亜りん酸 化学特性,用途語,生産方法
性質
図2. 水溶液中の亜リン酸
亜リン酸は白色の結晶です。常温常圧では安定ですが、潮解性があります。水溶液中では圧倒的にHP(O)(OH)2の化学種が優勢で、2価の酸として作用し、pHが約1の酸性を示します。pKa1=1.5、pKa2=6.79です。
亜リン酸の還元性は比較的強いです。硝酸銀、塩化金(III)、硫酸銅水溶液から、それぞれの金属が遊離します。酸性水溶液中での標準酸化還元電位はE°=-0.276Vです。
亜リン酸塩の還元作用は強いです。アルカリ金属やアンモニウムの亜リン酸塩は、水に溶けます。その一方で、アルカリ土類金属やその他の亜リン酸塩の多くは、水に溶けにくいです。
解説
亜リン酸化学式H3PO3。遊離酸としては水溶液中でもその存在は知られていない。エステルとして亜リン酸エステルP(OR)3などが知られている。古く亜リン酸と呼ばれていたものは実際にはホスホン酸phosphonic acid H2PHO3であることがわかっている。ホスホン酸は,三塩化リンを加水分解させて得られる。実験室では,四塩化炭素溶液とし,氷冷しながら徐々に水を滴下した後,脱塩酸して作る。無色,潮解性の氷状結晶。
構造
図3. 亜リン酸の構造
いくつかのリン酸類はPとOとの間でHが移動し、複雑に互変異性化します。亜リン酸はHP(O)(OH)2に互変異性化し、P(OH)3よりHP(O)(OH)2の方が優位です。トリヒドロキシ型が亜リン酸で、ジヒドロキシ型は (英: phosphonic acid) と呼ばれます。
ホスホン酸を含有する製剤は、毒劇法で劇物に指定されています。固体状態で亜リン酸は四面体構造を取っており、P-H間が132pmで、P=O間が148pmで、P-O(H)間が154pmです。
使用
Phosphorous acid is a reducer in chemical reactions and a raw material in the making of phosphorous acid salts. A plant defoliant.
定義
A white crystalline
solid. It is a monobasic acid forming the
anion H
2PO
2- in water. The sodium salt,
and hence the acid, can be prepared by
heating yellow phosphorus with sodium
hydroxide solution. The free acid and its
salts are powerful reducing agents.
異性体
亜リン酸の異性体
亜リン酸は、溶液中では互変異性体のホスホン酸との平衡混合物になっています。化学種の平衡は亜リン酸が劣勢です。
有機化学では、一般式がR-P(=O)(OH)2と表される化合物もホスホン酸と呼んでいます。有機ホスホン酸の具体例としてホスカルネット (英: foscarnet) があり、抗ウイルス薬の一つです。P-アルキルホスホン酸のジエステルであるR-P(=O)(OR')2は、ホーナー・ワズワース・エモンズ反応 (英: Horner-Wadsworth-Emmons reaction) の基質です。ホーナー・エモンズ試薬とも呼ばれ、アルケンの原料になります。
使用用途
亜リン酸は塩化ビニールの製造に使用する安定剤だけでなく、有機化合物を合成するための触媒や還元剤に使用されています。
作物の肥料に使う亜リン酸塩の原料などにも、亜リン酸を利用可能です。作物の肥料の三大要素である窒素・・カリウムの中で、リン酸は通常のリン酸肥料が使われています。しかし近年、さまざまな亜リン酸肥料が、肥料メーカーから発売されています。亜リン酸はリン酸より分子量が小さく、溶解性が良く、作物内での移行性も良いため、吸収されやすく、土壌への吸着性が小さいです。
亜リン酸とカリウムを主成分とした粒状や液体の亜リン酸肥料もあります。適切に使用すれば、収量が増え、品質も向上できます。
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