛、発熱、めまいなどの一般的な徴候もみられるとの報告がある。(HSDB in PubChem (Accessed Nov. 2022))
【参考データ等】 (2)HHPA(異性体混合物)を被験物質とした、ラットを用いた単回経口投与試験において、2,520 mg/kgで死亡例はなく、症状として活動性低下、立毛、運動失調がみられた。LD50が2,700 mg/kgの他試験でも活動性低下、尿失禁がみられただけであったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))。 (3)HHPA(異性体混合物)を被験物質とした、ウサギを用いた単回経皮投与試験において、2,000 mg/kgで適用部位の刺激がみられた以外に症状はみられなかったとの報告がある(AICIS IMAP (2016)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))。 (4)HHPA(異性体混合物)を被験物質とした、ラットを用いた単回吸入ばく露試験(ダスト、4時間)において、達成可能な最高濃度の1.1 mg/Lでばく露中にみられた症状は活動性低下であった(AICIS IMAP (2016)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))。

特定標的臓器毒性 (反復ばく露)

【分類根拠】 (1)より、HHPA(異性体混合物)のデータでは、経口経路では区分2上限近傍で胃粘膜刺激(局所刺激)のみで、全身毒性は区分に該当しない範囲でみられた。よって異性体混合物では区分2までの範囲では全身毒性を生じないと考え、経口経路では区分に該当しないと判断した。ただし、他経路では分類に十分な情報がなく、データ不足のため分類できない。
【根拠データ】 (1)HHPA(異性体混合物)を被験物質とした、ラットを用いた強制経口投与による28日間反復経口投与試験において、300 mg/kg/day(90日換算:93.3 mg/kg/day、区分2の範囲)以上で胃の刺激性変化(胃底腺部の過形成、腺胃部粘膜下の炎症、非腺胃部の過角化・上皮過形成・血管増生・粘膜及び粘膜下の炎症・潰瘍)、1,000 mg/kg/day(311 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)で臨床症状(死亡、顎をこする動作、流涎、鼻甲介上皮の炎症細胞を伴う呼吸障害)、血液系(雄:白血球数増加、好中球・好酸球・単球・巨細胞比率の増加)、腎臓(雌雄:尿量・ナトリウム増加、腎皮質尿細管の塩基性化/皮質尿細管拡張、雄:尿素・クレアチニン増加など)等への影響がみられたとの報告がある(AICIS IMAP (2016)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))。

誤えん有害性*

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

データなし

12.2 残留性・分解性

データなし

12.3 生体蓄積性

データなし

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
免許を有する廃棄物処理業者に、余剰物で再使用不可の溶液として処理を依頼する。 可燃性溶剤に溶解または混合し、アフターバーナーとスクラバーが備えられた化学焼却炉で焼却する。汚染容器及び包装製品入り容器と同様に処分する。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): -    IMDG (海上規制): -    IATA-DGR (航空規制): -

14.2 国連輸送名

IATA-DGR (航空規制): Not dangerous goods
IMDG (海上規制): Not dangerous goods
ADR/RID (陸上規制): 非危険物

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): -    IMDG (海上規制): -    IATA-DGR (航空規制): -

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): - IMDG (海上規制): - IATA-DGR (航空規制): -

14.5 環境危険有害性

非該当
ADR/RID: 非該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当

14.6 特別の安全対策

14.7 混触危険物質

国際輸送に関する国連勧告の定義上は、危険物に該当しない。
詳細情報
強酸化剤, 強塩基類, 強酸

15. 適用法令

労働安全衛生法

該当しない

化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)

該当しない

毒物及び劇物取締法

該当しない

16. その他の情報

略語と頭字語

TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物
IATA:国際航空運送協会
EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
免責事項:

本MSDS中の情報は指定された製品にのみ適用され、特に規定がない限り、本製品とその他の物質の混合物には適用されません。本MSDSは、製品使用者の適切な専門的なトレーニングを受けた者にのみ製品安全情報を提供します。本MSDSの使用者は、本SDSの適用性について独自に判断しなければならない。本MSDSの著者は、本MSDSの使用によるいかなる傷害にも責任を負わない。

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