急性毒性
経口
ラットを用いた経口投与試験のLD50値>8,000 mg/kg、>5,400 mg/kg、>12,000 mg/kg (SIDS(2006))のうち、最新のデータである>12,000 mg/kgから区分外とした。
経皮
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50値>5,000 mg/kg (SIDS(2006))から区分外とした。
吸入
吸入(ガス): GHS定義上の液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
吸入(蒸気): 20℃における飽和蒸気圧濃度は0.03 ppmである。SIDS(2006)に、モルモットを用いた8時間吸入ばく露試験のNOECは0.3 mg/m3(換算値0.025 ppm)との記述があるので、気体基準で分類する。よって、4時間換算LC50値は>0.025 ppmから、区分を特定できないので分類できない。
吸入(ミスト): データがないので分類できない。
皮膚腐食性・刺激性
ウサギを用いた皮膚刺激性試験で、moderateからsevereな刺激性(SIDS(2006))との記述があるが、24時間投与での結果である。また、ヒト(ボランティア、27人)による48時間投与試験で、重大な皮膚反応を引き起こさなかった(SIDS(2006))と記述されているが、試験濃度が10%である。以上から、適切なデータがないので分類できない。
眼に対する重篤な損傷・刺激性
ウサギを用いた眼刺激性試験で、投与後1時間及び24時間経過後、軽い発赤や白濁がみられ、8日後に回復し、「slightly irritating」であるが、投与量が0.05 mLと現在のOECD TG 405の0.1 mLに比べて少ない(SIDS(2006))との記述がある。回復に7日以上要しているが、症状が軽度であると考えられるため区分2Bとした。
呼吸器感作性又は皮膚感作性
呼吸器感作性:データがないので分類できない。
皮膚感作性:30匹のモルモットを用いたMaximization試験(OECD TG 406、GLP)の結果は、あいまい(ambiguous)であるが、not sensitizing(SIDS(2006))と評価されており、27人のヒトに対するMaximization試験でもnot sensitizing(SIDS(2006))であることから区分外とした。
生殖細胞変異原性
体細胞in vivo変異原性試験(マウスの骨髄細胞を用いた小核試験(OECD TG 474、GLP))で陰性(SIDS(2004))であることから、区分外とした。
発がん性
主要な国際的評価機関による評価がなされておらず、データもないため分類できないとした。
生殖毒性
ラットを用いた98日間の経口投与による一世代生殖毒性試験(OECD TG 415、GLP)において、1,000 mg/kgで交尾前時間の増加、受精能、受胎率、出生数の減少がみられ、母動物では授乳期の体重減少がみられた(授乳期終了後回復)(SIDS(2006))。また、ラットを用いた10週間の経口投与による1世代生殖毒性試験 (OECD TG 415、GLP)において、1,000 mg/kgで胎児毒性作用として出生数の減少、授乳期における児の体重減少がみられた(SIDS(2006))との記述から、区分2とした。
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)
ラットを用いた吸入ばく露試験で、initial escape attemptsが認められたが、8時間のばく露中及びばく露後の解剖において異常はなかった(SIDS(2006))と記述されている。試験濃度が不明であり、この他にデータがないため、分類できない。
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)
ラットを用いた28日間経口投与試験(OECD TG 407、GLP)において、区分2のガイダンス値の範囲外の用量で試験した結果、見られた影響は、肝臓、腎臓、脾臓重量の増加(SIDS(2006))のみであったので、区分外とした。
吸引性呼吸器有害性
データがないので分類できない。 なお、20℃での動粘性率は86.03 mm2/sである。