安全データシート

フルフリルアルコール

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: フルフリルアルコール
  • CB番号: CB7854741
  • CAS: 98-00-0
  • EINECS番号: 202-626-1
  • 同義語: フルフリルアルコール

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: フラン樹脂原料、樹脂変性剤、溶剤 (NITE-CHRIPより引用)
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用)
R3.3.12、政府向けGHS分類ガイダンス (令和元年度改訂版 (ver2.0)) を使用
物理化学的危険性
引火性液体   区分4
健康に対する有害性
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)   区分1 (呼吸器) 区分2 (肝臓、腎臓)
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)   区分3 (麻酔作用、気道刺激性)
発がん性   区分2
皮膚感作性   区分1B
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性   区分2
皮膚腐食性/刺激性   区分2
急性毒性 (吸入: 蒸気)   区分2
急性毒性 (経皮)   区分3
急性毒性 (経口)   区分3
分類実施日(環境有害性)
平成30年度、政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
環境に対する有害性
-

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS06GHS08
注意喚起語
危険
危険有害性情報
H319 強い眼刺激。
H301 + H311 飲み込んだ場合や皮膚に接触した場合は有毒。
H227 可燃性液体。
H402 水生生物に有害。
H373 長期にわたる、又は反復ばく露により臓器 (中枢神経系, 腎臓, 肝臓) の障害のおそれ。
H372 長期にわたる、又は反復暴露による臓器 (呼吸器) の障害。
H351 発がんのおそれの疑い。
H336 眠気又はめまいのおそれ。
H335 呼吸器への刺激のおそれ。
H330 吸入すると生命に危険。
注意書き
安全対策
P284 換気が不十分な場合、呼吸用保護具を着用すること。
P280 保護手袋/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P273 環境への放出を避けること。
P271 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
P270 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P264 取扱い後は皮膚をよく洗うこと。
P261 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P210 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P202 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P201 使用前に取扱説明書を入手すること。
応急措置
P370 + P378 火災の場合:消火するために乾燥砂、粉末消火剤 (ドライケミカル) 又は耐アルコール性フォームを使用すること。
P337 + P313 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
P308 + P313 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
P305 + P351 + P338 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304 + P340 + P310 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し,呼吸しやすい姿勢で休息させること。 直ちに医師に連絡すること。
P302 + P352 + P312 皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P301 + P310 + P330 飲み込んだ場合:直ちに医師 に連絡すること。口をすすぐこと。
保管
P405 施錠して保管すること。
P403 + P235 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P403 + P233 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
廃棄
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 別名: 2-(Hydroxymethyl)furan
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C5H6O2
  • 分子量: 98.10 g/mol
  • CAS番号: 98-00-0
  • EC番号: 202-626-1
  • 化審法官報公示番号: 5-31
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
医師に相談する。 この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸い込んだ場合、新鮮な空気の場所に移す。 呼吸していない場合には、人工呼吸を施す。 医師に相談する。
皮膚に付着した場合
石けんと多量の水で洗い流す。 直ちに被災者を病院に連れて行く。 医師に相談する。
眼に入った場合
多量の水で15分以上よく洗浄し、医師の診察を受けること。
飲み込んだ場合
無理に吐かせないこと。 意識がない場合、口から絶対に何も与えないこと。 口を水ですすぐ。 医師に相談する。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

使ってはならない消火剤
ウォータージェットは使用しない。
適切な消火剤
水噴霧、耐アルコール泡消火剤、粉末消火剤、二酸化炭素を使用すること。

5.2 特有の危険有害性

可燃性。
炭素酸化物

5.3 消防士へのアドバイス

消火活動時には必要に応じて 自給式呼吸装置を装着する。

5.4 詳細情報

未開封の容器を冷却するために水を噴霧する。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

呼吸保護(服)を着用。 蒸気、ミスト、またはガスの呼吸を避ける。 十分な換気を確保する。 付近の発火源となるものを取り除く。 安全な場所に避難する。 蒸気がたまると爆発性濃縮物が生成されるので要注意。蒸気は低いところにたまる可能性あり。個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

安全を確認してから、もれやこぼれを止める。 物質が排水施設に流れ込まないようにする。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

漏出物を閉じ込め、不可燃性の吸収剤 (砂、土、珪藻土、バーミキュライト等) を使用して集め、地域/国の規則に従い廃棄するために容器に入れる (項目 13 を参照)。 廃棄に備え適切な容器に入れて蓋をしておく。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

安全取扱注意事項
皮膚や眼への接触を避けること。 蒸気やミストの吸い込みを避けること。
火災及び爆発の予防
発火源から離しておいてください-禁煙。静電気の蓄積を防止する手段を講じる。
衛生対策
皮膚、眼、そして衣服との接触を避ける。 休憩前や製品取扱い直後には手を洗う。注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管クラス
保管クラス (ドイツ) (TRGS 510): 6.1C: 可燃性、急性毒性カテゴリー3 / 毒性化合物または慢性効果を引き起こす化合物
保管条件
容器を密閉し、乾燥した換気の良い場所に保管する。 一度開けた容器は注意深く再度密封し、漏れを避けるためまっすぐ立てておく。空気に反応する。

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
OEL-M: 5 ppm 20 - 日本産業衛生学会 許容濃度等の勧告
TWA: 0.2 ppm - 米国。 ACGIH限界閾値(TLV)

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
皮膚、眼、そして衣服との接触を避ける。 休憩前や製品取扱い直後には手を洗う。
保護具
眼/顔面の保護
顔面シールドおよび保護メガネ NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規
格で試験され、認められた眼の保護具を使用する。
皮膚及び身体の保護具
手袋を着用して取扱う。 使用前に、必ず手袋を検査する。 (手袋外面に触れずに)適切に手袋
を脱ぎ、本製品の皮膚への付着を避ける。 適用法令およびGLPに従い、使用後に汚染手袋を廃
棄する。 手を洗い、乾燥させる。
選ばれた防護手袋は、EU指令2016/425の仕様と、それから派生する規格EN374を満たすもので
なければならない。
フルコンタクト
材質: ブチルゴム
最小厚:0.3 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Butoject® (KCL 897 / Aldrich Z677647, Size M)
飛沫への接触
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.4 mm
破過時間: 30 min
試験物質:Camatril? (KCL 730 / Aldrich Z677442, Size M)
データソース:KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, 電話 +49 (0)6659 87300, e-mail sales@kcl.de,
試験方法: EN374
EN374とは違った条件の下で、溶液の中、または他の物質と混ぜて使われる場合は、EC認可手
袋の供給業者に問い合わせる。 この勧告は単なる助言であり、予想される用途の特定状況に精
通した産業衛生専門家並びに安全管理者により評価されなければならない。 任意の使用方法に
ついて許可を受けていると理解すべきではない。
身体の保護
化学防護服, 特定の作業場に存在する危険物質の濃度および量に応じて、保護装置のタイプを選
択しなければならない。
呼吸用保護具
リスクアセスメントによりろ過式呼吸用保護具が適切であると示されている場所では、工学的
制御のバックアップとして、多目的直結式(US)またはABEK型(EN14387)呼吸用保護具カ
ートリッジ付き全面形呼吸用保護具を使用する。呼吸用保護具が唯一の保護手段である場合、
全面形送気マスクを使用する。 NIOSH(US)またはCEN(EU)などの適切な政府機関の規格
で試験され、認められた呼吸用保護具および部品を使用する。
環境暴露の制御
安全を確認してから、もれやこぼれを止める。 物質が排水施設に流れ込まないようにする。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

物理状態
液体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
無色
臭い
特徴的な臭気

融点/凝固点

-31℃ (ICSC (2019))

沸点、初留点及び沸騰範囲

171℃ (HSDB (Access on April 2020))

可燃性

可燃性 (ICSC (2019))

爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界

1.8~16.3 vol% (空気中) (ICSC (2019))

引火点

65℃ (c.c.) (ACGIH (7th, 2017))

自然発火点

390℃ (ICSC (2019))

分解温度

データなし

pH

データなし

動粘性率

4.09 mm²/s (25℃) (ICSC (2019))

溶解度

水:1.00E+006 mg/L (25℃) (混和) (HSDB (Access on April 2020)) ベンゼン、クロロホルムに可溶、エタノール、エチルエーテルに易溶 (HSDB (Access on April 2020))

n-オクタノール/水分配係数

log Pow =0.28 (ICSC (2019))

蒸気圧

0.609 mmHg (25℃) (est) (HSDB (Access on April 2020))

密度及び/又は相対密度

1.1296 g/cm³ (20℃) (HSDB (Access on April 2020))

相対ガス密度

3.4 (空気=1) (ICSC (2019))

粒子特性

該当しない

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

データなし

10.2 化学的安定性

推奨保管条件下では安定。

10.3 危険有害反応可能性

データなし

10.4 避けるべき条件

熱、炎、火花。

10.5 混触危険物質

酸の近くに保管しない。, 酸素, 強酸化剤

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
【分類根拠】 (1)~(5) より、区分3とした。
【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 110~132 mg/kg (MAK (DFG) vol.7 (1996)) (2) ラットのLD50: 132 mg/kg (Patty (6th, 2012)) (3) ラットのLD50: 177 mg/kg (ACGIH (7th, 2017)) (4) ラットのLD50: 275 mg/kg (Patty (6th, 2012)) (5) ラットのLD50: 275~451 mg/kg (MAK (DFG) vol.7 (1996))
経皮
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分3とした。
【根拠データ】 (1) ウサギのLD50: 400 mg/kg (ACGIH (7th, 2017)、HSDB (Access on April 2020)) (2) ウサギのLD50: 657 mg/kg (MAK (DFG) vol.7 (1996)、ACGIH (7th, 2017)、Patty (6th, 2012))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における液体であり、区分に該当しないとした。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 (1)~(3) より、区分2とした。なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (801ppm) の90%よりも低いため、ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
【根拠データ】 (1) ラットのLC50 (4時間): 233 ppm (MAK (DFG) vol.7 (1996)、ACGIH (7th, 2017)、Patty (6th, 2012)) (2) ラットのLC50 (6時間): 85 ppm (4時間換算値: 104 ppm) (MAK (DFG) vol.7 (1996)) (3) ラットのLC50 (1時間): 592 ppm (4時間換算値: 296 ppm) (ACGIH (7th, 2017)) (4) 本物質の蒸気圧: 0.609 mmHg (25℃) (HSDB (Access on April 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 801ppm)
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

【分類根拠】 (1)、(2) より、区分2とした。
【根拠データ】 (1) 本物質はウサギにおいて皮膚及び眼に刺激性を示す (MAK (DFG) (2016)、EU REACH CoRAP (2018))。 (2) 本物質は動物試験において皮膚刺激性を示す (AICIS IMAP (2016))。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

【分類根拠】 (1)、(2) より、区分2とした。
【根拠データ】 (1) OECD TG 405に準拠したウサギ (1匹) を用いた眼刺激性試験において角膜混濁、虹彩炎、結膜充血及び浮腫が認められたが、14日後までに回復した。MMAS (Modified maximum average score) は44であった (ECETOC TR48 (2) (1998))。 (2) 本物質はウサギにおいて皮膚及び眼に刺激性を示す (MAK (DFG) (2016)、EU REACH CoRAP (2018))。
【参考データ等】 (3) 本物質 (56 mg) を適用したウサギを用いた眼刺激性試験において炎症及び分泌物を引き起こし、角膜混濁回復には40~64日を要したが、より少量の適用 (23 mg) では眼への影響は重度ではなく2週間以内に症状は回復した (AICIS IMAP (2016))。 (4) 本物質は眼に対し著しい刺激と傷害を示す (HSDB (Access on April 2020))。 (5) EU-CLP分類でEye Irrit. 2 (H319) に分類されている (EU CLP分類 (Access on July 2020))。

呼吸器感作性

【分類根拠】 データ不足のため、分類できない。

皮膚感作性

【分類根拠】 (1) より、区分1Bとした。新しいデータが得られたことから分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) TG 429に準拠したマウス局所リンパ節試験 (LLNA) 2試験において陽性となり、EC3値はそれぞれ4.63%及び25.6%であった (EU REACH CoRAP (2018)、AICIS IMAP (2016)、REACH登録情報 (Access on June 2020))。

生殖細胞変異原性

【分類根拠】 (1)、(2) より、専門家判断に基づき、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) in vivoでは、マウス骨髄の小核試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陰性 (IARC 119 (2019)、NTP TR482 (1999)、SCOEL (2011)、MAK (DFG) (2016))。マウスを用いたコメットアッセイ (OECD TG 489)で陰性 (EU REACH CoRAP (2018))。マウスに28日間反復ばく露 (経口) 又は単回投与 (経口又は腹腔内) したDNA付加体形成試験で陽性の報告がある (IARC 119 (2019))。 (2) in vitroでは、復帰突然変異試験において標準的な試験菌株を用いて陰性、ヒトリンパ球を用いた姉妹染色分体交換試験で陰性、哺乳類培養細胞を用いた姉妹染色分体交換試験で陽性、染色体異常試験で曖昧な結果の報告がある (IARC 119 (2019)、NTP TR482 (1999)、MAK (DFG) vol.7 (1996))。改変サルモネラ試験菌株 (TA100由来) を用いた復帰突然変異試験及びDNA付加体形成試験で陽性の報告がある (IARC 119 (2019)、EU REACH CoRAP (2018))。

発がん性

【分類根拠】 (1)、(2) より区分2とした。
【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCでグループ2B (IARC 119 (2019))、産衛学会で第2群B (産業衛生学会誌許容濃度の勧告 (2019年提案))、ACGIHでA3 (ACGIH (7th, 2017))、EU-CLPでCarc.2 (EU CLP分類 (Access on April 2020))、MAK (DFG) で3B (MAK (DFG (2016)) に分類されている。 (2) 雌雄のラット及びマウスに本物質を105週間吸入ばく露した発がん性試験において、ラットの雄で鼻腔の腫瘍 (呼吸上皮の腺腫、がん及び扁平上皮がん) の合計の発生率の有意な増加がみられた。ラットの雌では鼻腔及び腎尿細管の腫瘍発生率がわずかに増加した。マウスの雄では腎尿細管腺腫及びがんの合計の発生率の有意な増加がみられた。マウスの雌では腫瘍発生率の増加はみられなかった (NTP TR482 (1999)、IARC 119 (2019)、ACGIH (7th, 2017))。これらより、本物質の発がん性に関して、雄ラットにはある程度の証拠 (some evidence) が、雌ラットには曖昧な証拠 (equivocal evidence) が、雄マウスにはある程度の証拠 (some evidence) があり、雌マウスには発がん性の証拠はないと結論された (NTP TR482 (1999))。

生殖毒性

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

特定標的臓器毒性 (単回ばく露)

【分類根拠】 (1)、(2) より、区分3 (麻酔作用、気道刺激性) とした。
【根拠データ】 (1) ヒトに対する高濃度の本物質の吸入の短期ばく露の影響は眼及び鼻の刺激である (SCOEL (2011))。 (2) ラットを用いた吸入ばく露試験において、興奮状態に続く眼刺激と嗜眠がみられたとの報告がある (産衛学会許容濃度の提案理由書 (1978))。

特定標的臓器毒性 (反復ばく露)

【分類根拠】 (1) より、ヒトでは呼吸器に対する影響がみられ、実験動物では(2)~(6) より、区分1の範囲で呼吸器、区分2の範囲で肝臓、腎臓に影響がみられている。したがって、区分1 (呼吸器)、区分2 (肝臓、腎臓) とした。なお、旧分類で中枢神経系への影響の根拠としたと考えられる (7) については、一般的な試験でないこと、他の試験において中枢神経系への影響がみられていないことから分類根拠としなかった。したがって、旧分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) 鋳造工場労働者を対象とした研究では、28人の労働者で気道症状 (咳、鼻、喉)及び眼の刺激が報告された。 時間加重ばく露レベルは7 mg/m3であり、ピーク値は40 mg/m3を超えていた (SCOEL (2011)、MAK (DFG) (2016))。 (2) ラットに2、4、8、16、32 ppm (ガイダンス値換算: 0.0062、0.0125、0.0250、0.0499、0.0999 mg/L; いずれも区分1の範囲) の本物質を14週間吸入ばく露した試験 (6時間/日、5日/週) において、鼻腔への影響 (2 ppm以上で移行上皮の扁平上皮化生、4 ppm以上で嗅上皮の変性、8 ppm以上で呼吸上皮に扁平上皮化生と杯細胞過形成、16 ppm以上で鼻咽頭管を覆う呼吸上皮の肥大、嗅上皮の過形成、粘膜固有層の細胞浸潤、32 ppmで嗅上皮の化生等) がみられている (NTP TR482 (1999)、MAK (DFG) (2016))。 (3) マウスに2、4、8、16、32 ppm (ガイダンス値換算: 0.0062、0.0125、0.0250、0.0499、0.0999 mg/L; いずれも区分1の範囲) の本物質を14週間吸入ばく露した試験 (6時間/日、5日/週) において、ラットと同様に鼻腔への影響が区分1の範囲 (2 ppm以上) でみられている (NTP TR482 (1999)、MAK (DFG) (2016))。 (4) ラットを用いた強制経口投与による13週間反復投与毒性試験において、75 mg/kg/day (区分2の範囲) で肝臓・腎臓の絶対重量増加、肝臓及び腎臓の病変 (肝臓: 肝細胞の変性、細胞質の空胞化、腎臓: 皮質の尿細管上皮の病変) がみられている (NTP TR482 (1999)、AICIS IMAP (2016))。 (5) マウスを用いた強制経口投与による13週間反復投与毒性試験において、75 mg/kg/day (区分2の範囲) で肝臓・腎臓の絶対重量増加、肝臓及び腎臓の病変 (肝臓:肝細胞の変性、細胞質の空胞化、腎臓: 皮質の尿細管上皮の病変) がみられている (NTP TR482 (1999)、AICIS IMAP (2016))。 (6) ラット、マウスを用いた2年間吸入ばく露試験においても、非腫瘍性変化として区分1の範囲の用量で鼻腔への影響のほか、腎症の重症化がみられている (NTP TR482 (1999)、AICIS IMAP (2016))。
【参考データ等】 (7) ラットに4、9及び16週間吸入ばく露し神経系への影響を調べた試験 (6時間/日、5日/週) において、4週間後では50 ppm以上 (ガイダンス値換算: 0.045 mg/m3、区分1の範囲) でクレアチンキナーゼ活性増加 (著者はこの結果を、非特異的な神経組織の損傷の結果、アストログリア細胞の増殖を示すものとしている)、16週間後には100 ppm (ガイダンス値換算: 0.36 mg/m3、区分2の範囲) でグリア細胞画分における脳蛋白合成の減少がみられている (ACGIH (7th, 2017))。

誤えん有害性*

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。なお、(1)より、動粘性率は25℃で4.1 mm2/secと算出され、40℃の動粘性率が14 mm2/s以下であるが、その他の情報は得られなかった。
【参考データ】 (1)動粘性率が25℃で4.1 mm2/s(25℃での粘性率 4.62 mPa・s(HSDB (Access on April 2020)) と密度1.13 g/cm3 (HSDB (Access on April 2020)) から算出)である。

* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。本有害性項目の内容に変更はない。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

魚毒性
止水式試験 LC50 - Leuciscus idus (コイの一種) - 701 mg/l - 48 h
(OECD 試験ガイドライン 203)
備考: (ECHA)
ミジンコ等の水生無脊
止水式試験 EC50 - Daphnia magna (オオミジンコ) - 328 mg/l - 24 h
椎動物に対する毒性
(OECD 試験ガイドライン 202)

12.2 残留性・分解性

生分解性
好気性 - 曝露時間 14 d
結果: 97.7 % - 易分解性。
(OECD テスト ガイドライン 301C)

12.3 生体蓄積性

データなし

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
免許を有する廃棄物処理業者に、余剰物で再使用不可の溶液として処理を依頼する。 このような可燃性の物質は、 アフターバーナーとスクラバーが備えられた化学焼却炉で焼却しても差し支えないと考えられる。汚染容器及び包装製品入り容器と同様に処分する。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): 2874    IMDG (海上規制): 2874    IATA-DGR (航空規制): 2874

14.2 国連輸送名

IATA-DGR (航空規制): Furfuryl alcohol
IMDG (海上規制): FURFURYL ALCOHOL
ADR/RID (陸上規制): FURFURYL ALCOHOL

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): 6.1    IMDG (海上規制): 6.1    IATA-DGR (航空規制): 6.1

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): III IMDG (海上規制): III IATA-DGR (航空規制): III

14.5 環境危険有害性

非該当
ADR/RID: 非該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当

14.6 特別の安全対策

なし

14.7 混触危険物質

酸の近くに保管しない。, 酸素, 強酸化剤

15. 適用法令

労働安全衛生法

名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)【491 フルフリルアルコール】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)【491 フルフリルアルコール】 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) 作業場内表示義務(法第101条の4)

化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)

-

毒物及び劇物取締法

-

化学物質審査規制法

優先評価化学物質(法第2条第5項)【233 フルフリルアルコール】

消防法

第4類引火性液体、第三石油類水溶性液体(法第2条第7項危険物別表第1・第4類)【5 第三石油類水溶性液体】

航空法

毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1)【【国連番号】2874 フルフリルアルコール】

船舶安全法

毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】2874 フルフリルアルコール】

海洋汚染防止法

有害液体物質(Y類物質)(施行令別表第1)【347 フルフリルアルコール】

16. その他の情報

略語と頭字語

TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物
IATA:国際航空運送協会
EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
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